二人の転生鬼殺隊士と三人の鬼になった転生者   作:是非

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本誌では大変な事に!!
ですが、本作品はまだ始まったばかり、遅れてしまい申し訳ありません。

炭治郎と和星と義勇との邂逅です。


残酷の中で残された最後の家族

 なんで‥こんなことに‥

___荒れ狂う吹雪の中を必死に歩き行く少年がいた。その背には力なく紅色に染まった、彼によく似た青白く美しい面立ちの少女が一人。

「禰豆子、死ぬな。死ぬな。絶対に助けるからな‥死なさせない。俺が絶対に助けるから!」

(生き延びてくれ‥お願いだ………)

 

ーーーーー

和星と義勇が無惨と戦っている同刻。

 

血、血、血………………

 

竈門家での炭治郎は、ただただ目の前の現実を受け入れなかった。

 

「母ちゃん、花子、竹雄、茂、六太、禰豆子………」

 

 炭治郎の力なき声。和星に貰った薬でみんなの傷の手当てをしようとそれぞれの家族のみんなに触れて生きていることを願ったが、みんなの体が冷たくなっていて、家の中に生きているものは誰も居ない。昨日まで騒がしかった家の無音が炭治郎の心を抉る。

 

 台所には作りかけの晩御飯があった。

 家の中では血が辺り一面に飛びちっていた。

 

そのまま炭治郎は呆然となっていたが、唯一体に温もりがある妹の禰豆子を抱えた。和星が悪い鬼の相手をしてくれている間に一刻も早く医者に妹を見せる為に炭治郎は、走った。

「時間が経つ度に血の匂いが溢れて止まらない! 禰豆子は呼吸しているみたいだけど早く医者に診せないと……!絶対死なせない……!」

 

 唯一、息があった禰豆子を薬と包帯を使い、長い時間にでき得る限りの応急処置をしていると禰豆子が僅かに意識を取り戻し、血を吐き苦しそうに炭治郎に話しかけた。

 

「お………兄……ちゃん?」

「喋るんじゃない!!禰豆子!!今、にいちゃんが助けてやるからな!!」

と言い炭治郎は和星から貰った薬と包帯を使い切り、その後に医者に見せようと禰豆子を背負い炭治郎は駆け出す。

 

 

ーーーーー

 

 

その後にも吹雪の中を炭治郎は何時間もの間を走り続けた

先ほど登ってきたばかりの山を全速力で駆け下りる。荒い呼吸の炭治郎に比べ、禰豆子の呼吸は小さくなるばかりであった。

 

空が白み始めた頃に炭治郎の背の禰豆子が吼えた。

 

「グオオオオオ!!!!」

「?!」

同時に禰豆子は暴れそれに驚いた炭治郎は、崖を降りる途中に足を滑らせてそのまま崖下に落ちた。

幸いに雪の上だった為に怪我がなかったが、禰豆子がいないことに焦った炭治郎が周りを見渡すと血だらけの禰豆子が、俯いて立っていた。

「禰豆子!無事だったんだな!すぐに医者に見せてやるから………」

心配した炭治郎が禰豆子に駆け寄って言うも禰豆子は応えなかった。

「禰豆子?」

 

炭治郎の問いかけに伏せていた顔が上がる。そこに、いつもの優しい顔をした禰豆子はいなかった。

 

 其処には目は血走り、牙が生えた禰豆子がいた。

すると急に禰豆子が襲いかかった。

それに驚いた炭治郎は、禰豆子の口に斧を押し当てて、口を塞いだ。

混乱する炭治郎の頭に過ぎったのは

(鬼だ!

三郎爺さんと和星さんの言葉を今思い出した。

禰豆子が人食い鬼?

いや違う!

禰豆子は人間だ!

生まれた時から!

だけど匂いがさっきまであった、いつもの禰豆子じゃなくなってる!

でもあれらの行為は全てあの鬼の仕業だ!六太を庇う様に切り裂かれていたし、何より和星さんが戦って引きつけてくれていて、姿は見えなかったけど………確かに居た!!)

