相手は、こちらの思惑通りに動いてくれた。
セオリーならば、意地でも2対2の状況を続け、総合性能差で押し込むべきだろうに、
あまりにもあっさりと、パワード・ジムに固執しはじめるジャスティス。
昨日も感じた違和感が、タタミの脳裏をよぎる。
なんだろう、おかしいと思うのだが、漠然としたまま。
どんどんと互いの距離が離れ、もはや完全な1対1の状況となった。
『ジャスティスガンダム』ガンダムSEEDに登場した主役ガンダムの1機。
最大の特徴は、戦闘機を後ろにくっつけたようなと表現できる背部リフターユニット。
大口径ビームキャノン×2、ビームガン×2、機銃×4と重武装。
さらに高出力のブースターも兼ねた大型バックパック。
その性能は今戦っている最中に、ひしひしと感じることができる。
フライングアーマーという外付け装備を使うパワード・ジム相手に、
単機で加速と旋回性能で上回る性能は脅威と、タタミは感嘆する。
「はやい・・・、これがRG」
高速戦闘の基本はドッグファイト。
相手の後ろを取りあう、2匹の犬のような動き。
旋回性能で大きく差のつくこの戦い、
あっという間にパワード・ジムは、背後を取られてしまう。
通常の戦闘機ならば、後ろから一方的に撃たれて終了だが、
ここで、パワード・ジムとフライングアーマーが別の存在であることが利点となる。
フライングアーマーの上で、振り返り、バズーカで牽制するタタミ。
進行方向を同じにしながら、正面きっての激しい撃ちあい。
背部リフターとビームライフル、3つのエネルギー砲門を回避しつつ、バズーカの連射。
完全な互角にラチがあかないと悟ったか、ジャスティスはリフターを分離。
そのままリフターの上に乗り、パワード・ジムと同じ姿勢になる。
こうすることでジャスティス本体のスラスターも使用可能。
旋回性能は落ちるが、加速性能をあげて距離をつめるつもりか。
やはり基本性能はジャスティスに分がある。
が、さらにタタミの違和感は増す一方。
基本性能が上、そしてあれだけの武装を持ちながら、当てることすらできない?
試すように減速し、ジャスティスと併走する位置取りをすると、
不思議な事に、相手はタタミの誘導するまますぐ隣から攻撃してきた。
愚か以外の何物でもない、
横に並んでしまえば、リフターのビームキャノンは使えなくなる。
武装の特性を考えれば、正面こそ火力が集中しているガンプラではないか。
「・・・それなら!」
フライングアーマーを傾け、自分を隠すようにロールさせるタタミ。
予想通り、逃げると勘違いしたジャスティスは、突っ込んでくる。
影から飛び出すパワード・ジム、不意をつかれて反応しきれないジャスティスの懐に潜り込み、
無骨な左脚で相手のライフルを蹴り飛ばし、さらにリフターから蹴り落す。
「いくら性能が良くたって、そう一本調子じゃ!」
通称Mk-Ⅱキック、つい言葉も原作をなぞってしまった。
このパイロット、基本以外の何もできていない。
状況選択、応用もなにもあったものではない、
ただ高性能のガンプラを動かしているだけだ。
さらにミスを犯す、リフターを回収せずに、反撃のために胸部バルカンの連射。
ほぼゼロ距離、どんな攻撃も回避できない距離で、
バルカンとバズーカ、どちらが有利か語るまでも無い。
ハイパーバズーカの直撃を受けて、爆散するジャスティス。
タタミは、撃墜アイコンが画面に表示されたのを確認した後、
フライングアーマーを回収し、ユリカの援護へと向かった。