鉄華を救う正義の女神(一時休止中)   作:コレクトマン

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ブルワーズ

 

 

昭弘達を撤退させ、それを追撃しようとするブルワーズのMS達をNGNカービンMk-Ⅱによる狙撃で足止めを行おうとしたその時に三日月が駆るガンダム・バルバトス(第4形態)が一体のマン・ロディのコックピットを太刀で突き刺すという形でやって来た。

 

 

『あ…光の粒の人、来てたんだ』

 

「光の粒の人って……何気にアダ名が変わってないか?」

 

『でも、光の粒を出すMSに乗っていることに変わりないはずだけど?』

 

「せめて俺のことはジンって呼んでくれ、頼むから……というより三日月、お前はクタンで来たのか?」

 

『そうだけど。後、アレにおやっさんが乗ってる』

 

「おいおい……おやっさんはパイロットじゃないんだぞ?大丈夫なのか?」

 

 

三日月が“向こうが回収するから大丈夫でしょ……多分”て返した時に俺はこれ絶対おやっさんが無事ではないなと思った。

 

 

『クッソ!ペドロが…!彼奴ら、ぶっ殺してやる!!』

 

『落ち着け!こうなる事は俺たちだって分かってたはずだろ?ここは落ち着いて連携をとるぞ!』

 

『っ……了解!』

 

 

二機のマン・ロディが仇討ちの如く俺たちに向かって来た。俺は撤退した昭弘達のことを気にしていた。

 

 

「三日月、ここのMSの相手を頼めるか?」

 

『いいけど、光の粒の人は?』

 

「さっき逃した昭弘達が心配だ。もしかしたら奴らの別動隊が昭弘達を狙っているかもしれない」

 

『……分かった。こっちが何とかするよその代わり、昭弘達をお願い』

 

「あぁ、任せろ!」

 

 

俺はデュナメスのGNバーニアからGN粒子を吹かし、昭弘達の方に向かうのであった。

 

 

仁Side out

 

 

 

光の粒の人が昭弘達の方に向かったの確認した後に太刀と呼ばれる武器を構え直してそのまま敵MS二機の方に向かった。すると二機の内一機のMSは下へ行き、もう一体のMSはサイドスカートから球体型の物を取り出してそれを俺の方に投げ、その後にサブマシンガンで球体型に当てて煙幕を展開した。

 

 

「こういうのもあるのか?」

 

『背中がガラ空きだぜえぇぇ!!』

 

 

後ろから何かがくると思って咄嗟に反応して紙一重で躱す。

 

 

『な?!…この反応、まさか……こいつも?ぐっ!?』

 

 

躱されたことに驚いているのか分からないけど取り敢えず蹴りを入れて距離を離す。その後に煙幕から脱出して300mm滑空砲を展開してもう一機の敵MSに向けて射撃して当てる。

 

 

『…っ!彼奴この距離で!』

 

『気を付けろ!彼奴も俺たちと同じ、阿頼耶識使いだ!』

 

「やけに硬いな、彼奴ら……っ!昭弘?」

 

 

その時に昭弘達が撤退した方角で新たなMSの反応を検知した。光の粒の人が何とかしてくれるかもしれないけど万が一のことがあると思い、俺はすぐに昭弘達の方へ向かった。

 

 

三日月Side out

 

 

 

撤退する昭弘達を追いかけながらも俺はセンサーが何かを検知するかしないかを五感を研ぎ澄まして警戒していた。

 

 

「このまま敵が逃がしてくれるとは思えないな。一体何処にいるんだ?……っ!上か!」

 

 

すると昭弘のグレイズ改に数発の弾丸が降り注いだ。俺は弾丸が降り注いだ所を見てみると、そこにはマン・ロディ二体とガンダム・フレームであるASW-G11“ガンダム・グシオン”が強襲してきた。俺はすぐに専用のライフル型コントローラーを展開して操縦系統をハロに委ねた。

 

 

「ハロ、回避行動を任せるぞ!」

 

《でやんでい!でやんでい!》

 

『よぅし!お前らはそのまま……!』

 

