男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第12話 目覚めと検証

 □【鉄人王(キング・オブ・アイアン)】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

 その日、ログインしてきたカグラは、驚きの報告をしてきた。

 

「先日僕の<エンブリオ>も進化しましたー」

 

「……おぉう」

 

 なんちゅータイミング。共鳴でもしてんのか。

 

「そっちはそっちで色々あったみたいだけど……ごめんねー、肝心な時にいなくて」

 

「いいさ。そっちが忙しいのは理解してる」

 

 そもそもこんだけ時間作れてるのが例外的なんだよな。多分こいつの進化が早いのは、自分自身の芯が完全に固まってるのとやるべきことを完璧に自覚してるからだろう。

 

「にしても進化の予兆が頭痛ね。それはどうにかできるならしてやりたいけど、システム的な障害ならどうにもできないよ。キミは昔っから外に手厳しくて内にめちゃくちゃ甘いし、発生する問題は全部どうにかしてきたから悩んでるんだろうけど……率直に言って、諦めるべきところは諦めた方が賢明だぜ」

 

「……俺ってそんなに甘いかな」

 

「身内のために億単位で金かけて遊び部屋造るヤツが何を言う」

 

 それもそう、なのかな。よくわかんないけど。

 

「キミは大抵のことをどうにかできる才能と経験がある。でも、デンドロのキミは長年の“どうにもできないもの”を解決したからか、どんなことも抱え込んでいるように見える。ちょっと見直した方がいいと思うよ」

 

「……そう、か」

 

 言われてみれば、虚弱を解消したせいかなんでもやりたい、解決したいと暴走している気がする。今回の件も、昔の俺ならどうにかできる手段を探したとしても、最終的には諦め切れたものだろうし。

 

「昔から、我を通して周囲を巻き込んで……まあ、それに救われたのも僕だけど、キミ自身の負担になるようなら意味がないだろう」

 

 ……カグラを巻き込んだことがこいつのお披露目の時に全力で煽りかましたくらいしか覚えがない! 

 正直に言ったらぶん殴られそうな気がするのでとりあえず鉄仮面装着する。

 

「カグラって悩みなさそうだけど、よく考えてるよな」

 

 俺自身、こいつの天衣無縫な振る舞いに救われてる部分もあるけどね。

 

「失敬な。僕だってもう成人してるし、昔からの悩みもあるの」

 

 ま、こいつに関してはそんなに心配していない。なんたって俺がここまで付き合ってこれたんだから、並大抵の神経じゃ務まらないだろう。メルクは天然入ってるから別問題だけど。

 

「そーいや、<エンブリオ>が進化したらしいけど、スキル増えたの?」

 

「ぜーんぜん。既存スキルの強化だけ。それも大したことないよ」

 

 っていうか、大概【アメノウズメ】もおかしいよな。ディペンデントルールとか、そんなん調べても出てこなかったし。

 

「服を脱ぐか着るでスキルの発動が決まり、スキル効果も他者ありき。おまえらしいっちゃらしいけど」

 

「っていうかこんなのになったの原因キミだろ。キミが昔僕に言ったあの言葉が……言うの恥ずかしいけど、僕の根源になってるんだから。如実に反映されすぎてて怖いよ」

 

「あー、確か……なんだっけ」

 

 よく覚えてない。

 

「ばか。僕は一字一句覚えてるのに」

 

「気持ち悪いよおまえ」

 

「そんなこと言うならあんなこと言ったキミが一番気持ち悪い」

 

 ……。

 

 とりあえず無言でお互いの頬を殴る。あっ、ちょこっとHP削れた。

 

「……マスター、カグラさんと一緒にいる時だけ露骨に頭悪くなる」

 

 おい待てアルマ、俺そんな頭の悪い行動してないだろ。

 

「僕のことはカグラでいーよ。殿なら言われ慣れてるけど」

 

「そっちはそっちでおかしいと思う、カグラ。あとマスターは自分がわりと頭の悪い行動していることを自覚した方がいい」

 

 心外! 

 

「……心配してくれるのは、とても、嬉しい、けど。あまり背負わないで。自由に生きることこそが、この世界で一番大切で……マスターの求めるものなのだから。……マスター、ありがとう」

 

 ……ん。

 

 

 /

 

 

 その後カグラと別れ、質量などの検証したところ、伝説級金属並みの硬度と熱変動耐性、そして魔法への耐性を備えていることがわかった。

 質量も第四形態の三倍くらいで、【ブラック・デンドロン】の体躯の大剣を二刀流+全身を覆う装甲のカタチにすることができた。防御の時は全て回せば大概の攻撃はカットできるし、良い感じだと思う。

 

 なおステータス補正は一切変わらなかった。ここまでくると清々しいなぁ! 

 

 そして次にするべきは、やっぱり必殺スキルの検証だな。

 質量を把握しないことにはどうにもならないし。

 

 なので、砂漠の……周辺の人がいないことを確認した上で、【ブラック・デンドロン】に乗り込んで仁王立ちしている。

 

『ん、大丈夫。いける』

 

「よし、それじゃあやるか」

 

 息を吸い込む。前のように暴走したりせずに、今度はいける。

 

『「《我は原初の道具に通ず(アルマトゥーラ)》」』

 

 どぽん、と。

 今度は完全に制御されたアルマが、大きく質量を増し……。

 

 

 ……なんですかねこの質量。

 なんか天高くそびえ立つ塔みたいな感じになったアルマを見上げる。これって普通に広げたら頭おかしい攻撃範囲になるんじゃね? 

 

『制御、慣れた』

 

「うん、まあ、それは良いんだけど……」

 

 ってか結構MP減ってくー。今まで発動が一瞬だったから体感しづらかったけど、やっぱりデメリットも相応ってことかな。

 

「……んん?」

 

 ピンときた。

 これだけの質量があるなら、地下を進むことも可能なのでは? いや、意味ないかもしれないけどね? 

 

「アルマ、地中掘り進められる?」

 

『可能』

 

 あ、掘り進める形はドリルでな。

 

『ん』

 

 ズガガガガ、と轟音を立ててアルマが地下を掘り進んでいく。……効率を重視すると砂漠地帯だから液体状で侵食して、ただの石に当たったら避けるか。岩石地帯になったらドリルって感じで使い分けた方がいいかもしれん。

 

 

 そうして10秒後、何かにぶち当たった。

 んだこれ、と考えて……《クラッキング・オブ・メタル》が適応可能だと聞いて、ああなるほど、鉱脈かと思い至った。

 

 鉱脈か……そういえばカルディナって鉱物資源が豊富だったな。

 もしかしたら引っ張り出して……いやダメだな、指名手配される気しかしない。鉱脈は国力でもあるし、それを勝手に使ったらアウト……。

 

 

 ……ん? 

 

 いや、もしかしたら……うん。

 

「アルマ、クラッキング可能な範囲を的確に教えて」

 

『……? ん』

 

 この検証がうまく行くなら、実用性はまったくないけど凶悪な手札が手に入るだろう。

 そのためにも……まずは検証、行くぞおら! 

 

 

 /

 

 

 検証の結果。

 環境と状況に左右されるが……発動できれば、準<超級>くらいならば殺せるだろう手札が手に入った。

 

 まあ、使う機会はないだろうけど。

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