怒りで血が上った俺だが、有一郎君達の助けを求める声を聞いて我に返った。
怒りを抑えて静一郎さん達の救助を優先するために俺は懐から「前世」の知識で作った煙玉を地面に投げて煙幕を発生させた。
そして、この煙玉はただの煙幕ではなく、しのぶと協力して、藤の花の毒を仕込んでいる。最も鬼を倒すことは出来ないが、代わりに鬼に対しての目くらましと臭いを嗅いだ鬼が、動きが鈍るのが特徴だ。
下弦の鬼に試していないから警戒しながら見ると、
「ゴホッゴホッ、なんだこれは………くっまずい!」
咳き込みながらも、この煙が危険だと分かり一旦引いていたが、あまり動きが鈍っていないようだった。それでも俺は、手持ちの煙玉を全部を投げてからそのまま静一郎さん達の元へ向かった。
………静一郎さんは、両腕と頸の付け根と肩を喰われていて、大量出血に、お菊さんは、体中を斬られて血だらけの見るも無残な姿に………
有一郎君と無一郎君の体を縛っていた泥の塊の日輪刀で二人の体を傷付けないように、取り除くと、そこには、二人共が体中を斬られた傷だらけで、両腕共に折れていた。
俺はすぐに羽織のポケットからあらゆる薬と包帯を取り出して、まずは一番重体の静一郎さんを優先して応急処置をすると静一郎さんが、息も絶え絶えに
「…ゴホッ……林…さん来て……ガハッ……くれたん…ですね。」
「ええ、あまり喋らないでください!お体に障ります。」
俺はそう言いながらも、治療を続けようとすると、静一郎さんは
「いや……いいんです。………自分の……ゴボッ……体の…ことは自分が…よく…分かります。ガハッ……血を……流し過ぎた。どうあって…も私は……ゴホッ……死ぬ。それ…にこれは……私……自身ゲフォ……の……愚かさに…よって……起こった……こと…なんです。です…から、私ガハッ……よりも妻を……子供達…を」
「父さん……何…言ってるんだよ!」
見るとそこには、有一郎君が地面に倒れながらも目から涙を流し声の限りに叫んでた。
「お…願い……だよ。父さん……生きて………」
無一郎君も傷だらけになって意識がはっきりしない状態なのに涙を流して懇願していた。
「いい……んだ。私が…ガハッ…友人で……ある林……さんに……ゴホッ……あんな……酷い…言葉を言って……関わらせ……ないように……してしまっ…たことが…返ってこんな……事に、家族……を守ろうと……したことが、逆に……家族を……危険に……巻き込んで……しまった。……だから「そんなことない!」え?」
静一郎さんは、喋ることすら苦しそうに言い、それに俺はそれを遮り、
「何を言ってるですか!貴方は家族を守る為に頑張って来たんでしょうがー!そんな貴方は間違ってないんだー!
俺達鬼殺隊は、そんな誰もが持つ幸せと命と未来を守る為に頑張って来たんですよ。
そんな貴方達の幸せをも含めて私達は守る為に戦って来たんだーー!」
俺がそう言うと静一郎は、驚いた表情から涙を流しながらも少しずつ
微笑んだ。
「そうですか………私は鬼殺隊に……入ればは鬼と日夜………戦う為に……ガハッ!……危険が付きまとうから、有一郎と…無一郎が…、戦いに……巻き込まれるのが……怖かった。
ですが、貴方方…はそういう…理由で…戦って…来たん…ですね。そんな…立派な…貴方…ゴホッ…だからこそ…来てくれた。それだけで……充分です。どうか、……お菊と…有一郎と…無一郎………を頼みます。」
そう言う静一郎さんに俺は目から涙を流し静かに頷くと、静一郎さんは安心したように事切れた。
そして、俺はお菊さんと有一郎君と無一郎君に応急処置をしてから、煙幕が晴れたのを見計らってすぐに轆轤の元に戻ると
下弦の弐の轆轤はあくびをしながら、
「別れの挨拶は済んだか?」
俺は心の底から怒りと悲しみを鎮めながらも
「ああ………」
と返事をすると
轆轤は顎を向こうに向けて
「ならば場所を変えるぞ。此処で戦えば、其処にいる奴らをも巻き込んでしまう。
