鉄華を救う正義の女神(一時休止中)   作:コレクトマン

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女神の初陣

 

 

俺が二人の所にいるハロたちの所に向かい、彼らと対面した。当時の二人はやたら警戒していた。……そりゃそうだよな?こんな訳の分からない場所に連れてこられて何をされるのか分かったもんじゃない。

 

取り敢えず俺は未だに警戒している二人に声をかけようとする。

 

 

「とりあえず話だけは聞いてくれないか?取って食うわけではない……」

 

「どうだが……それよりも、アンタは誰だ?」

 

「そういえば名乗ってなかったな。俺は工藤……あぁ、そういえば名前が先だったな。改めて俺はジン、ジン・工藤だ。俺のことはジンでも構わない」

 

「ジン…か。アンタが俺たちを助けたのか?」

 

「あぁ。俺は自分の持つMSで残骸となったMSや戦艦を探している時に偶然だが、お前たちが乗っていたMSを見かけてな。まだ生きていると分かった時にはお前たちが乗ってきたMSごと回収して今に至るって事だ」

 

 

俺が二人を助けた本人である事を伝えるとファーランが俺にあることを聞き出した。

 

 

「…アンタが俺たちを助けてくれた事には感謝している。だが、アンタは見返りに何を欲しているんだ?」

 

 

どうやらファーランは俺が助けた礼をせがんでいるに違いないと思っているようだ。…まぁヒューマンデブリからしたらそう思われても仕方ないと思った。

 

 

「見返り…か。そのことなんだが、俺もお前たちと()()()と言えばいいか?」

 

「同じ者?……まさかアンタ、俺たちと同じヒューマンデブリか?」

 

「そうとも言えるし、そうでもないとも言えるな」

 

「はぁ?どういうことだよ、そりゃ?」

 

「まぁ聞け。要するにだ、俺はお前たちと同じ阿頼耶識使いだ。…ただ、()()()()()けどな」

 

 

そう言って俺は二人の前で俺の背中に取り付けられてあるオリジナルタイプの阿頼耶識システムを見せた。オリジナルの阿頼耶識を初めてみた二人は驚きを隠せなかった。

 

 

「これは…!確かにヒゲがない!」

 

「でもそれって阿頼耶識っていえんのか?アタシらが見た阿頼耶識の殆どはヒゲ付きだったぞ!」

 

「お前たちがこれを初めて見るの無理のない。これこそが完成された本来の阿頼耶識システムのオリジナルだ。お前たちのはナノマシンの純度が低い粗悪性の阿頼耶識システムだ。俺のは誰かは分からないが知らぬ間に施術されたと言うべきか?そこん所はお前たちと同じように拒否権すらないままってやつだ」

 

 

そう説明している時に緑ハロがやって来て俺にあることを伝えに来た。

 

 

《ジン、敵ガ来タ!敵ガ来タ!》

 

「敵?ハロ、敵の艦種は?」

 

《強襲装甲艦一隻!強襲装甲艦一隻!》

 

「強襲装甲艦…!?」

 

「もしかして、奴らか!?」

 

 

二人がハロが言う強襲装甲艦について何か知っているのか、イザベルがハロに詳しいことを聞き出した。

 

 

「なぁ!丸っこいの!その船に黒色の塗装が施されていなかったか!?」

 

《敵、黒色!敵、黒色!》

 

「黒色…。どうやら奴ら、まだ俺たちのことを諦めていなかった様だな」

 

「どうするファーラン?アタシらが乗ってきたMSは既にボロボロで動けないよ!?」

 

 

どうやら二人を取り扱っていた例の海賊がこの基地にいると判明して此処に来たって事だな。恐らくだが、俺が回収した二人が乗ってきたMSのリアクターの周波数を辿ってきた様だ。…ちょっと失敗したな。リアクターの動力源をちゃんと切ってあるか確認しとけば良かった。悔いても仕方ないと思った俺は悔いるのを止め、向かってくる敵の対処を行う。

