ジン達が出撃した後に第一波ミサイル攻撃を行ったが敵MSによって迎撃され、失敗に終わった。…しかし、ここまでは作戦通りだ。
「ミサイルは案の定迎撃されたか……ならば、鉄華団と同様に主砲で応戦しつつ後退速度を維持。艦を護衛する五機のグレイズは敵艦から放たれる対艦ナパームを迎撃せよ!」
『『『了解!』』』
オリバーの指示で五機のグレイズは120mmライフルでイサリビやガーベラに向かってくる対艦ナパームを迎撃し、鉄華団のイサリビと同じ様にハンマーヘッドに向けてガーベラは41cm連装砲で砲撃する。しかし、これではジリ貧であることには変わりはなかった。するとハンマーヘッドから何かが出てきたかの様に光が上に飛んでいった。
「ん……今のは何だ?」
「敵MS、イサリビの直上にいます!」
「何っ!?」
するとイサリビ直上から謎の砲撃を受ける。その時にイサリビを通り過ぎるMSの姿を味方のグレイズが捕捉した。
「オリバー、味方のグレイズから報告だ。イサリビが受けた攻撃はMSの攻撃とのことだ」
「……グレイズでは捕捉が追いつかないのか?」
「それを試そうにも敵は高機動型のMSの類だ。対空砲や通常のグレイズじゃ捕捉が追いつかない!」
「……くっ!まさか高機動型のMSを導入してくるとは……ジン達のMSを呼び戻す様に打電しろ!」
高機動型のMSでは対空迎撃は間に合わない。俺はジン達に直ぐに船の方に戻る様に指示を出すのであった。
オリバーSide out
アストレアでサダルスードやプルトーネの相手をしている時にオリバーから船に敵MSが強襲して来たとの連絡が入った。
「敵MSが俺たちの船に取り憑かれた!?『余所見、厳禁!』…くっ!」
サダルスードのリボルバーバズーカから放たれるGN粒子弾を躱しながらNGNバズーカでサダルスードのリボルバーバズーカの弾頭と同様のGN粒子弾を放つ。しかし、サダルスードはもう片方の手に持つライフルカノンで迎撃する。さらにそこに付け入る様にプルトーネがライフルカノンで俺に向けて撃ってくる。
「くそっ…!完全に相手のペースに乗せられたな」
俺は状況整理の為に周りを見渡すと、三日月が駆るバルバトスがイサリビの方に向かっていった。どうやら三日月は今襲われているイサリビの救援に向かったのだろう。残った昭弘が駆るグレイズ改は二機の百錬を一人で相手にする。だが、流石に昭弘一人だけでは荷が重い。その時にファーランのシュヴァルべとイザベルのグリムゲルデが昭弘の援護に入る。するとファーランから通信が入る。
『ジン!ここは俺たちが引き受ける!そっちは船の方を!』
「何っ?…しかし、相手は太陽炉搭載機だ。グレイズや他のMSと性能が違うぞ!」
『大丈夫だって!アタシ達には阿頼耶識がある!だから兄貴、アタシ達の船を頼む!』
「……わかった。だが、これだけは言っておく。……死ぬな!」
『『了解っ!』』
本当ならイザベルをバルバトスの援護に向かわせるつもりだった。彼らでは太陽炉搭載機の相手には荷が重すぎると思った。だが、彼らのことを信じていない訳ではない。だからこそ彼らを信じてこの場を任せ、俺はそのままバルバトスの後を追う様にイサリビの方に向かうのであった。
仁Side out
玲奈が駆るサダルスードと共にプルトーネでアストレアを攻撃している時に新たにやって来た敵MSを捕捉する。
「アレは……シュヴァルべと、もう一機はヴァルキュリア・フレームか?」
『ヴァルキュリア・フレームって、ギャラルホルンの主力MSグレイズ・フレームの基となった機体だっけ?』
「うん。まさかそんな骨董品のMSを持っていたなんてね。……!」
するとアストレアに動きが観られた。先ほど船の方に向かっていったガンダム・フレームの後を追う様にこの場から離れようとしていた。
『…まさか、ラフタちゃんの存在に気づいた?』