母親の方とガキ共も後で食いたいしな。」
轆轤の自分勝手な言葉にキレかけていたが、あの人達を巻き込みたくないのは、俺も同感だったので、それを受けた。
ーーーーー
そして、場所移動した後に向かい合い俺はまず質問した。
「一つ聞きたい。」
「何だ?」
頸を傾げながらも轆轤は、返事をする。
「何故幼いあの二人をあそこまで傷つけた。」
俺が怒りを抑えながら言うと轆轤は、忌々しげに
「
私が奴らの父親と母親を傷つけて、ギャーギャーうるさいから、私はこう言ったんだ。
瞬間に俺は、自分の怒りを抑えながらも奴の話を聞く。
「ところが、あのガキ共は、いきなり切れて、私を殺そうとしやがった。
ガキ共の動きが速く、何より力が強くなっていた。
あれなら底辺の鬼よりも上だと思うくらいにな。
………最も下弦の弐である私に対して斧で斬ろうと、釘を刺そうと、鉈で斬ろうとも俺の体はそこらの底辺の鬼よりも遥かに硬いから、あのガキ共が絶望し切ってからは、痛めつけて骨を折って後で食う為に私の血鬼術で封じさせてもらったがな…」
そこまで聞いた俺は、思い返していた。
(………確かにあそこの周囲には、壊れた鎌と斧、砕けた岩と杭があった………「原作」でも、無一郎君が、最愛の兄を殺され、その怒りで鬼を倒したとあった。
だが、今回の鬼は、普通の鬼とは桁違いの強さを持つ下弦の弐の鬼。
十二鬼月の中では八番目の強さを持つ鬼だ。)
質問を終えた俺は刀を抜いて、
「質問は以上だ。お前のその罪を裁いてやる!!」
好戦的な顔になった奴も
「面白い!!やってみろ!!柱!!」
そして、「「うおおおーーーーーー!」
俺と下弦の弐の轆轤が、同時に駆け出した。
* 雷の呼吸 弐ノ型 稲魂
瞬く間に一息で五連の斬撃を叩き込んだが、
「無駄だ!」
血鬼術
途端に轆轤の腕に表面に土が纏い硬くなり回転した。
ギャリーン!
と音がして俺の五つの斬撃が弾かれる。
「くっ!」
俺が一旦距離を取ると轆轤は、自慢気に
「どうだ!我が血鬼術の威力は!
私の血鬼術は、土の性質を自在に操ることができる。
その応用として、土を鉄に変えて、腕に纏い刀を弾くことができる!
更にそれだけじゃないぞ。
あの希血以上の希血を食ってこんな事も出来る!」
血鬼術
同時に轆轤の両手が白い鉤爪になって、斬撃を飛ばして来た。
俺はそれをすんでのところで躱し
「だったら、これならどうだ!」
雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷
の周囲を高速で旋回しながら切り刻む波状攻撃をすると、轆轤は頸を守ろうと腕を固めて回転しながら、防御した。
その隙をついて、奴の後ろから頸を斬ろうとすると、
「舐めるな!」
血鬼術
瞬間、轆轤の背後の地面が盛り上がって、無数の棘となって襲いかかった。
それに気づいた和星は、一旦引いたが、棘に腹を刺された。
その為に腹から血が出るが、それでも回復の呼吸を使い再度畳み掛けた。
それを見た奴も地面を踏みしめた瞬間
血鬼術
轆轤の前の地面が盛り上がって今度は爆発したように土の大波が襲った。
俺は応戦しようと、*
雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷
衝撃を伴った強烈な斬り上げで相殺した。
「くっ!流石柱だな……だが、舐めるな!」
そう吠えた奴は、先程の鉤爪の斬撃を今度は連続で飛ばして来た。
俺はそれを横に移動して避けてから、
雷の呼吸 弐ノ型・改 稲魂 連
五連の斬撃から十連の斬撃に変えて斬撃で、腕だけでなく体全体に斬撃を叩き込もうとするが轆轤の地面が盛り上がって
血鬼術 土偶重
により防がれる。
「ははっ!残念だったなあ!私の血鬼術の前には、柱であろうとも………」
と轆轤が勝ち誇るが、その隙に和星が背後に回り、
「舐めてるのは、お前だろう?」