 

 

「…どの道こうなることは想定していた。俺が通信を入れて誤魔化しておく。二人は何処か隠れてろ」

 

「え……何で?」

 

「さぁな?この行動はただの偽善だってことは自覚している。そして、俺がお人好しすぎるのもな」

 

「じゃあだったら尚更……!」

 

「一度関わったら降りることは出来ない。だから俺は、関わってしまったことは最後まで関わり抜くと決めた。ただ、それだけだ。行くぞハロ」

 

《了解!了解!》

 

 

そう言って俺はハロと共に部屋を出て、基地に向かっている一隻の強襲装甲艦を窓越しに確認した後に俺とハロはMSハンガーに向かっていった。

 

 

 

MSハンガーに到着する前に更衣室でパイロットスーツを装着した後に俺とハロはアストレアに乗り込み、コックピットハッチを閉じた後にハロを専用のユニットに置かせた。そしてアストレアを乗せた台がカタパルトへ搬送されている最中、ハロはある通信を傍受する。

 

 

「ハロ、敵はどうしている?」

 

《敵艦ヨリ通信!敵艦ヨリ通信!》

 

「通信?……とりあえず繋いでくれ」

 

 

ハロが敵強襲装甲艦からLCS通信を傍受してそれをつなぐと、そこには何処にでもいそうな伊達男とその部下らしき者たちがブリッジを通してホログラムウィンドウが映し出された。

 

 

『こちらは海賊“エスメラルダ”の団長“ローガン・スプリガン”だ』

 

「あー……小惑星基地に住んでいるジン・工藤だ。それで、この基地に何の用だ?」

 

『何、そう邪険になるな。俺たちはある盗人のヒューマンデブリ等を捕まえに来ただけだ。そのヒューマンデブリは俺たちのMS一機と少量の金を盗って逃げやがったんで追跡した所お前んとこの小惑星基地に盗まれたMSのリアクターの周波数を感知したんでやって来ただけだ』

 

 

ここまでは俺が予想してた通りエスメラルダと名乗る海賊はファーラン達を連れ戻しに来た様だ。それ相応の落とし前をつける為に。

 

 

「あぁ…俺が回収したMSの事か。それは済まないことをした」

 

『何、機にするな。ヒューマンデブリなんざ何処にでいやがるんだ、MSが残ってあれば御の字だ。…んで、お前はMSを回収したと言ったな?そのMSに乗ってたヒューマンデブリ共はどうした?』

 

「彼らなら死んでいた。何かしらの戦闘後で激しく損傷していたらしく、彼らを見つけた時には既にことが切れていた。些か簡素だが、宇宙に埋葬してやった」

 

『成る程な。……ちっ、上玉を逃したか

 

 

ローガンは俺には聞き取れない様に小言で呟いた。どうやらこの男はファーランはどうでもいいとして女性であるイザベルを何かしらの道具として飼い殺そうとしている様だ。…ちっ、エグい考えをしやがる。

 

そう思っている時にローガンは言葉を続ける。

 

 

『……分かった。だったらMSをこちらに引き渡してもらおう。……と、思ったのだが事情が変わった』

 

「……どういう事だ?」

 

『お前が住んでいる小惑星基地をこちらに明け渡してもらう。何処でどういった経由で入手したのかは分からんが、お前だけが使っていては宝の持ち腐れと言うものだ。もし明け渡すというのならお前を俺たちがこき使ってやるよそんでもって俺たちがこの小惑星基地を有効的に利用してやる』

 

 

…どうやら奴らは完全にこの基地を奪うつもりの様だ。くだらねえ……一体何処の三下の言うセリフだ?