「有り得るね。まぁ、彼女のことだから早めに終わらせようと速攻でやろうとしたのが裏目に出た様だね」
『お兄ちゃん、私が行くよ。ラフタちゃんの百里じゃガンダム・フレーム相手は未だしも、太陽炉搭載機だとギリギリ追いつかれるかもしれない』
玲奈の言う通り、過去にタービンズと接触した頃に一度だけテイワズの百里と太陽搭載機であるプルトーネで競走と言うレクリエーションを行なった結果、GNドライヴからGN粒子を大量に放出することで高機動が売りの百里と同等のスピードを出し、互角の戦いをしていたが、先にプルトーネの粒子残量が尽きて、競走は百里の勝利で収まった。もしアストレアが百里を落とす為に加速するというのならラフタに危険が及ぶ。
「玲奈、君はラフタの援護に向かってくれ。僕はここのMSの相手をする」
『分かったわ、お兄ちゃん!そっちのMSは任せるね!』
そう言って玲奈はアストレアの後を追うようにGN粒子を放出し、この場から敵艦の方へ向かっていった。
「……さてっと、玲奈に頼まれた以上僕も頑張らないとね!
僕は仕切り直す様にライフルカノンで残った敵MSに向けて発砲するのであった。
レオンSide out
俺がイサリビの方に戻ると、そこでは三日月が百里の機動性に翻弄されていた。
『くそっ早い!』
『推進力が違うっての!』
「三日月、援護する……!後方からつけてくる機体!?」
三日月を援護しようとした途端に俺の第六感が走り、咄嗟に回避行動を取る。すると俺がいたところから銃弾が通る。その正体はサダルスードが持つライフルカノンからの銃弾であった。
「アレは……サダルスード!俺をつけて来たか!」
『ラフタちゃんはやらせないよ!』
「ぐっ…!退け、貴様に構っている暇は!!」
俺はNGNバズーカやGNハンドミサイルで応戦する。それに対してサダルスードはライフルカノンでミサイルを迎撃するも、途中でライフルカノンの弾が尽きる。
『嘘っ!弾切れ?!……なーんちゃって!』
「何っ?……っ!?」
するとサダルスードは弾が尽きたライフルカノンを未だに追ってくるミサイルに向けて投げる。ミサイルは投げられたライフルカノンに直撃し、残ったミサイルはサダルスードの方に向かっていった。その時にサダルスードの空いた手にGN粒子が集束する。その集束されたGN粒子は小さなGNフィールドと化して手に纏う。そして手に纏ったGNフィールドでそのミサイルをはたき落とす様にミサイルを叩き落とす。
「おいおい…!GNフィールドの応用とはいえ普通ミサイルを手ではたき落とすって、どういう技量なんだアレは!?」
『へぇ〜…このバリア、GNフィールドって言うんだ。私てっきりハンドバリアかと思った』
「いやっ、どういう風に考えればそういう解釈に至るんだ?」
『…でも、今のでミサイルやバズーカは撃ち尽くした様ね?』
サダルスードのパイロット、玲奈の言う通り今のでNGNバズーカとGNハンドミサイルは全弾撃ち尽くした。…だが、撃ち尽くしたからといってまだ勝敗が決まった訳ではない。
「まだだ、まだ俺にはこれがある!」
俺は二つのNGNバズーカを捨て、GNハンドミサイルを全てパージし、重量を軽減して右腕に搭載されているプロトGNソードを展開してGNドライヴのスリースラスターからGN粒子を放出してそのまま一気にサダルスードの距離を詰め、プロトGNソードで斬りかかる。
『えっ?ちょ…嘘っ!?』
「ハァァァアアアッ!!」
玲奈はサダルスードの素手にGNフィールドを展開してプロトGNソード防ごうとする。しかし、それが玲奈にとって悪手だった。いくら素手にGNフィールドを展開しているとはいえプロトGNソードの勢いを殺しきることは出来なかった。その結果、サダルスードの左腕は切断される。
『そんな…!フィールドが!?』
