男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
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ラトラナジュの推測による、超級職の条件。
現役の生産系超級職の人に伺った結果らしいので、ある程度信憑性はあるだろう。っていうか不人気で条件が穴抜けしてるからそれくらいしか情報がない。
「アルマ、おはよう。元気になった?」
「ん。休憩して元気になった。いっぱい造る」
「頼もしいね。よし、頑張ろう!」
ちなみにラトラナジュが超級職になったことも全部話すと、「……私もお祝いしたかった」としょぼんとしていた。うちの相棒が世界一可愛いんですけどー!
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造る造るー、おれーたーちー。
流れる手の汗もそのままーにー。
『マスター、わざと音痴みたいに……』
何も考えず歌うのって楽しいよ?
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小物で数をこなす。
……できるだけやりたくなかったけど、ことここに至っては仕方ない。そろそろ就きそうな人もいるだろうし、俺が先手を取るにはこの方法しかない。
「アルマ、
『ん』
新しく取り出した金属と宝石に、アルマが触腕を伸ばし……俺の動きを完璧になぞって、俺と寸分違わぬ作品を造り上げていく。俺の持つ
アルマの演算能力を八割ほど行使した結果、効率は六倍。正直これはあまり好きじゃないけれど、それにこだわって取られたくはない。
「……」
一言も喋らず、作業を進める。無論手を抜くつもりはなく、一個一個全力で、されど確実に迅速に。
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【空腹】……あ、もうお昼か。
ログアウトして軽めの昼食。シェフからのご自愛くださいという言葉に頬が引きつりながらログイン。超級職取り終わったら少し加減しないと……。
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顔を赤くしたラトラナジュとメルクがログイン。昨日は何もなかったみたいだけど、さすがに異性に介抱してもらったのは恥ずかしかったらしい。
それをニヤニヤと親戚面を装着して眺めつつ加工に着手する。いやあ楽しいなあ。
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「やあメルク、宇宙の真理を知っているかい?」
「
「銀河ヒッチハイク・ガイド……すなわちタンホイザー……!」
「……何この無駄にIQ高そうでアホみたいな会話。ほら、お茶入れたから少し休憩しなさいな」
君も大概遠慮なくなってきたねラトラナジュ。そしてありがとういただきます。
「いや、まさかノータイムで小説の一文が返ってくるとは思わなかった」
「僕だってそれなりに本は読むさ。日本だと知名度ないけど、こっちだと結構有名だしね」
「私なんて言われてもわからなかったんだけど」
まあ、一応メルクってアメリカのトップクラスの大学院生だし。記憶力には当然優れてるってことだろう。それに40年以上前の作品だから知らなくても無理はないし。
「そういえば卒論どうしたの?」
「終わらせたとも。これから何度か推敲して完璧にするつもり」
「ん、頑張って」
……あー、そういえばもうリアルだと1日経ってるのか。デンドロの潜りすぎで時間感覚がおかしくなってる。少し矯正しないとダメかもしれない。
そうだ、精神疲労で頭おかしいこと言う前にやることあったんだった。
「はいこれ、造ったやつ入れたアイテムボックス。好きに売りさばいてくれ」
「はいはい……って300ぅ!?」
うん、いい驚きっぷりありがとうございます。
「アルマのおかげだ」
「……まあ詳しい方法については突っ込まないし、あなたのことだから手を抜くなんてありえないでしょうけど。さすがにこれを一気に売ったら価値が崩壊しそうね。折を見て順次放出させてもらうわ」
あと、と付け足して、手のひらにそれなりの大きさの宝石を出す。
「はい、これ手持ちで最高級品。これと……
“一定品質以上のアイテムを使って一定以上の品質のアイテムを造る”。それが生産系の条件の一つらしいから」
「ん、ありがと」
お金はーっと……このくらいかな?
「ええ、確かに受け取ったわ。それじゃあ超級職、取りなさいな」
断定しおったわ。
「もちろん」
まあ、取るけどね。確定事項だ。
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——
——
——鋼という名の海に潜る。
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息抜きで市場に出たらヴァイオリン発見。
買ってみて弾いてみて粗悪品だったので思いっきり綺麗に調律してみた!
『マスター、精神が……』
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——造る。
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ワーム殲滅たっのしー(棒)
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もうすこし……もう少し、でぇ……!
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「できたー!」
『わー』
めちゃくちゃ神経使ったわ! 少しでもミスったら即死だからな!
でもその甲斐はあったよ……俺が造った中でも、間違いなく最高傑作と言える!
「素材の価値と、俺の全力……それが等価かどうかは、買い手が決めることだ」
俺に装飾審美の経験はないから予想もできないけれど、まあそれもまた一興かな。
それじゃあラトラナジュに出しに行こうか。金に関しては彼女に任せときゃ問題ない。俺は金銭感覚破綻してるし、メルクは貧乏症(ただしデンドロでは金銭感覚が破綻している)だからネ!
/
その後、しばらくして興奮したラトラナジュが宿に突撃してきた。
詳しく事情を聴いてみると、どうやら俺が造った装飾品をラトラナジュが【魅売】のネームバリューを使って首都ドラグノマドの大規模なオークションに出品したらしく、それが超高額で競り落とされたらしいのだ。
「君しばらく見ないと思ったらそんなことしてたんだね……」
「ええ! それでね、私が色々と交渉したら——」
【作成アイテムが一定金額以上で取引されました】
【条件解放により、【
【詳細は職人系統への転職可能なクリスタルでご確認ください】
「………………あ、ちょっと待って、今超級職が解放された」
「解放条件の書かれた、って……え?」
さすがに2回目となると慣れてくるな。
ん、どしたの?
「わ、私の苦労が……」
「よしよし」
いきなりラトラナジュが蹲ってその頭をメルクがぽんぽんと優しく叩く。
……えっ、俺なんか悪いことした?
二つ目の超級職解放。
ちなみにラトラナジュが速攻で戻ってこれたのは、ログアウト&ログインルーラです。