男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
リアルで色々と調べた結果、やはりあのレベル欄はジョブだったようだ。
まだ<エンブリオ>は目覚めていないが、ジョブに就いて戦っていればいつか目覚めるとも攻略サイトに記されてあった。ここはルーキーらしく、チャート通りに行こうと思う。
まず第一に、俺は現実で武術はまったく嗜んでいない。そもそも動けなかったから当然なのだが、そのために俺が自分にどんな武器が向いているかもわからないのだ。
……こういうとき、神楽野郎なら迷うことなく刀を選べるからいいよな。刀を振るい神楽を舞っているあいつは、実践的な剣術の腕が化け物と化している。なんでリアルで発砲されたBB弾を真剣で斬り裂けるんですかねえ。
まあそれはともかくだ。
近接が選べないのなら遠距離で、とも想ったが、どうにも魔法は性に合わない。せっかくデンドロに来たんだから、思い切り身体を動かしてみたいし。
なので遠距離も却下。
ならばどうする、選べない近接武器を一挙に試せるジョブなんてあるのかと、ネットで色々と調べてみたところ——
「……これか、【
各国の決闘場に存在する、闘士系統の転職クリスタル。
初心者が初めに就くとされる下級職の中で、俺の希望に最も合致したのがこれだった。
多種多様な武器を使いこなし、パッシブスキルには装備欄を増やすスキルも存在する。これを基本として、慣れた武器に徐々にシフトしていけばいいだろう。
他にも【
そんなことをつらつらと考えながら、転職の準備を済ませる。
こうして俺は、めでたく【闘士】になったのだった。
ん、そういえば決闘場で決闘が始まるみたいだ。見に行ってみよう。
/
ゴミだった。
「あれが決闘とかありえないわー」
まず初っ端で、なにかスキルを使って禍々しく大きな悪魔を召喚。
それで一方的に相手を叩き潰して終了。クソか。
もっと血湧き肉躍る闘争を想像していたのだが、ただの蹂躙……というより遊びだった。心なしか他の観客も冷めているようだったし、あの【魔将軍】ローガン何某がいる限り、この国の決闘は冷めたままだろう。つまんないの。
「なんつーか……ローガン何某、自分が主人公みたいに振る舞ってたな」
じゃなきゃあの冷めた空気の中で堂々と胸張れないだろう。まるでこの世には自分だけ、他の奴らはみんな引き立て役とでも言わんばかりの態度だった。
正直、かなり気に食わない。決闘場の観客席でティアンの人たちと触れ合ってわかったが、この世界の主役は俺たち<マスター>だけじゃない。むしろティアンの人たちの方が、よほどこの世界で主役として生きている。
「ゲームだとは、わかってるんだがなあ」
このわざとらしいくらいに整えられた、まるでゲームですよと言わんばかりのシステムの数々。
それがなかったら、俺は多分、この世界が仮想現実だと認識できていなかっただろう。そのくらい、この世界はリアルに過ぎる。
……気分を切り替えよう。
「とにかく武器の調達、そのあとにフィールドに出よう」
色々買って試してみて、その後にスタイルを絞ろうかな。
……そう、思っていたのだが。
「予想以上に手に馴染む」
何を持っても、どんな武器を持っても、ああこうやって使えばいいのかと本能的に理解できる。
どれを持っても違和感など微塵もなく、それどころかどれもジャストフィットと言えるような手の馴染み具合。武器屋の練習場で練習していると、ティアンの店員から「【〜士】さんかい」と声をかけられるのだ。
……。
「もしかして俺、わりと全方面に才能が溢れているのでは……」
ヒューさすが俺! と言いたいところだけど、さて困った。
このまま闘士系統を突き詰めてもすでに【
というか、そもそもだ。
なんで現実世界で虚弱なのに、ゲーム内でこんな武器に対して才能が溢れているんだよ。ちょっと納得できないぞ。
リアルで身体動かせないのに、全武器種に才能が溢れている系主人公。でもさすがに年季には勝てない(カシミヤとか)。
え?やりすぎ?
原作のクマニーサンやフィガロ見て言ってくれよ(真顔)