男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
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俺がやったのは、銃弾となったアルマを射出した時、アルマが残った段階でも操作が可能だったことを応用したものだ。
必殺スキルで大きく増幅したアルマを、わざと操作から切り離し、完全に独立させた状態にすることでアルマ本体を『擬似的に欠損した』状態にする。
その状態で俺のMPを注ぎ込み、MPポーション飲んで回復、アルマの体積を回復させて切り離した分のアルマを《クラッキング・オブ・メタル》で操作することで特大の防壁を作り出したのだ。
正直、これはロマン技だ。相手の出に合わせて、しかも間に合うように使わないといけないし、そこまでしてMPを使ってまでやる理由がない。攻撃に転用しようにも明らかに操作可能な域を超えた量の金属を操るのはアルマにも負担が大きいので、滅多に使う機会がない。
——だが、その甲斐は確かにあった。
鉱脈巨兵の身体はボロボロ。アルマを戻し、体内を流動させて《リワインド・メタル》で急ピッチで修復を進めているものの、あと数発攻撃を喰らえば崩れ落ちてもおかしくない。
対して、あちらはそこまで大きな傷は負っていないものの……俺の必死の抵抗が功を成し、尻尾と背中を覆う岩石の排除に成功していた。
言ってしまえば、反撃だ。
あの尻尾の攻撃を防いだ瞬間、衝撃を流すために尻尾をアルマで包み込み、それを覆っていた岩石を内部から引き剥がした。隙間に入り込んでコテの原理などを応用するだけだったのでそこまで難しくなく、外殻を剥がした後はアイアンメイデンのように棘を噴出させて竜王のメインウェポンである尻尾をズタボロにしていた。
背中は、その尻尾の工程を終えた後、防壁上部のアルマを無数の大砲のように変形させて《天属性付与》でレールガン化し、アルマを上に打ち出した。数多の放物線を描くそれらの空気抵抗を《エアリアル・フライヤー》の機能でカットし、できる限り威力を高めて背中の一部を破壊。
あとは尻尾と同じように外殻を破壊、引き剥がしたのだ。
「……賭けだったけど、なんとかなったな」
実のところ、あの尻尾攻撃はそこまで脅威ではないはずだった。
アルマには《液状生命体》に付属する物理無効化スキルがあるので、あれだけ衝撃を受け流す体積を用意してやれば防げると考えていたのだが……考えが甘かったな、まさかここまで衝撃を伝えて俺のHPを削ってくるとは思わなかった。
『……ハ。よもやわしの全力を受け止めただけでなく、尾と背まで破壊するとはな。そのスライムがタネか?』
「スライムじゃあ、ないが——ああ、そうだとも。俺の頼れる相棒だ」
……毎度思うけど、<エンブリオ>がなかった時代に神話級とかどうしてたんだろうな。どうしようもないだろこんなの。
『カカ、そうか。お主の相棒か。良き主人を持ったなあ、スライム』
『……私はスライムじゃない。アルマ』
『おお、そうか。ならアルマ嬢と呼ぶか——声からして、女じゃろうて』
……なんか嫌に落ち着いてるな。逆に怖いぞ。
『そう、警戒せずとも良い。今まで猿めにしかまともに砕かれておらんかったわしの外殻が、一瞬でここまで剥がされたんじゃ、驚きすぎて老骨に響いたのよ』
「なんか性格変わってないかな、この爺様」
『爺様か、そんなことこの生涯で呼ばれもせんかったわ。新鮮なようでいいのう、なあ?』
聞かれても困る……ヤバイ完全に道楽爺ちゃん化してる。わりと好きだけど一応俺ら敵同士だからね、今も油断なく修復してるけど。
『この世は嘆くべきか、あるいは喜ぶべきなのか。わしをこうも相手どれる存在が、今の時代わんさかおるのじゃろう? あの【
「……」
『のう。お主ら、名はなんという』
正直、答える義理はない。
でも、答えない義理もないから——俺はアルマに目寄せしつつ、言った。
「俺はヤヨイ。ヤヨイ・ベルダーウッド」
『私はアルマ。アルマトゥーラ。誇り高きマスターに仕える、唯一無二の道具』
『そうか。ヤヨイに、アルマというのか。……良き名だ。そして、お主らがお互いを大事に思っていることがよく伝わってくる。これほどの仲睦まじい仲は、地竜の中にも珍し——どうした?』
……。
アルマが、なんかバグった。仲睦まじいとか言われたからか、不意打ちすぎたか。まあ、スキルは絶えず発動しているし、戦闘が始まったら元に戻るだろう。そう信じる。
『ま、それは良い。その反応からして可憐そうな少女なのが伝わってくるが、あとで存分に乳繰り合うが良かろ』
人生経験の差ってやつだろうか、見てもいないのにアルマが可愛いってことすぐに見抜いた。この、普段は戦闘狂だけど落ち着いたら好々爺化するムーブ……あざとい……!
