鉄華を救う正義の女神(一時休止中)   作:コレクトマン

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鉄華との接触

 

 

火星へと進路をとってから六時間もの時間が経過した。俺はハロと一緒にMSの装備の点検をしたりして暇を潰していた。

 

 

「ハロ、プロトGNソードの方はどうだ?」

 

《切レ味良好!切レ味良好!》

 

「良し、ある程度ソード表面にGN粒子を回せば切れ味の向上は理論上、問題は無い様だな。……後はシュヴァルべやグリムゲルデの武装の点検か」

 

 

俺は各MSの装備の点検に精を入れるのであった。

 

 

 

それから一時間が経過した。

 

 

 

現在の俺は艦橋で艦長に指名して船を任せている“オリバー”から状況を聞き出した。

 

 

「オリバー、どうだ?火星の進路に何か無いか?」

 

「問題は無いよ。火星までは後小一時間も掛からないよ。今の所はこの船以外のエイハブ・ウェーブは感知されていないよ」

 

「そうか……後小一時間か。……オリバー、パイロットたちを集めてくれ。少数の偵察隊を編成して火星付近の偵察に向かう。因みに、俺もその偵察に出る」

 

「大丈夫なのか?偵察に出るのは構わないが、ギャラルホルンと一戦交えることは避けてくれよ?」

 

「それは角笛の連中に言ってくれ。頼んだぞ、オリバー」

 

 

どうやらオリバーは俺がギャラルホルンと一戦交える可能性があると思ったのだろう。俺だって個人的に戦闘は避けたいつもりだ。だが、状況によっては避けられない場合もあるのだ。

 

そう思いながらもイザベル達を含む他のパイロット達が艦橋に集まり、俺はパイロット達に偵察の目的を説明する。

 

 

「みんな、集まったのは他でも無い。これから偵察隊を編成して、ここから火星軌道上までMSで偵察を行うつもりだ」

 

「急だな…?その火星軌道上に何かあるのか?」

 

「判らない。だが、出航前にハロがオルクス商会の船のネットワークをハッキングしたのを覚えているか?今回もまたハロがまた一つの情報を入手したそうだ」

 

 

俺はハロが入手した情報を皆に伝えた。オルクス商会は鉄華団…もとい、その鉄華団にいる火星の独立自治都市“クリュセ”の代表首相、ノーマン・バーンスタインの娘。“クーデリア・藍那・バーンスタイン”を地球まで送り届けるはずなのだがギャラルホルン火星支部の司令に情報を売って鉄華団を裏切り、クーデリアの身柄をギャラルホルン火星支部に引き渡して資金を得るというものだった。

 

 

「はぁっ!?じゃあっそのクーデリアって人の身柄を手に入れば鉄華団は用済みってことかよ!」

 

「正確には“クーデリアを始末すればギャラルホルンにとっては都合が良い”だな。ギャラルホルン火星支部の司令は火星の武器商人である“ノブリス・ゴルドン”とある取引をしている。その取引内容は火星独立運動の象徴であるクーデリアを始末することだ。そうすればギャラルホルンお得意の情報統制の下、彼女を表向きに事故死にさせてノブリスから大量の資金援助を得られるということだ。それにオルクス商会は目をつけてあえてギャラルホルン火星支部の司令に情報を売ったのだろう」

 

「いくら金に目が眩んだとはいえ、流石に俺たちでもキレる内容だな」

 

「全くだ、ギャラルホルンの腐敗がここまで酷いなんてな……」

 

 

ファーランを含め、何人かはそのノブリスという武器商人に怒りを抱く。

 

 

「……そこでだ、今回は少数で偵察隊を編成する。残りは万が一の時に備えて艦の護衛だ。そしてその少数で編成されるメンバーなのだがもう決めてある。イザベル、俺と一緒に偵察に向かう」

 

「へ……?ア…アタシ?」

 

 

イザベルは自分が指名されることを考えていなかったのか間抜けた声を出すが、俺は気にせずそのまま説明を続ける。

 

 

