太陽系消滅の危機
人類は新たな厄災を打破するために知恵を絞る
人類の・・・太陽系の未来は
side 志麻
今はビアンカの整備実習
「スラスター周りは磁化しやすいから気をつけて磨けよ」
レイラ教官の声が響く
私はアリサ達とのじゃんけんに負け重いヘッドスコープを被り傷のチェックをしている
「C-1、C-2異常無し、F-30、F-31異常無し」
うぅ・・・目が疲れてきた
「しーぽん変ろうか?」
やよいちゃんが声を掛けてくれる
「本当!?」
私はすぐさまその問いに返事を返す
「だ~め!公平なるじゃんけんで決めたんだから最後までちゃんとやる!0.1μの傷も見逃しちゃダメだからね」
「うぅ・・・・」
仕方ない、真面目にやりますか!
実習が終わり帰り道
「志麻ちゃん」
光太くん・・・
「最近あんまり話て無いけど・・・何かあったの・・・もしかして僕の事嫌いになった」
違うの光太君の事は好き
それは変らない・・・でも
「違うの・・・今まで話して無かった時間が長くて・・・私が戸惑ってるだけなの・・・なんというか・・・光太くんとの距離が分からなくなって・・・」
「志麻ちゃん」
「だから・・・嫌いになったとかそういうのじゃないの」
「志麻ちゃんがそう思っているならゆっくり距離を測ろうよ、何も焦る事ないよ」
ちゃんと今の私を見てくれる光太くん
一人ぼっちだと感じた時
あの時から光太くんとの距離が分からない
私は・・・分からない
私はどうしたいの
「今、僕は志麻ちゃんの考えている事が分からない・・・それでも、ゆっくりでも歩いて行けば距離は短くなると思ってる、だから僕は志麻ちゃんに向かって歩いていこうと思ってる」
光太くんの真直ぐな思い
私は・・・
「私も・・・歩いてみる・・・ゆっくりでも歩いてみるよ・・・だから」
私は今の思いを告げる
「待ってて、私が近づくまで」
「うん、待ってる」
そうして並んで帰る
地球から見上げる星空のように近くて遠い距離
でも
何時かその距離を短くするために
ゆっくり進んで行く
たとえ後戻りしようとも
side out
side 初佳
この間のパーティーから数日
私と狛江君が付き合いだして恋人らしい事と言えば喫茶店でのデートくらい
付き合ってみてからナジーや同期の人から少し丸くなった?と言われた
確かに前見たいに名前に執着しなくなってから心にゆとりを持てるようになった
今考えてみると立ち直る切欠も狛江くん
今の私が居るのも狛江君のお陰なのよね
「町田先輩」
後ろから声を掛けられる
「狛江君、今日はどうする」
「そうですね、昨日ストラーダに新しいパーツが装着されたので調整に付き合ってもらえたら嬉しいですね」
狛江君の愛機って表現でいいのかしら
その機体のカタログスペックも気になるし、その新しいパーツにも興味があるからそれもいいかも知れないわね
「えぇ、いいわ・・・でも、その代わり」
「後でコーヒーをご馳走しますよ・・・喫茶店と自分が淹れたのとどっちがいいですか」
選択の余地は無いわね
「後で狛江君の部屋を訪ねるわ・・・それじゃBブロックエリアで落ち合いましょう」
「分かりました、それじゃぁ後で」
「えぇ」
そういうと狛江君は格納庫の方へ歩いていった
そういえば付き合ってから狛江君は未だ話方が硬い
未だに町田先輩って言うし・・・そう考えると私も狛江君って読んでるわね
ここは私から真也君・・・それとも真也って呼び捨てにした方がいいのかしら
そしたら狛江君・・・真也もきっと初佳って呼んでくれるかしら
でもきっと彼は”さん”とかつけそうね
「真実の恋、その道のり平坦であった例無し、From真夏の夜の夢 さてその道のりの果てには何が」
急にナジーの声が聞こえ驚いた
「ナジー・・・急にどうしたの?」
「別に・・・」
「それじゃぁ私は行くわね」
そう言って私はケイティのある格納庫に向かった
side out
side 真也
町田先輩と一緒にストラーダの調整をする為Bブロックエリアに出てきた
今回新たに装着したパーツは前回の試作観測機の完成形
だが、そのテストも含まれる
例えるなら試験形観測機?