 

俺はNGNカービンMk-Ⅱで狙撃するが、弾丸がグシオンの装甲によって弾かれてあらぬ方角へ跳弾した。

 

 

『…ちっ、狙撃か!何処から……!』

 

「くっそ!初期のグシオンの装甲のことは分かっていたが、やたら硬い!」

 

『未知の粒子を出すMS?アレがスポンサーが言っていた()()()か。聞いた話とは違う奴だがどの道結果オーライだ。お前らガキ共はしっかり仕事しろよ!』

 

『『はい!』』

 

『こっちの相手は俺がしてやる!』

 

「分散した!?クソッ!昭弘達がマズイってのに……邪魔をするな!!」

 

 

早く昭弘達と合流すべく俺はNGNカービンMk-Ⅱでグシオンに向けて発砲をするもグシオンの分厚い装甲の前に弾丸が弾かれる。

 

 

『無駄ぁ!』

 

「どうかな…!」

 

 

弾丸が弾かれる事を予め想定していた為に俺は至近距離でNGNカービンMk-Ⅱを撃ち込むがグシオンが見た目によらず軽々と避ける。

 

 

「クッソ!重装甲のくせして意外と早い!」

 

『このクダル・カデル様と、グシオンを嘗めるんじゃないよ!!』

 

 

攻撃を避けたグシオンはサブマシンガンをしまい、背中に懸架していた巨大なハンマーを取り出してそのまま俺が駆るデュナメスに向けて振るい掛かる。

 

 

 

しかし……これは俺の予想の内だ。

 

 

 

「不用意に接近戦を仕掛ければこういう不意打ちに合うぞ!」

 

 

俺はデュナメスに搭載されている両膝に内蔵するGNミサイルをグシオンに向けて発射する。

 

 

『んなぁっ!?ミサイル!?』

 

 

グシオンはデュナメスから発射されたGNミサイルに対して咄嗟にサブマシンガンを取り出して迎撃し、回避するも撃ち漏らした1発のGNミサイルが左脚部の脛部分の装甲に食い込みながら直撃する。そしてその食い込んだGNミサイルから内部に圧縮した粒子を送り込む。するとグシオンの左脚部が膨れ上がり、最終的に中から破裂させる形でグシオンの左脚部が装甲とフレームごと爆発した。

 

 

『こいつ…たかがミサイル1発でグシオンの左脚部を!?』

 

「いくらガンダム・フレームに乗っていても使い手が悪ければ意味が無い」

 

『クッソー、舐めやがって…っ!』

 

 

すると別の方角から弾丸が飛んで来てグシオンに直撃するも、分厚い装甲は未だ健在である為かその弾丸は弾かれた。

 

 

『ちぃっ!もう一体も来やがったか!あっちのガキ共は何やってんだ!』

 

『クッソ、さっきの奴といい嫌に硬いな』

 

「三日月か!そいつのことは任せる!それと、見ての通り奴は装甲が厚い分硬い。装甲の薄い隙間部分を狙え!」

 

『分かった。光の粒の人は昭弘達を』

 

 

俺は“任せろ!”と言った後にGNバーニアからGN粒子を吹かしてすぐに昭弘達の方に向かう。昭弘にタカキ、無事でいろ!

 

 

仁Side out

 

 

 

その頃撤退していた昭弘達は未だに二体のマン・ロディの追撃から逃れられていなかった。

 

 

「クソッ!こいつら……しつこい!」

 

『昭弘さん…!』

 

「このままじゃ……ぐっ!?」

 

 

回避行動していたグレイズ改の動きを読まれ、右足を撃たれてバランスを崩したが背部スラスターで強引に姿勢制御を行なって何とかバランスを立て直した。

 

 

『もらったぞ!』

 

「っ!しまっ…!」

 

 

しかし、それを狙っていたのか一機のマン・ロディが昭弘のグレイズ改に体当たりを仕掛けた。グレイズ改はもろに受けてしまうと同時にその体当たりによる衝撃がタカキが乗るMWに伝わって装甲が拉げる。そしてグレイズ改と繋がっていたワイヤーが外れてしまい、タカキが乗るMWがもう一機のマン・ロディに捕獲されてしまう。