「イザベルのグリムのスピードならギャラルホルンのグレイズに遅れは取らないだろう。今回の偵察は俺が作ったMSサイズの光学迷彩マントを使用し、火星の方へ向かう」

 

「なるほど……けどよ、MSのリアクター反応はどうするんだ?」

 

「その件はすでに考えている。俺のアストレアはエイハブ・リアクターを使わないMSだ。それを利用してリアクターをスリープ状態にしたイザベルのグリムを牽引する。一応見つかった時はギャラルホルンと一戦交え、そこから先は状況判断で行動する。潮時を見誤らないように行くぞ。……俺からは以上だ。イザベル、五分後には俺と一緒に出撃するぞ」

 

「分かったぜ、兄貴!」

 

「良し……他の皆はそれぞれ自分の役目を果たすぞ。全員、解散」

 

 

その合図で全員は各々の役目を果たす為に行動し、俺とイザベルも己の役目を果たす為に行動する。

 

 

 

パイロットスーツに着替えた俺たちはMS格納庫にて自分のMSに搭乗して出撃準備に入る。尚、今回アストレアの装備はプロトGNソードとGNシールド、両脚部にはGNハンドミサイルを装備した。それと、基地から出航している間にハロ達と共に改造したある射撃武装を装備する。その名も“NGNサブマシンガン”。本来キュリオスの武装であるGNビームサブマシンガンをベースに実弾仕様に改造したのがNGNサブマシンガンである。

 

イザベルの乗るグリムゲルデの武装にも手を加えてあり、イザベルのグリムゲルデが装備しているヴァルキュリアシールドを小型化した“ヴァルキュリアバックラーシールド”。要はヴァルキュリアシールドをウェポンラッチ部分を撤去しただけである。それを左腕に装着し、右腕にはヴァルキュリアシールドではなく補助兼主兵装の“90mmガトリング砲”を装備させている。そして近接武装だが腰部に俺が自作した槍を懸架する専用のラッチを取り付けている。その結果、ヴァルキュリアソードでの高機動接近戦闘では無く、槍による強襲と一撃離脱戦法に特化したのである。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

イザベルには強襲と一撃離脱戦法が非常に相性が良い為にこの装備を俺がプチ改造し、調整したのである。そして俺たちのMSに光学迷彩マントを取り付けられていつでも出撃準備を終える。尚、今回はハロを連れて行かずに出撃することにした。

 

 

「イザベル、準備はいいか?」

 

『あぁ!こっちはバッチリだぜ!』

 

「了解だ。それと言っておくが間違っても鉄華団に攻撃するな」

 

『言われなくても分かってるよ兄貴!』

 

「一応念のためだ。…さてと、ガンダムアストレア、ジン・工藤。偵察行動に入る」

 

 

GNドライブから放出されるGN粒子を散布しつつもリアクターがスリープ状態のグリムゲルデの腕を掴み、俺とイザベルは火星へと偵察に向かうのであった。

 

 

 

30分後……

 

 

 

火星へ偵察に向かってから30分もの時間をかけて漸く火星低軌道ステーションが見える位置まで到達した。

 

 

「火星の低軌道ステーションを目視で確認。イザベル、そっちはどうだ?」

 

『こっちも確認したぜ兄貴!けど、その火星低軌道ステーション付近でなんか戦闘らしきものが』

 

「戦闘?……これは!」

 

 

イザベルが言っていた火星低軌道ステーション付近をよく見通してみると、そこにはギャラルホルンのグレイズ七機が一機のMSを相手にしていた。その相手にしていた一機は、鉄華団所属のガンダム・フレーム“ガンダム・バルバトス”である。

 

 

「アレは……ガンダム・バルバトス…!」

 

『兄貴!アレって兄貴の乗るMSと同じ顔の!?』

 

「アストレアの構造フレームは違うが、アレは同じガンダムタイプだ。…となると、彼らの母艦が有るはず……」

 

 

俺は網膜投影で映し出された映像をよく見てみると火星低軌道ステーションから少し離れた所に追われている薄赤茶色の強襲装甲艦と、ハイエナの様にしつこく砲撃を仕掛けるギャラルホルンの戦艦と緑色の強襲装甲艦の姿があった。

