ガンプラビルダーズ・フレンズ   作:いすた

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そしてやってきた週末。

タタミ、ガク、コウタの男3人はプラモショップへとやってきた。

各々の手の中には、持てる技術と愛を込めて作り上げた3体のガンプラ。

タタミは予定通り、パワード・ジムにツイン・ビーム・スピアを装備させて戦うつもりのようだ。

そんな嬉しそうな友人の横顔を見て、つられて顔がほころぶガク。

彼の持つガンプラ『FAZZ(ファッツ)』と呼ばれる白いガンプラ。

ご自慢のエアブラシによる黒立ち上げからの塗りは、

1/144というスケール感を感じされない素晴らしい仕上がりだ。

そしてあと一人、コウタのほうのガンプラなのだが・・・。

 

「お前・・・、本当に作ってきたのか」

「おいおい、俺が作ってこないと思ったか?」

「いや、いくらお前でも、自重すると思っていた」

 

ガクがドン引きするのは、コウタの白と黒のガンプラ。

『ケルディムガンダムGNHW/R』の色変えなのだが。

問題は、左肩の大きなシールドに貼られたシールである。

やたらとフトモモとオシリの強調された、エロい格好の女の子キャラが、

デデンっ! と自己主張していた。

オマケに、このキャラは鶴の恩返しをモチーフにしているので、

わざわざガンプラの左足に包帯を巻いてあるという無駄なこだわり。

いわゆる、”痛ガンプラ”であった。

 

「わぁ! ガク君のもコウタ君のもかっこいい!」

「フフンッ! そうだろうそうだろう、俺のケルディム鶴は最高だろう!」

「うん! でも、なんで女の子のシールがついてるの?」

「そうだな・・・、愛ゆえに、ってところか(ドヤァ)」

 

こういう時、タタミのように純真でもなく、

コウタのように吹っ切れていない自分は損だ。

盛大なため息をつき、ササッと店内に入っていくガク。

ガンプラバトルの基本でもある、3対3のチーム戦。

今日は特にイベントもないので、比較的空いた店内に待ち時間は必要ない。

もちろん人が少ないという事は、店内対戦の相手も少ない事でもあるが、

最近ではガンプラバトルもネット対戦に対応しており、困ることは無い。

店長にガンプラバトルをする断りを入れて、店の奥へと入る。

すると、先客が3人。

自分達のガンプラをテーブルに置き、なにやら会話中。

 

「やっぱりAGEはメカ、話、キャラ、全てにおいてクソなんだな」

「種を超えるクズが生まれるとは思ってませんでしたなぁ、種死と同格でしょう」

「ヒ○脚本はホントだめネ、YOYO!」

 

失礼承知のガクとコウタの感想、順番にデブ、メガネ、アフロ。

気に入らないガンダム作品は侮辱する、性質の悪い『ガノタ(ガンダムオタクの蔑称)』のようだ。

先日ユリカが言っていたように、ガンダムファンには様々な種類が居る。

あれだけ種類があると好き嫌いが分かれてしまうのは致し方ないだろう。

たまに、無意識な自己主張で人を傷つけてしまうのが、

ガノタなどと侮蔑される者のいる現実か。

こういうのとは戦いたくないなぁと、コウタとガクの感想。

ガンダムオタク達の横を通り過ぎ、別の場所で作戦会議と思ったのだが。

オタク達の”メガネ”のほうが、ガクのFAZZをみやり、フンッと鼻で笑う。

 

「ガンダムにわかが来ましたねぇ、FAZZにエゥーゴのマークなんて設定無視ですな」

 

明らかな聞こえよがし、タタミはガクの事かなと足を止めてしまう。

 

「・・・え?」

「タタミ、無視しろ」

 

よりにもよってからんでくるタイプかよ、ガクは強引にタタミを促すが。

こういう手合いは無視されると余計にかまってほしくなるし、

相手をすれば調子にのる、とても厄介な連中である。

今度はデブが、コウタのケルディムに対して。

 

「OOなんてエセガンダムなんて、よく恥ずかしくないんだな、プククククッ!