 

 

「…!タカキッ!!」

 

『よしっ!昌弘は人質を連れて下がれ!』

 

『了解。……っ!接近する反応?これは……ぐぅっ!』

 

 

その時にタカキを人質にしたMSがタカキが乗るMWを掴んでいた左腕が何者かに狙撃されフレームごと破壊される。

 

 

『今のは狙撃!?一体どこから……!』

 

「今の狙撃は……『無事かい?昭弘』…っ!レオンか?」

 

 

その狙撃の正体はジンの船から借りた武装での精密射撃で敵のMSのフレームを狙撃したサダルスードを駆るレオンの姿があった。そしてその後方からタービンズの百錬と百里がやって来た。

 

 

『昭弘、敵は僕たちが食い止める。君は急いでタカキを船に運ぶんだ!』

 

「っ!…了解!」

 

 

俺はすぐにタカキが乗っている拉げたMWを回収し、そのままイサリビの方に向かった。タカキ……まだ生きてろよ!

 

 

昭弘Side out

 

 

 

昭弘がタカキを連れて撤退したの確認した後に僕はアジーとラフタに指示を出した。

 

 

「昭弘は無事に撤退したようだ。アジー、君は僕と一緒に彼らの足止めと同時に一機を捕獲する。ラフタは三日月の援護に向かってくれ」

 

『了解っ!』

 

『分かったわ!』

 

 

それぞれの役割を果たすべくラフタは交戦している三日月の援護に向かい、僕とアジーは今いるマン・ロディの足止め兼一機の捕獲を試みた。

 

 

『昌弘、大丈夫か?』

 

『あぁ。左腕をやられたけど、まだ動ける』

 

『俺が奴らを引きつける。その間にお前は……ドワァッ!?』

 

『っ!デルマ!……ガァッ!?』

 

 

すると二機のマン・ロディが何者かの狙撃によって装甲の隙間にあるフレーム部分が破壊され、二機のマン・ロディが両手両足がないダルマの状態になった。

 

 

『狙撃…?一体誰が……』

 

「この精密射撃……狙撃型のMSがやったのか?……っ?センサーに反応……」

 

 

僕はセンサーが反応した方角を見ると、そこには緑色をベースにした太陽炉搭載型のガンダムが手に持っているNGNカービンの改良型と思われる武装を持っていた。その時に僕は悟った。彼が新たなガンダムに乗って戻って来たと。

 

 

「……まさか、新たなガンダムを持ってくるなんて思わなかったよ、ジン」

 

『言いたいことは判る。だが、今はそう言っている場合じゃない。今はそのMSを回収すると同時に船に帰還するぞ』

 

 

僕はジンに“分かっている”と伝えた後に僕も三日月の援護に向かって行った。

 

 

レオンSide out

 

 

光の粒の人に昭弘達のことを任せた後の俺はこのデカブツのMSに手を焼いていた。

 

 

「オラオラオラオラァ!」

 

その海賊の親玉と思われるMSは、左足を失っていても背部や各スラスターを駆使しながらも保持する巨大なハンマーを振り回す。直撃すれば問答無用で相手を粉砕する一撃を何とかかわし、俺はまだ使い慣れない太刀を振り下ろすがMSの分厚い装甲に弾かれてしまう。

 

 

「ちっ、使いにくい…!」

 

『ハッハァー!』

 

 

そのMSは巨大なハンマーを上げて俺に向けて振り落そうとした時にデカブツのMSに銃弾が当たる。その時に援護しに来たラフタと光の粒の人と同じ粒子を出す機体に乗ったレオンって人が援護に来た。

 

 

『三日月!』

 

『無事かい、三日月?』

 

『ちっ、タービンズと他の未知の粒子を出すMSか!あいつらの相手までするにはガスが足んねえか!』

 

 

デカブツのMSは分が悪いと判断したのか頭部の砲口から信号弾を打ち上げるとすぐにその場から離れ、他のMS達と共に撤退して行った。

 