 

 

「データ照合……あった。あの薄赤茶の強襲装甲艦はCGSの“ウィル・オー・ザ・ウィスプ”だ。それを追っているのはオルクス商会の船とギャラルホルンの船か」

 

『どうするんだ、兄貴!アタシとしては彼奴らを見捨てては行けないよ!』

 

「………」

 

 

この時に今頃になって俺は迷った。ここに俺たち……いやっ、俺という異物が介入すればこの世界の歴史が大きく変わる可能性を考えてしまう。確かにここで介入すれば鉄華団のメンバーの救うことも滅ぼすことも出来る。俺が介入して後は出たとこ勝負という形で歴史が変わるであろう。本来なら死ぬはずのない人間が死ぬことを……。

 

だが、今の俺に迷う時間すらない。考えて数秒後に俺は一つの決断を下す。

 

 

「イザベル、お前は追われている船の救援に迎え。俺はあのガンダム・フレームを援護する」

 

『…!分かったぜ、兄貴!アタシに任せてくれ!』

 

「あぁ…頼む。……さて、行くか」

 

 

俺は腹を括ってバルバトスが戦闘している宙域に向かうのであった。

 

 

仁Side out

 

 

 

CGS(クリュセ・ガード・セキュリティ)を乗っ取って鉄華団と名を変え、 俺こと鉄華団団長オルガ・イツカは依頼人であるクーデリアを地球に送り届けるためにシャトルで火星軌道上にある火星低軌道ステーションに向かい、そこでオルクス商会を待って地球まで経由してもらう予定だったが、オルクスが俺たちを裏切ってギャラルホルンの方についた。トドが手配したはずが逆に利用されたようだが、ミカの陽動と昭弘たちが船を持ってきてくれて何とか体制を立て直すことができた。

 

しかし、オルクスやギャラルホルンの船が主砲で撃ってくる中俺たちも主砲で撃ち返しているものの状況は最悪のまま変わらない。それに、ミカだけじゃあの数のMSの相手じゃあ部が悪すぎる。

 

 

「ビスケット!ヤマギに()()を準備させろ!」

 

「アレって……売り物を使う気っ?」

 

「ここで死んだら商売どころじゃねえ。昭弘、頼めるか」

 

「あぁ…任せろ」

 

 

昭弘が席を外してアレを使うために格納庫に向かう。するとチャドがセンサーに何かを捉えた。

 

 

「…!接近する機影あり!これは……MSだ!」

 

「何っ!?今まで気づけなかったのか!…くそっ!対空砲で……」

 

 

どうやってレーダーに引っかからずにここまで近づけたのかは分からないが、俺はチャド達に対空防御の指示を出して弾幕を張ろうとした時にビスケットが接近してきた赤いMSからメッセージが届いたの報告があった。

 

 

「待ってオルガ!あのMSからメッセージが!」

 

「メッセージだと?内容は?」

 

「待って、えっと……『後方につけてくる船はアタシに任せろ!』って」

 

「あのMS……俺たちを助けるつもりか?」

 

 

ユージンが疑問に思う中、俺はこのチャンスを生かす為にそのMSに賭けることにした。

 

 

「分からねえ…だが、このチャンスを無下には出来ねえ!進路はこのままだ!」

 

「おいっオルガ!三日月が戦っている所を見てみろ!何かいるぞ!」

 

「何っ!?……アレは?」

 

 

シノが三日月が戦っている方に何かがいると言って俺はモニター越しにその宙域を確認すると、そこには緑色の光の粒を放出する見たことないMSがミカを援護していた。

 

 

「何だ…ありゃ?」

 

「見たことのねえMSだ。…それに、あの光の粒は一体?」

 

「綺麗……」

 

 

他の面々もその見慣れないMSとそのMSから放出される光の粒に見惚れていた。あのMSがさっきの赤いMSの味方だとするならミカは大丈夫かもしれねぇがこの状況を打破しない限りは安心できねえ。

 

 

「あのMS、ミカを援護しているようだがあの赤いMSの仲間か?だとすれば……昭弘に光の粒を出すMSには手を出すなと伝えろ!」

 

 

昭弘もミカの援護に向かっている。これ以上の不安要素はないと思うが……何とか持ちこたえてくれよ、ミカ!