炭治郎が混乱状態でも考えている内に禰豆子の体が大きくなってきた。力も強くなっていき、炭治郎の力でも抑えられそうなかった。

 

(俺がもっと早く来ていれば、みんなはあんな惨い目には合わずに済んだのに………痛かったろう……苦しかったろう………助けてやれなくてごめんな!………せめて禰豆子だけは、何とかしてやりたい!)

それでも禰豆子の力は強く抑えていられなくなりつつあった炭治郎は禰豆子に呼びかけた。

 

「頑張れ禰豆子!!こらえてくれ!!頑張れ鬼なんかになるな!!頑張れ!!」

炭治郎がそう叫ぶと禰豆子の目から涙が出て来た。

やり場のない悲しみに、互いに涙がこみ上げてくる。雪がやや弱まってきたまさにその時、

「待て!!義勇!!」

 

その声と同時に炭治郎は妹の背後に近づくものを目で捉えた。禰豆子も兄の視線を辿り振り返った刹那、炭治郎が禰豆子の頸に刃を当てないよう横に倒れた。

それを見た義勇は驚き、刃を咄嗟に剃らせた。

炭治郎は混乱しながらも見た、突然黒髪の無表情の半々羽織りの青年が現れていたことと手に持つ【悪鬼滅殺】の文字が刻まれた刀に。

(なんだ………誰だ?……なんで………和星さんと同じ刀を?!………)

 

 

義勇はそのまま炭治郎に問いた

「何故庇う?」

「妹だ!!俺の妹なんだ!!」

 炭治郎が抑えている間も禰豆子は唸り声を上げ、暴れていた。

「それが妹か?

よく見ろ、お前の妹は既に鬼になっている」

 

「鬼…?そんな…禰豆子は人間だ!生まれた時からずっと一緒に……」

「簡単な話だよ。

炭治郎君、禰豆子ちゃんの傷口に''奴''の血が入ったんだろう。人食い鬼はそうやって増えてしまうんだ。」

と其処に和星も来ていた。

「和星さん………」

「和星、先程は何故?!」

炭治郎と義勇にそれぞれ疑問を持たれた和星はそれに応える様に

「彼は俺の知り合いだ、だからこそ知るべきなんだ、炭治郎君の妹、禰豆子ちゃんがどうなったのかを………」

そう言う和星はどこか悲しげだった。

その瞬間に義勇が炭治郎に迫り、それを見た炭治郎は咄嗟に禰豆子を守ろうとして覆い被さったが、いつの間にか姿が消えて、既に禰豆子は義勇に両手共に拘束されていた。その間も禰豆子は「ウガウゥゥゥ………!!」と唸り声を上げていた。

それを見た炭治郎は

「禰豆子!!」

叫ぶと義勇の隣に並び立っている和星は悲しげにしていた。

そして義勇は

「動くな。」

と呟いた。途端に炭治郎は動きを止めた。そして義勇は

「俺達の仕事は鬼を斬ることだ。

もちろん和星の知り合いだと言ってもお前の妹の頸を刎ねる。」

と言うと炭治郎は必死になって

 

「待ってくれ!!禰豆子は誰一人殺していない!!

和星さん、貴方もさっき会っただろう?俺の家には今まで嗅いだことのないあの鬼が居たんだ!!

みんなを殺したのはあの鬼だ!!」

和星は頷いて

 

「無論、禰豆子ちゃんが炭治郎君の家族を殺したと疑っていないよ。

炭治郎君が言った通りに炭治郎君の家族を殺した鬼は俺達二人が先程まで戦っていたからね。」

「じゃあ………」

炭治郎が藁にもすがる様に和星を見ると悲しげに和星は頸を振り返した。

「それでも、今の禰豆子ちゃんはさっき言っていた様に''奴''の血が入って人食い鬼になってしまっている。だから………」

炭治郎は必死になって叫んだ。

 

「禰豆子は違うんだ!!

禰豆子は人を食ったりしない!!」

義勇は呆れて

「よくもまあ今しがた己が喰われそうになっておいて。」

和星は炭治郎のことを補足した。

「炭治郎君は家族思いで頑固なんだよ。」

 

それでも炭治郎は叫んでた。

「違う!!