 

『三日月!』

 

「助かったよラフタ。飛ばして来たから推進剤がもうやばかった。…それで昭弘は?」

 

『三日月、急いでイサリビに行くよ。タカキの容態が危険なんだ』

 

「へ…?タカキが?」

 

 

俺は一瞬だけ間抜けた声を出したが、すぐに我に戻って急いでイサリビの方に向かって行った。

 

 

三日月Side out

 

 

 

ブルワーズの強襲から退いた俺はイサリビに着艦した後にすぐにアストレアから降り、鉄華団から工具ことカッターを借りてMWのハッチをカッターで切断し、タカキを救出した後にテイワズから鉄華団のお目付役として派遣された“メリビット・ステープルトン”の指示の下、タカキをイサリビにある医療用のナノマシンで応急処置を行い、再生医療ポッドに入れて何とか一命を取り留めた。

 

 

「危うかったな。1分でも遅ければタカキは助からなかったかもしれないな」

 

「そうね、貴方の行動が早くて助かったわ」

 

「そう言ってもらえると助かるよ。何せ彼ら、鉄華団は“治療を受けるって発想自体がなかった”と言ってもいいくらいに医療に関しては意識的に薄かったからな」

 

「え?それはどういう……」

 

 

メリビットが俺が言った言葉に目を丸くしていた。オルガ達鉄華団だけではなく、他のヒューマンデブリ達はその名の通り命に関わる重傷を負っても大人達からは放置されるのがオチだ。そのまま死んでしまうと言うことも珍しいことではなかったのだ。簡単な手当ぐらいなら出来るがそれも応急処置程度で、本格的な治療など想像もしたことがないことをメリビットに伝えた。俺の場合はこの世界に来てから二年間の間MSでジャンクになったMSや廃艦の回収以外にも医療に関することや料理など、この世界で生きていく為に必要な技術をハロから学んだ。今思い出すだけでも少し苦い思い出でもあったりもする。

 

 

「その、ごめんなさい。無神経なことを言ったわ」

 

「無理もない。それがヒューマンデブリの実態でもある。…と言っても、もう鉄華団や俺たちの仲間はもうヒューマンデブリではない。彼奴らもう俺たちと同じ人間だ」

 

「そういえば、貴方達ソレスタルビーイングは貴方も含めて全員子供だったわね」

 

「そうなるな、少し訳ありだが。……ところで、俺たちが回収して来た敵MSのパイロット達はどうなった?」

 

 

タカキが再生医療ポッドで治療中の中で俺はもう一つの問題をメルビットに聞いて確認を取った。それはブルワーズが強襲して来た時に敵三機のMSを回収したのだが、一機は三日月の刀による突きによってコックピットもろとも完全に潰れ、パイロットだった少年の遺体しかなかった。残りの二機のパイロットなのだが、その二人の内一人が昭弘の弟である“昌弘・アルトランド”。そしてもう一人は二期で昭弘の義兄弟になる“デルマ”であったのだ。その二人は一応念のために医療室でメディカルチェックを受けていた。

 

 

「二人の容体はほとんど軽傷よ。だけど、一人だけ実の兄弟が鉄華団にいたなんて思ってもいなかったのかほとんど一言も喋らなかったわ」

 

「昌弘・アルトランドか。……この問題は鉄華団と実の兄である昭弘に任せる他ないな」

 

 

そんな感じで昭弘が無事に昌弘と再開できたのはいいがしばらくの間時間がかかるのは必然であった。俺は無事に分かり合うことを祈りながらもデュナメスやラジエル、GNセファーに関してレオン達や他の整備員達に説明するのであった。

 

 

仁Side out

 

 

 

その頃、とある小惑星帯でニ隻の強襲装甲艦が止まっていた。その強襲装甲艦はかの武闘派の宇宙海賊“ブルワーズ”の船でもあり、その船はこの小惑星帯を一時的な拠点として待機していた。

 

 

「たく!アンタ等ガキ共がヘマしたおかげでこっちはMSを三機失って、俺のグシオンの左足があの未知の粒子を出すMSによってフレームごと破壊されたじゃねえか!」

 

