ブルワーズの強襲から数時間が経ち、俺はイサリビの艦内通路でオルガや三日月、昭弘と話し合っていた。今回の強襲でタカキを失いそうになったり、昭弘の実の弟である昌弘を偶然とはいえ救出は出来たが、未だに俺たちに対して心を開いてはいなかった。
「タカキの件は本当にすまなかった。俺がしっかりしていなければこんなことには……情けねぇ」
「過ぎたことを悔やんでも枷にしかならない。同じリーダーとして……なんて大それたこと言えた義理じゃないがこれだけは言わせてくれ。リーダーというのは一つの判断ミスや仲間の死によって後悔するだろう。だが、リーダーは後悔することすら許されない。後悔の記憶は、次の判断を鈍らせる。そして決断を他人に委ねてしまう。そうなれば後は死ぬだけだ。この言葉はとある兵団の率いる団長の言葉だ」
「後悔すら許されない……か」
「あぁ。その言葉はしっかりと頭に刻み込んで置いておけ。…それはそれと、昭弘の方はどうだ?まだ昌弘とは?」
オルガとの話を終え、俺は昭弘に弟の昌弘の様子について聞き出した。
「あぁ……昌弘は、まだ俺のことを憎んでいるかもしれねぇ。姐さんたちにしごかれて、辛かったがそれが楽しくて。……そんなことを思っていたから罰が当たったんだ。ヒューマンデブリなんかが、人並みの生活をしようなんて……っ!」
昭弘は未だに自分たちは人間であると思い上がっていたことに後悔していた。このことを昌弘にも言われて昌弘は昭弘のことを憎まれても仕方ないと思っていた。
「…お前もオルガと同じように後悔している場合じゃない。それ以前にだ、ヒューマンデブリなんかが、人並みの生活をしてはならないって誰がそんなことを決めつけた?」
「それは……」
他の人はヒューマンデブリのことはよく思わなくても、こうなった原因はギャラルホルンの現体制が原因だったり、この世界の人間にあると少なくとも俺はそう考えている。
「ヒューマンデブリは人じゃない?違うだろ。ヒューマンデブリはちゃんとした人間だ。それを自分の私欲や快楽の為に関係のない孤児を無理やり阿頼耶識手術をした人間の方がよっぽど人間じゃない、真正のクズだ。俺の場合は何処かの誰かなのか知らぬままオリジナルの阿頼耶識システムを埋め込まれたんだけどな」
「…そう言われてみれば、光の粒の人も俺たちと同じ阿頼耶識持ちだったんだ?」
そう三日月に言われた俺は“……今頃気づくか、それ?”と内心でツッコムのであった。そして俺はオルガから今後の行動はどうするか聞いてみた。
「……それでオルガ、どうするんだ?俺は強襲してきた連中にはそれ相応の落とし前をつけに行くつもりだ。そっちはどうなんだ?」
「あぁ、このままやられっぱなしっていうのは性に合わねえ。それに、鉄華団が楽しかったのが原因で昭弘に罰が当たったのは、団長の俺に責任がある」
「いや、違う。俺が言いてえのは・・・」
「責任は全部俺が取ってやるよ。その昌弘って弟の仲間の事もな。どのみち、お前の弟に仲間がいるなら、俺達鉄華団の兄弟も同然だ。なあ、そうだろお前ら?」
そうオルガがいうとそこにユージンやシノ達がやってきた。どうやら俺たちの話を聞いていたようだ。
「あったりめえだろ!?」
「何の話かと思えばよお」
「水くせえにも程があんだろ!」
「だね」
「んじゃ、責任の取り方を皆で考えようか」
そうして俺たちは昌弘がいたブルワーズに残っているヒューマンデブリ達の救出作戦を練るのであった。因みに余談であるがその艦内通路の隣にある扉には医務室と繋がっており、タカキを看病いていたメリビットに全員怒られたのは別の話で、そして昌弘とデルマはしばらくの間ガーベラで面倒を見ることになってガーベラに昌弘達を移したのはまた別の話。
俺とオルガ、ビスケットはハンマーヘッドに乗ってブリッジに向かっていた。そしてブリッジに入るとアミダは人差し指を立てて唇に当てる。現在、名瀬は宇宙海賊の首領と通信中だった。
「ほう。そんじゃあ、テメェらは本気で俺達にケンカを売ろうってんだな? なあ、ブルック・カバヤンさんよ」
『ケツがテイワズだからって、いつまでもデケェツラしてんじゃねえよ』