俺のことはちゃんと分かってるはずだ。

俺が誰も傷つけさせない!!

きっと禰豆子を人間に戻す!!絶対に戻します!!」

それを聞いた義勇と和星は

「治らない、鬼になったら人間に戻ることはない。」

「今までも試してきたんだよ、でも………見つからないんだ。」

と淡々と言い放つが、炭治郎はなおも叫んだ。

「探す!!

必ず方法を見つけてみせる!!

だから俺の妹を殺さないでくれ!!

家族を殺した鬼も見つけ出すから、俺がちゃんとするから!!

だから、だから………」

 

それを聞きながらも義勇と和星は禰豆子に刃を向けると炭治郎は蹲り、懇願した。

「やめてくれ!!

やめて下さい……どうか妹を殺さないで下さい……お願いします………お願いします………」

 

生まれた時から今まであったものが、一夜で溢れ落ちた幸せはあまりに多く、十三の少年にとって重すぎる現実だった。それは義勇と生前から竈門家の人達と触れ合っている和星も痛いほどわかっている。だからこそだった。

 

 

それを見た義勇は炭治郎を叱り付けた。

 

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」

炭治郎が驚くと義勇は続けて

「惨めったらしく蹲るのはやめろ!!

そんなことが通用するならお前の家族は殺されていない!!

奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が、

妹を治す?

仇を見つける?

笑止千万!!

弱者には何の権利も無い!!

悉く力で強者にねじ伏せるのみ!!

妹を治す方法は鬼なら知っているかも知れない。

だが、鬼共がお前の意思や願いを尊重してくれると思うなよ!!

当然俺もお前を尊重しない!!それが現実だ!!

何故、さっきお前は妹に覆い被さった!?

あんなことで守ったつもりか!?

何故斧を振らなかった!?

何故俺に背中を見せた!!

そのしくじりで妹を取られている!!

お前ごと妹を串刺しにしても良かったんだぞ!!」

 

和星も一喝し

「残念ながら炭治郎君、嫌、()()()()()

妹の禰豆子ちゃんを救いたいのならば、まず、俺達から禰豆子ちゃんを取り返し、君の言葉を実践して証明してみせろ!!

それ以外には道は無い!!

そうしなければ、君は前に進めない!!

そうしなければ君の妹の頸はここで斬る!!」

それを聞いた炭治郎の目には覚悟の光が出た。

 

(泣くな。絶望するな。お前が打ちのめされているのはわかってる。家族を殺され妹は鬼になりつらいだろう、叫びだしたいだろう。わかるよ。俺達がもっと早く来ていればお前の家族は死んでなかったかもしれない。だが、時を巻いて戻す術は無いんだ。

怒れ。許せないという強く純粋な怒りは手足を動かすための揺るぎない原動力となる。脆弱な覚悟では、妹を守ることも、治すことも、家族の仇を討つこともできない。)

義勇の覚悟と先程の叱咤激励の意味を知っている和星も同様のことを思っていた。

(俺を憎んでもいい、けれども、君は嫌、()()()()()()()()()()()()

前世から俺はそれを見てきたから信じてる!!

だからこそ………来い!!)

義勇は勢いにまかせ禰豆子へと刃を突き立てた。

「やっ‥」

 

戦うしか道は無い。

「やめろー!!」

気づけば手にある石と雪を掴み投げながら、炭治郎は走り出していた。斧を片手に、腕を大きく振りあらん限りの速さで木々を駆け抜ける。

「ああああ!」

大きく振りかぶりながら近づいてきた炭治郎をよそに、義勇は至って冷静に、和星は油断なく見ていた。

「(感情に任せた単純な攻撃。)愚か!!」

(……………)

向かってきた炭治郎の低くなったその背中へとドガと峰を打ち込む。兄が雪の上へ崩れ落ちていくのを目の当たりにした禰豆子は途端に静かになった。ふと義勇は炭治郎を見下ろし、あることに気づく。

「!?」

倒れた炭治郎の手には何もなかった。

(斧はどこだ?)