「これで…!」
たとえ相手が女であろうと手を抜けば真っ先に死ぬのは自分自身であることを理解しつつも、俺はプロトGNソードでサダルスードに止めを刺そうとした。
仁Side out
“玲奈・A・スプリガン”
嘗てヒューマンデブリであった彼女は元ギャラルホルンの名家、スプリガン家の当主ローガン・スプリガンの弟に助けられ、彼女はスプリガン家の養子として迎え入れられ、スプリガン家の末っ子として暮らしていた者。
彼女の姓であるA……アーノルドは地球では知らぬと言われた有力政治家の一つであった。玲奈はそのアーノルド家の父と日本人で技術者の母の間に生まれた一人娘でもある。そんな家族はある日を境に火星へ観光しに火星行きの宇宙船で火星に向かっていた。しかし、そんな彼女に不幸が訪れた。その火星行きの宇宙船を狙ってとある武闘派の宇宙海賊が玲奈や玲奈の両親が乗る船に略奪しに乗り込んで来たのだ。その時の玲奈は両親をその宇宙海賊の目の前で殺されてしまい、玲奈に深い心の傷を負ってしまう。その後、彼女はヒューマンデブリとなり、ロクに食事を取らず、口を閉じたまま心が死んだ虚ろな瞳を写すしかできない存在となった。当時の海賊たちは彼女のことを気味の悪いガキとそう認識するのであった。
…だが、そんな彼女に一筋の光が照らす様に人生の逆転が訪れた。
ヒューマンデブリとなってから数日後にギャラルホルンのスプリガン家の当主であるローガン・スプリガンの弟である“アトラス・スプリガン”が心が死んでいた玲奈を海賊から高値で買取り、スプリガン家の名を使って彼女を有名な総合病院に入院させるのであった。心が死んでから食事を拒んでいた彼女の身体と精神は既にボロボロの状態であったが、総合病院のカウンセラーによる精神治療のおかげで病院で出される消化の良い食事を摂る様になる所まで精神が回復し、喋る程度まで回復したのであった。
そんな彼女の回復を聞いたアトラスは玲奈にスプリガン家とアーノルド家の関係を話す。スプリガン家の先代当主は一度アーノルド家に助けてもらったことがあり、それ以降は互いにより良い関係を築けたのである。だが、そのアーノルド家が火星に向かっていた際に宇宙海賊に襲われてしまい事実上アーノルド家は今代で途絶えたと思われた。しかしアトラスはまだアーノルド家が全滅したとは思ってもいなかった為にアトラスは持てる財力で玲奈の存在を探した。そして彼女の存在を確定し、何とか海賊から彼女を買い取ったのである。その当時の海賊は玲奈の事を不気味に思っていた為かビール缶一本分の値段でアトラスに売ったのであった。
それ以降の彼女の精神は順調に回復していき、日常生活でも支障が出ないくらいまでに精神が安定していった。それを境にアトラスは玲奈に“スプリガン家の養子にならないか?”と申し出た。その時の玲奈は自分の為に探してくれたアトラスのことを信用していた。そして玲奈はアトラスの申し出を受け、スプリガン家の養子として過ごすことになり、これまで違う生活になるが彼女の幸せが再び戻ることとなった。
…しかし、その幸せは続かなかった。
スプリガン家の当主ローガン・スプリガンの悪評がギャラルホルンの監査官や世間に広まり、スプリガン家は没落して玲奈は過去で両親を失った時と同じ様に恐怖に見舞われた。アトラスはスプリガン家が没落しても玲奈だけは守ろうと彼女と共に隠居する形でギャラルホルンから逃げたのであった。そこで静かに暮らし始めた。スプリガン家が没落してから数週間、玲奈とアトラスが住む家に一人の傭兵がやって来た。
……それが玲奈にとって最大の不幸でもあり、治りかけていた心の傷が再び開く事になったきっかけでもあった。