モニターには宇宙海賊の首領ブルック・カバヤンが、モニターには映っていた。鼻は潰れているが、身体は肥え太っている。その姿は異形としか言えず、人間と言うよりもオークに似た印象を受ける。……正直なツッコミで言うのなら豚なのか人間なのかどっちかハッキリしてほしいと思ったのは内緒である。
『何も、テイワズだけが力を持ってる訳じゃねえんだぜ?タービンズの大将さんよ』
「後で吠えヅラかいても知らねえぞ、ブタ野郎」
『その言葉、死に際に後悔しやがれ』
その言葉を皮切りに通信が途切れた。ブルックが何故強気の態度でタービンズの名瀬に対して動じなかったのか俺でも分かる。ブルワーズの後ろにはあいつらが絡んでいることを。
「ったく…血の気の多いバカがいたもんだよ。なあ?」
「そうですね…連中、何者なんですか?」
「ブルワーズ。主に火星から地球にかけての航路で活躍している、宇宙海賊だ。……だが、どうにも面倒臭い裏が有りそうだなあ」
「…ありそうではなくあるっていう方が正しいな」
「ジン?どういうことだ、そりゃ?」
名瀬が俺が言ったことに対して疑問に思ったのか俺に問いを掛ける。その名瀬の問いに俺は答える。
「いくら武闘派の宇宙海賊といってもあのブルックって奴が“テイワズだけが力を持ってる訳じゃねえ”って言っていたな?そこが問題だ。あの宇宙海賊には強力な後ろ盾があると観ていいだろう。確かその宇宙海賊はクーデリアの身柄を欲しがっていたな?となると、彼らの後ろ盾は鉄華団がよく知っている組織だ」
オルガはその組織のことについて思い当たる節があった。クーデリアの身柄を欲する組織なんて一つしかない。
「……ギャラルホルンか!」
「裏稼業にも手が伸びてるなんて……そこまでして……」
「オルガ達には政治に関しては分かりにくいことかもしれない。…簡単に言えばギャラルホルンの一部は火星の独立運動を主張するクーデリアの存在が自身の利益に影響を及ぼすと思ったなら始末するなり何なりとありとあらゆる手を使ってくるだろうな。だが、ギャラルホルンの都合だけで殺されるっていうのはオルガの言う“筋”が通らない……だろ?」
俺がそうオルガに問うとオルガも筋が通らないことに関しては同じであった。
「あぁ……それに関しては俺たちも同様だ。連中の都合なんざこっちには関係ない。邪魔をするっていうんなら、真正面からぶっ潰す。それだけだ」
「…そう言うことだ。名瀬さん、パイロットたちをガーベラに集めてブリーフィングを行いたいんだけど、良いか?」
「ブリーフィング…ねぇ。何か策があるのか?」
「あぁ、ある。その為にもパイロット達をガーベラのブリーフィングルームで説明をする。俺は先に自分の船に戻るよ」
そう言って俺は先に自分の船に戻りながらもブルワーズのヒューマンデブリ救出作戦を練るのであった。
仁Side out
その頃、ブルワーズでは対タービンズ及び鉄華団、謎の粒子を放出するMSを所有する組織に対する作戦をサーシェスがタブレットを持ってパイロット達に説明していた。
「…いいか?連中は恐らくMS数機を先に先行させ、味方MS達をおびき寄せる為の陽動として行動うするだろう。だが、その陽動を無視すれば鉄華団の強襲装甲艦とタービンズのハンマーヘッドが後ろから来ると思うだろうが仮に陽動で返したとしてもだ、側面から奇襲を受けちまうのが関の山だ」
「じゃあどうすりゃいいのさ?アンタ何かいい考えでもあるのかい?」
「あぁ…相手が側面から来るっつうんなら、逆にそれを逆手に取ってMSで待ち伏せすりゃあ良い。タービンズのハンマーヘッドはその名の由来通り正面からの体当たりが可能だ。…でだ、アンタのガンダムのバスターアンカーっつう火砲でそのタービンズの船に1発お見舞いしてやりゃ良い」
「なるほどな……。じゃあアンタが言うには側面から奇襲してくるタービンズにクダルのグシオンにあるデカイの1発食らわせて残りの連中を一網打尽にすりゃ良いって訳だな?」
ブルックやクダル、他のヒューマンデブリのパイロット達はサーシェスの言う作戦の内容を理解する。サーシェスは「その認識で合ってるぜ」と言い、そのまま作戦内容を説明を再開する。
「…話を戻すが、その後は持久戦にもつれ込んで相手を確実に消耗させて一気にやるって寸法さ。この作戦のリスクは失敗すりゃかなりの大損害だが、結構低い方だぜ?」