 

「義勇!!上だ!!」

和星の声に反応し、炭治郎の妙な殺気を感じてとり、頭上を見上げて確信した。

それは徐々にはっきりと迫ってきていた。

弧を描きながら、義勇の頭上へ斧が落ちていく。

「!」

咄嗟に頸を傾けて木へと刺さらせることで免れたものの、義勇と和星の呼吸は衝撃で僅かだが乱れていた。

(丸腰なのを悟られないよう、振りかぶった体勢で手元を隠す。俺に勝てないのをわかっていたからか、自分が斬られた後で俺を倒そうと、こいつは‥。)

その時に義勇と和星ははっきりと分かった。

それほど守りたいのだろう、残された最後の家族を………

 

「グァウ!」

義勇の拘束が僅かに緩んだ隙に、禰豆子は義勇をを突き飛ばした。

(しまった!)

すぐさま妹へと駆け寄る。

 

だが、其処には信じられない光景があった。

『禰豆子は人を喰ったりしない』

禰豆子は炭治郎を守るように義勇と和星の前へ立ちはだかっていた。

(昔同じようなことを言って喰われた奴がいた。)

‘’飢餓状態’’になっている鬼は親でも兄弟でも殺して喰べる。栄養価が高いからだ。今までそういう場面を山ほど見たきた。しかし、この兄妹は今までと明らかに違う。鬼に成り果ててどれほど追い込まれようとも、兄を必死に守ろうとする妹の姿に義勇の心は揺らぎ始めていた。

和星もその姿を見て腹を決めた。

(この女は怪我を負わされておりそれを治すために力を消費している。鬼に変わる時もかなり体力を消費するはずだから間違いなく今は重度の飢餓状態。一刻も早く人の血肉を喰いたかっただろうに。)

飛びかかって来た禰豆子に、義勇と和星は日輪刀を腰の鞘へと納め、構え直しながらも戦い、

(こいつらは何か違うかもしれねい。)

そして間髪入れずに、手刀を禰豆子へと打ち込んだ。

 

その後に義勇は

「和星………俺は………」

と言い、見つめて来た。和星は言葉下手ながらにも真剣な表情をする義勇に大きく頷いて

「俺もこの子達を助けたい!!」

そして………

 

ーーーーー

 

 

______暗闇の中にいた。目を瞑っていても心配そうな、さびしさや悲しさが入り混じった顔をしていた兄弟達が見下ろしているのがわかる。息子の炭治郎に顔を近づけながら、父と母が炭治郎へ語りかける。

 

「置き去りにしてごめんな炭治郎。禰豆子を頼むよ。」

「しっかり生き抜いて。」

 

はっと目を開けると同時に何かを掴み直していたことに気づく。それは竹のような枷を噛ませられている禰 豆子へ掛けられた、見た覚えのない羽織りと和星の羽織りが二人を包む様に掛けられていた。空模様は灰色のままだったが、雪は大分弱まっている。

「起きたか。」

その声を合図にカバッと炭治郎は禰 豆子を包み込んで起き上がったが、義勇と和星はただ静かに炭治郎達に掛けていた羽織りを取るとそのまま二人は木々の間で黄昏ていた。

「狭霧山の麓に住んでいる鱗滝左近次という老人を訪ねろ。冨岡義勇に言われて来たと言え。今は日が差してないから大丈夫なようだが、妹を太陽の下に連れ出すな。」

そう言い残し背を向けて立ち去ろうとしたが、

「義勇………俺は葵枝さん達の埋葬をしてから行くよ。彼等には恩があるんだ。」

そう言う和星に目を見い開く義勇は黙って、そのまま和星と一緒に残った。

その後に和星は炭治郎に酷いことを言ったことを謝った。

目覚めた禰豆子の目は虚だった。無言のまま四人で帰るはずだった家へと戻り、埋葬を行なった。

 

ーーーーー

 

そして竈門家の埋葬を終えてその後に義勇と和星そのまま無言で立ち去り、雪しぶきが落ちる頃には、その姿は見えなくなっていた。

 

そして炭治郎と禰豆子は、最後にもう一度振り返る。絶対に忘れないように。

 

 

 

 




長くなってしまい申し訳ありません。ここまでお読み下さりありがとうございます。
では、次回で。
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