傭兵は玲奈の前で拳銃を使い、彼女を射殺しようとした。その傭兵はとあるスポンサーから没落したスプリガン家の家系やその関係者の抹殺を依頼されていたのだ。だが、彼女は死ななかった。アトラスが彼女を庇って代わりに撃たれた。玲奈は心の傷であろう両親が目の前で殺された記憶がフラッシュバックする様に甦った。致命傷を負ったアトラスを見た傭兵は仕事を全うしたと判断してその場から去って行った。玲奈はアトラスを治療しようとしたが彼は既に手遅れだと悟っていた為にそれを拒んだ。そしてアトラスは死ぬ間際に玲奈に“生きろ”と伝えた後に命を散らせた。その結果、彼女の心は壊れ、物言わぬ人形となってしまった。
アトラスを亡くしてから二年という長い年月がたった。
この二年間で玲奈は世界をさまよい、ただ己が朽ちてゆくのを待っているだけであった。その時に彼女の前にある男に出会う。その男こそレオン・ハートレイである。彼女が初めてレオンに会った印象は目であった。その目は金色の様に光り輝いていた。まるで全てを見通しているかの様な瞳でもあった。数秒後に金色の瞳は青い瞳へと変わり、レオンは彼女に“傷が痛むのかい?”と聞かれた。この言葉の意味を身体の方だと思い違うと答えたが、実際は違った。レオンは彼女に問いだした傷の痛みとは身体ではなく心であったこと。そして彼は彼女に告げた。
“過去で負った傷がどんなに辛く痛くても、生きていくしかない”
その言葉に玲奈は嘗て義理の兄であったアトラスの言葉を思い出すと同時に彼もまた心の傷を背負った人間である事を。彼女はレオンと共に付いてみようと思い、彼に付いていっても良いのか聞き出した。レオン断る素振りを見せず、ただ受け入れるかの様に彼女に“じゃあ、行こうか”と告げた。こうして玲奈はレオンと共に旅を出て、壊れた心は治る事はなかったが彼女に新たな希望が出来て生きる目的を見出す事が出来た。それは、もう二度と大切な人を失わせないこと。その誓いを胸に秘めてレオンと共に行動するのであった。
私は今、絶対的な危機に直面していた。アストレアの折りたたみ式の実体剣を防ごうとGNフィールド(アストレアのパイロットが言っていた)を展開している素手でアストレアの実体剣を受け止めるが勢いを殺しきれずサダルスードの左腕が切断される。アストレアは私に止めを刺すかの様に実体剣をコックピットに向けてこっちに迫って来た。その時に私は迫り来る死を久しぶり感じ、精神的に不安定になった。
私が……死ぬ?私はまだ、やるべき事があるのに。こんなところで……
……嫌っ、死にたくない。私はまだ……生きたい…!。
「……たくない」
『……っ!』
無我夢中にレバーを動かしてリボルバーバズーカを盾にしてアストレアの実体剣の攻撃を防いだ。無論、盾にしたリボルバーバズーカは爆発してその爆煙がアストレアと私を包み込んだ。
『何だ?あのパイロットの動きが急に変わった?……っ!』
すると爆煙の中から私が出て来た事におどろきつつも実体剣を振るってくる。私は残った右手にGNフィールドを展開し、その実体剣の平らな部分にフィールドを纏った右の拳で殴り、その実体剣を叩き折った。
『なっ!?プロトGNソードが!?』
「死にたくない…死にたくない…!死にたくないぃぃっ!」
私は残った兵装の一つでもあり、あまり使いたくなかったGNビームサーベルを抜き、GN粒子を圧縮させてビーム刃を展開してそのままアストレアに斬り掛かった。この時に私の瞳に何かが変化していたのに気付きもしなかった。
玲奈Side out
プロトGNソードを折られた俺はプロトGNソードをパージし、腰部に懸架されているGNソードⅡを抜刀し、いつでも対応できる様に構える。するとサダルスードがリアスカート部分のGNバーニアからこの世界にとってロストテクノロジーであるビーム兵器の一つビームサーベルを抜刀し、俺に斬り掛かった。俺はとっさにGNソードⅡでサダルスードのGNビームサーベルを受け止める。
