男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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済まない……色々と立て込んでいたんじゃ……。


第14話 両雄(災禍)目覚めて覇を成さば

 □【金工王(キング・オブ・ハードウェア)】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

 おい……なんだ、マジか。

 これ……。

 

『……マスター、これ、ヤバイ』

 

 ああ、ヤバイな。特にアルマ、お前との性能とあの切り札との相性がヤバい。

 これ《リワインド・メタル》と併用したら大概の魔法効かないんじゃ……熱変動耐性も上げられるから、ちょっとシャレにならないぞ。

 

 この……色々含めてDEXが5万に達した瞬間に獲得した、【金工王】の奥義は。

 これ確かにぶっ壊れてるけど……なんていうか、ここまで辿り着ける人そのものが少なそうだ。不人気だし。

 

 そして戦闘に転用できるのは、俺だけしかいないだろう。正真正銘加工だけのスキルを、俺とアルマならば戦闘に転化できるからぶっ壊れなのだ。

 

「つか、これで奥義かよ……もしも最終奥義があったらどうなるんだよ」

 

【鉄人王】にしろ、ちょっとありえないことになるのは間違いない。END特化型だからどうなるのか想像もできないけどな。

 

 ……とりあえず慣らす意味で色々と使ってみるか。

 一度試した限り、MP消費は少なそうだし、ね。

 

 

 /

 

 

 そんな感じで奥義が目覚めたこと以外、特に変わったことは何もなく。

 カグラと狩りをしたり、マッドになったメルクのホムンクルス製造現場に立ち会ったり、用心棒扱いで黒いラトラナジュの商談現場に立ち会ったり(一応アドバイスもした)、奥義を生かしてアクセサリーを作ったり(なお価格が5倍化しました)、色々と気ままに過ごしていた。

 

 まあそんな出来事起きても嬉しくないしな。ちょいちょい起きるくらいが楽しいし丁度良いのよ。

 

「まあ君の経験からしてもうすぐ事件発生しそうだけどね」

 

「やめて、本当にやめてくれよそういうの。もうこりごりなんだよ<UBM>は」

 

「……僕も1匹狩ったけどさあ、ヤヨイはどんだけ倒してるワケ?」

 

 カグラは黄河にいた頃、天狗の<UBM>を倒しているらしい。

 今も身につけている紅い鼻緒の下駄が特典武具らしい。元の<UBM>のクソみたいな効果の能力からめちゃくちゃ劣化してるらしいけど、カグラ的には満足のようだ。

 

「いや、僕が光学迷彩とかもらっても仕方ないしさ……その分補正に入ってるから満足だよ」

 

「ちなどんくらい?」

 

「AGI+100%」

 

 わぉ。

 

 ……ともあれ、少し退屈なのは事実だ。

 友達と絡むのは最高に楽しいし、図書館に入り浸って本を読み漁るのも良いんだけど……いまいちマンネリっていうか。

 

 そんなどデカい出来事でなくても良いから、何かイベントなんか起きねえかなー、なんて。

 

 ——そんなこと、思っちゃったのが悪いのかなァ。

 

 

 まあ、うん。

 百歩……いや千歩譲って俺が悪いとしても、だ。いや絶対悪くないと思うけどそれはともかく! 

 

 ——もしも俺にこんな呪いかけてる奴がいたら、一発ぶん殴ってやりたいなぁ!! 

 

 

 /

 

 

 それは、奥義習得後からわずか数日のことだった。

 

 レベリングにも少し疲れたので、宿で駄弁りながら休憩していた頃。

 

 ——大きな揺れが、ドラグノマドを襲った。

 

「……なんだ?」

 

「揺れなんて珍しいね」

 

 一瞬ドラグノマドが足を崩したのかと思ったけど、メルクに聞いたところドラグノマドが足を崩すなんてありえないらしい。

 

 ならなんなのかと《透視》で屋外を見渡してみて——

 

 ——刹那、視界に飛び込んできたソレに、一瞬意識が空白化したのを感じた。

 

 メルクもホムンクルスを飛ばし、視界を同期させた結果、ソレを見たようで絶句している。理解していないのは、そういう目視する手段がないラトラナジュとカグラの二人だけ。

 

