二人の転生鬼殺隊士と三人の鬼になった転生者   作:是非

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鬼舞辻無惨を見つけたので、当然この流れになると思い書かせて頂きました。
どうぞ。


緊急柱合会議

其処は池を中心にして、土地の起伏を生かし、築山を築いて、自然石としての庭石や草木を配し、四季折々の木々が立ち並ぶ林のある大きな屋敷。

その場所こそ鬼殺隊の当主の産屋敷家の屋敷。

其処へこの家に一羽の鴉が手紙を届けに舞い降りて来た。

 

 

略啓 産屋敷 輝哉殿

我ら林和星並びに冨岡義勇は、お館様の命により、鬼の出没地域に向かった所、鬼の首魁

鬼舞辻 無惨と遭遇及び交戦しました。

ですが、力及ばずに鬼舞辻を取り逃がしてしまいました。

ですが、その時に得た鬼舞辻 無惨の能力の情報をお館様に直接''柱合会議''にてご報告させて頂きたいと願い筆を取らせて頂きました。

更にもう一つお許し頂きたいことがあります。

鬼殺の剣士になりたいという少年を狭霧山にいる鱗滝 左近次殿の元にに向かわせました。

丸腰で私達に挑んでくる度胸があります。身内が鬼により惨殺され生き延びた妹、竈門禰豆子は鬼に変貌していますが、

''重度の飢餓状態にもかかわらず、人を喰わず家族を守ろうとしたその姿''を見て人間を襲わないと判断致しました。''俄には信じ難い状況ですが紛れもない事実です''この二人には何か他とは違うものを感じます。少年の方は鱗滝殿と同じく鼻が利くようです。

もしかしたら「突破」して「受け継ぐ」ことができるかもしれません。

''どうか少年、竈門炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうか御許し下さい

''もしも禰豆子が人に襲いかかった場合は''

''竈門炭治郎及び林和星、冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します''

''手前勝手な頼みとは承知しておりますが、何卒(なにとぞ)ご容赦を。御自愛専一(ごじあいせんいつ)にて精励(せいれい)くださいますようお願い申し上げます。

怱々

林 和星

 

 

一週間後……… 緊急柱合会議

産屋敷の美しい庭に面した部屋の中に柱の全員収集がかかった。

この数年で柱は引退、殉職が相次いでいたがその継子あるいは新たな呼吸を持つ者が柱になった為に、現在は八人が柱に任命されていた。

鎹烏が情報を柱に伝え回ってから一週間後、緊急の柱合会議が執り行われることとなった。

その理由はお館様の緊急招集及び鬼舞辻の情報を掴んだということで皆も一も二もなくここへ来ていた。既に鬼殺隊本部である産屋敷の屋敷の中に集まっていた。

 

「うむ!!遂に鬼舞辻の情報を掴んだとは驚きだ!!」

''炎柱''煉獄杏寿郎が力強く頷いて

 

「全くだ!!俺の知らねえ内にそんなド派手なことが起きていたとはな、俺でさえ驚いたぜ!!

こいつはド派手な事になりそうだ!!」

''音柱''宇髄天元も興奮冷めやらない様子でいた。

 

「俺としては鬼舞辻の情報を早く知りたい。誰が知っている!!」

''牙柱''大前田銀郎は逆立てた白髪のメガネをかけた姿でありながらもまくし立てる。

 

「おい!!鬼舞辻の情報を掴んだっていう奴はどいつだよ。悲鳴嶼さんよォ」

''風柱''不死川の荒々しい声が苛立ちも露わに疑問が投げかける。

 

「みんな落ち着いて、悲鳴嶼さんも困っているから!!」

''花柱''胡蝶カナエが皆に落ち着く様に言う。

 

「林と冨岡の両名だ」

''岩柱''悲鳴嶼行冥の静かに告げられた言葉で柱皆の視線が一気に

 

''鳴柱''林和星の驚く姿と

''水柱''冨岡義勇の無表情な姿を捉えた。

 

そして、すぐに質問攻めが始まった。

「っ!?そんな、まさかよりによって林と冨岡だと・・・!」

「歴代の柱でも接触したことがないというのに・・・!コイツらが!?」

「どんな姿だった!場所は!どんな能力だった!?」

「戦ったのか?」

「鬼舞辻は何をしていた!?」

「根城は突き止めたのか!?」

「仲良くできそうな感じだった?」

「胡蝶!?」

「おい、答えろっ!」

質問攻めにあった義勇と和星はただただ混乱していた。

と其処へ

「お館様のお成りです!!」

と同時に柱全員が鎮まり返った。

「お待たせしたね、それでは緊急の柱合会議をはじめようか、私の剣士(こどもたち)。」

 