「なっ…!?ビームサーベル?!唯でさえビーム兵器はこの世界にとってロストテクノロジーだってのに…!『…お前が…お前も』……何っ?」
『お前も私から大切なものを奪う気か!!』
「大切なもの…?一体何を…ぐぁっ!?」
サダルスードのパイロット自身の過去に何かあったことを言いつつもアストレアに蹴りを入れて強制的に距離を取られる。
『お前が…お前が死ねぇぇぇっ!』
するとサダルスードがアストレアに向けてGN粒子を放出して一気に距離を詰めてGNビームサーベルを振るう。俺はGNソードⅡでサダルスードの攻撃を往なすが、動きがより荒々しくなり、まるで血に飢えた獣の様に何度もGNビームサーベルでアストレアに斬り掛かってきた。
「クソっ…!このままじゃジリ貧だ…!」
『ウァァァアアアッ!!……っ!』
すると1発の砲弾がサダルスードに飛んで来たが、サダルスードはGNビームサーベルを手放し、GNフィールドを素手に纏い、その砲弾を何処かの漫画にある気弾を弾く様な感じで弾いたのである。俺はその砲撃位置を特定してその方角を見ると三日月が300mm滑空砲でサダルスードを狙っていた。
『素手で弾いた…?あのMS、厄介だな…』
「三日月!?よせ、今のお前の機体じゃ
『ぐっ!……お前も私をぉぉぉっ!』
『…っ!こいつも早い!』
サダルスードは標的を俺から三日月に変えて手放していたGNビームサーベルを回収し、再びビーム刃を展開して三日月が駆るバルバトスに斬りかかろうとする。しかし、そこで思いもよらぬことが起きた。バルバトスとサダルスードの間にプルトーネが割って入り、プルトーネもGNビームサーベルでサダルスードのGNビームサーベルを受け止める。……まさか、ファーラン達を巻いてここに来たのか?
仁Side out
玲奈が暴走?が起きる数分前……
玲奈がアストレアを追ってから僕はソレスタルビーイングのMSの相手をしていた。それにしても、シュヴァルべやヴァルキュリア・フレームの動きが滑らかで機敏すぎる。…もしかして彼らは阿頼耶識使いか?
「……だとしても、それが勝敗を分かつ絶対条件ではないね!」
僕はライフルカノンでヴァルキュリア・フレームに照準を向けて一発は行動予測地点に向けて撃ち、そして二、三発は回避すると思われるところに向けて撃つ。すると想定通りヴァルキュリア・フレームは回避機動を取ったが、回避したところで二、三発目の弾丸が背部スラスターに直撃する。
『おわっ…!直撃?!』
「良し、当たり……!新手か」
ヴァルキュリア・フレームと相手をしている時にシュヴァルべ・グレイズが僕をヴァルキュリア・フレームを突き放す様にライフルで弾幕を張った。僕は弾幕に当たらない様に距離を取って回避する。
『イザベル!?大丈夫か?』
『あ、あぁ…何とか。…でも彼奴、阿頼耶識の動きを完全に見切られていた』
『こっちの動きも予測済みってことか。流石にパイロットの練度差じゃ向こうが上か』
「シュヴァルべも来たか。二対一だとプルトーネでもこれはキツイか……『ウァァァアアアッ!!…』っ!玲奈?」
僕は玲奈の声がする方へ向けると、そこには片腕を失ったサダルスードがGNビームサーベルでアストレアに斬り掛かっていた。しかし、玲奈の動きがかなり違っていた。あれは理性で操作する動きではなく本能で操作された動きでもあった。それを見た僕はある一つの結論に至った。
「まさか……暴走しているのか?だとしたら不味いな……早く玲奈を止めないと!」
僕はレバー操作し、GNバーニアからGN粒子を吹かして一気に機体を加速させてシュヴァルべを振り切り、玲奈の下へ向かった。
玲奈がいる宙域に到達した僕は周囲を確認するとサダルスードがGNビームサーベルでガンダム・フレームに斬りかかろうとしていた。それを確認した僕は機体を加速させてその間に割り込む様に入り、GNビームサーベルを抜刀してサダルスードのGNビームサーベルを受け止める。そして僕は玲奈を落ち着かせようと通信を入れて声を掛ける。
