鬼舞辻無惨が、和星と義勇との邂逅の後に十二鬼月を全員収集して叱責の時。
べん べん べん
琵琶の音が聞こえた。
あまりに唐突な視界の変化。視界に映る四方八方に階段が伸び、しかしその配置に統一性はなく、空間が捻れ歪んでいて、地平線が見えない。
摩訶不思議な構造の城で床と襖が彼方此方にあって、天井がなく、底もない空間。
まさに''無限城''
軍服を着てトンビと呼ばれる黒いコートに身を包み、手には包帯を巻いている黒髪の前髪を切り揃えた左目に下参の数字が刻まれている青年の鬼も其処にいた。
ーーーーー
私の名前は逢蠱、転生者であり、下弦の参をやっている。
「鬼滅の刃」の世界に来て、61年で私は今、呼び出された。
「!?!?!?」
まさか!?ここは無限城……。
流石は次期上弦となる鳴女殿の血鬼術により作られた広大いや、''無限の空間そのもの''
ここが無限城で鬼舞辻様に呼ばれた事に理解が追いついた後にここに呼ばれた事に疑問を持つ。
(あの有名な下弦のパワハラ会議?)
その疑問深めるように、べんっという琵琶の音が響く。その琵琶が鳴るごとに視界が飛び、続々と気配が増えていく。その気配は十二体。
そして捻じ曲がるように空間が歪んでいく。
飛んでいく視界の中、琵琶を鳴らす女の鬼であり、鬼舞辻様のお気に入りの鬼の''鳴女''の姿をみた。
琵琶の音を使い中心に空間が歪んでいる。
「……(十二鬼月が集まっている!!下弦だけじゃなく、上弦達まで!!)」
べべんっ、という音を最後に、気配が集結する。
「お久しぶりです。黒死牟殿、猗窩座殿、玉壺殿、墜姫殿。童磨殿と半天狗殿も隠れていないで出て来たらどうですか?
「''入れ替わりの…血戦''…以来だな…逢蠱…」
「ああ、久しぶりだな、逢蠱。」
「ヒョッヒョッヒョッこれは皆様お揃いで。上弦が呼ばれたのは90年ぶりでしょうか?
まさか、下弦共も此処に呼ばれるとは………」
「恐ろしい………恐ろしい………玉壺は数が数えられなくなっておる上弦が呼ばれたのは111年ぶりじゃ。
下弦共と共に此処に呼ばれることは初めて。
恐ろしい…恐ろしい。」
「逢蠱とも本当に久しぶりよねぇ。」
「あれぇ……? 流石、逢蠱殿だよねぇ? 気配を消していたのに相変わらず感覚鋭いねぇ。前の''入れ替わりの血戦''以来かなぁ。嬉しいねぇ。いや……猗窩座殿も奇遇だなぁ……下弦だけじゃなく上弦も集められてるのかなぁ……?」
「そうみたいですよ。」
黒死牟と猗窩座と玉壺と半天狗と堕姫にニコッと挨拶しながら背後から声を掛けられる童磨に逢蠱にそう言いながらも観察した。
童磨も相変わらず軽薄そうでいて、何の感情も感じられない気味の悪い声。その両目には上弦の弐と刻まれていた。
急いで辺りに目を向ける。見れば、集められた鬼は十二…。
上弦の壱。
黒髪の長髪を後ろで一括りにした剣士姿であり六つの目を持つ異形の貌を有するが、額と頬には揺らめく火を思わせる痣がくっきりと浮かんでいる。
''黒死牟''
上弦の弐。
頭から血を被ったような鬼でニコニコと屈託なく笑う。穏やかに喋る優男風の青年姿をした鬼。
''童磨''
上弦の参。
紅梅色の短髪に、細身で筋肉質な少年~青年くらいの外見。
服装は、上は素肌に直接袖のない羽織、下は砂色のズボンに両足に数珠のようなものをつけているだけの軽装。
顔を含めた全身に藍色の線状の文様が浮かんでおり、足と手の指先は同じ色で染まっている。
目はアーモンドのような釣り目でひび割れのような模様が浮かび、黄色い瞳にはほかの十二鬼月と同様に文字が刻まれている。
''猗窩座''
上弦の肆。
角が生え、額に大きな瘤を持つ小柄な老人の姿でいつも何か怯えている様に常に物陰に隠れて「恐ろしい………恐ろしい………」と呟いている弱々しい姿の鬼。
''半天狗''
上弦の伍。
壺の中から煙の如く罷り出る人外の容姿をした鬼。その姿は両目に“口”が、口と額に“眼球”が存在するという正しくの怪異である。 更に自身を芸術家と称する鬼。
''玉壺''
上弦の陸。
その顔はどんな遊女や、花魁でさえも色あせて見えるほどに美しい。格好は、ランジェリーじみた服装に三本歯下駄、身体に着物の帯を身に着けるという露出度が高い服装をしている。
''堕姫''
続けての
下弦の壱。
下弦の弐。
下弦の肆。
下弦の伍。
下弦の陸の鬼達。
そして、現下弦の参である自分。
私にとっては数字よりも鬼舞辻様に選ばれた事に誇りに思い、まずは自分自身の強さを確かめる為に上弦達との''入れ替わりの血戦''を挑み続けた。
その為に私は''まだ''下弦の参だ。
十二鬼月が全て集められている……。
こんな事は初めてだ。
だが、その前にやることがある。
血鬼術 自我隷属
自分自身に暗示をかけて、精神改造し、ただただあの方の為に行動、沈黙等にさせる血鬼術。
べんっ、と。また琵琶の音が鳴る。
移動した瞬間にあの方の気配を感じた時に即座に私は平伏した。
既に上弦の方達はもちろん下弦の鬼達も私が助言したおかげか、上弦達と同じ速さで平伏した。
正面にあの方がいた。
「お前たちには失望した……」
「………?」
「お前達がどこぞの場所で人を喰らっている間に私は……………忌々しい鬼狩りに………しかも柱二人に襲われ挙句侮辱された!!」
「!!!」
一瞬、鬼舞辻様が何を仰られているのか分からなかったが、理解した瞬間に怒りが込み上げた。
自身の無能さによって……
無惨様が襲われた?