 

 

「そうか……お前らの言い分はよく分かった。だが、お前らは二つぐらい勘違いしている」

 

『何っ?』

 

「一つは俺は清潔第一である事だ。お前ら海賊や盗賊どもに土足で家を荒らされたんじゃ溜まったもんじゃない」

 

『ほぉ?大きくでたな…』

 

「それともう一つだ。薄々勘付いているかも知れんが一応言っておく」

 

 

その時にローガンは嫌な予感でも感じたのか、指で隣に立っていた部下に指示を出した。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『それがお前の答えか。……フンッ!まぁいい、精々強がっている事だ。その方が潰し甲斐があるというもの!』

 

 

繋がっていた通信が向こうが切った事でホログラムウィンドウが閉じた。俺はハロに対艦・対MS戦用の装備の用意や小惑星基地の防御システムを起動させる様指示を出した。

 

 

「ハロ!GNロングブレイド二本を腰部に、GNハンドミサイルを両脚部に取りつけろ!それとこの基地の防御システムを起動後、俺がでた後に粒子貯蔵タンクに貯めていたGN粒子をフィールドにして展開し、基地を守れ!」

 

《了解!了解!》

 

 

ハロは俺の指示通り作業用アームでアストレアにGNロングブレイド二本とGNハンドミサイルを取り付けた後に俺はレバーを握り直した。

 

 

 

ここからは俺やアストレアにとっての初陣だろうな。まだ俺は人殺しの経験すらない。だが、いずれは通らなくてはならない道だ。人を殺して後悔することすら許されない。後悔の記憶は、次の判断を鈍らせる。そして決断を他人に委ねてしまう。そうなれば後は死ぬだけだ。

 

 

 

「だからこそだろうな……。(俺は生き残る為に、そしていずれ接触するであろう鉄華団やタービンズが破滅の道を止める為に…俺は!)」

 

《発進準備OK!発進準備OK!》

 

「了解だ。……ジン・工藤、ガンダムアストレア。目標を殲滅する!」

 

 

カタパルトから出撃した後に基地内にいるハロたちが防御システムを起動させて基地内で生成し、貯めていたGN粒子を圧縮し、放出させて基地全体にGNフィールドが展開される。そしてアストレアを操縦する俺はGN粒子を放出しながらも敵艦へと向かっていった。

 

 

仁Side out

 

 

 

ジンと名乗る男がこの部屋を出てから俺たちは残っていたオレンジ色の球体型のロボットことハロが何かをしていることに気づいた。

 

 

「おい…何してんだお前?」

 

《モニター表示!モニター表示!》

 

「モニター?何でモニターなんだ?」

 

 

イザベルの疑問に答えることなくハロはこの部屋にあるモニターを表示させた。するとそこには俺たちを追ってきた海賊がMSを展開していた。そしてモニターが別の映像に切り替わるとジンが乗ってきたと思われるMSが海賊のMS隊に向かっている姿があった。

 

しかし、驚くべきことがあった。ジンが乗るMSは他のMSとは違ってフレームが装甲で覆われている。装甲を全身に覆っているMSといえば同じ海賊組織の一つである“ブルワーズ”がロディ・フレームをレストアし、積載重量の限界まで装甲強度を強化した超重装甲型の機体“マン・ロディ”がそうだ。だが、ジンの乗るMSはどうだ?マン・ロディとは違ってより人型に似せてまるで人間の様な姿と言ってもいいぐらいにシャープなフォルムをしていた。そして何よりも、そのMSの背中からスラスターのガスとは違った淡い緑の光の粒の様な物が背中のスラスター部分から放出されている。

 

 

「何だ、あの光の粒は?スラスターから放出されているのか?」

 

「わぁ……なんだろう?スッゲェ綺麗だ」

 

 

そう呟いた俺たちはその光の粒を放出しつつもジンの乗るMSはエスメラルダのMS隊と交戦に入るのを見ているしかなかった。

 

 

ファーランSide out

 

 

 

例のヒューマンデブリの件、さっきの小僧が言ってたことは嘘だろう。そして何より俺ですら知らない未知の小惑星基地。あそこを俺たちの活動拠点にするには打って付けだ。

 