 

 

オルガSide out

 

 

 

何とかオルガ達を狙うギャラルホルンMSの注意を引いたのは良いけど、こうも数が多いと厄介だな。滑腔砲の残弾はまだ余裕がある。だけど……途中で倒したMSから拝借したこの斧、なんか扱いづらいな。そう思っていると一機のMSが斧を持ってバックパックからスラスターを吹かし、加速をつけて接近戦を仕掛けてきた。俺は拝借した斧で応戦するが此処は重力が無い宇宙であるのと、まだバルバトスの整備が完全ではない為か踏ん張りがきかずそのまま力負けした。

 

 

「グゥっ!?………っ!」

 

 

体勢を立て直そうとするが既にMSが至近距離まで詰められて躱せないと思った瞬間、そのMSの右腕が独りでに外れた。……いやっ、よく見たらそのMSの右腕は何かによって切断されていた。するとセンサーが上に何かを捕捉した。

 

 

「新手?……!」

 

 

敵の新手だと思ってその方を見てみると、そこには綺麗な光の粒の様な物が背中から出て、マントっぽい物を纏う見慣れないMSがいた。……それにしても、何だろう?あの背中から出ている光の粒。すっごい綺麗だな……?

 

 

三日月Side out

 

 

 

三日月が乗るバルバトスがいる宙域に到着するとバルバトスを落とそうとする前にNGNサブマシンガンを左手に持ち替え、プロトGNソードを展開して指揮官仕様のグレイズの右腕を斬り裂いた後、俺は自分のやるべき事を命令の様に復唱する。

 

 

「アストレア、目標捕捉。ギャラルホルン火星支部を紛争幇助対象と断定し、武力介入を開始する。……アストレア、目標を駆逐する!」

 

 

復唱を終えてプロトGNソードを構え直し、敵指揮官機のグレイズに接近する。

 

 

『な…何だっ!?あのMSは?奴ら、もう一機隠していたのか!』

 

 

指揮官機のグレイズのパイロットは俺が介入して一瞬混乱を生じたが直ぐに思考を切り替え、残った左腕で切断された右腕が持っていたバトルアックスを回収し、そのままアストレアに向けて振いかかる。それに対して俺はプロトGNソードでグレイズと同様にそのバトルアックスを真正面から振るう。

 

剣と斧がぶつかり合い、大きな火花を散らす……と思われたが予想は大きく外れ、グレイズの持つバトルアックスがプロトGNソードによって切断された。

 

 

『バ…馬鹿なっ!?武器を切断し…『コーラル三佐!』…っ!しまっ……!』

 

 

そのグレイズはバトルアックスが切断されたことに驚きを隠せずにいた。俺はその隙を逃さずにプロトGNソードでコックピットを貫いた。これにより敵の指揮系統が一時的に乱れ、三日月と通信できる時間が出来たので通信を入れた。

 

 

「そこのパイロット、無事か?」

 

『うん、何とか。…アンタは?』

 

「ジンだ。俺の仲間はお前達の仲間の船の救援に向かった。細かい説明をしたいが今は後で構わないか?先ずは彼奴らを片付けよう」

 

『三日月、無事か!』

 

 

通信している時に別の通信が割り込んできた。俺はセンサーをよく確認してみると、そこにはグレイズの姿があった。他のグレイズとの違いを入れるなら頭部・胸部・肩部パーツ及び、バックパックの大型スラスター位であろう。

 

 

『昭弘、オルガは?』

 

『今の所は無事だ。一応聞くが、アンタは俺たちの船を守っている赤いMSの仲間か?』

 

「あぁ、その認識で合っている。俺達のことはこの場を切り抜けてから詳しい説明をするつもりだ。今は奴らを何とかするのが先決だ」

 

『…だね。昭弘、足の止まったのからやろう。援護頼む』

 

 