柱二人に?
その情報は上弦の鬼たちにとっても衝撃だったらしく、上弦の鬼たちからも動揺した気配が伝わって来る。
「私が問いたいのはただ一つ。『何故に貴様ら十二鬼月は私の顔に泥を塗るのか』。私が心血と多大なる時間を注ぎ作り上げた十二鬼月。
だが十二鬼月に数えられたからと言ってそれで終わりではない。そこから始まりだ。より人を喰い、より強くなる。私の役に立つための始まり。
そのはずがお前達の無能さのせいで私が鬼狩り共に襲われた!!!」
我々十ニ鬼月に相応の血と異能、特権を与えてたはずで、にもかかわらず御身を危険に晒してしまった。格下である人間共に侮辱されたとなればそれは不快にもなろう。そのお気持ちは私ごときでは慮るに余りある。
「なんなのだ? 何故貴様らは私の役に立つ為に生きているというのに………貴様らは私の役に立つどころか私の顔に泥を塗りつけた。怒りでハラワタがが煮えくり返りそうだ。」
ああ、鬼舞辻様の怒りと失望が声の震えから伝わる。なんておいたわしい、鬼舞辻様。その怒り、我らをまとめて惨たらしく殺処分しても晴れぬほど深いものでしょう。
忌々しい。怒りでハラワタが煮えくりかえる。
その鬼狩りの柱共を惨たらしく、残酷に殺し、鬼舞辻様を侮辱したことを地獄の苦しみを与えて後悔させてやりたい。
私いや、私の配下の鬼達の察知・探索能力でもって必ずや……………
「その為にこれからは、上弦………お前達は下弦共を効率良く使え。特に下弦の参の逢蠱の配下達は、察知探索能力に優れている。」
途端に下弦はおろか、上弦の方達からも動揺が広がった。
ーーーーー
十二鬼月。
私が作り出した強い鬼のみで作り上げた直属の鬼共。
十二鬼月は上弦と下弦に別れており上弦と下弦の鬼はそれぞれ数字を持ち、壱から陸まである。
上弦が両目に対して下弦共は片目だけに数字を刻んでいる。
一番強いのが上弦の壱で、弱いのが下弦の陸だが、一人だけ下弦の参でありながらも、上弦の猗窩座、童磨そして黒死牟との''入れ替わりの血戦''で上弦に並ぶ強さを持っている鬼がいる。
特に下弦で唯一、鬼狩りの柱を二人喰っている強さを持つ。
それがかつて猗窩座が連れてきた元''柱''の逢蠱だ。
こいつには累と同様に期待出来る。
最もその気になれば上弦の肆になれるものを………だが、今はそんなことより私の顔に泥を塗ったこいつらを叱責した後に言うことがある。
……………あの忌々しい鬼狩り共のことだ!!
ーーーーー
「私は『変化』が嫌いだ。状況の変化。肉体の変化。感情の変化。あらゆる変化の殆どの場合は『劣化』だ。衰えだ。私が好きなものは『不変』。完璧な状態で永遠に変わらない事」
「……」
「三百年ぶりに鬼狩りに見つかり襲われ挙句に侮辱されて不快の絶頂だ。これからはもっと死に物狂いになれ。上弦の鬼達よ、お前達個々としてだけでなく下弦の鬼達を上手く使え。これ以上私の顔に泥を塗るような真似をするな」
鬼舞辻は激昂を十二鬼月にぶつけた後にそのまま自分を襲い侮辱した柱二人の情報を伝える。
「中性的な体格をした詰襟の上から、右半分が無地・左半分が亀甲柄の羽織を着用している。黒髪の熱を感じない鋭い瞳の義勇と言う鬼狩り。
もう一人も中性的な体格をした黒い詰襟の上から白地に雷を象ったデザインの羽織を着用している茶髪の和星と言う鬼狩り、この者共を見つけたら必ず殺せ。
いいな!!」
鬼舞辻はそれだけ言うと途端に琵琶の音共に消えた
その後に黒死牟の提案により、上弦がいくつかの下弦の鬼達を配下に鳴女にそれぞれの元いた場所に送られた
上弦が選んだ下弦の鬼達と共にという今までなかったこと共に……………
最後まで読んでくださりありがとうございます。
鬼サイドの新たな試みの始まり。
次回からは鬼殺隊に戻ります。