「なるほど……よぅし!ガキ共、聞いての通りだよ!こいつの言う作戦通りに仕事をこなせよ!」
「「「はい!」」」
そうクダルに言われたヒューマンデブリ達はそれぞれのMSに乗り込むのであった。そしてビトーもまた、仲間三人を殺した連中に復讐を果たす為にGN-Xに乗り込むのであった。
「ペドロ……デルマ……そして昌弘……俺が仇をとってやる。このGN-Xで!」
「ビトー……」
アストンは復讐心に駆られて周りが見えてないビトーを見て不安に思いながらもMSに乗り込む。
「おーおー……皆さんお元気なこって。フッ……これだから戦争は辞められないのさ」
そう不敵な笑みを浮かべながらもサーシェスはアグリッサの最終調整を行うのであった。
サーシェスSide out
同時刻……
ガーベラのブリーフィングルームで鉄華団、タービンズ、ソレスタルビーイングのパイロット達に俺が立案したある
「これより、ブリーフィングを行う」
そう言って俺はタブレットを操作しながらも専用のモニター画面を展開し、自分たちや敵を見立てたアイコンを表示させる。
「今回の作戦は武闘派宇宙海賊ブルワーズにいる敵部隊の無力化と、最大の目標であるヒューマンデブリ達の救出である。その為には先ず、敵の戦術と状況予測を伝える。敵は強襲装甲艦二隻を中心とした海賊だ。また、ガーベラの乗組員達は知っているかもしれないが、鉄華団やタービンズには一つ言って置くことがある。うちのハロがまた敵側にハッキングをして情報を得たようだ」
「えっ?ハロって…あの色とりどりの丸っぽくて可愛いロボットの?」
「てゆうか…あの丸っこいの、そんなことできたの?」
「…色々と出来るんだね、そのハロは?ok」
「私的には結構好きだよ?あのハロちゃんは?」
上からラフタ、三日月、レオン、玲奈とガーベラにいるハロに対して意外な表面を見せた。ガーベラの乗組員にとってそれは日常茶飯な事と捉えていたが鉄華団やタービンズはそうでもなかった。
「……話を戻そう。そのブルワーズの戦力なのだが、ハロがハッキングで入手した情報によるとブルワーズは“カタロン商会”という組織からMSを七機補充したそうだ。そのカタロン商会は何者なのかは俺でも分からないが、敵はMSを補充したと見て良いだろう。さて……問題は敵の行動予測なのだが、敵艦付近に戦力を集中させているかもしれない」
「…どういう事?」
「敵はあえて待ち構えているっていうのかい?」
アジーが俺がいう敵の行動予測に疑問に思い、アミダはその敵の行動予測が待ち伏せであるかを俺に問い出す。
「……本来ならそうあってほしくはなかったけどな。先ず、俺が考えた最初のプランではバルバトスを積んだクタン参型と百里で先行し、敵MSを引きつけて陽動を行う。それを見抜いた敵はあえてMSでバルバトスと百里を追撃するはずだ。その間にハンマーヘッドとイサリビが側面から敵艦に強襲し、シノが率いる突入チームが敵の旗艦に乗り込み、親玉を抑えて制圧する」
俺はタブレットを操作して、モニターに映るアイコンを動かしながら皆に俺の最初の作戦プランを説明する。
「ここまでが俺の最初のプランだったのだが……どうやら敵は、その陽動をヒューマンデブリが乗る少数のMSで足止めをさせるのが目的だろう。恐らくは、敵MSの戦力は敵の旗艦に集中していると見ていいだろう。逆に三日月とラフタはその少数のMSに足止めを食らって時間を取られるはずだ。そこでだ、そのプランの修正として先に先行するのは太陽炉を搭載したMSであるアストレア、サダルスード、プルトーネの三機でその足止め役の少数の敵MSを先に無力化させる。そしてガーベラは敵艦がハンマーヘッドとイサリビが接近してくることを悟られない様に主砲やミサイルで牽制しつつも接近するハンマーヘッドとイサリビの周りにはMS隊で船を守るように戦力を集中しながらも側面から敵艦に強襲を仕掛け、イサリビは敵の旗艦にアンカーを打ち込んで取り付く。万が一敵MSがハンマーヘッド達に気づいたとしてもMS隊で防衛する。そして突入チームが取り付いた敵の旗艦に侵入して敵を排除しつつもヒューマンデブリの救出、ブリッジの制圧。そうすれば戦闘中の敵は指揮系統を失い、無条件降伏に応じる様になる。これが、俺が考えた修正プランだ」