 

クダル・カデルはそう言いながらもMSのパイロットであるヒューマンデブリ達に八つ当たっていた。そしてそれを止める者がいた。

 

 

「おいおい……その辺にしときな。ヒューマンデブリとはいえ大事なMSのパイロットに違いないだろう?」

 

「ちぃっ……アンタは何でこいつらの味方をすんのよ!命をかけてもただの囮ですらなれない、煮ても焼いても分けても食えないゴミ屑当然のこいつらにさぁ!!」

 

 

その者はカタロン商会という新設されたばかりの商会に所属する一人の傭兵で、仁と交戦したアリー・アル・サーシェスの姿があった。因みにカタロン商会という名はリボンズが用意した表向きの商会のことで前の世界の反政府勢力であるカタロンの名をそのまま流用したのである。

 

 

「別にアンタのやり方に関してはどうでもいいんだがな。だがよ、俺にも仕事があるんだよ」

 

「はぁっ?何なのよそいつは……オゴッ!?」

 

 

サーシェスはクダルの首元を掴んで無理やりクダルの口を黙らせる。

 

 

「うちのスポンサー様はアンタを殺すなって言われているが、別に半殺しちゃあならねえて言われてねえんでな?こいつらはこいつらでアンタを生かす為に必死でやってんだからよ。そうきつく当たるなよ」

 

「ウゴッ……ガッ……!」

 

「まぁ…俺が言いたいのはそんだけさ。要はこいつらにはもっと頑張ってもらうってことだろ?だったらアンタは自分の機体の整備でもしてな」

 

 

サーシェスは掴んでいたクダルの首を離してクダルを自由にさせる。

 

 

「ガホッ…ゲホッ!……クッソ!アンタ……後で覚えてろよ!」

 

 

クダルは三流的な言葉を吐いた後にその場を後にした。そしてサーシェスはこのような一部始終を見て唖然としていたヒューマンデブリであるビトーやアストンに声をかける。

 

 

「よぉ。唖然としているようだが大丈夫か?」

 

「え?あ……はい」

 

「いい子だ。……お前達は殺された仲間の仇を討ちたい気持ちでいっぱいだろう?」

 

 

サーシェスに図星を突かれたビトー。アストンはサーシェスに対してギラギラと敵意の籠った眼を向けて何かと警戒をしていた。

 

 

「もう片方は俺のことを警戒しているようだな。まぁ、そう思われても仕方ないな」

 

「アンタは俺たちに何をさせたいんだ?」

 

「いやなに…ただ単純な話さ。俺と取引しないか?」

 

「取引……?」

 

「あぁ……いずれ来るであろうタービンズや鉄華団って奴らと一戦おっぱじめる前に俺のスポンサーであるカタロン商会から俺の新しい装備を受け取ると同時に新型のMSをお前達に使わせてやるってことさ」

 

「新型の…MS!」

 

 

新型のMSの話に食いついたビトー。それでもサーシェスを信じることが出来ず、食いつかなったアストン。ビトーはただ、ペドロやまだ死んでもいない昌弘やデルマの仇を討つことに執着していたために周りが見えていなかった。まぁ……その方が俺にとって都合がいいけどな?

 

 

サーシェスSide

 

 

 

同時刻……ギャラルホルンの地球本部であるヴィーンゴールヴでイズナリオの計らいで婚約パーティーまでのしばらくの間、ボードウィン家で休むことになったリボンズの姿があった。僕は外で夜風を浴びながらも考え事をしていた。

 

 

(どうやら彼は無事にブルワーズと接触できたようだね。後は先行量産させたあの機体を阿頼耶識使いであるヒューマンデブリを確保だけ。……といっても、彼お得意の布教ですぐに集められそうだ。()()()もそろそろ次の段階に移るとしよう)

 

 

そう考えているとボードウィン卿の御子息であるガエリオ・ボードウィンと、その妹である“あるミリア・ボードウィン”。そしてファリド家……基、イズナリオの養子であるマクギリス・ファリドの姿があった。