 

「頭、全MSの出撃が完了した。それと、あの小惑星基地からMSが発進した所を出ていたMSが肉眼で捕捉したそうだ」

 

「そうか、なら砲撃だ。あの小僧が言っていた防御システムとやら本当ならそれを拝ませてもらうじゃないか?」

 

「…フッ、了解」

 

 

 

“ローガン・スプリガン”

 

 

海賊エスメラルダの団長にして元ギャラルホルンの名家、スプリガン家の当主であった者である。

 

 

 

何故その男が没落し、海賊稼業を行なっているのかは彼の過去の行いが原因であった。彼はギャラルホルンの名家であるスプリガン家の当主であることを利用し、気に入った女性のヒューマンデブリを高い値で買い取って彼専用メイドとして雇用していた。しかし、彼は女の取り扱いは最悪で気に入らないことがあればメイドに買い物と表して外に行かせ、暗殺者(ヒットマン)にその気に入らなくなったメイドを始末させ、表向きには事故死として処理をするという外道でもあった。

 

それが災いし、今まで暗殺者にいつも通りに用済みのメイドを始末する依頼を頼むがその暗殺者がヘマをやらかしてメイドの暗殺に失敗した。そこから彼の人生はどん底に沈み始める。彼は万が一のことを想定していたのか逃走経路を確保しており、彼がギャラルホルンから逃亡する前に家の中の財産を七割も持ち込んでそのまま逃走した。その結果、当主であるローガンは逃亡し、スプリガン家は没落と同時にローガンを除く家系は滅亡した。そして彼は家から持ち込んだ財産を売り飛ばして船を手に入れ、傭兵やヒューマンデブリを雇い海賊稼業の人生を歩むのであった。

 

 

 

そして今、彼は強襲装甲艦に搭載されている主砲を小惑星基地に照準を向ける。砲撃準備が完了し、砲撃指示を出そうとした矢先に小惑星基地に異変が起きる。

 

 

「…!頭、小惑星基地から何かが放出している!」

 

「何っ!……何だアレは?」

 

 

小惑星基地から光の粒の様な粒子が放出され、やがてその粒子は膜の様な形を形成し、小惑星基地を囲う様に包まれた。

 

 

「何だアレは?ナノミラーチャフか?」

 

「アレが何なのか分からんが……構わん!ただの虚仮威しにすぎん、主砲で撃ちまくれ!」

 

 

ローガンの指示で強襲装甲艦に搭載されている四門の主砲が小惑星基地に向けて砲撃を開始した。しかし、砲撃したのにも関わらず砲弾は小惑星基地に直撃することなく膜の様に形成された粒子の壁によって弾丸が弾かれていた。

 

 

「小惑星基地に損害なし!アレはナノミラーチャフじゃない!」

 

「チィ…!あの小僧が言っていた防御システムというのはアレのことだったのか。MS隊はどうだ!」

 

「現在、我がMS隊は先程小惑星基地から出撃した一機のMSと交戦中!されど劣勢に立たされている様だ!」

 

 

その証拠にモニターに映し出された映像には先程の小惑星基地と同様に交戦していたMSは光の粒の様な粒子を背中のスラスターから放出し、我がMS隊を翻弄していた。それも剣と両脚部に装着されているミサイルランチャーだけで。

 

 

「エェイ!たかが一機のMSに何を手こずっている!」

 

 

MSの数といい、強襲装甲艦を持ち合わせている為こちらが優位の筈なのに、たった一機のMSを相手に何故か勝てる気がしなかった。

 

 

「くぅっ!いささか面倒だ。こうなった……各MSに伝えろ!ローガンが出るとな!!」

 

 

そう言って俺は格納庫に向かい、ギャラルホルンから逃亡する際にくすねておいたMS“シュヴァルベ・グレイズ”に搭乗して出撃準備に入る。これが彼にとって人生最後の分かれ目であることを知らずに。

