男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>—   作:クーボー

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第16話 鉱脈■■、起動!

 □【鉄人王(キング・オブ・アイアン)】ヤヨイ・ベルダーウッド

 

 アルマ、掌握率は? 

 

『あと、もう、少し。1分、待って』

 

 おう、任せとけ。

 

 眼前の、山に伍する体躯の怪物……【山竜王 ドラグベルグ】を見上げる。

 ホントデカイなあ……圧巻というか、なんと言うか。でもビビる気持ちはないし、むしろ準備しているアルマを囃す気持ちが湧き上がっていく。

 

 砂漠の地を、生暖かい風が吹く。

 相対する俺たちは、未だ様子見の段階ながら、静かに緊張感を高め合っていた。

 

『……そうか。お主が奴の言っていた<マスター>とやらか』

 

 あ? なんだ、誰か何か吹き込んだのか? もしかして冗談抜きに俺って呪われてんの? 最悪なんだけど。

 

『さぁな。俺は其奴を知らないから、何を言われたのかもわからない』

 

『ふん、口が達者な小僧じゃて。ここまで声を届かせるのも、その不可思議な力によるものか』

 

 もしかして<エンブリオ>か? そう勘違いしているなら好都合なんだけど。

 

『わしからすれば、お主なんぞ豆粒程度の大きさじゃ。足を動かせば潰せるが……』

 

『それをするのは味気ない、か? 今まで何十人も<マスター>を踏み潰しとしてよく言うよ』

 

『それで潰えるなら所詮その程度という事じゃ。——お主はどうかな、何か足元に仕込んでおるようじゃが』

 

 ま、さすがにバレるか。神話級の、それも知性ある存在をだまくらかせるような隠密性はさすがに持ってないからな。

 けど、こういうタイプは……逸話から読み取るに戦闘を楽しむタイプの輩は、こういう仕込みも許してくれるからマシだけどね。

 

『しかし……肝が座っておるのか、あるいはわしを軽視しておるのか。わしを見てもまったく怖気付かんのぉ』

 

『怖気付くほど柔じゃないんでね。このくらいの修羅場、何度も経験してる』

 

 死んでも蘇るってのがあるから、それらに比べればマシな方だ。選択肢を間違えれば死ぬかもしれない、そんな場所で俺は何年も過ごしてきた。だからこのくらいの脅威で怖気付くはずがない。

 

 確かに、【山竜王】は恐ろしい。

 地竜種特有の四足歩行、外殻は山をまるごと背負っているのかのような威容で、正面から見ればその鰐のような鋭い牙と知性を宿した瞳が、こちらを一分の油断なく見つめている。

 

 種として、格が違う。完全な捕食者と被捕食者の関係。勝てるはずがない。

 ——だが、俺は今までもそのような差がある相手を打ち破ってきた。

 

 これに比べれば貧弱だろう。小さいだろう。【クロマドーラ】も【ラッダリト】も。

 だが人にとってはすべからく脅威に等しい。いずれにせよ格上なのだから、それを打ち破ってきた今、ことさらビビる道理はない。

 

 俺は折れない。挫けない。

 俺の経験と才覚の、全てを費やしこれを超える。これだけあれば、倒す理由には充分だろう? 

 

 

『——なるほど。顔は見えずとも、その闘志は感じ取れる。今までとは違う手合い……か。

 

 ならばそれごと踏み潰す。我が征く道の後塵を拝させてやろうぞ……! 

 舐めるなよ、豆粒ゥ……わしゃ身体の大きさで油断などせぬ、たとえ汝が何をしようが、わしァそれを打ち砕くのみぞ!!』

 

 

 ——王の威圧。それはまさしく、絶対強者の雄叫びに等しい。人語を解する竜なれば、なおのことその威は弱者である俺を気迫で握り潰さんとするのは道理か。

 

 あぁ、そうこなくっちゃなァ……! 

 ハハ、てめえは強い! そう、そうだ、だからこそ超える価値があるッ! 

 

『——準備完了(Ready)

 

『Good timing!! さあ(Let ’s)!』

 

『『起動(Go)——!』』

 

 起きろ(Generate)——鉱脈巨兵(ギガンティック・メタリオン)ッ! 

