男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第15話 【金工王】

 □【高位金物職人(ハイ・ハードウェアマスター)】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

「私はこの解放条件が書いてある書を、値段ふっかけて売ってくるわー……。貴方が試練をクリアしたと同時に売れるよう手配しておくから、頑張りなさーい」

 

「ん、何から何までありがとー。俺たちのパーティーにラトラナジュいなかったらどうなっていたことか」

 

 少なくとも俺はここまでのハイペースで条件達成はできなかっただろうし、これだけの素材を仕入れてくれるのも全てラトラナジュのおかげだ。

 メルクも市場で良い買い方を教わっていたらしく、傍目からすると普通にデートしていた。美男美女だから映えるしね、デンドロには多いけど。

 

「それじゃあ行ってくる」

 

「失敗する可能性は?」

 

「多分ない」

 

 ラトラナジュによって知らされた主な試練の形式は、俺ならば普通に突破できる程度の難易度だった。

 それにそろそろ超級職取りたいし、全力で行くとも。

 

 いやあしかし、まさか生産系を先に取ることになるとはな! 

 先のことなんてわからないもんだ! 

 

 

 /

 

 

 恒例のクリスタルに触れて、灰色の文字に触れる。

 

【転職の試練に挑みますか?】

 

 YES。

 

 さて——やるか。

 

 

 /

 

 

 転移した場所は、以前訪れた【鉄人王】と似た、けれど決定的に異なる点が一つだけある白い空間だった。

 

 目前に数人で囲めるくらいの大きさの鉄の塊が置いてあり、その脇に工具箱が数個配置されている。

 

【試練の鉄塊を5時間以内に作品に成形せよ。数は問わず、いくつかに分解してもいい】

【成功すれば、次代の【金工王】の座を与える】

【失敗すれば、次に試練を受けられるのは一か月後である】

 

「……ふぅん」

 

 ——楽勝だな。

 

「アルマ、工具に」

 

『ん』

 

 さて——アルマのスキルも全部使って、軽く終わらせてやろうか! 

 

 

 /

 

 

 ——3時間後。

 

 目の前には、完璧に整えられた【ブラック・デンドロン】の姿を(かたど)った鉄の像があった。俺がアルマを使って加工したものだ。

 

「やり遂げたぜ……」

 

 でもこれどうやって試練達成するんです? 

 

「……まさか」

 

 このまま2時間放置とか——ないよね? 

 

 そう恐る恐る空を見上げるが、相変わらずの白い空は何も言わず俺を見返すのみ。

 

 俺の危惧をよそにして、時間だけが無情に過ぎていった。

 

 

 /

 

 

 2時間後。

 

「よっしゃ【金工王】もらったぜー……」

 

「いえーい」

 

 クリアのアナウンスを聴きながら、ちょっと睡魔に襲われていて寝ぼけていた頭を覚まし、アルマと一緒にガッツポーズするのだった。

 

 

 /

 

 

 転職した場所から出て、帰路に着く。

 途中で前に行ったことのある、カルディナで珍しい良心的な喫茶店に寄り道してみた。

 

 ヤヨイ・ベルダーウッド

 レベル:0(合計レベル:450)

 職業:【金工王(キング・オブ・ハードウェア)

 

 

「いいな……」

 

「いい……」

 

 この、なんとも言えない充実感がいい。自分は獲ったんだという優越感と満足感が合わさって、あぁ、非常に良い。

 

 さて、スキルでも見ていこうか。

 

 

《ハイエンド・メタル・プロセッシング》:

 工具使用時DEXに5倍の補正。必要DEXを満たす【レシピ】が使用可能になる。

 パッシブスキル

 

 

 ふむふむ。【高位金物職人】の時の《ハイ・メタル・プロセッシング》の上位版かな。DEX強化は普通に便利なので助かるぞ。

 

 

 次は……んん? 

 

 

《リワインド・メタル》:

 欠けたり傷が付いている金属を、MPを消費して修復する。大きな欠損をしている場合でも、ある程度の量の金属とMPを用いてその装備品を変えずに修復可能。

 アクティブスキル

 

 

 ……。

 

「……これ、普通にアルマにも適応されるんじゃ」

 

 ってことは、今まで傷が付いたら流動させて消すしかなかったのが、このスキルを使えばその工程を挟まずに完全に修復可能ってことか。

 戦闘にも応用できて便利だなこれ。

 

「それに修理依頼もこなせるから、造らなくてもレベル上げできる」

 

「確かに。他のジョブで造ったものもどうにかできるなら、片手間でレベリングできるな」

 

 夢が広がるぞぅ……! 

 

 

 ……ん? 

 

「マスター?」

 

「……これ、第一スキルも戦闘中に使えると思うんだけど」

 

 いやだって、俺が使ってるのアルマだぜ。

 だからいつも武器を使いながら工具も使っていると言えるわけで。

 

「……想像以上に私たちにハマってる」

 

 マジでこれは俺たちが獲って良かったと思う。こんな形でも活かせるの俺だけだろ。

 

「でもこれは、まだ全部じゃない」

 

「奥義、だな」

 

 奥義。一部上級職や超級職に設定されている強力なスキル。

 メルクの【禁忌王】の奥義である《ライフ・フォース・バイタリティー》が製造したホムンクルスの全能力を大きく引き上げるものであるように、ジョブ特性に紐付いたものであることがほとんどだ。

 

 であるからして、このジョブにも当然奥義はあるはず。

 どれくらいのレベルで出るかは知らないけど、楽しみにしていよう!




超級職ゲット!

ちなみに奥義取るとアルマがぶっ壊れるのでまだ出ません、でも近いうちに出る。

感想欄でも色々考えた結果、金物職人系はこんな感じになりました。

【金物職人】系統
DEXが一番伸びやすく、次にMP・SPが大きく伸びるジョブ。
金属加工品全般なので、一つ一つに対して割けるリソースが少なく、一点特化に比べると器用貧乏。

《金属加工》:
悲しみを背負ったセンススキル。ヤヨイの才能によって補助を必要としなくなったため、現在のヤヨイはレベルEXだが死んでいる状態。

《メタル・プロセッシング》系統:
【レシピ】の使用許可とDEXの強化。
下級職の頃はDEX補正は1.5倍、上級職の頃は2倍、超級職になったら5倍になりました。なおこの倍加は装備補正も含むので、【天界飛翔 ラッダリト】が冗談抜きに最上級の貢献をしている。
《メタル・プロセッシング》→《ハイ・メタル・プロセッシング》→《ハイエンド・メタル・プロセッシング》

《リワインド・メタル》:
これは超級職からの出現。【器神】の《リワインド・ウェポン》の金属版。
金属全般に特化しているからこそ目覚めたスキル。
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