と言う和星の言葉と背後からの殺気により、気がついた轆轤が
血鬼術 螺旋道
により、防御しようとしたが、和星の
雷の呼吸 弐ノ型・改 稲魂 連
の十連の斬撃により押された轆轤が後退して、体勢を整えると先程出した
血鬼術 土偶伸・土偶重
の地面の土を使った大波と無数の棘の合わせ技で一気に和星を葬ろうとする
「これで終わりだ!!柱!!」
が、和星の
雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟
の広範囲に雷の様な斬撃を炸裂させた技を連続で出したことにより、土の無数の棘と大波が切り裂かれ、それを見た轆轤は瞬時に鉤爪の斬撃を飛ばしたが掻き消えた。
螺旋道による腕の土の回転により、頸を斬られず難を逃れるが自慢の血鬼術を破られて、唖然として恐怖していた。
「な、何故だ……?私は…あのお方に…十二鬼月に認められて……血を与えられ、更にさっきの男から希血の中の希血により今までよりも数段強くなったのに………何故だ!!」
と絶叫する轆轤を尻目に和星は警戒を緩めずに淡々と
「
和星の言葉を聞いた轆轤は、唖然した。
「お前は確かに強くなっているが、それにより無意識のうちに俺を軽く倒せると思い慢心している。
基礎体力と血鬼術がいくら優れていても………痛みと恐怖への耐性がなさすぎる。
それ故にお前が自分の血鬼術と血の力に溺れ、相手の成長と人の怒りと大切なものを見ようとしなかったからだ。」
呆然となりながら聞いた轆轤は、瞬時に理解、判断した。
(………これが柱!!
……だからか、何故、下弦の鬼だけが倒され続けられているのかがよく分かった。
私もそうだが、十二鬼月に入った鬼はそれだけで満足して慢心してしまう。
それ以上を求めずに成長しない。
だが、この柱を含めた他の柱いいや、私が出会っていない鬼狩り達は違う!!
慢心、油断をせずに強く成長していく奴らがいる!!
………だが、それを超えてこそだ!!)
和星がわざわざ轆轤の疑問に応えたのは、事実を突きつけ、戦意を喪失する為だった。
だが、逆に轆轤を油断と慢心を消す事にしてしまう。
それでも和星は、悠然と構えた。
そして覚悟を決めた轆轤は、不敵に笑い、
「………成る程な……………だからこそお前は、ここで倒す!!」
血鬼術
奴の周囲の土が持ち上がった。
しかも一つだけではない。いくつも、いくつも......十分な厚みをそなえたそれらは、醜悪に歪んだゴム人形のように見えた。のっぺらぼうの顔にあたる部分に赤い裂け目が走り、ぞろりと鋭い牙が光る。
「まだ見せていない血鬼術だ!!土の兵隊供の猛攻を喰らえ!!」
と言う同時に土の兵隊達が和星に一斉に襲い掛かった
和星はそれを見ても動じずに刀を構え
雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟
広範囲に雷の様な斬撃を炸裂させ、土の兵隊達の全員倒したが、其処には
「流石だな!ならば我が最強の血鬼術を見せてやる!!」
血鬼術
瞬間に轆轤の全身を白い土が覆って、そのまま全身を白いドリルと化してそのまま地面に潜った。
その後には和星は地面に目を閉じて音を済ませたが、だが無音のままで地面から飛び出して、和星の体を少し抉った。
そのまま地面に潜った。
和星は、傷ついた体を回復の呼吸で治していると共に考えた。
(くっ!!これが奴の最強の血鬼術か!!成る程、''無音''のまま地面を掘り進み、全身を纏う土のドリルでの正に攻防をあわせ持っている。ならば!!
)
と同時に和星は刀を鞘に納め、気配感知に集中した。
轆轤もまた攻撃しようとしていた。
(この血鬼術はどんな硬い岩だろうと地面であろうと私の血鬼術で地面を柔らかくすることで“無音”で掘り進むことが出来る非常に強力な血鬼術だ。この血鬼術で私は下弦の弐に上り詰めた!!
そして、希血を食ってより速く硬くなってる………だが、油断はしない!!)