 そして、妻であるあまねと産屋敷の子供の輝利哉(きりや)とひなきに連れられ美青年という枠で括るにはあまりにも大人びていた。思慮深い光が瞳に宿り、心を震わせるような心地の良い声。絶やされる事ない穏やかな微笑み。上に立つものの理想を具現化したような男、鬼殺を統べる現当主の産屋敷輝哉がこの場に現れた。

「義勇に和星。よく生きて戻って来れたね。ありがとう。」

「「ご心配いただきありがとうございます。お館様」」

 

 二人が恭しく礼をする。

「それでは二人からの報告を聞こう。私は居ないものとしてくれて構わないから」

 

 産屋敷が少し下がる。

更に柱全員が息を飲んだ。場が緊張感に包まれた。 

「それでは、私達の遭遇した鬼舞辻無惨について報告させていただきます」

と言うと義勇が進み出た。

 

ーーーーー

 

炭治郎に叱咤激励した後に林に

「いつもあんな風に心の声を言えばいいんじゃないかな?」

と言われたことで会議に参加前から林に「自分で話す」と言われた。

それで林はこの会議に参加する前に冨岡に色々とアドバイスした。

「ちゃんと言葉を選んで話さないと誤解されるのでゆっくりといいので口にする言葉を選んでくれ。」

というアドバイスした。

 

ーーーーー

 

 そして、今、冨岡はしばらく思案した後、言うべき言葉を決めたようで強く頷いて和星に向き合う。

 

「では、まず冨岡からの報告を。」

と言うと冨岡は、静かに発した言葉はーー

 

「奴は男です!!」

一言。

 それだけであった。

 

(…………………………え??!)

 

あまりの意味不明さに柱全員がピシリと表情が固まる。

あまねと輝利哉とひなきも呆然としていた。

そして、産屋敷も目を見開き笑顔のまま硬直していた。

林は内心

(………や………やってしまったーーーーー‼️‼️‼️

なんていう事だ!!

ヤバイ!!

というか義勇、それだけ?!

性別じゃなく特徴とか能力とかを言えば良いのに!!

男です。だけって、ヤベエよ!!

俺があの時に心の声を言えばいいって言ったけど、言葉の選び方が壊滅的過ぎ!!

口数がただでさえ少ないのにじっくり言葉のチョイスを選んだ結果がそれだけなんてあんまりじゃ……………………………ハッ!!)

そして、恐る恐る自分達に向けられる鋭く多くの視線感じ振り返って見てみると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(うわぁ………みんながすごい目で俺達を睨んでる………)

柱全員がすごい目で見ていた。

中には呆れと困惑の視線も混じっていた。

因みに冨岡はそれを見てキョトンとしていた。

(報告出来てないからね!!

混乱をもたらしただけだからね!!)

と和星が内心冷や汗と混乱の渦の中にいながら、この状況をどうやって切り抜けようか必死になって考えていると其処へ産屋敷が苦笑しながらも

「あ、ありがとう義勇………性別がわかっただけでも何よりだよ。」

産屋敷がフォローもとい冨岡のことを褒めて場をとりなしてくれた。

そのおかげでなんとか場は和んだ。

林は内心、産屋敷に感謝と謝罪をしていた。

(………ありがとうございます!!お館様!!一生付いていきます!!

何より………本当に申し訳ありません!!!)

そして、次に林に視線を向けて

「では、次に和星からも報告をお願いできるかな?」

「御意。」

 

そうして冨岡の言葉足らずにより混迷しそうになったが、なんとか産屋敷の計らいにより本題に持ち込まれた。

「鬼舞辻無惨の姿は先程の冨岡が言う様に男性であり、特徴は髪は波打つ長い黒髪のオールバックに撫で付けていて顔は瞳が紅梅色で瞳孔が猫の様になっており縦長体躯は細身ながらも西洋の着物を着ている線の細い青年の姿をしています。」

