男のロマン、それはロボット —<Infinite Dendrogram>— 作:クーボー
□【
地上に降り立ち、空を見る。
……今回の戦いは、鉱脈があって、時間があったからこそ勝てたもの。本来なら、敵う相手ではなかった。
「……安らかに」
眠れ、という言葉は、柔らかに
……そういえば、【ブラック・デンドロン】も完全に破損したな。まあ特典武具だし、しばらくすれば蘇るだろ。
あ、特典武具と言えば、ドラグベルグを倒した特典武具があった。
アイテムボックス内を探すと、きちんと【山竜宝飾 ドラグベルグ】と表示されたアイテムがあった。宝飾ってことは、アクセサリー? まあ防具とかだったら直接装備できないから当たり前だけども。
それを取り出すと——嗚呼。
「アルマ。これ」
「ん。あの本の表紙にあったデザイン」
あの竜と猿を模した紋章。その竜の方が、多少のアレンジを加えられた黄土色の金属で出来たピアスとして、俺の手の中にあった。気が効くなあ、まったく。
……というか、二つあるな。もしや。
アルマの頬に触れ、こちらを向かせる。正面から向き合いながら左耳にそのピアスを付けると、不思議な吸引力で固定された。それを見ながら、自分で左耳に装着する。
ホント、気が効くよ。まさか<エンブリオ>のことまで配慮してくれるとはね。
「似合ってる」
「ん、ありがとな。アルマも似合ってる」
二人で笑い合う。なんだかちょっぴりしっとりした雰囲気で、けれどそれも悪くはないなと思うのだ。
さて、それじゃあ効果確認だ。気張っていこう。
【山竜宝飾 ドラグベルグ】
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山岳を背負いて地上に覇を唱える竜王の力を具現化した神器。
竜王の持つ力と、厳粛なる美の造形を備える。
※譲渡・売却不可アイテム(所有者の<エンブリオ>に限り着用可能)
※装備レベル制限なし
・装備補正
END+50%
MP+20%
・装備スキル
《キングス・ウェイト》
《???》 ※未開放スキル(事前MP貯蓄可能)
……桁が違ーう!
さすが神話級特典武具……スキルが頭おかしい気配がプンプンするぜ……!
「……とりあえず、スキルから見るか」
「おー」
《キングス・ウェイト》:
体積に比例した質量圧縮と、圧縮に比例した任意の重量増加を行う。
1t圧縮ごとに100のMPを消費。
……あー、なるほど。ドラグベルグの使ってたスキルの廉価版か。あれ、実際に背負う関係上あれで止めていただけで、本人の口ぶりからもっと圧縮できるようだし。
ただ、アルマならこの欠点は克服できるな。体積なら有り余るほどあるし。
それで、それに応じた重量増加。アルマの重さは俺には感じないから、いくら増加しても良い。どっちにしろ、本来ならデメリットとして機能するはずのものが、俺に限っては機能していないのだ。外部コストとしては、良い調整ではなかろうか。
その次は……詳細不明の《???》。
んー……今考えても仕方ないけど、あとで調べてみようかな。似たような事例はあるだろ、きっと。
補正は言わずもがな。END倍加は破損した【ブラック・デンドロン】が蘇れば俺のENDが8万と化すし、まだ発展途上の【鉄人王】のレベルが上がればドンドン上がっていく。
いずれ10万……20万を超えることも、あるかもしれない。そうすれば、この世界の病なんて全て弾けるようになるだろう。MPも、5分の1が上昇すると考えれば有用だ。あって困るものじゃないしね。
そして……これは、【ブラック・デンドロン】に組み込めるものじゃないな。
組み込むよりも普段から使った方が良い。アクセサリー欄は空いているし、オシャレ的な意味でもいつも付けていた方が良いだろう。
ついでに。
このピアスのデザインが、かなりしっくり来たので……くふふ。
よぅし、決めた。
パーティー内共通アクセサリーは、これを模した耳飾りにしよう!
「良いなあ良いなあ、夢が広がるぜ……!」
「マスター」
ん、どした? ……あ。
目の前を飛ぶ、妖精のような大きさの人型のソレ。
手に身体以上の大きさの水晶玉を抱えるそれは、間違いなくメルクが作ったもので。
その水晶玉には——戦いの佳境を迎えていると思われる、カグラと、大きな猿……猿王の姿があった。