ウイングゼロ撃墜。それを知ったダークハウンドとレギルスの反応は早かった。
レギルスが降りたダークハウンドはMS形態に変形。
当然の判断だ、あのままヒット&アウェイを続けていたら、
回避中にサテライトキャノンで狙われ、2機まとめて蒸発する。
ならば、接近戦で味方の近くに居れば、サテライトキャノンは撃てない。
そう選択した敵の判断は、タタミとユリカにとっても願っても無い。
「よーし! いこうユリカさん!」
「ええ、タタミさん!」
初めての出会いから、幾度と共に戦い、勝利も敗北も分かち合ったコンビ。
2対2の正面切ってのぶつかり合いに、負けるつもりはさらさらない。
アルケーの加速は最大出力。
ディバイダーのブースターでそれと併走するパワード・ジム。
迫るレギルスビット。無数の光球が防御ではなく攻撃のため迫り来る。
それを待っていた、パワード・ジムはディバイダーを展開。
戦いの最中、ディバイダーの機能はすべてチェックした。
ビームを収束し、塊として放つモードに設定。
”ハモニカブレード”による広域殲滅で、
レギルスビットを一掃、かつ一時的にレギルスとダークハウンドの連携を分断。
そこに付け込み、アルケーのファングがレギルスを取り囲む。
「行って下さい、ファング!!」
レギルスを刻み込んでいくファング、これは攻撃でも有り、それと同時に拘束。
「そこだぁ!!」
ツイン・ビーム・スピアを突き出し、レギルスに向けて突貫するパワード・ジム。
アルケーとパワード・ジムによる、基本連係でまずはレギルスを・・・。しかし。
ダークハウンドのアンカーショットが、あと少しの距離のパワード・ジムの両脚を絡めとる。
そのまま引っ張られ、アルケーと離されてしまう。
「タタミさん!」
「ユリカさんはレギルスを、ダークハウンドは僕が・・・!」
これもいつものパターンだ、素組みのパワード・ジムなど敵ではないと判断し、
擬似タイマンでまずパワード・ジムを落とす作戦。
まったくもって、呆れるぐらい見かけで判断しているモノだ!
「いくよ、パワード!」
ディバイダーから伝わる、マサヒコとエックスの絆。
それにあてられたようだ、タタミもパワード・ジムの名前を叫ぶ。
ドンッ! 爆発するように加速を促す、パワード・ジムのバックパック。
パワード・ジムは、本来ガンダムGP01のバーニア試験機だ。
やられ役としてのイメージが強いが、このジムは。
ガンダムと同じ推力を持たされた、”強化(パワード)”ジムなのだから!
パワード・ジムの推進力が、ワイヤーでつながったダークハウンドを、逆に振りまわす。
驚愕するレギルスとダークハウンドのパイロットの様子が手に取るようにわかるユリカ。
それが、致命的なスキを生んだ。
ファングでレギルスシールドと、レギルスライフルを粉砕。
さらにGNバスターソードを、叩きつけるように振り下ろす!
レギルスも反応が速かった。手のひらから発生させた、ビームサーベルの2本が大剣を防ぎ。
[pixivimage:31643529-5]
レギルスのパイロットはわかっていた、アルケーのキットには致命的な弱点がある。
それは、ガンプラの中でも異彩を放つ細く長いシルエット故に、
間接が極端に脆い事だ。
レギルスのしなやかなキックが、アルケーの膝関節をガツンと打ち付け。
「・・・ごめんなさい」
アルケーの間接は、ビクともしなかった。
反対にアルケーの脚先から伸びるビームサーベルがレギルスの両脚を切り落とし。
「自分の機体の弱点ぐらい、サポートしてますから!」
平らジョイントから、3ミリのプラ棒接続に変更したアルケーの間接が砕けるはずも無い。
バク宙するように両脚のビームサーベルで両腕も切り落とし、
GNバスターソードの一刀両断で、レギルスを真っ二つに叩き斬った!
レギルス撃墜、しかしダークハウンドはパワード・ジムの推力に引きづられて身動きが取れない。
ジムに振り回されるガンダム、異様な光景かもしれないが、
ガンプラバトルで勝敗を左右するのは、ガンプラへの愛情であるのだから、
タタミとパワード・ジムの絆に、生半可な感情で及ぶはずも無い。
パワード・ジム、急速反転、振り回した出力を落とすことなく、ダークハウンドへと返す。
相手も反応してみせた、ドッズランサーのドッズガンを連射。
パワード・ジムの無骨さは伊達じゃなく、連射ビームで装甲を突き破れはしない。
迫るパワード・ジム。しかし依然、状況はダークハウンドの有利。
ワイヤーでつながれて前にしか動けないこの現状、
正面衝突しかない今大事なのは得物のリーチ。
ドッズランサーの槍は、パワード・ジムのツインビームスピアを長さで上回っている!
そんなもの、タタミは百も承知。
接触まであと0.3秒。パワード・ジムは急速に機体をロールさせ、
グンッと引っ張られるワイヤーが、ダークハウンドの姿勢を崩した。
慌ててアンカーショットをバインダーから切り離す、が、遅い!
「貫いて、パワード!!」
ズンッ!!
ツインビームスピアが、ダークハウンドのボディを貫き。
試合終了の合図が、バーチャルの宇宙空間に響き渡った。
第二回戦は勝利を収めたものの、残念ながら、タタミのチームは第三回戦で敗退。
しかし、3人は楽しかったと満足した様子で選手控え室から出てきた。
それを出迎える、試合を観戦していたコウタとガク。
「よっ! おつかれさん!」
「惜しかったな」
三回戦目の相手は、ハンブラビ3機によるヤザン隊の再現チーム。
精巧に作りこまれた海ヘビのクモの巣に阻まれ、連携を崩されたものの、
最後はアルケーとハンブラビの一騎打ちまでもつれ込み、
序盤のダメージが響き、惜しくも敗北を喫してしまった。
「あのイカみたいなガンプラ、すごい強かった!」
「すごかったですね。・・・そうです!
来週は、ZガンダムのDVDを持っていきますね、タタミさん」
ついにタタミのガンダム鑑賞も一年戦争から抜け出し、グリプス戦役突入か。
楽しそうに話す友人4人の横。
エックスとザクスナイパーを両手の持つマサヒコは、俯き、ゆっくりと父親の元へと向かう。
きっと、怒られるのだろう。でも、後悔していない。
「あ、あのね・・・お父さん・・・」
複雑そうな表情の父親の前に立ち、マサヒコは、ザクスナイパーを差し出し。
「僕のガンプラは、このエックスだから・・・!」
初めての、父親への反抗。
脚が震える、怖くて涙がでそうだった。
差し出されたザクスナイパーを、おじさんは包み込むように受け取り。
わしゃわしゃと、マサヒコの頭を撫で。
「・・・今度、一緒にガンプラバトルやろうな?」
「え・・・。
・・・・・・・う・・・うん!
うん・・・、うん・・・、うん!!」
何度も何度もうなづき、嬉しそうなマサヒコ。
あの親子は、ただの父と子でなく、ガンプラでつながる絆を手に入れた。
それを見て、驚いているユリカ。
良かったと、腕を組むコウタ。
やれやれと、肩をすくめるガク。
「うん、よかったね♪」
微笑むタタミの、弾む声。
こうしてまたひとつ、ガンプラの友情が、繋がった。