とそのまま和星目掛けて来たが、和星はある
技を出した。
雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃
轆轤の纏うドリルが来たと同時に轟音と共に和星は十回程縦横無尽に駆け回り、ドリルが来るタイミングで、ドリルに向かい
雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷
のドリルの逆回転からの攻撃で轆轤の纏うドリルを斬り割いた。
「ば、馬鹿な!!」
轆轤が防御しようとして螺旋道を纏った腕をも回転とは逆方向から斬り付けて、腕ごと斬り割いた。
「終わりだ!!轆轤!!」
と言う掛け声と共に轆轤の頸に刃を入れ斬ろうとした………
「
突然の轆轤の不吉な言葉で、和星は一旦距離を取った後に気配を探ると時透家の方に土の兵隊の気配が!!!
「この卑怯者!!」
と罵る和星に対し轆轤はその言葉を受けながら腕を再生させて悔しげに怒り、叫び返した。
「ああそうだ!!
私は鬼でまだ弱い下弦の弐の鬼だ!!
だからこそ、こういう卑怯なやり方を使わせてもらう!!
………何より時間切れだ」
その言葉を聞いて空を見ると朝日が昇っていた。
「勝負は預けるぞ!!
鳴柱の林 和星!!
お前だけは必ずこの私、轆轤が倒してみせる!!」
と言う言葉共に地面に潜った轆轤を見て、和星は怒りに震えながら、
「こっちのセリフだ。轆轤!!
顔と名前は覚えた!!
次に会う時には、必ずその頸に刃を振るう!!
お前を許さない!!」
そのまま和星は叫び、時透家の方に向かい、土の兵隊達を倒した。
そして、そのまま時透家の中で家族みんなの治療して命を繋いで、その後に救助に来た隠の者達とで手当て及び蝶屋敷まで運んで懸命な治療により、お菊、有一郎、無一郎の命は助かったが、静一郎はそのまま亡くなった………
ーーーーー
轆轤side
地面を掘り進みながらも怒りに震えていた。
(下弦の弐に上り詰め希血を食って力を付けたはずがこの体たらく。私に今必要なのは、あの方のさらなる血………ではなく血鬼術の向上。
それとあれも習い強くならなければ!!
確かあれは………
その身に余る憎悪を胸に刻み掘り進んだ………
ーーーーー
和星side
俺は絶望感に打ちひしがれていた………俺の浅はかさで静一郎さんを………
そこへ隠の人としのぶが来てお菊さんと有一郎君と無一郎君達の容体が安定したこと、無一郎君はまだ意識が戻らないが、有一郎君とお菊さんは目が覚めたこと。
そして、お館様が来ていることを教えてくれた。
俺が急いで病室へ向かうと其処にはお館様が居た。
俺は涙ながらに土下座をした。
「………お菊さん……有一郎君………お館様………申し訳ありません。」
それを見たお館様は、優しい声で
「和星………顔を上げなさい。」
俺が顔を上げて見ると、お館様が真剣な表情をして、
「まずは謝る前に彼らの言葉を聞いてあげてくれ。」
そう言うので彼らを見ると、
お菊さんと有一郎君が頭を下げていた!
驚く俺をよそに二人は、
「「この度は私達家族を守ってくださりありがとうございます。」」
と二人がお礼を言っていた。
「な、何を言いますか!」俺が狼狽えてると有一郎君が涙ながらに
「俺があんなことを言ったから……でも貴方は来てくれた!父さんは俺達に生きて欲しいと言った!
だから俺と母さんと無一郎は鬼殺隊に入り、もうこんな悲劇を終わらせます!
それに貴方は、あんなことを言った俺達を助けてくれた!それだけでも十分です!」
俺がなをも狼狽えてるとお館様が優しい表情を浮かべながら
「和星………君は確かに静一郎さんを守れなかった。
だが、静一郎さんの意思を汲み取りこの三人の家族を守り抜いた。
それも事実だよ。」
お館様の澄んだ優しい言葉に俺は大泣きしてしまった。
そして、誓った今度こそ必ず大切なものを守り抜いてみせると
ーーーーー
それから傷が治ったお菊さん達は鬼殺隊に入ることなった。
お菊さんは蝶屋敷での怪我人の手当てを、
有一郎君と無一郎君は、それぞれ自分達に会った呼吸法の育手の元で修行することになった。
これは勝利者のいない戦い。
故にこの柱と鬼の因縁が生まれた瞬間。
されど、失った命があれど、守れた命が存在したことも事実。
そうして月日が経っていたーーーーー
最後までありがとうございます。
次回からは、幕間を挟んでいよいよ原作突入したいと思います。
応援よろしくお願いします。