そう言って三日月は300mm滑腔砲を昭弘が乗るグレイズに渡し、そのまま敵MSの方へ向かって行った。しかし、昭弘はいきなり三日月に頼まれたとは言えまだグレイズを完全に使いこなせていなかった。

 

 

『なっ…待てよ!俺はまだ、コレに慣れてねえのに!』

 

「ならば、俺に任せろ。俺が彼の援護をする」

 

 

俺は先行する三日月の後を追う様にスラスターからGN粒子放出させて三日月の方へ向かうのであった。

 

 

仁Side out

 

 

 

俺ことアイン・ダルトンは突如と現れたMSが右手に持つ折りたたみ式の実体剣でコーラル司令が乗るグレイズを一瞬でコックピットを貫いたことに驚きとショックを隠せなかった。他の仲間もそうだ。

 

 

『そんな……司令が?』

 

「あのMS……一体何処から?それに…あの粒子は一体?」

 

 

突如と現れたMSからは緑色の粒子を放出しており、そして何よりも外見だ。俺たちが交戦していた“ツノ付き”と同じ、あのMSは形は違えどツノ付きと同じブレードアンテナを頭部の額にあった。ただ一つの違いを入れるとすれば、あの仮面型のセンサーマスクを装着していることだけだ。すると仲間からもう一機が来るとの通信が入った。

 

 

『アイン!もう……くる、援……ろ!』

 

 

突然他の仲間からの通信状態が悪くなった。突如と出現したあのMSから放出する粒子が関係しているのか?するとレーダーにもう一機のMSのリアクターの反応を感知した。しかし、そのリアクターの反応に見覚えがあった。それは、殉職したクランク二尉の機体のリアクターの周波数であった。

 

 

「…!このリアクターの反応は……グゥッ!クランク二尉の機体かーっ!!」

 

『待てアイ…!お前、………怪我が!』

 

 

仲間の制止を聞かず、ツノ付き達の方に機体を加速させバトルアックスでツノ付きへ振るうが軽々と躱される。

 

 

「何っ!?……はっ!もう一機……グァッ!!」

 

 

躱された事に気をとらわれてしまい、もう一機の謎の粒子を出すMSが折りたたみ式の実体剣でバックパックのスラスターをやられて機体の制御が聞かなくなった。その時に俺は自分の死を覚悟した。しかし、そのMSは俺に止めを刺すどころか逆に俺を仲間の方に機体を流した。

 

 

「止めを刺さない……?何故………」

 

 

謎のMSのパイロットの思考が読めないまま俺は味方に救助されるのであった。

 

 

アインSide out

 

 

 

あの緑色のグレイズ……前世の記憶が確かならアレは“アイン・ダルトン”が乗っている機体だったはず。俺はバックパックのスラスターをプロトGNソードで切断した。

 

 

「彼はこの物語の重要人物。……だったらまだ死ぬべきじゃないな」

 

 

そう思い俺はアインのグレイズを掴んで敵のグレイズの方に流した。アインが無事に救助されたのを確認した後に三日月の方に向かい、アインの機体を抱えるグレイズ以外の敵を相手をする。

 

そこでは三日月の独擅場だった。阿頼耶識特有の生身のような滑らかな動きで二機のグレイズを翻弄していた。その時にセンサーがMSの反応を捕捉した。

 

 

「新手か!…アレは、紫のシュヴァルべ?……ボードウィンか!」

 

『コーラルめ、我々を出し抜こうとしてこのザマか』

 

 

ガエリオが乗るシュヴァルべは指揮官機のグレイズを見た後に俺の方に視線を向けてた。そのシュヴァルべをよく見てみるとランスユニットが金一色に染まっていた。アレは恐らくこの世界の合金である特殊超硬合金をふんだんに使った特注の武装だろう。

 

 

『既にグレイズを四機……にしても、二年前に遭遇したMSが此処にいるとは俺でも驚いたぞ。マクギリスの感も強ちあてになるようだな?二年前の借りを返させてもらうぞ、“エンジェル”!』

 

 

ガエリオの乗るシュヴァルべはスラスターとバーニアを吹かし、俺に向けて急接近してランスユニットを突き刺そうとする。俺はプロトGNソードで切り払う様にシュヴァルべの攻撃を防ぎ、ガエリオと戦闘するのであった。