「玲奈、もうやめるんだ。ここには君を傷つけるものはいない」
『お前も……お前もかぁぁぁっ!』
「止めるんだっ!!!玲奈!!」
『っ!……お兄…ちゃん?』
僕の怒声で玲奈は我に返り、サダルスードの動きが止まった。僕はあまり怒りたくないのだけど、玲奈を止めるにはこれしかなかった。そして僕は玲奈に船に戻る様に伝える。
『お……お兄ちゃん……』
「玲奈、もう大丈夫だよ。後は僕が何とかするよ。君は先に船に戻るんだ」
『……うん、分かったわ。お兄ちゃん、気をつけてね』
玲奈は僕の言う通りにハンマーヘッドの方に戻っていく。先ほど玲奈に狙われていたガンダム・フレームは僕が介入した時に既にラフタの方に戻って行って彼女の相手をしていた。そしてアストレアはハンマーヘッドに向かうサダルスードを妨害する素振りもなくそのまま見送っていた。
「意外だね?僕はてっきり玲奈の事を追うかと思ったよ」
『いくら俺でも障害を患っている敵を討つほど外道に堕ちるつもりは毛頭ない。……しかし、あのサダルスードのパイロット、過去に誰かを亡くしてPTSDを患ったのか?』
「うん……そうなるね。ごめんね、玲奈は危機的状況に陥ると今みたいにパニクってしまって暴走するんだ。僕個人はパイロットになる事を何度も止めたのだけど、玲奈の決意が強くてね……」
『結局は止められずパイロットとして活動している……か。……ん?イサリビが?』
するとアストレアを駆るジンが鉄華団の船の方を見た。僕もその方角を見てみると鉄華団の強襲装甲艦からミサイルを発射した。ハンマーヘッドはそのミサイルを迎撃すると迎撃された所から煙幕が覆った。
「アレは……スモーク?」
ハンマーヘッドはその煙幕に突入し、しばらく時間が経つとその煙幕から鉄華団の船が出て来て、その背後からハンマーヘッドが追尾する様に鉄華団の船を追う。そしてその背後にはソレスタルビーイングの船がハンマーヘッドの背後を取っていた。
「……!まさか挟み撃ちにするとはね。これは君の指示かい?」
『いや、俺が戦っている間に仲間が思い付いた様だ。それと、鉄華団も唯スモークを使って船をニアミスしただけじゃない様だ』
「それはどういう…『お兄ちゃん、大変!』…玲奈?」
すると玲奈から通信が入ってきた。それも慌ただしい様子であった。
『さっき鉄華団の船からMWがハンマーヘッドの船内に侵入したの!』
「…何だって?タービンさん、そっちに侵入者が?」
『あぁ…してやられたが、さっきのニアミス時に船に飛び移ったってのか?船の速度を考えろよ、体がミンチになるだろう…『奴らは“宇宙ネズミ”だ!それくらいは平気でやってくる!』ネズミ?…阿頼耶識か』
タービンさんと通信をしている時にマルバが鉄華団のことを宇宙ネズミと言った。どうやら鉄華団はマルバによって無理やり阿頼耶識施術を行った様だ。
「なるほどね、それを分かっていて君は鉄華団と共に行動するつもりだったのかい?君の仲間にも阿頼耶識を持った者もいたけど?」
『彼らは元は別の海賊に飼われていたヒューマンデブリだ。阿頼耶識はそいつらにつけられたものだ。俺ではない』
「そうか……それでマルバさん?鉄華団の少年たちに無理やりあの手術を行なったという訳ですか?」
『あぁ、そうだ!手術を拒否した唯のガキが何の役に立つ!意味合いの宇宙ネズミだからこそ使ってやっていたのに、忌々しい…「黙れ…」…あぁっ!?』
マルバの言葉に僕は久々にキレていた。望んでもいないのに無理やり阿頼耶識施術をし、少年兵として仕立て上げた挙句、まるで使い捨てのゴミの様に切り捨てる奴に対してこれほどまで怒りがわかないことがあるだろうか?
