男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第16話 レベル上げと、宝石と——

 □【金工王(キング・オブ・ハードウェア)】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

 はいはいっと、《リワインド・メタル》。

 

 こっちも? 《リワインド・メタル》。

 

 え、まだあるの? 《リワインド・メタル》。

 

 ……。

 

「修復依頼多すぎるわァー!」

 

 そりゃガッポガッポと経験値も溜まっていくけれども! いくけれども! 

 

 そりゃまあ付与効果とか残したまま修理できるのは便利だろうさ! でもそんな1日1000件とか来られても困る! 自分の作品が造れない! 

 

 ……ラトラナジュが喜び勇んで情報広めてくれたのは助かったよ? 仕事も増えたし、たった1日でレベルが20を超えたんだから。それでもちょっとこの忙しさはないわ。

 

「うーん、まさかそこまで修理依頼が来るとは思わなかったわ。ごめんなさいね」

 

「いや、ラトラナジュのせいじゃないよ。メルクと手伝って依頼の選別してくれたんだろ? それに超級職が取られたからって襲いに来た<マスター>も、全部退けてくれてて……こっちが礼を言うべきなんだ」

 

 この宿の中には、新規の超級職が二人存在する。

 それを大っぴらに公開している分恨みも買いやすいわけで……特にラトラナジュは結構な人が狙ってた【魅売】を独走して取り、そのツテを使って俺が超級職を取ることを助けてくれたんだからヘイトも大きい。

 

「あら、別にリアルに比べればなんともないわよ。こういう仕事やってると、恨みを買って裏路地に連れ込まれそうになったことあったし。そういうのが規制されてるここだと余裕を持って街を歩けるから楽ね」

 

 ……なんか闇を垣間見た気がする。

 

「あー……ちょっとわかるなあ。僕も家族がお金持ちじゃないのにそれっぽく振る舞ってるせいで、拉致されそうになったことあるし」

 

 ……メルクはガンバ! 

 

「俺はそもそも治安悪いとこ行かないし、よしんば行っても五人以上ボディーガード付いてるからな……刺されそうになったことはあったけど、そういう経験はないや」

 

「このさらっと経済格差を伝えていくスタイル、嫌いじゃないわ。あと普通の人は刺されないからね?」

 

「傾いたら世界経済も巻き込んで死ぬレベルらしいし、僕らとは根本的に価値観が違うんだよねー。それでも一応理解できるし良い子だから付き合ってて楽しいけど」

 

 やーん照れるー。俺もメルクとラトラナジュが友達でたーのしー! 

 

 

 /

 

 

 造る、直す、造る、直す。

 

 ずっと、ずぅーっとそのサイクル。

 

 デンドロ内時間で5日経ってもそのサイクルは変わらずに、レベルが50を突破して……俺は、レベル500を超えた。

 

 ラトラナジュの方も色々と仕事した結果、レベルが550を超えたらしい。ちなみにメルクのレベルは1421らしい。つまり【禁忌王】だけでレベル921って桁が違うなぁ! 

 

「僕の方はホムンクルスでマップごと殲滅できるからねー。マジでレベリングするときはそのエリアにホムンクルスが溢れかえるよー」

 

 のほほんとした様子でメルクが宣った言葉である。怖すぎるわ。

 

 とりあえずそんな感じでレベリングしたりして、日々を過ごしていた。

 

 

 ——とある日の夜。

 

 三人とも予定がなかったので、トランプしながら雑談したりして遊んでいた頃。

 

「そういえば、の話なんだけど」

 

 ラトラナジュがそう切り出した。

 

「どうしたの?」

 

「いえ、別に大したことじゃないけれどね。私って、なんだかんだ二人の<エンブリオ>の詳細は話してもらってるけど、こっちの詳細は話してないじゃない?」

 

 ……あー。確かにそういえばって感じだな。

 

「つっても、俺とメルクの<エンブリオ>って隠しても意味ないからなー。メルクの大量生産とか対策なんてできないし、俺の方も常時スキル使ってるから手の内なんてもうバレバレだし。あ、揃った」

 

「それでも、よ。はい、揃った」

 

「まあラトラナジュちゃんがいいならいいけどー……揃わない、ねえこれ僕だけ明らかに枚数多くない?」

 

