ガンプラビルダーズ・フレンズ   作:いすた

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第4話「フリーダムとジャスティスと」

いつものプラモ屋の、いつものガンプラバトルマシンの中。

 

戦いが始まり、すでに4分。

 

5分を制限時間とした2機のガンプラバトルは今、

 

最終局面を迎えようとしていた。

 

1機は、空を翔る黒いアルケーガンダム。

 

すでにファングは使い尽くし、残る武装はGNバスターソードのみ。

 

対するのは、地上から巨大なハイパーメガカノンを構え、

 

アルケーを撃ち落とそうと、トリガーを引くFAZZ。

 

他には敵も味方もいない、1対1のデスマッチ。

 

 

「しぃずめぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

叫びと共に、残ったミサイルをすべてばら撒くFAZZ。

 

アルケーの回避のクセは見抜いている、本命は主砲の一撃。

 

まさに計算されたタイミングで放たれた巨大なビームを、

 

回避できないと判断し、ためらいなく左腕を犠牲にして防ぐアルケー。

 

良くも避けれたものだと、大きなスキを見せたFAZZに接近し、

 

 

「ええいっ!」

 

 

頭上から振り下ろされるGNバスターソード。

 

FAZZはバックパックを根元から切り落とされ、主兵装を無効化されるも。

 

それでも退かず、拳で殴りかかるFAZZ。

 

近年まれに見る、すばらしいガンプラバトル。

 

その2機を扱うのは、二人の中学生。

 

FAZZのガクと、アルケーのユリカ。

 

なぜこんな戦いをしているかというと。

 

 

「タタミは、俺とペアを組むんだ!」

 

「タタミさんとペアを組むのは、私です!」

 

 

そんな理由で火花を散らす二人の戦いをライブモニターで見ながら、

 

友人のコウタは、若いねぇ、と年寄りぶった言葉をポツリ。

 

キドウ・タタミ。中学二年生の同級生でクラスメイト。

 

甘いマスク、穏やかな性格、成績も優秀とあらゆる要素を備えたショタ属性(コウタ談)。

 

乙女ゲーからでてきたんじゃないかとも言われる彼に惹かれる者は後を絶たず。

 

男女問わず虜にするも、そのトラブルも打ち消してしまう人当たりの良さも併せ持つ。

 

天が二物も三物も与えたのではないかと思える少年だ。

 

その彼とペアを組みたいと、ペア決定権を賭けて戦う御二人。

 

さすがにそこまで入れ込むのはどうよと、適度な友人レベルのコウタは若干呆れ気味だ。

 

ちなみに、当の本人はここには不在。

 

今日の集合時間は遅めに伝えており、この決定戦を秘密裏に行うためのウソをつかせてもらった。

 

 

「ま、居たら居たで、最適な選択肢を選ぶから問題ないんだけどな」

 

 

天然に見えて、現状最適な判断を瞬時に行える頭の回転の良さがあるタタミ。

 

出会った当初は、コイツ腹黒そうなんて思ったものだが、

 

しばらくするうちに、根っからの善人が現実に居るモンなんだなと痛感したものだ。

 

 

「おっと、もう終わるな」

 

 

試合終了までのカウントダウン27。

 

筐体の外まで聞こえる叫びを上げる二人に、よくやるよと、笑みを浮かべるコウタだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、約束の時間よりも早くプラモ屋についたタタミ。

 

変わらぬ愛機、素組みのパワード・ジムを抱きしめて店内へ。

 

今日はいつもと違い、すぐに奥のガンプラバトルコーナーへとは向かわず、

 

ガンプラコーナーを物色しはじめ、お目当てのモノを探す。

 

先日のレギルス、ダークハウンド戦で痛感した、パワード・ジムの機動力不足。

 

大型バーニアで加速性能に申し分はないのだが、いかんせんアルケーと併走することはできない。

 

ディバイダーを借りて使用し、サポート装備でそれを補えると気づいたタタミ。

 

この前ユリカと一緒に見たZガンダム。

 

作品中にでてきた、ある装備に目をつけ、それを買うのも今日の目的だ。

 

そんなわけで、さっそくHGUCコーナーへと脚を踏み入れると。

 

 

「・・・から・・・ヤバクなったら・・・」

 

「さすがに・・・いくらなんでも・・・」

 

「バカ・・・こっちは金かけた・・・負けるわけには・・・」

 

 

店の片隅で、コソコソと相談する3人の男子。

 

中学生ぐらい、自分と同い年か1つ下ぐらいだろうか。

 

とりあえず、怪しい。万引きでもしそうな雰囲気である。

 

 

「・・・ねぇ、どうかしたの?」

 

 

臆することなく、話しかけるタタミ。

 

ハッと振り向く3人は、キッとにらみつけ、凄んでくる。

 

 

「聞いてなかったろうな?」

 

「ううん、なにも」

 

 

凄まれた程度で動じないタタミ。

 

実際よく聞こえなかったので首を横に振って答えると。

 

少年達はそそくさと、逃げるように去っていった。

 

何かを見ていたようだが、店の奥のガンプラコーナーだろうか?

 

ちらっと、覗き見ると、見知った顔。

 

 

「さぁ私の勝ちです! タタミさんとのペア出場、これで正式に決定ですね!」

 

「くっ・・・、あそこで接近を許したばかりに・・・」

 

「ま、しゃあねぇよ、アルケーに近づかれた時点でFAZZに勝ち目ねぇって」

 

 

ユリカ、ガク、コウタの3人が、なにやら試合後の会話をしているではないか。

 

集合の約束時間まで30分はあるのに、先に集まって。

 

 

「ああーーーー! みんなズルイよ! 先にガンプラバトル始めてる!」

 

 

のけ者にされた! 頬をリスのように膨らませてつかつかと歩いてくるタタミに、

 

うわっ、と驚き戸惑うガクとユリカ。

 

いやそれぐらい予想しとけよと、こういう土壇場では冷静なコウタは。

 

 

「よっ、タタミも早く着いたのか?」

 

「・・・”も”っていう事は、コウタ君も?」

 

「なんか計らずも早めに集まっちまって、

 

 ガクとユリカ先輩がちょっと新しい事試したいってな。

 

 別にのけ者にしたわけじゃねぇって」

 

 

いつも暴走してガクに殴られているシーンが多いコウタだが、

 

ガクが熱中してる時はコウタが冷静と、なかなかバランスが取れていたりする。

 

このあたり、良く年下のいとこの相手をしているお兄さん的な部分だろう。

 

そっか、とコウタの説明に納得したタタミ。

 

その後、ガンプラバトルをひとしきり楽しんだ後、

 

タタミの家でガンダム鑑賞しつつ、明日の作戦会議。

 

何かを相談していた男子3人組を頭の片隅で気にしながらも、

 

タタミは目一杯、ガンプラで送る青春の休日を満喫していた。

 

 

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