どうでも良いことで戦慄していると、突然竜王の雰囲気が変化する。
『こいつは本来猿まで取っとくはずだったんじゃがなあ……ここで死んだら元も子もないし、お主らにもこれはふさわしいモノと見た。不足はない。
ヤヨイ、アルマ。今から放つ一撃はな、わしの猿にも匹敵する好敵手と感じたからこその一撃じゃ。おそらくはお互いに、次の一撃で決着が付くであろう。それでも、受けてくれるか?』
雰囲気を感じ取ったアルマが元に戻り、警戒を滲ませる。
——だが、わかるとも。受けたいんだよね、アルマ。自分ならばそれを受けて、倒すことができると……俺の<エンブリオ>である自分ならばそれが可能だと、証明したいんだ。
……こんなもの、決まってるよな。
「YES、だ。受けて立つ、俺も俺自身の最強の一撃を以て蹴りを付けよう」
『マスターが言うならば、私はそれに従うのみ。私も私のプライドに賭けて、あなたを倒したい』
『——クハ。嗚呼、ああ、良き日じゃ。良い闘気じゃなァ……ゆえにこそ、わしはお主らを凌駕してみせよう!』
その宣言とともに、竜王の全身を覆っていた《竜王気》が、わずかに薄くなる。
よく見ればそれは腹の中に取り込まれており……絶大な魔力と同時に、練り込まれていた。
『わしは、ただの地竜ではない。大地を
我が息吹は山をも砕く。それを体内で圧縮し、我が全霊とともに練り込めば、その力は災害であろうと打ち砕くであろう。
示せ、示せ、我が好敵手よ、破滅を畏れぬ武勇を示せ。
我が生の証明、生涯においてたった一度の大息吹。なればこそ、避けることなど許されぬ。受けてみせよ、それこそが英雄の本懐だろうて……!
さァ! 受け切れねば背後の竜ごと消えてしまうぞ青二才!
我が命運にこそ大業為さんとする英雄は在り! 打破することこそ汝が命運を開く鍵となる!
たとえ汝が不死であろうと——否! 消えぬ不滅であるならば、益荒男であるならば! .誇りを賭けて挑むが良い!!
ゆえに、ゆえにわしは竜王! 絶対強者の証なり!!』
ああ——
——テンション、上がって来たァ!
「——超えし王の冠を、讃える鋼の喝采を」
『……誰よりも硬く、誰よりも健常であれと、私は至尊の主人に願う』
「ゆえにこそ、打ち砕く者に負ける理なし」
『敗北の
「
ポエム? あぁそうだとも、これほどの激励を受けて返さぬことなどあり得ない。
敵ながらにして奇妙な友誼を感じつつ、それでも俺は竜を殺そう。地へと落とすが天竜ならば、地竜を落とすは
さて、その答えは知らないが——この爺様の、御期待を凌駕できるよう、竜であろうと貫いてみせる!!
——
——
——
-—
『——
OK!
展開、構築……!
『カァァァァァッ!!!』
『