ガンプラビルダーズ・フレンズ   作:いすた

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第3話「ガンダムXの男の子」

いつものガンプラショップ「ゼブラゾーン」の昼下がり。

 

最近はほぼ毎週のようにこの店に通うタタミは、

 

愛機パワード・ジムを抱きしめながら、足取り軽くやって来る。

 

店の名前からしてガノタっぽい店長曰く、

 

「日本一、いや、世界一ウチほどガンプラに力を入れている店は無い」

 

と豪語するだけあり、ガンプラに熱の入れようは凄まじく。

 

かなりの頻度で行われるガンプラバトルのイベントは、大盛況。

 

実は今日も、ガンプラバトルのトーナメント大会があるので、

 

タタミはいつもの友人達と参加することにしたのだ。

 

今日の大会は3対3のスタンダードルール。

 

4人の仲間ということで、いつもなら3対3戦はスルーしていたのだが、

 

今日はガクが用事があるので来れないらしい。

 

なんでも、日頃世話になっている先輩が人手をほしがっているそうで、

 

その手伝いがあるので、せっかくだから3人で出場してこい、となったわけだ。

 

いつもの扉をくぐり、店長に挨拶してからガンプラバトルコーナーへ。

 

参加者がざわつく会場には、先に到着していたユリカが、

 

バックから取り出したアルケーガンダムを組み立てていた。

 

 

「ごめん、お待たせ、ユリカさん」

 

「いいえ、待ち合わせ時間10分前ですよ、タタミさん」

 

 

さぁ、あとはコウタが来れば3人揃い、エントリー可能だ。

 

彼は、以前作ったケルディム鶴が大層気に入ったらしく、最近はあれしか使っていない。

 

そういえば、ユリカもずっとアルケーを使っているし、

 

ガクもFAZZから変える気はないようだ。

 

誰の影響かは、全員がなんとなく気づいている。

 

他のガンプラを買っても、ずっと素組みのパワード・ジムを使い続け、

 

宝物のように抱きしめ続ける彼が近くにいるのだから、

 

感化されるなというほうがムリだ。

 

さて、そろそろ約束の時間になるのだが、コウタの姿が見えてこない。

 

お調子者ではあるが、時間にルーズな男ではない。

 

どうしたのかと二人が話していると、タタミの携帯電話が鳴った。

 

ディスプレイに表示されているのは、噂のコウタの名前。

 

 

「もしもしコウタ君? どうしたの?」

 

『いやわりぃわりぃ、ちょっとな・・・』

 

「まだ家なの?」

 

『あ~、実はな・・・。今日、急にイトコが来ることになってよ・・・・。

 

 そのイトコ、まだちっちゃいコでさ、

 

 おふくろが玩具つって俺のガンプラもっていくんだよ。

 

 まぁ、破壊率が高くてな・・・。

 

 なんで、急いでガンプラ隠さなきゃならねぇんだ。

 

 すまん、エントリーの時間には間に合わん!』

 

 

という理由らしい。

 

漏れた音声をユリカも聞いていたらしく、仕方ないですねと軽く微笑んでくれた。

 

 

「うん、じゃあ、がんばってね。

 

 メンバー募集してる人もまだいると思うから、心配しないで」

 

『おう、そっちもな。ユリカ先輩にもすまねぇって言っといてくれ。

 

 ってうわぁ! もう来やがった!』

 

 

かなり切羽詰まっている状態らしく、プチッと切れる通話。

 

 

「じゃあ、メンバー探そっか」

 

「そうですね、お一人でしたら、すぐ見つかりそうですし」

 

 

3対3というルールの都合上、いわゆる野良でチームを組む人達はかなり多い。

 

それ専用のコーナーも設けてあり、実際そこでユリカとタタミは出会ったのだが。

 

とりあえず、そこでチームメンバーを募集している一人を見つけようと向かう。

 

そろそろエントリー締め切りの時間が迫っているので、残った人で即席チームを作り始めており。

 

楽しんでガンプラバトルができる人が誰かいないかと、そこに脚を踏み入れた時。

 

 

「君のガンプラは・・・、ええい、ウチの息子と釣り合わせんな。

 

 そっちは、なにかねこの適当な仕上がりは!

 

 もう時間が無いというのに、ロクなガンプラビルダーが居ないじゃないか!」

 

 

ヒステリックな叫びを上げる、40ちょっとのおじさん。

 

人のガンプラを見て、文句を言って去っていくという、なんとも失礼極まりない。

 

その後ろについて歩く小学生ぐらいの男の子は、

 

なんとなく面影が似ているので親子だろう。

 

どうやら、息子のチームメンバーをお父さんが探しているようなのだが、

 

かなり、こだわりというか、求めるレベルが高いようだ。

 

そのお父さんが、コーナーに入ってきたタタミとユリカを見つけ、駆け寄ってくる。

 

 

「君達、ガンプラを見せなさい。・・・うん、アルケーのコはいいね。

 

 そっちのコは・・・、なにかね、素組みのガンプラとは情けない!

 

 まぁいい、お嬢さんはウチの息子とチームを組みなさい。

 

 あと一人だが・・・ええい、さっきの子でもういいか・・・」

 

 

まぁなんともごり押し。呆れるのを通り越した気持ちになるユリカ。

 

 

「あの、私はこの人とペアを組んでいますので」

 

「子供は大人の言うことを聞いていればいいんだ。

 

 ほら、早く―」

 

「え~っと、もう、誰も残ってないよ・・・」

 

 

場を仕切ろうとするお父さんも虚しく。

 

さっきまで残っていた選手は、もう誰も居ない。

 

おそらく、この人がうっとうしいので、

 

さっとチームを組んだのだろう。

 

そんな相手の迷惑を知らぬか、地団駄を踏んでいる張本人。

 

タタミは、お父さんの後ろで黙って俯く子供に気づく。

 

その手には、ウェザリングの施された、『ザクⅠ・スナイパー』。

 

けれど、タタミは背中のリュックサックのほうに、ふと目が行く。

 

なにか、大切なものが入っていそうな、そんな直感。

 

しゃがみ、男の子と目線を合わせて話しかける。

 

 

「ねぇ、僕はタタミ、君の名前は?」

 

「えっと・・・マ、マサヒコ」

 

「僕達ね、一緒に出る人が来れなくなっちゃって、困ってるんだ。

 

 よかったら、一緒にガンプラバトル、でてくれないかな?」

 

 

父親のほうではない、子供に声をかけるタタミ。

 

なんとなくだが、そうするべきだと思ったのだ。

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

マサヒコ君は、なにも言ってくれない。

 

ちらちらと父親に目配せをして、言葉を待っている。

 

どうやら、そういう立場のようだ。

 

 

「仕方が無い。君達、くれぐれも息子の脚を引っ張らないでくれよ?」

 

 

そういうわけで、少しトラブルの予感をさせながらも、

 

タタミとユリカは、マサヒコというチームメンバーを見つけ、エントリーを完了した。

 

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