 

 

ローガンSide out

 

 

 

小惑星基地から出撃し、敵MS隊を捕捉すると強襲装甲艦が主砲で小惑星基地に向けて砲撃をした。あらかじめハロに指示を出しておいた通り小惑星基地からGN粒子が放出され、GNフィールドを形成して敵艦の砲撃を防いだ。

 

 

「……改めて思うが便利なものだな?GN粒子ってのは」

 

《敵機接近!敵機接近!》

 

「さて……こっちも始めるか。行くぞハロ」

 

《了解!了解!》

 

 

俺はGNロングブレイドを二本抜刀し、両脚部に装着されたGNハンドミサイルを敵MSであるスピナ・ロディ三機に向けさせてマルチロックした後に左右三門の発射管から六発のミサイルが放たれた。敵MS三機は手持ちのライフルでミサイルを迎撃する。

 

 

「くっ!MSにミサイルを搭載させていたのは驚いだが、よく見たら奴はミサイル以外の射撃武装はない!デブリどもは奴を撹乱しろ!その隙に俺が……っ!?」

 

 

隊長機のMSに乗る男がヒューマンデブリに指示を出している時にそれ以上の言葉は続かなかった。何故なら、ジンの乗るアストレアのGNロングブレイドが隊長機のMSのコックピットを突き刺して確実に殺していたからだ。

 

 

「先ずは一機……っ!」

 

 

すると背後から奇襲してきた一機のスピナ・ロディが滑らかな動きでブーストハンマーを構えて攻撃をする。その時に俺は空いていた片手が持つGNロングブレイドで受け止める。受け止めた際に衝撃で少し下がったがすぐに立て直し、刺していたGNロングブレイドを引き抜いて奇襲してきたスピナ・ロディの首根っこに突き刺して首を切断し、距離を取る為に首を切断したスピナ・ロディを蹴り飛ばす。

 

蹴り飛ばした時にスピナ・ロディのコックピットを覆う装甲が剥がれ、コックピットむき出しの状態になった。その時に俺は見た。ヒューマンデブリとなった子どもが阿頼耶識システムを通してMSを操縦する姿を……。

 

スピナ・ロディを操縦するヒューマンデブリはコックピットむき出しのままの状態でも手に残っていたブーストハンマーを使ってアストレアに叩き込もうとする。

 

 

「まぁだだぁぁああーー!!?」

 

「……ちぃ!」

 

 

俺は迷いや戸惑いといった情を表に出さず、GNロングブレイドでコックピットむき出しの状態になったスピナ・ロディのコックピットに突き刺す。その時にGNロングブレイドにはヒューマンデブリの返り血がこべりついた。

 

 

『カーティスっ!?』

 

『嘘だろ……!?何だよ彼奴っ!?』

 

『くそッ、よくもカーティスをっ!!』

 

 

ヒューマンデブリが乗る他のスピナ・ロディ達が動揺する中、一機だけ仲間の仇を取ろうとアストレアに突っ込みながらも110mmマシンガンに搭載されている400mmグレネードランチャーを撃つ。

 

しかしアストレアはその400mmグレネードランチャー弾を躱すどころか手に持つGNロングブレイドでそれを両断する。両断されたことで400mmグレネードランチャー弾が爆発して爆煙がアストレアを包み込む。この時ヒューマンデブリは敵を倒して仇を取れたと思った。

 

 

『やったか!?……っ!?』

 

 

だが…期待は大きく裏切られ、その爆煙の中からアストレアが出てきていつの間にか逆手に持ったGNロングブレイドを攻撃してきたスピナ・ロディの装甲で覆われた胴体のフレームに刃筋を立てて、そのままGNロングブレイドを引く様に斬り裂き、装甲をフレームごと両断した。

 

 

 

この時にアストレアを操縦しながらも俺はある違和感を覚えた。何故人を殺したのにも関わらず罪悪感を感じられないのか?