 しかも痛仕様なんて、こういうのが居るから、

 ガンダムマニアが勘違いされるのだね。

 そもそもガンダムとは萌えなどと言う低俗なモノとは無縁の―」

 

腹もでかければ会話も長い、ほら無視無視、とコウタもタタミの背中を押して去ろうとするも。

3人目のアフロのほうが、タタミのパワード・ジムを見て。

 

「HAHAHA!! 素組みの、しかもパワード・ジムなんて、

 役立たずの中途半端MSネ、ケッサクYO!」

 

あ、やばい、とコウタが思うと同時。

ガクはアフロの胸倉を掴み上げ、険しい目つきで凄む。

 

「てめぇ今なんつった? もう一度言ってみろ、ヲイコラ!?」

 

タタミの悪口なんていうものだから、ガクが黙っているはずもなかった。

今にも殴りかからんばかりの形相を相手に、ガンダムオタク達は。

 

「ぼ、暴力はよくないんだな!」

「先に手を出したほうの負け、野蛮ですねぇ」 

 

この態度に、なだめようとしたコウタもキレる。

 

「てめぇらが先にケンカ売ってきたんだろうが」

 

ガンダムオタク達の勝手な主張。

一触即発、険悪なムードが場を支配し・・・。

と、そんな5人の真ん中、ポンッと手を打つのはタタミ。

 

「じゃあ、ガンプラバトル!」

 

この空気にたじろぎもせず、

彼の一声で、今日の対戦相手が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6人のガンプラビルダーは、筐体に乗り込み、

それぞれのガンプラを端末に読み込ませる。

フルメンバーでの対戦はタタミも初めてではないが、

この対戦前の独特の緊張感は、まだ慣れそうに無い。

ちょっとだけの怖さと、大きな楽しみの混ざった不思議な感覚。

 

「フォーメーションはいつも通りだ。

 コウタがアタッカー、俺がバック、タタミはサポート」

 

3人の指令塔でもあるガクは、まだ怒り収まらぬといった様子。

それに応じるコウタも。

 

「おうよ! あんなガノタの暗部の塊みたいな連中に、

 負けてたまるかってんだ!」

 

拳を打ち鳴らし、気合十分といった様子のコウタ。

静かな怒りに身を任せるガクが先に発進。

 

「カンザキ・ガク。FAZZ、出る!」

 

カタパルトに打ち出されるガクのFAZZ。

次にカタパルトにあがったのは、コウタのケルディム。

データとして取り込んだガンプラを完全再現するだけあり、

キチンと痛いシールもバッチリ張り付いている。

 

「サトウ・コウタ。ケルディム鶴、いくぜぇ!」

 

空に放たれた友人二人のガンプラ。

その背を見るタタミのパワード・ジムがカタパルトにセットされる。

タタミだって、友人を悪く言われていい気分はしていない。

勝ちたい、それは3人共通の思い。

 

「キドウ・タタミ。パワード・ジム、行きます!」

 

先日買ってきたジム・ストライカーの装備、ツイン・ビーム・スピアを片手に、

素組みのパワード・ジムが、空に放たれた。

眼下に見えるのは、初めての対戦でも使ったバンダイ工場近辺。

射撃機体として、最もセンサーの優れているケルディムが敵を捉えた。

 

「・・・『ヤクト・ドーガ』『ケンプファー』『ドム・トローペン』。

 見事なまでにUCモノアイシリーズだな、ヲイ」

 

さすが宇宙世紀信者のガンダムオタク、選択もいかにもそれっぽい。

ガンプラの仕上がりは、性格とは違い見事なものだ。

原作再現を重視した遊びの少ないガンプラは、

本来の性能をいかんなく発揮するだろう。

その部分に関しては、さすがガンダムオタクと素直に称えれよう。

 

「こちらガク、先制を仕掛ける!」

 

ガクのFAZZの背中から伸びる長大な大砲。

ハイパーメガカノンより放たれた極太のビームが、開戦の合図。

FAZZの砲撃を散開して回避する敵3機。

ドム・トローペンとケンプファーが、

それぞれ手持ちロケット砲、シュツルムファウストを放ち牽制。

当てられるつもりは無い、狙いは3機の戦力の分断。

目の前を通るシュツルムファウストに足を止めるパワード・ジムとFAZZ。

一時的にではあるが、先を進むケルディムとの差が開き、孤立。

 

『射撃機で突っ込むなんて、まったくもって愚かなんだな!』

 