 

 

「落ち着け、今から船を出しても間に合わんよ。もう動いている頃だろう。…どこぞの海賊を使うからと金を無心してきたからな」

 

「しかし…」

 

「ドブネズミにでもやらせて置けばいい」

 

 

どうやらクーデリア・藍那・バーンスタインのことで話し合っているようだった。時間が経つにつれ現体制のギャラルホルンに対しての話題に切り替わったようだ。

 

 

「育てたのはギャラルホルンの現体制だろ?だが、その現体制の支配力こそが、ギャラルホルンそのものであるのも事実だ。誰も内部を変えようとしない…」

 

「だからこそ駒がいる。現体制を揺るがす、強力な駒が……」

 

「クーデリア・藍那・バーンスタイン様がその駒になりうる可能性があるということでしょうか?」

 

「…?おわっ!?リボンズ?いつの間にいた?!」

 

「お二人がギャラルホルンの現体制の話をしていた時に丁度です」

 

 

ガエリオは僕が急に会話に入り込んだことに驚いたようだった。対してマクギリスは然程驚いた様子はなかった。

 

 

「君がギャラルホルンの現体制について食いついて来るとは正直意外だったよ、リボンズ」

 

「いえ…僕はただギャラルホルンの現体制について少し興味が湧いただけです」

 

「そうか……それで、君は確かクーデリア・藍那・バーンスタインが現体制を揺るがす強力な駒になりうると言ったな?もしそうなれば、それでもいいのだがな」

 

 

そう他愛のない会話をしていると、アルミリアが自分で入れたであろう紅茶を持って来てやって来た。

 

 

「お待たせ、マッキー。はい、どうぞ」

 

「ありがとう、アルミリア」

 

「アルミリア様、わざわざ貴女様が紅茶を入れなくても私が入れますのに…」

 

「リボンズさんに入れられたらせっかくマッキーのために入れようとした私の頑張りが無駄になっちゃうじゃない」

 

 

流石の僕でもリボンズさんと呼ばれたことには少々苦笑いをしてしまう。それを見ていたガエリオは少しだけ僕の苦笑いに釣られて少し笑っていた。

 

 

「ははっ、流石のリボンズもアルミリアに言われたんじゃ頭が上がらないか?アルミリア、俺の分は?」

 

「お兄様がいらないと言いました」

 

「…っ、お前……」

 

 

 

仕返しが思わぬ形で失敗したかのようにガエリオもアルミリアに対して頭が上がらなかった様だ。

 

 

「はい、リボンズさんの分も入れました。どうぞ」

 

「ありがとうございます、アルミリア様。頂きます」

 

 

僕はアルミリアが入れてくれた紅茶をもらい、一服した。紅茶の入れ方としてはまだまだだが、人の味覚としては美味しいものであった。

 

 

「美味しいよ、アルミリア」

 

「本当っ!」

 

「はい、僕もこの紅茶はとても美味しいです。マクギリス様も言っておられますから自信を持っていいくらいですよ」

 

「良かったー。結婚したら毎日入れてあげるね!」

 

 

上手く紅茶を入れられたことにアルミリアは喜びに満ちていた。そこにガエリオが茶化すようにマクギリスにいう。

 

 

「考え直すなら今だぞ?婚約パーティーの後では手遅れだ」

 

「むっ……縁談が持ち上がるたびに任務だ何だと家を空けるお子様のお兄様は口を挟まないでください!お父様もお困りなんだから…」

 

「なっ…任務があるのは事実だ!」

 

「…フフッ。本当に仲がよろしいのですね、お二人様は」

 

 

つい彼らの日常を見て不意に笑みが零れてしまう。別の世界でも偽りの平和の中で本当に変わらないようだね。愚かとしか言いようが無いくらいに……

 

 

リボンズSide out

 

 

 

一方のブルワーズはサーシェスが寄越したカタロン商会の船にてあるMS七機とサーシェス専用のMSサポート用キャリアビークルであるアグリッサを受け取っていた。ブルワーズの首領である“ブルック・カバヤン”とグシオンのパイロット、クダル・カデルはカタロン商会から送られたMSを見ていた。そのMSは今まで見たことのない機体だらけだった。