タブレットを操作し、最初のプランと修正後のプランを見比べるように“GN-TEAM”と書かれたアイコンを動かし、さらに“HAMMERHEAD”と“ISARIBI”と新たなアイコンを表示させてそれを動かし、“ENEMY SHIP”と書かれたアイコンに接触させる様に動かしてパイロット達に伝える。するとファーランがその作戦に何か思ったのか手を上げた。俺はファーランの意見を聞いた。
「なぁ…ジン。突入チームのことなんだけど、俺も加わっていいか?」
「あ…兄貴、アタシも!」
「ファーランにイザベル?何故突入チームに志願する?」
「俺らの様なヒューマンデブリには昭弘と同様に家族を殺されてヒューマンデブリになった連中も少なからずいるはずなんだ。そういう過去の記憶とダブってパニックを起こす奴だっているかもしれない」
「…もしかして、お前達がまだエスメラルダのヒューマンデブリだった頃の話しか?」
「あぁ、兄貴。アタシたちがまだ海賊のヒューマンデブリだった頃、そういった仲間が多かったんだ。もしかしたら武器を隠し持っている可能性もあるんだ。…もし銃を持っていたら乱射する可能性もある。だからアタシたちも突入チームを手助けしてやりたいんだ!そうすれば…」
「最小限の被害で済むかもしれない……か。……分かった、突入チームであるシノとダンテに伝えておく。……作戦については俺からは以上だ。皆はそれぞれの機体に搭乗してくれ。俺もすぐに合流する。……以上、解散」
ファーランとイザベルの意見を聞いて突入チームに加入することを許可した後、俺はこれブリーフィングを終了させ、それぞれ自分達の機体の方に向かう為ブリーフィングルームを後にするのであった。
皆がそれぞれの船に戻っていった頃、俺はアストレアの装備を調整と同時に阿頼耶識システムをオフラインにして手動による操作に切り替えていた。
「……今回の作戦、自分が考えて立案したものとはいえ嫌な予感がするな。今回は阿頼耶識システムは切っておこう。阿頼耶識なしでも動かせる様に練習はしているから問題はないだろう」
今回はハロは連れて行かずにアストレアへ乗り込み、システムチェックを終えた後に装備を近接格闘戦特化にしてそのままカタパルトに運ばれる。
『リニアボルテージ上昇。射出タイミングをジンさんに譲渡いたします』
「了解。ガンダムアストレア、ジン・工藤。出る!」
いつも通りにカタパルトから出撃した俺はブリーフィングで説明した先行チームである俺のアストレアを含み、レオンのサダルスード、玲奈のプルトーネと合流して太陽炉搭載型MS三機で編成された“GNチーム”が揃った。
『ジンさん、今回はお兄ちゃん共々よろしくね!』
『ジン、君が立てたプラン通りに僕たちは動くよ』
「あぁ、後続が無事に敵艦に接近できる様に先行する敵MS達を陽動するぞ。…行くぞ!」
そういって俺はアストレアの背部スリースラスターからGN粒子を吹かしてブルワーズがいると思われるデブリの密集宙域に向かっていった。レオンと玲奈も自身の機体からGN粒子を吹かし、俺の後を追う様に向かっていった。
しばらくしてブルワーズがいると思われるデブリの密集宙域に到着したジン達。そこで待ち受けている筈の敵MSがいないことに疑問に思ったのか俺は周辺を見渡していた。
「敵が来て居ない……予定より早すぎたか?」
『…かもしれないね。僕たちの使うMSの速度はどのMSよりもはるかに凌駕しているからね』
『まぁ……いなかったら私的に嬉しいけど、逆にいないとみんなが危険だよね?』
「恐らくこちらが予想以上に早く来てしまったのが原因なのかもしれ……っ!前言撤回、丁度良かったけど、厄介なものが出て来たようだ」
俺たちの前に現れたのは本来この世界に存在しない00世界のMS達であった。ユニオンのリアルド。AEUのイナクト。人革連のティエレン。その三ヶ国のMSが二機ずつ俺たちの前に立ちはだかった。その時の俺は表向きは冷静を保っていたものの、内心では存在しないはずのMS達を前に動揺していた。
