男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
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ようしリアルで休息取って完全回復! テンションはアッパラパーだけどこれぞ元気の証ってねぇ!
あ、メルクがログイン……なんか妙にげっそりしてるぅ。
「どったの?」
「……レポートを提出しようとしたら……男の先生に……襲われかけた……」
……うっわぁ。でも気持ちはわかるよ、俺も経験あるから。
わりとあっちってそういうのに寛大だから……もちろんそれはアウトだけども。
「僕はノーマルなんだ……男は
「大と小どっちが好み?」
「……どっちも好きだけど大かなあ。疲れた時に頭を沈めたい」
なんだその具体的な……まあいいや。
ちなみにアルマの耳は塞いでいる。ずっと疑問符が浮かんでいるが、聞かれたらさすがに蔑まれそうなので俺のために我慢してね。
「っていうか、メルクのルックスなら彼女なんてすぐできるでしょうに」
「家族が地雷なの。このご時世貴族同士じゃないと付き合うことも許さないとか、時代錯誤も甚だしいよね」
つうか、今でも貴族としての外面を意識してるの数少ないだろうに。
有名どころだと真木とも親交のあるマイヤーズだが、それ以外だと基本『昔は貴族だったんだー』みたいな話のネタになるくらいだろう。そこまで貴族であることをこだわって何になる。
ちなみに真木は華族の出だけど、どっちかと言うと位は高くない。他が何もせずに没落していく中で真木は財閥を立ち上げて生き残っただけの話だ。言ってしまえば成り上がりに近いんだけど、まあ実績があるから誰も言えないワケですし?
っていうか戦前から生き残ってるからもう成り上がりって言えるレベルじゃないしねー。
「まあ一回そういうトコ行ったことはあるけど。先輩に連れられてさ」
「俺行ったことないからわからないだけど、どんな感じ?」
「先輩が年上趣味で僕は茶をしばいていた……」
……ああ。
なんていうかこう……アレだな。
「メルクってとことん不幸体質だよねぇ……」
「知ってるよぅ」
メルクが机に突っ伏す。
ん、疲れてるとこ申し訳ないんだけど。
「そういえば【鉄人】の超級職出たわ」
「……まぁじでぇ!? 名前と条件は!?」
「お、おう、落ち着け落ち着け」
なんかいきなり食いついてきた。怖いんですけどー!
「クリスタルで詳細見てきたんだけど、【鉄人】がカンストで、使用可能スキルのレベルが一定数突破、名前は【
「ふむん……なるほど、薄々わかってたけど王系統か。んで使えるスキルのレベルが一定数……ははーん、この条件あつらえたやつ性格悪いな?」
「ごめん詳しく教えて?」
こういう時はデンドロ歴が上のメルクの方が情報通だからね。たまにポンコツ化するけど。
「あ、そうだね。それじゃあ簡単に説明しよう。
まず、超級職は大まかに四種の系統に分類されるんだ。
メルクは紙とペンをアイテムボックスから取り出すと、俺がよく理解できるようにサラサラと書き始める。
※前提としてステータスは一番低い系統であろうと上級職よりは上。
王・姫系統→特化した特定ステータスと強力な数種のスキルが特徴。
将軍系統→《軍団》スキルを基本とし、1000体以上の規模の軍団をスキルで強化しながら戦う。ステータスは四種の中で最低。
神系統→技巧系超級職。スキル数が豊富で、自分で手札を編み出し低いステータスを補う戦闘スタイルとなる。
大・超系統→バランス型。四種の中で全ステータスが満遍なく成長し、スキル数もある程度多い。
「けどこれらに当てはまらない超級職も多いから、あくまで参考程度にしておいて。特にレジェンダリア近郊には【
「なるほどなるほど。よくわかった、ありがとう。
で、これに踏まえて考えると、【鉄人王】は王系統……特化ステータスはENDで確定、それで数種の強スキルがあると」
……あっ。
「気づいた?」
「……これ俺だから簡単に達成できたようなものでは?」
「わざわざ“使用可能”って限定してるんだから、そういうことだろうねー。まったく性格の悪い」
使用可能。つまり使用できないスキルは対象外。
……ジョブチェンジしたら使えなくなるスキルを考えると、これって下級上級をスキルが多く手に入って、なおかつ使えるものが大部分を占めるジョブで全部埋めて、それらを全て成長させなきゃ条件を満たさないのだ。
俺はアルマのおかげでジョブチェンジしてもスキルを使えて、武器系スキルが全て一気に成長するバグ染みた特性があるおかげでカンストもしていないのに条件を達成できた。
でも逆に言えば、ティアンしかいなかった時代は条件を知った上でカンストに至れるほど才能に多く恵まれていないと達成不可能ってことだ。なんだこのクソ仕様。
「僕の【禁忌王】も大概だったけど、これも大分おかしいなぁ。達成させる気ないだろこれ」
「まあその分、他に取られる可能性が低いって思えば……そういえば【禁忌王】はどんな感じなんです?」
どうせ超級職だし、メルクが言うんだからロクでもない条件なんだろう。
「えっと……第一条件が基本の錬金術師系統を下級上級取ってて、禁術師系統がカンストかつスキルレベル最大。
んで、製造したホムンクルスの数が10万を超えること」
「……」
……それもメルク以外に取らせる気、ないのでは?
/
【闘士】への転職系統クリスタルに触れ、【鉄人王】の文字に触れる。なんだか少し薄いけど。
【転職の試練に挑みますか?】
YES。
その瞬間、俺はその場所から消え失せた。
/
どこまでも白い空間が広がる。
縦横に延々と伸びる世界。雲も色も何一つなく、その世界の中に在るものはただ一つ。
それは黒い的だった。
石碑ほどの大きさで、こんな文字列が彫られている。
【試練の石碑を同時に10種類のスキルを使って一撃で破壊せよ】
【成功すれば、次代の【鉄人王】の座を与える】
【失敗すれば、次に試練を受けられるのは一か月後である】
……。
「……………あ、これ無理だわ」
「……ん」
俺……色んな系統にスキルがバラけてるから、一気に全部発動できねえ。
でもまあ、少しくらい足掻いてみるか。
アルマ。
「ん」
スキル——発動!
/
そんなわけで、転職の試練は見事失敗した。
失敗の原因は、おそらく歴代の【鉄人王】とは違い、様々な武器系統が条件解放スキルレベルの大きくを占めていたためだ。
それらを一気に発動できない俺ではどうしようもなかった。
しかし。
「……マスター」
「ああ」
決闘場の前で、俺たちはある確信を抱く。
この経験が——次のアルマの進化に、絶対に活かされると。
俺の望みは、主上の望み。
アルマにとっての主上が俺で、俺の望みを叶えるためならば、アルマの進化にこの経験は絶対に不可欠だ。
「一ヶ月後、か。遠いようで短いな。リアルで10日……ならば充分」
「ん、充分。
私は、マスターの道具。その望みを叶えるために……あらゆる障害は、私の力で切り開く」
それこそが、私の誇りであるからと。
アルマはそう告げて——俺にとっての“至高”の道具は、微笑むのだった。
アルマの進化が、この経験によって決定しました。
まだ彷徨っていた進化パターンの海の中で、ようやく輝く答えを見つけました。