そしてやってきた、戦いの当日。
約束どおりタタミとユリカ、ガクとコウタでペアを組み、それぞれがエントリー。
今日も大会ルールはトーナメント。
大量の参加者を一日で決勝までもっていくのなら、これ以外のルールはないとも言える。
開催する度に増えていく参加者に、店長も色々考えているそうだ。
そんな店長に感謝をしつつ、ノーマルスーツに着替えるタタミとユリカ。
昨日予定していた通り、タタミの手の中にはパワード・ジムを強化するための新武装があった。
「これで、ユリカさんに足並みを合わせてもらう必要は無いよね」
「クスッ、簡単に追いつかせませんからね?」
「あ、意地悪するんだ、ひどいなぁ♪」
時間が経つにつれてどんどん自然になっていくタタミとユリカ。
そんな二人の第一回戦の対戦相手。
腕章に書かれた番号から、誰がどのチームなのかわかるので、
中学生ぐらいの三人組のうち、二人がソレだとわかった。
最近ではこの店の常連の仲間入りしているタタミ達だが、
見慣れない三人組に、初参加者と判断。
ふと、タタミはその顔に見覚えがあった。
昨日、ガンプラコーナーで怪しげに話していた男の子達。
「一回戦の対戦相手の方ですよね?
よろしくお願いします」
「お互い、がんばろうね!」
まずは礼儀。タタミとユリカの好意的な挨拶。
・・・なのだが、三人組はちらりとこちらを見て。
「・・・ぷっ!」
「よろしくだって、ダッサ」
「いちいち声かけてくんなよ、・・・うっぜぇな」
まぁ、なんとも典型的な、礼儀を軽んじる中学生男子。
タタミとユリカは顔を見合わせ苦笑。
自分達のクラスにも、こういう手合いがいないわけではないので、
別に不快を感じるほどでもない、穏やかな反応。
それが何か気に食わないのか、チッと舌打ちして去っていく男子達。
この場にガクかコウタが居たら喧嘩になっていたかもしれないが、
幸いにも二人はいま試合待機中。
FAZZとケルディム鶴のベスト連携で難なく一回戦を突破した友人を見守った後、
自分達も筐体に入り込み、出撃準備完了。
タタミはパワード・ジムと、今日のとっておき武装を一緒に読み込ませる。
相変わらずの素組み性能がステータス表示されるも、最近はそれを気にしていない。
この前買ってきたジム・ストライカーを使ってみても、なんだかしっくりこなかったし、
その後パワード・ジムを使ったら、”彼”が、ちょっと拗ねてた気がしたのだ。
だから、タタミの愛機はパワード・ジム。
モニターに映されたのは、強襲艦アーガマの格納庫。
最近Zガンダムをみたばかりのタタミにとっては、なんとも心躍る情景だ。
「キドウ・タタミ。パワード・ジム、行きます!」
漆黒の宇宙空間へとカタパルト射出。先行していたユリカのアルケーと合流。
パワード・ジムの武装はいつもと同じ、ツイン・ビーム・スピアとハイパー・バズーカ。
”とっておき”のアレは、望んだ時にこちらに届くようにセットしてある。
2機で並び進んでしばらく、彼方に見える光点を視認した。
タタミの良く知らないガンプラだ。存じているユリカが説明してくれる。
「敵を確認しました。フリーダムガンダムと、ジャスティスガンダム。
・・・あのモールドとプロポーションは・・・RG(リアル・グレード)ですね」
「RG?」
「1/144スケールモデルに、最新技術を詰め込んだ、
ハイクオリティモデルです。
素組みでもガンプラバトルではかなりの性能を出すキット。
注意してください」
「うん、どっちも高機動タイプかな?」
白と赤の目立つ、2機のガンダムのデザインからそう分析するタタミ。
白い方は背中の大きな翼が非常に目を引く。
赤いほうは、戦闘機の機首を切って背負ったようなプロポーション。
どちらにしても、脚が遅いという事は無いだろう。
こちらの射程圏内に入るよりも前に、白いガンダム。
フリーダムの翼から砲身が現れ、サンドイッチ色のビームが放たれる。
狙いの精度が高い、ガンプラの性能の高さが伺える。
回避しつつ、周辺のデブリがかすっただけで蒸発するのを見たタタミ。
「この前のウイングゼロほどじゃないけど、出力が高い!」
フリーダムは、砲撃機体といったところか。とすれば、赤いほうの特性は―。
ドンッ! と弾かれるように加速する赤いガンダム、ジャスティス。
フリーダムの後方援護を受けながら、アルケーへと踊りかかった。
「やはりこちらに―!」
高機動の二機ならば、アルケーとパワード・ジムのチームへの対策は明瞭。
脚の遅いパワード・ジムを無視し、動き回りながら翻弄、先にアルケーを仕留めればいい。
パワードに強力な射撃武器でもあれば別だが、
ビームよりも弾速の遅いバズーカで、長距離からフリーダムとジャスティスを捉えれはしない。
コンビとしての相性は、スピードに差があるタタミとユリカに不利だ。
このままではパワード・ジムはなにもできず、アルケーが先に撃破される。
そう、このままならば、だ。
タタミはコンソールを操作、先ほど登録した”とっておき”を起動。
出撃したアーガマから射出される、
スペースシャトルを平べったくしたようなサポートユニット。
「来て、フライングアーマー!」
タタミの呼びかけに応じ、パワード・ジムを上に乗せるフライングアーマー。
Zガンダムの作品中に登場し、
ガンダムMk-Ⅱと共に活躍したSFS(サブ・フライト・システム)だ。
パワード・ジムが本来もち得ない加速性能を与え、
こちらを完全に無視していたジャスティスを強襲する。
「赤いのは僕が、ユリカさんは白いのを!」
ジャスティスは見たところ、ステータスとして突出した射撃武器を持っていない。
中~近を得意レンジとした汎用機と見た。
それの相方であるフリーダムは、高機動、高火力の射撃機体。
接近する事、押し込む事を得意とするユリカーのアルケーの敵ではない。
ジャスティスはパワード・ジムで落とす、これが最適な判断。
「わかりました。
・・・パワード・ジムにフライングアーマーも、
結構似合ってますね」
「うん! パワードはカッコイイから、なんでも似合うよね♪」
つくづく、パワード・ジムにゾッコンなタタミである。