「(リアルドにイナクト、ティエレンだと!?何故00世界のMSがこの世界に?……まさか、俺が知らない何者かがこの世界に介入しているのか!?レオン達のサダルスードやプルトーネといい、サーシェスといい、どうなって………っ!サーシェス?……奴が00世界のMSの存在を世界に拡散させた可能性は有り得る。…が、まだ確証は持てない。…とにかく今は目の前の敵を倒すしかない!)……レオン、玲奈。このMS達を迎撃するぞ!」
『ジンさん?どうしたの急に?』
『ジン?あのMS達のことを知っているのか?僕たちは初めて見るが……』
「……歪みだ」
『『…えっ?』』
レオン達の問いかけられたが、その問いに答えられる暇のなく俺はただ“歪み”と言い、レオン達を置いてそのまま敵MS達の方に突っ込んだ。
「何故この世界とは関係ないMSがここにいるのか判らない。…だが、俺という
そう自分に言い聞かせながらも俺は敵00世界のMS達を相手にするのであった。
仁Side out
その頃のブルワーズは、カタロン商会から譲り受けたMS等をヒューマンデブリに使わせ、先に先行してくる敵MS隊に鉢合わせるように指示をだす。
『よーし、ガキ共!最初の仕事は先行して来た敵MS陽動部隊の足止めだ!他の連中は艦の周辺で待機だ!』
「お前等!聞いての通りだ。1番から5番、俺と一緒に来い!残りの連中はMSが出て来た時に備えてろよ!」
『『『はい!』』』
ヒューマンデブリのガキ共にそう伝えた俺は何処から敵の船がやってくるのか警戒していた。すると正面から見慣れない戦艦がやって来て、そこから主砲やら多数のミサイルやらバカスカ撃って来やがった。敵艦の主砲でこちらの船に何発か当たったが、距離がある為かほとんどはナノラミネートアーマーで防ぎきってくれた。…だが迫ってくるミサイル…というよりミサイルから放出されているオレンジ寄りの赤い粒子を見て俺は前に緑色の粒子を出すMSのミサイルと同じであることを直感で気づいた。
「チィッ!あの連中の隠し球か!?おいガキ共!さっさとミサイルを迎撃しな!」
俺はガキ共にミサイルの迎撃を指示し、急いで多数のミサイルを撃墜した。するとそれを見計らってからかあの男が言ってた通りにタービンズや鉄華団の船が側面から奇襲を仕掛けて来た。
「どうやらあの男の読みが当たったみたいだな?…癪かもしれねえが今がチャンスだねぇ!1番から5番、付いてきな!連中の船を沈めるよ!」
俺は側面からやって来たタービンズの船の正面に回り込んでグシオンに内蔵されている400mm口径砲“バスターアンカー”の発射体勢に移行し、照準をハンマーヘッドに向ける。
「お前等の動きを読んでいたんだよ!こいつを食ら『…させない』…はっ?ドォッホ!?」
バスターアンカーを撃ち込もうとした矢先に突然グシオンが大きく揺れた。その結果、ハンマーヘッドに照準していたはずがその大きな揺れの影響で別の方角に向けてしまい、さらに最悪なことにバスターアンカーが発射され、最初の初弾は大きく外れてしまうのであった。その大きな揺れの正体は三日月が駆るバルバトスがグシオンがバスターアンカーを撃ち込む前に蹴りを入れ込んで無理やり方角を変えたのだ。
「…えぇいっ!よりによって白い奴に邪魔されるなんて!ガキ共は何やってんだ!」
自身の失態を認めず、ただヒューマンデブリに八つ当たりするしか今のクダルにはなかった。
クダルSide out
光の粒の人が予想した通り敵が船の周りに集まっていた。……すごいな、光の粒の人。予測なのに本当にそうなっていた。そう感心しているとあのデカブツが何かしでかそうとしていた。俺はそれを妨害するように蹴り込んでデカブツの攻撃を邪魔をした。そしてタービンズの船が敵艦に吶喊して、オルガの船は敵の旗艦にアンカーを撃ち込んで船体を貼り付ける。そしてそこから突入チームが敵の船に乗り込んで行った。
『ミカ!無事に突入チームが敵艦に乗り込んだ!お前はイサリビの直掩に回ってくれ!』
「分かった。……っ!」
オルガの指示を聞いてイサリビの直掩に回ろうとした時に一機のMSがこっちに向かって来た。その機体は見たことはなく、だけど何処となく光の粒の人が乗っている光の粒を出すMSと似ていた。ただ、違いを入れるとしたら光の粒の人のMSは緑色で、俺が見ているのは真っ赤な光の粒を出すMSだった。