否、寧ろ逆だ。逆に怒りを抱かないのがおかしい。相手が巫山戯るなと言うならそれはこちらのセリフだ。“巫山戯るな、巫山戯てるのはお前だ”と……
『俺が奴らをぶっ殺そうが使い捨て様が俺の勝手だろうが!お前みたいなガキがしゃしゃり出て…「マルバ……いや、人間以下のクズが…」…んなっ!?』
「黙れ……薄汚い家畜以下の豚風情が…」
僕の逆鱗に触れてしまっていることに気づいたマルバはモニター越しとはいえ殺気を感じたのかかなり怯えて腰を抜かしていた。その時に僕は我に返って冷静さを取り戻した。……流石に僕らしくなかったね、これは……。ジンの方も何かと引いっちゃっている感じだった。
レオンSide out
レオンがマルバに鉄華団のことを聞き出して色々と怒りが有頂天になってマルバのことをまるで養豚場の豚でも見るかの様に冷たい冷徹な目で見ていた。可哀想だけど、明日の朝にはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なんだなって感じであった。この時に俺は思った。
レオンだけは絶対に怒らせない様にしよう。そう固く胸に誓うのであった。…しかし、問題はそこではない。あのレオンの目にある変化が起きたのだ。それは青い瞳が
(バカな……!?この世界に純粋種のイノベイターがいるというのか?それとも、レオンはイノベイドなのか?)
純粋種のイノベイターにイノベイド。この二つの事を考えるよりも先にレオンが声を掛けてきた。
『あー…ごめんね?なんか怖い感じ出して引いちゃっている感じだったから声をかけたけど、大丈夫?』
「あ、あぁ…大丈夫だ、問題ない」
『そっか、良かった。…それじゃあ仕切り直しとしてここで決着でもつけるかい?』
レオンはGNビームサーベルを収納し、ライフルカノンをアストレアに向けた。しかし、この戦いに意味はない。
「……いやっ、どうやらその必要は無くなった様だ」
『あぁ、そいつの言う通りその必要は無いお前たち、一旦戻ってきてくれ。こいつらの話を聞くことにした』
名瀬がタービンズのパイロット達に戦闘を止めて船に戻る様に言った。……どうやら鉄華団がうまくやってくれたらしい。
「…まぁっ中途半端になってしまったが、お互いに自分の船に戻った方がいいな」
『…その様だね。でも、僕は太陽炉のことを諦めたわけじゃ無いからね?』
そう言ってレオンが駆るプルトーネはハンマーヘッドの方に帰還していった。
「……やれやれ、とんでもない相手に狙われた様だな…俺は?」
そう思いつつも俺はアストレアを動かし、ガーベラに帰還するのであった。
サダルスードといい、プルトーネといい、挙げ句の果てにはレオンがイノベイターかイノベイドのどちらかであるかの疑問が上がる中、この世界は一体どうなっているんだ?この世界は……鉄血の世界では無いのか?その様な疑問を抱きながらも俺はタービンズとの戦いを終えるのであった。
タービンズとの戦いに生き抜いたジン達ソレスタルビーイングと鉄華団。しかし、彼らに予期せぬ敵が迫っていた。
次回、『存在しない者』
其の者は何故、この世界に存在するのか?