 

 

 

今さっきヒューマンデブリを殺した時もそうだ。少年兵とはいえ元を正せば彼奴らは戦争孤児だ。それを理解しているのに何故罪悪感を抱けないのか?その疑問が俺の行動を少し鈍らせた。

 

 

「(何故だ……?何故俺は人を殺したのに気分が悪くならないんだ?阿頼耶識の副作用か?いや……それはありえない。副作用なら感情ではなく後遺症が一番の副作用であること理解している。一体何故だ…?)くそっ………どうなっているんだ、俺の身体………!」

 

《増援接近!増援接近!》

 

「…っ!新手っ?」

 

 

ハロが敵の増援を感知して俺に知らせた後に俺は増援と思われるMSを目視で確認する。

 

 

「アレは……シュヴァルべ!?ギャラルホルンのMSも奪っていたのか!」

 

 

そう考える時間もなく、敵の増援として来た黒いシュヴァルべ・グレイズが左腕に搭載されているワイヤークローを射出しアストレアの腕を絡め取ろうとする。だがその前にジンは操縦桿を器用に動かしてGNロングブレイドで射出されたワイヤークローを切り払う。

 

 

『ほぉ…!今の動き、貴様()()()だったか』

 

「ちっ…総大将が自ら出撃か。俺としてはその呼び名は好まんのだが……」

 

『何を抜かすか……貴様の動きは船を通して観察させてもらった。ネズミでありながら人を殺したのは今日が初めてか?』

 

 

ローガンは動揺させようとしているのか俺に煽ってくる。

 

 

「カンに触る奴だな……それでよく生きているな」

 

『フッ……強がりはよせ、人殺しを初めてやったことで戸惑いを感じているのだろう?所詮は貴様はヒューマンデブリと同じ阿頼耶識を埋め込んだ者は人間じゃねぇ。そんな半分機械野郎が人間様に楯突くな、所詮ヒューマンデブリは替えの効く奴隷にすぎ「……黙れ」……あぁ?』

 

 

その時に俺は敵の総大将の言う言葉に少し怒りを抱いていた。ヒューマンデブリが()()()()()()()?それを聞いた時には感情の奥底に溜まっていた怒りのマグマが活発化していた。

 

 

「お前の言い分は分かった。だが、ヒューマンデブリが人間じゃない?お前の様な人間の姿をした人で無しのクズの方が最も人間じゃなく魔性のクズだってことを自覚できないお前が()()()とは思えんな?」

 

『き…貴様っ……!2番から4番は俺と一緒にこいつを潰す!残りは小惑星基地に向かい、中を制圧しろ!!』

 

『『『はいっ!』』』

 

 

敵総大将の指示で残ったスピナ・ロディ三機は黒いシュヴァルべ・グレイズを援護する様に集まり、残りの二機は小惑星基地に向かって行った。

 

 

「逃すわけないだろ。ミサイルがまだ余っているんだ、全部持っていけ!」

 

 

俺はアストレアの両脚部に装着された残りのGNハンドミサイルの残弾を今いる全てのMSに向けてマルチロックした後に左右三門の発射管から残っていた全てのミサイルが発射された。ヒューマンデブリが乗るMS達はミサイルを迎撃するもミサイルの数が多いことに戸惑ったのかミサイルの1〜2発を撃ち漏らしてMSに直撃し、二機は行動不能になって残りの五機は今の直撃で死亡したりと敵に大きな支障が出来た。その内黒いシュヴァルべ・グレイズは発射されたミサイルを冷静に対処し、自身に向かってくるミサイルを全て迎撃した。

 

ローガンはヒューマンデブリたちに指示を出そうと動いているMSを見渡すが、どれもアストレアから放たれたミサイルによって全滅していた。そして気付いた時には残っているのは自身しかいないと悟りつつも悪態を吐くのであった。