 

 

仁Side out

 

 

 

ガエリオがシュヴァルべで先行して敵MSと会敵して戦闘に入った所を私はビスコー級クルーザーの艦橋で確認した。しかし、問題はそこではない。ガエリオが会敵した相手は二年前に表れてそれ以降姿をくらましていた謎の粒子を放出するMSであった。その謎の粒子を放出し、天使の様なMSをギャラルホルンはこれを“エンジェル”と呼称した。

 

 

「ボードウィン特務三佐、会敵しました。これは……ファリド特務三佐!この機影、間違いありません!二年前に特務三佐達が見た“エンジェル”です!」

 

「そうか……やはり表舞台に現れたか。他にも見ない機体もあるが、どうだ?」

 

「はっ!距離はありますが、エイハブ・リアクターの固有周波数は拾えています」

 

 

オペレーターがもう一機の見ない機体のリアクターから波形解析してデータ照合した結果、一つの個体コードが出た。名は“ガンダム・バルバトス”。

 

 

「“ガンダム・フレーム”だと?」

 

「個体コードは“バルバトス”。……マッチングエラーでしょうか?厄祭戦時の古い機体ですよ」

 

「……いやっ、必然かもしれんな。その名を関する機体は幾度となく歴史の節目にその姿を現し、人類史に多大な影響を与えてきた。あのガンダム・フレームといい、あのエンジェルといい、火星独立を謳うクーデリア・藍那・バーンスタインの下に集っているかもしれんな」

 

 

これも何かしらの運命の悪戯かもしれんが、最も知るべきなのはエンジェルだ。あの謎の粒子を判明できれば私の目的が達せられるかもしれない。

 

 

「……船を任せるぞ、私も出る」

 

 

そう言い残して艦橋を出た後にパイロットスーツを着込んだ後に自分のシュヴァルべに乗り込む。今回はエンジェルの遭遇を想定してグレイズのバトルソードを装備している。

 

 

「エンジェルとバルバトス……天使と悪魔か。奇妙な組み合わせだな?マクギリス・ファリド、シュヴァルべ・グレイズ。出るぞ」

 

 

私はレバーを引いてスラスターとバーニアを吹かし、エンジェルの正体を暴くのを前提にガエリオの援護に向かうのであった。

 

 

マクギリスSide out

 

 

 

ガエリオが乗るシュヴァルべと戦闘してから数分の時間が経った。この数分でGNハンドミサイルを全弾使い、空となったハンドミサイルユニットをパージし、プロトGNソードでシュヴァルべの特殊超硬合金で出来たランスユニットとぶつかり合い、火花を散らしながら鐔競り合いに縺れ込んだ。

 

 

「…くっ!特殊超硬合金の硬さは知っているつもりだったが、これほどに硬いか!」

 

『お前に引導を渡すために態々特注したんだ。ありがたく思いながら逝けぇ!』

 

「くっ…誰がっ!」

 

 

その言葉を皮切りにGNドライヴから生成されるGN粒子をプロトGNソード表面に回し、より切れ味を増してガエリオの特殊超硬合金で出来たランスユニットに切り傷が徐々に広がっていく。

 

 

『なっ!特殊超硬合金のランスすら斬り裂けるのか!?』

 

「これなら……っ!」

 

 

する別の方角から銃弾が俺の方に流れてきた。それを回避出来ずにセンサーマスクに直撃する。その結果センサーマスクが欠けて、片目だけ晒される。

 

 

「ぐぁっ!?ぐっ……!この正確な射撃、マクギリスか!」

 

 

撃ってきた方角を見てみると、マクギリスの乗るMSが接近して来た。

 

 

『ガエリオ、大丈夫か』

 

『あぁ…だが、特殊超硬合金のランスですら斬り裂くことが出来るとは予想外にもほどがある』

 

「くっ…二対一か」

 

『…生きてる?』

 

 

するとグレイズ達を倒し終えたのか三日月が乗るバルバトスが戻って来た。

 

 