「……メルク。あれ、なんだ」

 

「……さぁね。ただ、とびっきりの厄ネタだってことは確かだ。

 で、今鑑定してみたんだけど……まあ、バケモンだね、うん」

 

 そう言ってメルクは、俺たちにソレの名を伝えた。

 

 

「【山竜王 ドラグベルグ】——間違いない、いにしえの双王の片割れにして神話級最上位の<UBM>。それで、まだ遠いけどものすごい速度でこっちに向かってきてる一団の長は、【砂猿王 モナブリム】。

 これはひどい。まさか、猛き双王の逸話を此処に再現するつもりなのかな?」

 

 

「冗談言ってる場合じゃないだろ……」

 

 けど、わりとアレな状況だな。

 単純に言うと、竜王の方はクソでかい。目算で数百メテルはありそうだ。山に伍する体躯ってのは、決して誇張でもなんでもなかった。

 

 気になるのは、そんなのが地下に眠ってて誰も気づかれなかったことだけど……まあ、それは今どうでも良いか。

 

「けど、神話級なのよね? それなら<セフィロト>の面々が早々に討伐するんじゃないかしら」

 

 もっともな意見をラトラナジュが述べる。まあ、それが一番安定だろうな。

 

「残念ながら、今朝から仕事でファトゥムとマニゴルドとか一定の暇人以外いないんだよね」

 

 ……うわぁ、なんちゅう巡り合わせ。

 つってもファトゥム、“魔法最強”がいるなら単騎で両方沈められるんじゃ……。

 

「ファトゥムは確かに最強の一角だけど、さすがに今回ばかりは面倒だと思うよ。なにせ相手の大きさとなれば、四大魔法の《山岳人形》でも正面からのされかねない。埋め立てるにしても自力で拘束を突破する可能性があるし、まあなんにせよ一撃で片がつくような相手ではないかな」

 

 うーん……そうか。一番カルディナの<超級>事情に詳しいメルクの言葉なら信用できるかな。

 

 にしても、ふぅん……なるほどね。

 

「ラトラナジュ、周辺の地下鉱脈とかの地図ある?」

 

「? ええ、あるけど」

 

 机の上に広げられた、鉱脈分布を調べて……ビンゴ。

 さすが鉱物資源豊富なカルディナ、前に見たことあったけどバッチリ求める規格の大鉱脈があのデカブツの予想進行ルートにあった。

 

 ふんふん、非常事態だからメルクとラトラナジュのツテを借りるとして……言い訳は立つな。

 さすがにビックイベントすぎるけど、退屈を紛らわすにはちょうど良い。

 

「<セフィロト>は暇人しかおらず、そしてまだ動く気配がない。住民も混乱していて早急に対応に移すことはないだろう」

 

「……あ、まさか」

 

 御察しの通り。

 

 

「少し情報集めてさ、挑んでみようぜ神話級。デスペナはヤだけど、何もせずに傍観するなんざまっぴらゴメンだね」

 

 

 ちょうど実験台を求めてもいたし、玉砕覚悟で行ってみようか。

 

「……ふぅ、相変わらずデタラメだねぇ。でも好きだよそういうの」

 

 ロマン好きだろ、メルク。

 

「面白そうじゃない。良いわ、乗ってあげる。霧払いは任せておいて、ふふふ良いわよ金が動くわよ……!」

 

 あんま欲張ると損するぞ、ラトラナジュ。黒い顔もほどほどにな、メルクはそれも好んでるらしいけど。

 

「ま、それがキミか。わかったわかった、協力するともやってやろう。

 でも僕は竜王に挑んだら踏み潰されるだけだから——こっちの相手を貰おうか」

 

 そう言って、現在こっちに進軍してきてる猿の軍勢がいる地図上のポイントを指差すカグラ。お前も俺に負けずに大概じゃねえか。

 

 

 苦笑いで、黒い笑みで、満面の笑みで——けれど皆一様に、張り切った笑顔で皆応えてくれる。

 

 さ、挑んでみようか。まだ敵わない怪物に。未だ未踏の怪物に。

 

 退屈を紛らわし……そして、何より。

 

 ——巨大生物vs.ロボットなんて、こんな胸踊る対戦カードは滅多にないからなァ——!

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