「気のせいだマイブラザー、恨むなら自分の不運(badluck)を恨め。あ、上がりー」

 

「私も上がりー」

 

「んああああああっ!」

 

 都度十敗目のメルクが叫ぶ。メルクってわりとわかりやすい上に単純に本人の運が悪いからなあ……。俺とラトラナジュは仕事上鉄仮面に慣れている上にメルクの反応が楽しすぎるので集中砲火して沈めている形である。

 

 なおアルマは普通に三連敗して落ち込んでいて、今は紋章の中にいる。アルマ反応がわかりやすすぎるから……。

 

「ちぇー、また負けたー。次は大富豪でもするかい?」

 

「これだけ負けて不貞腐れないってのも凄いよなー」

 

「確かにね。負けん気が強いっていうのかしら、弱いのは別問題として好み……っと、そうじゃないのよ。私の<エンブリオ>の……カーバンクルの第二スキルの話よ」

 

 側でクッキーを食っていたカーバンクルを呼び、肩の上に乗せる。

 

「第一スキルは、二人も知ってる通り宝石限定の無限収納。【ジェム】は入れられないけど、それでも私が宝石商として【魅売】になれた要因ね」

 

「知ってる知ってる。俺もその恩恵に預かってるから」

 

「僕も綺麗な宝石たくさん見れて満足だよー」

 

 小並感か。

 

「それで、第二スキルなんだけど……こっちは私単体でどうにかなるものじゃないっていうか、まあ物凄いスキルではあるんだけど加工する人がいないと活かせないっていうか」

 

「なら今は問題ないだろ、俺がいるし」

 

「ええ、だからこそ今話すわ。

【美玉乱心 カーバンクル】の第二スキルは……これよ」

 

 手のひらに紅い宝石……最高品質のルビーを出現させると、それに少しの力をかけて握り込む。

 

 すると、わずかにルビーが光を放ち……それが収まって手を開くと、以前と変わらぬ、けれど圧が増した宝石となっていた。

 

「第二スキル、《ジュエル・エンチャント》。《ジュエル・ボックス》で最高品質に仕分けされた宝石だけに使用可能なスキルでね。

 今、私はこのルビーに——《火炎耐性》Lv5、《HP増大》Lv4、《血流再生》Lv3、《破損耐性》Lv2を付与したわ。この付与効果は装飾品として加工されたときに、初めて効果を発揮する。

 一般の生産職が付与する特殊効果と違って一定値までは好きなように付与できる上に付与段階で失敗することは絶対にないわ。その代わり付与効果の上書きはできないし、加工段階で職人が下手打ったら付与効果が消滅したり、色々と制約は産まれるけどね」

 

 ……おーう。

 

「バランスブレェク……!」




—情報限定開示—
【美玉乱心 カーバンクル】
TYPE:ルール・ガードナー
能力特性:宝石の完全管理・宝石への特殊効果付与・?
到達段階:Ⅵ
紋章:宝石で戯れる愛玩動物
固有スキル:《ジュエル・ボックス》・《ジュエル・エンチャント》
必殺スキル:《?????(カーバンクル)

《ジュエル・エンチャント》
特化型の面目躍如、生産系バランスブレイクスキル。
宝石にレベル上限一定値までの付与効果を自由に付与できる。やろうと思えば状態異常特化でクッソ便利なアクセサリーの素材を造れる。
ただし加工は他人に依存する。熟練した上級職が最低限で、超級職が一番確実性が高い。


ちなみに【魅売】の保有スキルも載せときますねー。

《ジュエル・プロテクション》LvEX:
【宝石商】系統の基礎スキル。宝石に完全な保護を行う。ラトラナジュが普通に宝石を握ってるのもこれによって指紋などを弾いているから。
たとえ衝撃に弱い宝石だとしても、これによって硬度換算で10以上の衝撃耐性を得て、単純に破壊されなくなる。

《宝石審美》LvEX:
いわゆるセンススキル。宝石の等級を一目で見分ける。
このスキルにより、ラトラナジュはリアルで足りていなかった経験が補完され、現在リアルでの宝石審美の技能も急上昇しているらしい。

その他商人に必要なスキルが詰まっています。
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