 

 

『エェイ!どいつもこいつも役に立たん奴らどもめ!』

 

「口だけで威張っている小物が何を言っている。……で、どんな気分だ?散々ヒューマンデブリを人間じゃないと言っていたのに立場を逆転された気分は?」

 

『…ぐっ!舐めるなぁっ!!』

 

 

俺の言ったことに感が触れたのか黒いシュヴァルべ・グレイズはバトルアックスを持ちアストレアに向けて振るう。俺はGNロングブレイドで振るってきたバトルアックスを俺の後ろへ受け流す様に躱す。

 

 

『ちぃ!ちょこまかと…ぐっ!?』

 

 

攻撃を受け流された総大将はすぐに転換して120mmライフルをアストレアに向けようとした時にはアストレアが持つGNロングブレイドがシュヴァルべ・グレイズの右腕の装甲の薄い隙間のフレームに突き刺し、右腕を使い物にならない様にした。総大将ことローガンはMSの操縦に関しては素人ではないがエースでもないといった腕前を持つが、圧倒的に劣勢であった。

 

それは、ジンがオリジナルの阿頼耶識システムとこの世界には存在しない技術であろうオリジナルの太陽炉とGN粒子を応用した武装の恩恵があるが故にローガンを圧倒していた。

 

 

『ぬぅ…!まだだ!まだ終わら……ぐほぉっ!?』

 

 

シュヴァルべ・グレイズ残った左腕に持つバトルアックスで反撃するべく振るおうとするが、先にアストレアのGNロングブレイドがシュヴァルべ・グレイズのコックピット突き刺し、断末魔を上げることなくローガンの命は散った。残るのはコックピットという名の心臓を貫かれ、動くことのない人の形をした鉄の塊と化した。

 

 

「悪いが…もう終わりだ。…ハロ、敵艦はどうなっている?」

 

《敵艦転進!敵艦転進!》

 

「転進…だと?」

 

 

俺は敵の強襲装甲艦の方を見てみるとその艦は180度回頭させてこの空域から離脱していった。

 

 

「さっきの奴が敵の大将だったか。大方そいつがやられて一目散に逃げたってことか」

 

《ドウスル?ドウスル?》

 

「……放っておこう。今は撃破したMSの残骸やまだ生き残っているヒューマンデブリを回収しよう。ここで放置するわけにはいかない」

 

《了解!了解!》

 

 

海賊組織エスメラルダの団長を倒した俺は、コックピットを潰されて大破したシュヴァルべやヒューマンデブリが生き残っている二機のスピナ・ロディを回収するのであった。

 

 

仁Side out

 

 

 

アタシたちはジンと名乗る男が光の粒を背中から出す謎が多いMSで後に増援が来て九機もいる海賊のMS隊をたった一機で圧倒し、海賊のボスであるローガンが乗るシュヴァルべ・グレイズもあっという間に倒しちまった。その姿はまるで天使の様に綺麗だった。そしてそのMSは倒したシュヴァルべ・グレイズや動けなくなったスピナ・ロディ二機を運んでこっちに戻ってきた。

 

 

「すっげえ…!あのMS、たった一機であの海賊のMSたちを圧倒して仕舞いにはあのローガンを倒しちまった……」

 

「あぁ……あのMSの性能ってこともあるが、さっきジンが言ってたオリジナルの阿頼耶識のおかげってこともあるな。だけど、あのMSから出る光の粒………あれは何かの粒子か?」

 

「え……あれが粒子?MSに搭載されているリアクターのエイハブ粒子とは違うのか?」

 

「それも考えたんだが……あの粒子は背中のスラスターから外へ、スラスターのガスの代りの様に放出されていた。そんなMSなんて聞いたことない。……となると、考えられるのは一つ。あいつが独自で作り出したエイハブ・リアクターとは違う未知のエネルギー機関ってことだ」

 

 