「一応生きてるぞ。バルバトスのパイロット、可能ならあの紫の奴を頼めるか?」

 

『いいけど、あの青いのは?』

 

「青いシュヴァルべは俺が相手をする。……むしろ、あの青いシュヴァルべは俺が狙いだ」

 

『ふーん……分かった。じゃあ、そっちは頼むよ』

 

「了解。……とは言え、センサーマスクが破損しているんじゃもう隠しきれないな。ならば、センサーマスクをパージ」

 

 

三日月はガエリオのシュヴァルベを相手にする為に向かい、俺はセンサーマスクをパージした後プロトGNソードを構え直してマクギリスのシュヴァルべに接近する。それに対してマクギリスのシュヴァルべは120mmライフルを捨て、腰に懸架しているバトルソードでプロトGNソードと鍔競合う。

 

 

『やはりガンダム・フレームと似た顔付きをしている様だな。その未知の粒子といい、素晴らしい力だな。見たところ背中から放出される粒子を実体剣に回す事で切れ味の補助を兼ねている様だな?』

 

「くっ!(マクギリスの奴、GN粒子の特性の一部を理解し始めている!)厄介な…!」

 

『分かれば呆気ないものだな』

 

 

この厄介な状況の中で俺は焦りを感じながらもマクギリスの相手をするのだった。

 

 

仁Side out

 

 

 

ジンの兄貴に頼まれて鉄華団の船を守りつつ緑の強襲装甲艦とギャラルホルンの戦艦を相手に撹乱を行なっていた。

 

 

「いヤッホォォー!!」

 

 

それにしてもこのグリムゲルデ、本当に凄いぜ!兄貴がこのMSに阿頼耶識を搭載する以前にこの機動性。軽量化による機動力強化と、エネルギー効率の向上を重点に置いて設計された機体だって兄貴から聞いたけど、機動力がロディ・フレームよりも段違いだ!それに阿頼耶識システムを取り付けたからより柔軟な動きが出来る分、敵の対空砲による弾幕を軽々と避けられるぜ!

 

…まぁっこの弾幕ならMSを使ったシミュレーターで兄貴が用意した“地獄の様な鬼畜レベルの弾幕回避訓練シミュレーション”の方がもっとヤバかったけどな。そう考えているとオルクス商会の船はアタシを落とせずにイライラしているだろうな?ちょいとその船の通信を傍受してみるとやっぱり案の定お怒りだった。

 

 

『ええいっ何をしている!さっさとあのMSを叩き落とせ!』

 

『む…無理です!あのMSは他のMSと比べて通常の二倍以上で動いているんで対空砲じゃ追いきれません!』

 

『くっ!楽な仕事と思ってMSを置いてきたのが間違いだった!何でもいいからあのMSを落とせ!』

 

 

前言撤回、完全にお怒りだった。まぁその方がこっちにとって好都合だ。それに、兄貴から教わったMSによる対艦戦闘法を試すのには丁度いいな。

 

 

「先ずは敵艦のスラスター部を叩き、航行能力を奪った後に砲塔を潰すんだったな。じゃあ、やってみるか!」

 

 

そう言ってアタシはレバーを引いて機体を加速し、敵の対空砲火を潜り抜けて敵艦のスラスター部に回り込んだ後に右腕に取り付けてある90mmガトリング砲で二基のスラスター部を破壊する。オルクスの船から傍受している通信を聴いてみるとかなり混乱していた。

 

 

『スラスター被弾!これにより出力53%に低下!』

 

『くそっ!いいから何としても撃ち落とせ!MS如きにコケにされたら俺たちの商売に悪影響が出る!何としてでも……』

 

『敵艦、高度上昇と同時にアンカーを小惑星に向けて射出しました!』

 

『何っ!?彼奴ら何を?』

 

 

その通信を聴いてアタシは鉄華団の船の方を見ると、その船は資源採掘用の小惑星にアンカーを打ち込んみ、ぐるっと大回りする様に加速をしながら回頭して来た。……確かこういうの“スイングバイ”って兄貴が言ってたっけか?そのスイングバイ?でスピードを維持したまま回頭してそのまま正面突破して来た。