この声はデブのほうか、赤いヤクト・ドーガがケルディムに迫る。

ヤクト・ドーガは大型の重装備MS。

右手のビームガトリングに、両肩にミサイルとファンネル。

さらにシールドにもメガ粒子砲を4門搭載した大型の機体。

対して、コウタの駆るケルディムの手足は明らかに貧弱で、

劇中でもパイロット「ロックオン」の名の通り、狙撃を得意とするガンプラ。

ヤクト・ドーガも格闘機ではないが、接近戦ではケルディム側の圧倒的不利。

だというのに、コウタの口からでてきた言葉は。

 

「ケルディム鶴、目標を切り刻む!」

 

本来緊急用につけられているはずの、GNビームピストルの小さな刃。

トリガーを一度も引くことなく、ピストルを逆手に構え、振り払う。

不意を突かれたヤクト・ドーガはビームガトリングを切り裂かれ、

つづく2撃目は、かろうじてシールドで防ぐ。

 

「ケ、ケルディムで格闘戦!?」

「ばっきゃろう! 俺のケルディムには、い○はの魂が篭ってんだよぉ!」

 

シールで貼られている格闘ゲームのキャラは、両手の翼のような刀で戦うヒロイン。

つまり、本体の設定はガン無視で、とっても”痛い”ガンプラに仕上がっていた。

近接用ではないヤクト・ドーガにとって、この状況は望むべくものではない。

元設定を考えて挑んだ接近戦で、まさか不利になろうとは。

ヤクト・ドーガのビームサーベルと、ケルディムのピストルがぶつかりあう。

重量もサイズ差も覆すほど、ケルディムの格闘能力は恐ろしく高かった。

 

「おのれぇ! ファンネル!」

 

右肩の黄色い円筒形のパーツが切り離され、遠隔砲台を形成するヤクト・ドーガ。

 

「させるかよ、ライフル・ビットぉ!」

 

ケルディムも右肩の大きな板、ライフル・ビットを切り離し、応戦。

互いのオールレンジ兵装同士が撃ち合う中、続く接近戦。

一瞬のスキをついて、ケルディムの刃がヤクト・ドーガの右腕を肩から切り裂いた。

そこにガンダムオタク側のドム・トローペンが接近。

バズーカを構え、援護のため発射しようとしたところに、

さらに駆けつけたのはタタミのパワード・ジム。

相手よりも早くバズーカを撃ち放ち、横槍を妨害。

 

「ああ! あのスカートついてるの、パワードを壊したガンプラだ!」

 

先日、ユリカのもってきた0083のアニメを見て、愛機の無残な散り際に涙したタタミ。

あの時の仇といわんばかりに、バズーカを撃ちまくる。

そこでガクのFAZZも到着。

遠距離でのケンプファーとの撃ち合いで多少遅れたが、状況は有利。

ケルディムと斬りあうヤクト・ドーガへ向けてハイパーメガカノンを発射、

見事左足をもぎ取って見せた。

追撃をとケルディムがライフル・ビットを向けるも、

遅れて駆けつけたケンプファーのショットガンが2枚のビットを撃ち砕く。

ヤクト・ドーガが下がり、ドム・トローペンもケンプファーも一時、山陰に撤退。

丁度いい、仕切りなおしの良いタイミングだ。

 

「あのヤクト、俺と接近戦で持ちこたえてみせやがった」

 

顔も性格も悪いが、ウデだけは確かなようだ。

だが状況はこちらが有利。ヤクト・ドーガを手負いにできたのは大きいはずだ。

このまま容赦せずに半壊の一機を落とし、3対2の状況に持ち込んで1機ずつ撃破。

復活ルールの無いチームバトルの、セオリー通りの作戦だ。

 

「んじゃ、俺が仕掛ける、タタミは援護してくれ」

「うん、わかった」

「コウタ、ヤクトにはファンネルがまだ残ってる、油断するな」

「わーってるよ、そいじゃ・・・、いくぜぇ!」

 

丁度あちらも作戦が決まったらしい、いいタイミングで飛び出してきた敵3機。

ケルディムとパワード・ジムが先行、FAZZが後方より狙ういつもの作戦。

対して相手は、ヤクト・ドーガとドム・トローペンの2機が、

パワード・ジムとケルディムに向かってくる。

定石ならば、手負いの1機がいるならば、3機で固まって行動するはずなのだが。

ケンプファーは少し遠回りでFAZZへと向かっていく。

作戦ミスと判断するのは容易い、が、どうも何か怪しい気配がする。

それでも、チャンスを逃す理由にはならない、

ケルディムは再びビームピストルを逆手に構え。

突出するヤクト・ドーガへと、振り下ろす。

ヤクト・ドーガの左肩に残っていたファンネルが展開。

ケルディムへの迎撃、そも思われたファンネルは、

パワード・ジムへと飛び放たれ、それを横目で確認したコウタは。

 