林が話している間にあまねが万年筆で今の報告を紙に書いていた。

更に続けて

「能力については、腕を異形・変容させ無数の目と口が全身にある怪物に変えて敵を捕食してきます。その威力は大木のある木々を一瞬でなぎ倒す程の威力と速さがあります。

別の能力には、血液を無数の有刺鉄線のような触手に変化させ、伸ばして攻撃してきます。

更に鬼舞辻ではないですが、奴の配下の鬼の血鬼術で厄介なものがありました。

琵琶の音を響かせ、空間移動・転移の能力がありました。

例えば、琵琶の音がした直後に大量の鬼達が鬼舞辻の側に呼び出されたり、襖を出現させて移動するというものです。

そのせいで我ら二人は鬼舞辻を取り逃がしてしまいました。」

最後に林が苦虫を噛み潰したような顔をして、冨岡も無表情ながらに奥歯を噛み締めている。

それを聞くと産屋敷は、重々しく頷いた。

他の柱全員も緊張感を持って聞き入る。

「最後に鬼舞辻無惨は、''臆病者の癇癪(かんしゃく)もち''です。」

突然の言葉に産屋敷は、目を見開いた。

そこへ宇髄が疑問を投げかけた。

「奴の性格がどうだって言うんだ?」

それに林は応えた。

「奴の性格が分かれば奴が次にどうするか読めるからだ」

と言うと

「成る程な。」

納得した様に宇髄が言うと

「和星、何故、鬼舞辻がその様な性格だと分かったんだい?」

産屋敷が質問すると林は淡々と応えた。

「奴は私が''顔色が悪く、青白い死にそうな顔''と言った直後に目を血走らせ、私に攻撃をしてきました。

先程も申し上げた様に、琵琶の血鬼術を使えば、大量の鬼達を呼び出せるというのに鬼舞辻は使いませんでした。

そんな簡単な事にも気づかず怒りに身を任せたからこその行動だと思えば思うほど、鬼舞辻は癇癪もちだと思えば、納得がいきます。

その後にも私が挑発行為を続けたら、自分から''私こそが鬼舞辻無惨''だと言い放ったんです。」

その言葉に柱全員がどよめいた。

皆、鬼舞辻無惨が鬼を生み出した元凶だと知った時から鬼殺隊員として何回も試みたことがあった。

 

それが鬼に直接、鬼舞辻無惨の事を質問すること。

だが、どの鬼達も鬼舞辻を「あの方」としか言わず、言ったとしてもそのまま自壊する鬼を見てきたからこそ、林の言うことの信憑性が確信に変わった。

「更に戦い続けて、琵琶の音の血鬼術により呼び出した鬼の何人かに掴みかかれた時には有無を言わせずその鬼達を喰い殺す残忍性を見ました。

そして、私が冨岡と合流するや否や、踵を返して、琵琶の血鬼術で逃げ出したのです。

以上の点を踏まえて、私は鬼舞辻無惨を臆病者の癇癪もちと断定しました。」

そうして、林の報告を終えると場に沈黙が満ちた。

 

おもむろに産屋敷が

「ありがとう和星、義勇。今まで分からなかった鬼舞辻の情報と能力が分かっただけでも大きな収穫だ。」

そう林と冨岡を労った。

「あ、あとお館様、更に冨岡と相談して決めていたことがあります。」

「ん?なんだい?」

産屋敷が聞くと

「鬼舞辻は去り際にこう言い残しました。

''これよりお前達は他の柱より先に全ての鬼、更に、十二鬼月の下弦、そして上弦の鬼達の最優先の標的となる''と」

瞬間に柱全員はもちろん産屋敷はどよめいた。

「我らはこれを利用して奴を釣り上げようと決意しました。」

すると産屋敷は神妙な顔になり

「和星、義勇。自分達が何を言っているのか分かっているのかい?

下弦ならともかく上弦と戦うという事にもなるんだよ?

それでもかい?」

と言うと林と冨岡は大きく頷いて

「「覚悟の上です!!」」

それを聞いた産屋敷は、目を閉じて、悲しみに歪みながらも覚悟を決めた様に言い放つ。

「分かった。ならば、他の柱皆にも和星と義勇と常に居てもらう。君達を死なせない。」

そう言う産屋敷に柱全員は、

「「「御意」」」

と返した。

 

……………最もその後に冨岡の説明不足に対しての柱からの文句と注意(主に不死川)及び怒られたのは言うまでもなかった。

 

 

だが、この鬼の首魁と鬼狩りの邂逅。

それは100年もの停滞した状況が変わる瞬間が始まった。




原作よりも早いですが、この後の展開も色々と考ておりますのでどうぞ宜しくお願いします。

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