 

 

『敵艦回頭、来ます!』

 

『何ーっ?!』

 

『敵艦、尚も接近!』

 

『しょ……衝撃に備えろ!』

 

 

鉄華団の船はオルクスの船とすれ違いながらも主砲を斉射し、続けざまに閃光弾でギャラルホルンの戦艦を視界を潰した。その時に鉄華団の船から通信が入った。

 

 

『俺たちを守ってくれたMS、船に掴まれ!』

 

「!……了解!」

 

 

アタシは鉄華団の船の速度と相対速度を合わせ、船にしがみついてそのままオルクス商会とギャラルホルンを突破した。その時に改修されたグレイズが鉄華団の船に近づいて来たので敵だと思い90mmガトリング砲を向けるが鉄華団の船からそのグレイズは味方である事を告げられ、味方と判断したアタシはガトリング砲を下ろした。

 

兄貴の頼まれた役目を終えたアタシは兄貴の援護に向かうべくそのまま兄貴がいる宙域に向かった。

 

 

イザベルSide out

 

 

 

マクギリスのシュヴァルべのバトルソードと俺のアストレアのプロトGNソードがぶつかり合い、火花を散らしながらも戦いは続いていた。しかし、シュヴァルべが持つバトルブレードも耐久的に限界が迫っていった。俺はこれを好機と見てそのままシュヴァルべに接近する。

 

 

『今の装備ではやはり付け焼き刃でしかないか。だが、その大型の実体剣でも多少のラグはある様だな』

 

 

プロトGNソードで振るうが軽々と避けられてしまい、逆にマクギリスに好機を与えてしまった。

 

 

『せめて破片の一つでも回収させてもらう』

 

「ぐっ!『兄貴ーっ!』……イザベル?」

 

『新手か…?……これは!』

 

 

マクギリスがバトルブレードを振るう前に一旦その場から離れる。するとマクギリスが離れた場所から弾幕が通り過ぎていった。その方角に向けるとイザベルのグリムゲルデがやって来たのだ。

 

 

『兄貴、大丈夫か!』

 

「あぁ…際どいタイミングだが、助かった。それに……そろそろ潮時の様だ」

 

『じゃあ、鉄華団の船にしがみつくか?一応鉄華団ならこっちの話を聞いてくれそうだし』

 

「彼らのパイロットにも詳しい説明をするって約束をしたからな。ここは彼らの船を利用しよう」

 

 

イザベルと合流した俺はそのまま鉄華団の強襲装甲艦に向かい、艦尾にしがみついてそのまま宙域を離脱した。途中でバルバトスも艦底にしがみついて無事に鉄華団と合流するのであった。

 

 

仁Side out

 

 

 

エンジェルの攻撃パターンを読めて来たところでエンジェルの仲間がやって来て、彼らは途中ですれ違った強襲装甲艦にしがみついてこの場から撤退していった。ガンダム・フレームと対峙していたガエリオもガンダム・フレームに及ばず、左腕に装着されていたワイヤークローを奪われて逃げられた様だ。

 

 

「ガエリオ、大丈夫か」

 

『……っ、かすり傷だ。奴は?』

 

 

ガエリオはガンダム・フレームの事を言っていることを理解し、“逃げられた”としか言葉が出なかった。だが、そんな些細なことはどうでもいい。問題は、エンジェルを助けたグリムゲルデだ。何故あの機体がエンジェルと共にいるのか謎でしかなかった。そう考える暇もなく、私は周りを見渡した。既にギャラルホルン火星支部のグレイズは無傷の二機だけを残して残りは行動不能と全滅状態であった。

 

 

「……潮時か」

 

 

私はガエリオを連れてビスコー級クルーザーに戻り、火星支部のMSの救助を行うのであった。その時に所属不明の救命ポッドを発見し、回収した。そこで私は予想外ではあるが丁度良い人手を確保するのであった。

 

 

 






火星軌道上での戦闘を無事に脱出した鉄華団とジン達。鉄華団に雇われるべく、ジンは行動に移す。


次回、『ソレスタルビーイング』


天上人の名が今、刻まれる。
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