『見つけたぞ…白い奴!ペドロの仇ぃぃいっ!!』
その真っ赤な光の粒を出すMSはライフルで俺に当てようとした。その時に俺はあのMSが持つライフルの弾に当たってはならないと本能的に感じ取ったのか当たらない様に回避を取った。するとそのMSのライフルから放たれたのは
「…なんか当たると嫌な予感がするな。当たらないようにしないと」
俺はデブリなんかを盾にしながらも敵の攻撃を躱していた。そして大きなデブリの影に隠れて敵の攻撃が止んだところをついてメイスの先端部分についているパイルバンカーをそのMSに突き刺そうとする。しかし、そこで予想外なことが起きた。そのMSは右足を折り曲げて棒状の何かを取り出したと思ったら、その棒状からさっきのライフルと同じように禍々しい深紅の光がメイスの柄を切り裂いた。
「なっ……!?」
『もらったぜぇぇええ!!』
そのMSは先ほどの棒状から出る禍々しい深紅の光を俺に向けて突き刺そうとしていた。その時に俺は死を覚悟した。だけど予想は思っていたのとは違う方向に転がっていった。
『…えっ、左?ガァァッ!?』
トドメを刺そうとしたMSに別のMSが体当たりをした。俺を助けた……というより、敵MSに体当たりをしたMSに俺は見覚えがあった。それは光の粒の人が補給の時に持って来た予備機の一つで、肩が独特で少し変わっているが、光の粒の人と同じ緑色の粒子を出すMSだった。……ただし、何故か黒色で戦っていたMSと同じ真っ赤な光の粒を放出していた。
「あれって……光の粒の人のMS?…でも色が違う」
そんな疑問という空白に満ちる中、その黒いやつは敵MSを連れてどっかに行ってしまう。
「何だったんだろう、彼奴?……そうだ、オルガ!」
俺はオルガの言われてた命令を果たす為にすぐにイサリビの方に戻って行った。
三日月Side out
リアルド、イナクト、ティエレンといったMS達はジンが駆るアストレアによって無力化されていた。……正確に言えばアストレアがリアルドを二機、イナクト、ティエレンを一機を無力化したと言うべきだろう。残りのイナクトとティエレンはレオンが駆るサダルスードと玲奈が駆るプルトーネによって無力化されるのだった。この時にジンは少し冷静でいられなかったのか呼吸が少し荒くなっていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……終わったのか?」
『ジン、大丈夫かい?何だか少し変だよ。君らしくない』
『ジンさん……お疲れですね』
レオン達に言われて余りにも自分らしくないと改めて痛感する。この世界に00の世界のMSが何故この世界にいるのか分からないが故に動揺してしまい、挙げ句の果てに単機で敵部隊をほぼ壊滅させた。余りにも自分らしくない行動である。
「……あぁ、すまない。あの時の俺は自分のらしく……っ!三時の方向……」
二人に謝罪しようとした時にセンサーが何かを捉えた。俺はそのセンサーが感知した方角に向けると、そこには上半身が人型で下半身がゲテモノに近い形状をした機体であった。
『何だアレは?敵の増援か?』
『アレは……MS?けど……どことなく違う?それに……あの色合い、何処かで……』
二人は初めて見る機体であったが、俺はこの機体……いやっバディクラフトと言うMSサポート用キャリアビークルの存在を知っていた。その名は“アグリッサ”。三大国家群の合同軍事演習の時に、サーシェスがAEUイナクトカスタムと合体させて運用し、刹那が駆るエクシアを鹵獲するために用意したMAである。
「アレは……アグリッサ…!…となると、アレを動かしているのは!」
俺はバディクラフトであるアグリッサユニットの上部あるMSを見ると、そこには以前タービンズや鉄華団に襲撃して来た隊長格であるグレイズのカスタム機の姿があった。それ即ち、アリー・アル・サーシェスがブルワーズを通して俺たちの前に再び姿を現したのだ。
『この前の借りを返させてもらうぜ!えぇ?ガンダムさんよぉ!!』
ジンの立案したプランの下に行動するオルガ達。そしてジンは、あの男と再び対峙する。その時、玲奈にある異変が生じる。
次回、『忌まわしき記憶』
その記憶は、復讐の為のものか?