ファーランが云う様にジンがアタシたちが知らない未知のエネルギー機関を独自で作り出したということ。でも、今のアタシには理解するのは難しかった。

 

 

「未知のエネルギーで動くMSか。……ジンなら何か知ってんのかな?」

 

「さぁな?あいつがお人好しだってのは分かるが、機密性のある事を話すと思うか?」

 

「そう…だよな。………あのさファーラン、アタシらはこれからどうする?」

 

「どうするって言ってもな……。あの未知のエネルギー機関のことが気になるしな。俺はあいつにここで働けないか聞いてみるさ。それで、イザベルはどうなんだ?」

 

 

アタシはファーランにこれからのことを聞くとファーランはあの未知のエネルギー機関の正体を探る為にここに居ようと答える。そしてファーランがアタシにどうするか聞いてきた。

 

 

「アタシは…《ジン、戻ッタ!戻ッタ!》……!」

 

 

アタシが答える前にあの天使の様なMSに乗っていたジンがここにやって来た。

 

 

イザベルSide out

 

 

 

海賊の団長を倒した俺は一応修復可能なシュヴァルべとまだ生き残っているヒューマンデブリが乗るスピナ・ロディ二機を回収し、基地に帰還して新たに基地に入れたヒューマンデブリを人型の作業用ロボットに乗っているハロ達に任せて、俺はイザベルたちがいる部屋に戻ってきた。

 

 

「待たせてすまない、戦闘後の処理で手間取っていた」

 

「あ…あぁ。さっきのアンタ、凄かったんだな?」

 

「そうでもないさ。あれでも実戦は初めてだったからな」

 

 

ファーランたちは俺が実戦は初めてであると知ると驚いた表情をしていた。……正直な話、何かが俺の感情を抑制されつつの初めての実戦ってのはある意味気味が悪い。この正体はいずれ解き明かすつもりでいるとファーランがある提案を出した。

 

 

「……実は頼みたいことが「あのさ…ジンの兄貴!」…イザベル?」

 

「兄貴……?」

 

「なぁ…頼む!アタシたちを雇ってくれ!」

 

 

ファーランの提案を聞く前にイザベルが俺のことを兄貴と呼び、更にはファーランと共に雇って欲しいと頼んできた。

 

 

「アタシ、兄貴のMSの動きを見て凄え綺麗と思ったんだ。まるで天使の様だった。アレ、やってみたいんだ!アタシも!」

 

「イザベル……まぁ、俺からも頼むよ。俺はイザベルが考えていることは違うが、一応阿頼耶識でMSを操縦できる訳だしな」

 

 

イザベル達が仲間になりたいと言われて正直俺は迷った。しかし、関わった以上最後まで関わり抜くと自分で言ったのだから俺は最後まで責任を持つことにした。

 

 

「……分かった、お前たちを雇う。この基地に住み着いてもいい」

 

「…!本当か!」

 

「但し、まず先に風呂入ってこい。ハロがその道を案内してくれる。俺は二人の部屋の用意をしてくる」

 

 

そう言って俺は二人の部屋の用意をしようとこの部屋を出ようとすると急にイザベルが抱きついてきた。

 

 

「……!有難う、兄貴!!」

 

「…!?おいっ急に抱きつくな?!」

 

「……ッ、ハハハハッ!」

 

 

ファーランはこの楽しそうな光景につい笑い出していた。この時に俺は思った。仲間を持つのも悪くないと………

 

 

「そういえばまだ名前が言ってなかったな?俺はファーランだ。宜しくな、ジン」

 

「アタシはイザベル!宜しくな、兄貴!」

 

「あぁ……宜しくな、二人とも」

 

 

こうして俺はこの世界で初めて二人の仲間をこの基地に迎え入れた。

 

 

 






新たな仲間を迎え入れたジン。しかし、その為には新たな機体が必要だった。


次回、『ギャラルホルン』


角笛の者は、女神に見惚れる。

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