「なんのつも―、しまった!?」

 

気付いたときには遅かった。

すでにビームピストルの刃はヤクト・ドーガのボディを貫いており。

そこに、バズーカを構えるドムが回りこんでくる。

パワード・ジムがそれをカットしようとするも、ヤクト・ドーガのファンネルがそれをさせない。

ドムのバズーカは、ゼロ距離のケルディム向け放たれた。

串刺しのヤクト・ドーガが邪魔で、回避はできない。

幸い左肩のシールドは大きく、防ぐことは出来る。

シールドは砕かれ、左腕を失うだろうが、生き延びる事さえできれば・・・。

 

「へっ、俺もヤキが回ったな・・・」

 

なぜか、コウタの操作でシールドがどけられ、

ケルディムは砲弾の直撃を受け、ヤクト・ドーガと共に爆散した。

 

「コウタ君!」

 

親が破壊され、制御を失ったファンネルが落ちていくのに目もくれず、

破壊されたケルディムへと駆け寄るパワード・ジム。

その様子を遠くで、ケンプファーと撃ち合いながら見ていたガクは。

 

「・・おい、なんでシールドをどけた?」

「ふっ、い○はに傷をつけて、たまるかよ・・・」

「お前、バカだろ?」

 

筋金入りの正真正銘のバカである。

これで2対2のイーブン、とは判断しづらいものがあった。

 

「ふっふっふ、素組みのパワード・ジムなんて何時でも落とせますね。

 ハリボテのFAZZで、私のケンプファーを、凌げはしませんねぇぇぇぇ!」

「言ってくれる!」

 

メガネが扱う、強襲用の高機動MSケンプファー。

豊富な武器を体中に装備しており、

劇中でも6機の敵を相手にし、余裕の勝利を見せ付けたガンプラだ。

対するガクのFAZZは、カンオケやらハリボテやら、

原作でもあまり良い扱われ方をしておらず。

ケンプファーと色の良く似たガンダムMK-ⅴに瞬殺されたイメージが強い。

事実、大型の主兵装を多数装備するFAZZではケンプファーを捕らえることはできず、

両手のバズーカの間髪いれない連射攻撃に、ハイパーメガカノンも破壊されてしまう。

もう一方。少し離れた場所で、パワード・ジムとドム・トローペンが向かい合い。

 

「ジム如きに、やられるドムじゃないYOOOOO!!」

 

ドム・トローペンを扱うのは、パワード・ジムをバカにしたアフロ。

カラーリングこそ違うが、作品中でもこの2機は戦い、

パワード・ジムは惨敗を喫していた。

それを知っているタタミは、ホバー機動で翻弄するドムを前にし。

 

「パワーもスピードも、向こうが上・・・

 

機体の特性上、単機ではパワード・ジムが上回っている要素は無い。

FAZZと合流したいところだが、あちらも高機動機を相手にしては、

安易に背を見せれば、あっという間に撃破されてしまう。

不利な1対1を押し付けられたタタミとガク。

 

「ねぇ、ガク君」

「なんだ?」

 

不利な状況、それでもタタミは、笑みを浮かべ。

 

「勝ちたいよね!」

「当然だ!」

 

これは勝負、勝つか負けるか、そして勝ちたいから遊んでいる。

バズーカを構えるパワード・ジム。

が、そこに高速で懐に潜り込んでくるドム・トローペン。

左手でバズーカを押しのけ、

自分のバズーカをパワード・ジムのコクピットへ押し当てる。

 

「もらったYO!」

 

まさに原作通り、ガンダムオタク冥利に尽きる勝利。

ドム・トローペンがトリガーを引く指が動く、より速く。

 

「やっぱりそうきた!」

 

原作と大きく違うのは、

パワード・ジムの左手にはツイン・ビーム・スピアがある。

2本のビームの刃が、ドム・トローペンの右腕ごと、バズーカを切り落した。

 

「ぬおぉOOOOO!!」

 

まさかの反撃に、戸惑いの声をあげるアフロ。

しかし立て直しは早い、残った左腕でヒートサーベルを引き抜く。

が、その手をツイン・ビーム・スピアの二振り目が切り裂き、

振り回す勢いそのまま、横になぎ払われるビームの軌跡は、

ドム・トローペンのボディを真一文字に分断した。

 

「パワード、仇はとったよ」

 

無残に散ったアニメの愛機へ語りかけるタタミ。

一方、ケンプファーとFAZZの戦いも・・・。

 

「アフロを落としましたか、まぁいいでしょう!