 

 

「これが…俺たちに送られるMSか?こんなMSは見たことはないぞ?」

 

「それにMSの種類がほとんど違うじゃない。薄っぺらいMSが四機に分厚そうなMSが二機。…んで、それ等とは関連のないMSが一機。一体何なんだ、このMS達は?」

 

 

ブルック達が見ていたのはサーシェスがまだ生きていた頃にいた元の世界のMSである。AEU-09“ AEUイナクト”が二機、VMS-15“ユニオンリアルド”が二機、MSJ-06Ⅱ-E“ティエレン宇宙型”が二機と旧三大勢力が使用していたMSが次々にブルワーズの強襲装甲艦に搬送される。そして残り一機は他の機体とは違い、より厳重に搬送されていた。その姿はより人型に近く、頭部と思われる額の部分には禍々しい紫色の巨眼を連想させ、また主眼と思われるカメラ・アイはX字状に設計されているためより一層凶悪な顔付きであった。その機体の正式名はGNX-603T“GN-X(ジンクス)”。擬似太陽炉搭載型MSとしてリボンズが先行量産し、その戦闘データを収集してもらうことにブルワーズは気づかないままカタロン商会から送られたMSを自分たちの船に搬送されるのをただ見ていた。新たな戦力が補充されている中、サーシェスがブルック達の前に現る。

 

 

「…んで、どうよ?ウチのスポンサー様から送られたMSは?」

 

「MSの補充は感謝している。だが良かったのか?俺等のような海賊にMSを渡しちまっても?」

 

「その点については問題ねえぜ。何せアンタ等に渡したMSは主動力であるエイハブ・リアクターとは違う別の主動力のMSだからな」

 

「何、別の動力?どういうこった」

 

 

別の動力についての話に食いついたブルック達。サーシェスはそのままブルック達にその別の動力のことを話した。

 

 

「あぁ、イナクトやリアルド、ティエレンなどはエイハブ・リアクターは使わないんだ。こいつは電力がありゃいつでも動かせるMSだ。…まぁ、もう一機はそれとは違う奴だがな」

 

 

これを聞いたブルック達は驚きを隠せないでいた。リアクターを使わず電力を主動力で動くMSが存在するとなれば、リアクターを主動力として使うMSが足りない時に電力で動くMSがその穴埋めを行なってくれるのだ。電力に関してはMSのリアクター、もしくは船に使用されているリアクターを使い電力の補充を行えばいいのだから。その後にサーシェスからもう一機の機体であるGN-Xはビトーが復讐の為に必要な力として使うことを伝えた。そのGN-Xが使用する武装は厄祭戦で失われたロストテクノロジーの一つであることを今のブルック達は気づくことはなかった。

 

 

 

ブルワーズにMSを送ってから数十分が経って俺はMSサポート用キャリアビーグルであるアグリッサの調整をしていた。このアグリッサはまだ宇宙空間用に調整がまだ終わっていなかった。俺はアグリッサの調整を急ぎつつもあいつ等が来るの楽しみに待っていた。それとビトーというヒューマンデブリはGN-Xと言う新しい力を得て、「これでビトー達の仇が討てる」と息巻いていやがったな。

 

 

「前の戦闘であんだけ暴れりゃあ、あのガンダムも出て来るだろうよ。それに、あのビトーって小僧が生き残ろうが死のうがGN-Xの戦闘データさえ手に入れば俺の機体の完成が早まるってもんよ。そうなりゃもっと戦争ができるってもんだ。フフ、ッハハハハッ…!」

 

 

俺は次の戦いが待ち遠しく、タービンズやら鉄華団とかなんたらな連中が来るのを待ち続けた。

 

 

 






ブルワーズの強襲を退けたジン達。ブルワーズにてあの男が暗躍し、ジン達に新たな脅威が迫る。


次回、『ヒューマンデブリ』


星屑と化した者は、永遠に宇宙を彷徨う…
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