男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
かーっ!
砂漠のモンスタークソ強いね! 三匹のワームに囲まれて超音波弾で逃げたけど逃げてなかったら初めてデスペナ喰らってたかも!
「でもまあ、倒せないほどじゃないな」
俺のレベルも200を超えて、アルマも第三形態。まだカンストには遠いが、【鉄人】のレベルが13なのでリアルタイムで数日頑張ればカンストできるだろう。
デンドロだと、レベルを上げるごとにレベルアップの速度が上がっていくのだし。
「でも、まだ下級職も二つ残ってる。汎用スキルも、少しは取ろう?」
「ん、そうだね」
有名どころでは《看破》だろうか。メルクによると俺は天性のセンスとして《危険感知》、《殺気感知》を有している(多分、最初にPKに襲われた時の背筋が凍る感覚だろう)、あとはリアルの技術として《絵画》や《演奏》を持っているので、画面に表示されない技術が結構多い。
《看破》を覚えるなら……【斥候】とかかなー。覚えておいて損はないし。
「私も《天使のマッサージ》とか、覚えたいものがある。あとで練習させて」
「いいよー。……絵図がちょっとアレだけど」
いや、12歳くらいの美少女にマッサージしてもらう成人男性ってわりとヤバくね? メルクはもう色々慣れてるっぽいけど。
「……なら液状化して揉む?」
「そっちはそっちでエロティックというか、いかがわしいというか……まあ普通に人間態の方がいいよね。あとで頼むよ」
コツコツと二人で歩きながら話す。
メルクのラボの中は、空間拡張でもかけられているのか外見からは想像もできないほど広い。俺用の部屋も拵えられているし、めちゃくちゃ快適である。
<超級エンブリオ>ってみんなこんななのかな……だとしたらすごい羨ましいけど。
「私もいつか、マスターに本心から『快適だー』って言ってもらえるような城になる……」
城って。……でも液体金属の城ならいつか実現できるかもね。居心地は知らないけれど。
というか、アルマは純粋に俺の武器にして防壁なんだから、居住関係は別にいいんだよ。それよりも硬くなったり熱変動耐性の方を高めてくれ。
……必殺スキル覚えたら、どうなるのかはわからないけれど。もしかしたら結果的に城を造れるくらいにはなれるかもしれない。楽しみにしておこう。
「ん!」
そうして歩いていると——先日、メルクに「絶対入るな」と言われた区画に通じる扉の前に出る。
ここから左に曲がればリビングに行けるし、危険な橋を渡る必要はないか。さ、行こ——
——ガチャ。
「ふぅ、久方ぶりの調整で張り切ってしまいました。やはり
………。
……………。
…………………なんか立ち入り禁止って言われてた区画から、ヴィクトリアスタイルのメイド服着た美人のメイドさんが出てきたんですけどー!
「確保っ!」
これどういう——ふぎゅっ。
「マスター!?」
/
なんかメイドさんに足元から生やされた木で拘束されてた件について。
「反省しなさいっ!」
「しろ。死ね」
あとなんか眼前でメイドさんが正座させられてアルマとメルクに怒られてんだけど……まず俺を解放してくれませんかね?
あとここ……リビングか? 少し【気絶】してたみたいだ。
力を込めてみるが、俺のSTRじゃ全然ビクともしねえ……なんだこの木、いきなり生えてきてこの強度って。
「あ、起きたかいヤヨイ君。いや、うちのポンコツがごめんね」
「マスター、大丈夫?」
「ああ、大丈夫。……っていうかまずこれ外してよ」
「うん、ほんとごめん」
メルクさんはメイドさんに「外した後に謝罪、そのあと自己紹介」と命令して、ソファーにため息をついて座った。
ん、木が朽ちた。っていうかポロポロに崩れて消えた……え、この人ティアンだよな?
「まず、いきなり拘束してすみませんでした。眼前に突然現れたもので……」
「まあ、それはもう済んだことなのでいいですけど」
もしもデスペナ喰らってたら【ブラック・デンドロン】で蹴り飛ばすくらいしてたかもしれんがね。アルマの進化速度落ちるのヤダし。
「それは良かったです。もしも殺してしまっていたら、<マスター>であろうとも自壊を以て謝罪するつもりでしたので。
……こほん。それでは、自己紹介をさせていただきます」
「私は【
フラグマン製煌玉人六号機——至上命令、《
今後ともよろしくお願いしますね、ヤヨイ様」
そう言って、しっかり整えられた緑色の髪を持つ美しい女性——のカタチをしたロボットは、リアルでの社交界でも通用する淑やかな動作でスカートを摘み上げ、華麗にお辞儀した。
…………メルクの戦力ってどこまで伸びるの?
確か一回ぶっ壊れてた
なお、さっきの木を生やした能力は改変兵器【ライフ・ディストーション】の産物らしい。怖っ。
ここでお披露目。作中独自設定、六番目の煌玉人!
—情報開示—
【
保有スキル:《
オプション:【ライフ・ディストーション】
保有者:ヴィクター・F・メルクリウス
名前の由来:エメラルドが五月の誕生石だから
備考:
フラグマンによって造られた、煌玉人六号機。行方不明とされている煌玉人の一つ。
かつて【金剛石之抹殺者】とともに“黒渦の化身”に挑んだが、発生させた植物も何もかも吸収されて一瞬で敗北し、回収された後雑な仕事に定評があるマッドハッターによってガチャに放り込まれた。
その後世界を旅していた当時第六形態だったメルクがアルター王国でガチャを回したところ突拍子もなく出現し、彼の<エンブリオ>を補佐する者となった。
戦闘能力では改変兵器やスペック上【金剛石之抹殺者】には劣るが、その代わりに対応力に優れ、特に生体部品に関しては【瑪瑙之設計者】と同等以上の力を持ち、遺伝子にまで手を加えることができる。
……ただし似なくてもいいところまで似てしまったのか、所有者まで困らせる点は同様である。
準<超級>までならよほど相性が悪くなければ対応でき、<超級>でも相手にはよるが対応可能。
「森をまるごと吹き飛ばすほど相手の攻撃力が過剰でなければ対応可能です(ふんす)」とは本人の弁。なので最強クラスには及ばない。森ごと沈めてきたり森ごと攻撃してきたりするから。
“熱”、あるいは“種”を媒介として自在に植物を生やすことができる。その成長速度は非常に速く、炉心を全力で稼働すれば森をも生やせる。ただしその後は土地に栄養を依存するので土地が枯れている場合数分程度で枯れ始める。
メルクの<エンブリオ>——【偽創生命 フランケンシュタイン】の《メイド・オブ・ヴァルキュリアル》によって生み出されるモノの調整などを担っており、特に誕生時点で遺伝子情報を弄り、ティアンとしては最高峰の才能——カンストに至る才能を引き出しているなど、メルクにとってはなくてはならない存在である。
ただし今回のように何故か物騒なため、メルクの頭を悩ませることもしばしば。勝手に取っておいた特典素材を使ったりして(そして文句が言いようのない性能と、文句しか言いようがない欠点を抱えて)【機械天使】を作ったりするため、たまにメルクからピコピコハンマー(作:フランクリン)でぶっ叩かれて制裁されている。
ちなみに、メルクは壊れていた【水晶之調律者】を回収した後、解体している。そこから取り出した改変兵器と<遺跡>でラスカルと全力で取り合いになった末獲得した改変兵器が二つ、『長男』に組み込まれている。