 君は倒して、あのパワード・ジムも私が―」

「させると思うな!」

 

最大の兵装であるハイパーメガカノンを失ったが、まだ武器はある。

バックパックのミサイルランチャー一斉射。

ケンプファーは高速移動で突進しながら全てを回避。

 

「戦い方を教えてあげましょう!」

 

FAZZの懐へと潜り込み。

右手に持つ、ケーブルに無数の円盤のついた奇妙な武器。

FAZZのボディにグルグルと巻き付き、

円盤が装甲にガチンと張り付いた瞬間。

円盤達が大爆発を起こし、FAZZの全身を襲う。

『チェーン・マイン』後にも先にも無い、ケンプファーの独自武装。

 

「ガク君!」

 

支援に向かっていたタタミの目に映る、爆発の中のFAZZ。

 

「さぁて、次は君の番ですよ、パワード・ジム!」

 

これで1対1、自分のケンプファーが素組みのパワード・ジムに遅れを取る筈がない。

それを確信しているメガネが、銃器を捨て、ビームサーベルを構えた時。

黒煙の中から、ヌッと現れる黒い腕。

それはケンプファーの両腕をガシッと掴み、持ち上げた。

 

「な、なんですと!?」

 

黒煙に浮かぶデュアルアイ。

やがて晴れたそこには、白いアーマーをパージした、黒いZZ(ダブルゼータ)。

 

「せ、設定無視だ! FAZZに中身なんて・・・!」

 

じたばたと動くも、ZZの腕は敵を放さない。

ZZの額、本機の象徴でもある、砲門が輝く。

 

「ハイメガ―!?」

 

それも本来のFAZZにはオミットされた武器。

設定無視、原作崩壊、そうガンダムオタクは思うだろう、だが。

 

「お前達の敗因は、設定に忠実すぎた事だ!!」

 

ガクの叫びと呼応し、放たれる大出力のビーム。

溶かすように、ケンプファーの上半身を蒸発させ、勝負は決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合終了。3人が筐体から出ると、

さっさと帰ろうとする3人のガンダムオタク達がそこに居た。

こういう手合いは、プライドだけは人一番強い、

負けた自分を受け入れたくなく、逃げ出そうとするオタク達。

ガクとコウタは、去っていくその背を見ようともせず、次の試合をやろうと準備をし始めるが。

 

「ちょっと待って!」

 

タタミだけは走り出し、3人を呼び止め。

 

「みんなのガンプラ、見せてほしいな」

 

ガンダムオタクの作った、原作重視の高クオリティなガンプラ達。

ガンプラ初心者のタタミとって、それはとても魅力的で。

1対1で戦った相手、アフロのドム・トローペンをじーっと凝視し。

 

「すごい! これ汚れているように見えるけど、塗装なの?」

「そ、そうNE、ウェザリングという塗装方法YO!」

「へー! この赤いの、ピカピカだ!」

「光沢スプレーなんだな、元々の彩色を再現したのだな

「この青いの、ポケットの中の戦争にでてきたガンプラだよね?」

「ケンプファーですよ。設定、デザインとても秀逸な一年戦争後期のMSですね」

 

タタミの純真な問いに、ガンダムオタク達も最初は戸惑ってはいたが、

それに悪意が少しもない事に気がつき、彼らの顔にも笑顔が浮かぶ。

タタミの不思議な魅力、その純真さが、戦った相手とも仲良くなれる理由。

 

「な、なるほど、ガンプラを始めたばかりなのNE。

 これからなのに、バカにしてごめんYO」

「だ、OO(ダブルオー)も悪くないかもしれないんだな。

 量産機のデザインも秀逸で、悪くないんだな」

「エゥーゴと連邦は一緒になったわけですし、

 エゥーゴのマーキングも、まぁ、悪くはありませんね」

 

そして、ガクとコウタへの侮蔑の言葉も取り消すガンダムオタク達。

ガンプラとガンダムで繋がる、新しい友人の絆がここに生まれ。

タタミはガンプラビルダーとして、また一つ成長していく。

 

 

 

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