 

 ——刹那。

 地響きが、響いた。

 

 何かが、地下からせり上がってくるような。

 

 

 /

 

 

「ふ、あは、あははははッ!」

 

「マジかよヤヨイ君! ははははははげほっげほっ!」

 

「ごほ、く、ふ、ふふふはははは——」

 

「それがJoker(切り札)か! 君のっ! Excellent(素晴らしい)Excellent(素晴らしい)Excellent(素晴らしい)っ!」

 

「さあ、頑張ってくれヤヨイ君!! 未だ誰も到達しない領域に手をかけた、その力を()せてくれ!」

 

 

 /

 

 

「……Oh」

 

Unbelievable(信じられない)……」

 

「ヤヨイ君、あなたは……」

 

「……いえ、違うわね。あなたは元からそこにいた。だからあなたは、戻っただけ、ね」

 

「——あなたは、本物の王様ね。私もそこまで、行けるかしら——?」

 

 

 /

 

 

「相変わらず滅茶苦茶だなー、ヤヨイ」

 

「ま、それがキミか。リアルでもどこでも、キミは誰かを巻き込んでいく」

 

「トラブルメーカーだけど、自然とみんな……いや、惹かれるに値する存在だけが、キミの側に侍っていく」

 

「僕もその一人だけど……置いてかれないようにしないとね」

 

「——正弥」

 

 

 /

 

 

 金属の中を潜行する。

 ありとあらゆる金属干渉のスキルを使い、MPポーションを吐きそうになる程吞み下す。

 

 鉄の血潮が行き渡り、荒削りの視界が花開く。

 ——決戦の時だ。

 

『カカ——大層なハリボテじゃが、格が違う! 確かにお主は、強そうだのぅ!』

 

『当たり前だろ、そうじゃないとつまらない』

 

 “同じ高さ”の視界となり、正面から竜王を見つめ返す。

 

『ま、こっからが本番だけどな。準備はいいか、アルマ』

 

『ん』

 

 短いけれど、頼りになる。

 俺と俺の<エンブリオ>の可能性は、無限大だ! 

 

『【ジョブクリスタル】使用……【金工王(キング・オブ・ハードウェア)】にジョブチェンジ!スキル発動! 【金工王(キング・オブ・ハードウェア)】奥義! 

 

 ——《天上の金工具(ヘヴンリー・クラフター)》、起動!』

 

 対象指定——アルマ及びアルマが触れている鉱脈巨兵! 

《破損耐性》及び硬度の永続上昇——付与!




—情報開示—
鉱脈巨兵(ギガンティック・メタリオン)
地下に眠る鉱脈そのものを、必殺スキル使用時のアルマが地下を掘り進んで《クラッキング・オブ・メタル》やヤヨイの《メタル・プロセッシング》を行使し、瞬間的に人型に整えて地上に引っ張り出す技。
絶大なインパクト(とカルディナの鉱物資源ととある管理AIにダメージ)を与え、アルマとヤヨイが並列思考で操作しながら動かすため意のままに動かすことが可能。
なお思い付いたはいいものの、使用後のことは考えていない。

天上の金工具(ヘヴンリー・クラフター)
DEXが5万に達した時覚える【金工王】の奥義。アクティブスキル。
MP消費は一回ごとに5000消費。効果時間は基本永続。クールタイムは10分。
“工具を持っていて、それに自分しか手を加えていない場合”、工具及び加工対象(完成・未完成問わない)に永続的な硬度上昇をデフォルトに、追加で特殊な効果を付与できるスキル。特殊効果は切り替え可能。その場合もMPを消費し、付与者の意思によって付与効果を削除できる。
本来戦闘に転用できるものではないのだが、ヤヨイの場合工具そのものがアルマだという事と、アルマ自身ヤヨイの意のままに整形できるため“作品”に認定され、アルマにも効果を付与できる。

現在付与した効果は《破損耐性》Lv3永続付与と、硬度の永続上昇。元より自分だけでは大したものは作れない【金工王】にこそ許されたスキル。
なおヤヨイの場合アルマや本人の天性の才によって大概の金属系加工職を上回るものを作れるため、デメリットが実質機能していない。

MPはポーションガブ飲みでカバー。威勢のいいことを吐いたはいいが、わりとお腹タプタプで別の意味で吐きそうになっている。


ドラベルさんはオリハルゴン想像していただければ大体合ってます。
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