まぁ完成形だけあって試作よりも多くの情報を収集できるようだ
そして演算率を上げるためにプログラムの調整をしなければならない
とりあえず前回の試作型を雛型に発展させる方針で進める
今回の観測機は完成形だけあって観測範囲が広くなり情報収集精度も向上している
基本的には重力変異値や熱量、電子等を基本にして、そこから発展させていくか
『設定は終わったかしら』
「えぇ、それでは今回は先輩のケイティの重力推進器そ使って重力変移値を計測してテストしますのでよろしくお願いします」
『分かったわ・・・それと、何時までも敬語を使わなくていいわ、せっかく恋人同士になったんですもの、それに・・・私は名前で呼んで欲しいわ』
少し照れた表情をしてそう言ってくる
やはりこういう所は可愛いと思う
しかしいきなり名前で呼んでいいものか・・・いまいちこういう経験が無いからよく分からない
「・・・分かった、それじゃよろしく、初佳」
『ッ!え、ええ此方こそ、真也』
まずかったか・・・顔を赤くしてたし、機嫌悪くしたかな
しかし、名前で呼ぶと恋人同士の実感というかなんというか・・・
簡単に言ってしまえば、そう・・・悪くない
とりあえずテストだ
今初佳がいる座標からストラーダまでの距離は10km
この状況でケイティの重力推進器が起こす重力変異は観測できる
カタログには最長30~50kmと書いてある
実際ストラーダの出力を3割強割り増しして送れば精度も距離も上がるだろうけど
今は通常出力で観測してるが重力変移値を見ると初佳の軌道がはっきりと分かる程だ
現在下向きの重力変移を確認したから初佳の機体は-y値に向かってケイティを操縦している事が分かる
次に螺旋状に変移値を観測、円の機動をしながら-z値、俺の方に向かってきている
観測値から推定出力は5割
ここから初佳の航行記録と照らし合わせながら精度を確認するしか無いか
「御疲れ様、もういいよ」
『了解、ちゃんと観測できたかしら』
「とりあえずそれを確認したいから航行記録を持ってきて欲しいんだが・・・いいかな」
『分かったわ、後で真也の部屋にもっていくわ」
「助かるよ、それじゃぁ後で」
その後テストを終え初佳にコーヒーをご馳走し
渡されたデータと観測機のデータを照らし合わせる
誤差0.0001
観測機としては優秀だと思う
観測データで判断した出力もあっていたし、小さな重力変移も逃さなかった
そして初佳が帰った後プログラムを煮詰めていった
side out
side リチャード
風祭技官と狛江局長がウルティマ崩壊のシュミレーションが完成し
おおよそのコズミックフラクチャーの解析が出来たと報告があり
アカプスのターナー博士と学園長、ヒュッター教官と共に解析室に訪れた
「足を運んでもらって申し訳無い、椅子も用意できておりませんが」
「立ち話はなれておるよ、それよりも早く見たい」
グレートミッションの大立者として有名なターナー博士が急かす
「はい」
風祭技官が端末を操作してコズミックフラクチャーの説明に入る
「コズミックフラクチャーは熱、光、重力、電磁波など様々な形で膨大なエネルギーを消費する事でその姿を維持していると考えます」
「その為、フラクチャー自体は大変不安定な存在になっています」
風祭技官の説明に狛江局長が補足する
「ですので放出エネルギーが下がれば途端に裂け目は閉じてしまうでしょう、これはウルティマ崩壊のシュミレーションです」
新たに端末に表示される
「これは、先日のウルティマ崩壊のシュミレーションです、この時ウルティマ爆発時に発生したブラックホールを相殺するためにフラクチャーがエネルギーを消費し、運動エネルギーが落ちた事により進行速度が下がったものと考えます
「つまりフラクチャーとブラックホールとの間でエネルギーのやり取りがあったと」
「そうです、そしてもっと大量のエネルギーをあたえればフラクチャーの運動エネルギーが相殺されフラクチャーはその形状を維持できなくなり崩壊します」
かすかな希望が見えてきた
私はそう感じた
「何とかなりそうだね」
学園長もそう感じたのだろう
「しかし問題が二つあります」
「その問題とは」
「まずは此方を見てください、これはフラクチャーの放出エネルギー変動のシュミレートです、個々の波は電磁波、重力波、ニュートリノなどの放射強度を表しています。フラクチャーを閉じるには個々の波が最低点、つまりはこの節の部分、全ての放射エネルギーの最低点に強力なエネルギーをぶつける必要があります、最大の問題はこのようにそれぞれの最低点が個々に変動している事にあります、そして実際はもっと複雑で予測も観測も不可能に近い状態なのです」
「して、もう一つの問題は」
ここは、放射するエネルギー量の問題ですかな
「はい、照射するエネルギー総量です、それはグレートウォールを発生させる程の」
「ファウンデーション級の宇宙ステーションでなければそれほどのエネルギーは無理だ」
「しかし、フラクチャーの最低点を狙い打つにはウルティマ崩壊地点よりも近づく必要があります」
コズミックフラクチャーのウルティマ崩壊地点より先には同質量のファウンデーションを向かわす事は出来ない
「ファウンデーションより小さい質量の機体か・・・」
「狛江局長の所のストラーダでは?」
「確かにストラーダでしたらより近くで狙撃が出来るでしょうがストラーダではグレートウォールを発生させるほどのエネルギーには耐えられませんよ・・・・それならばインフィニティーのジェネレータを使い人口的に重力レンズを作りファウンデーションから照射されたエネルギーをまとめ、フラクチャーに放つ方がまだ現実的です」
狛江局長の発言に目を引く
重力レンズ・・・
これなら
「やはり、インフィニティーしか無いか」
「パイロットは音山君か」
「やはりそれしか無いでしょう」
「サポートは」
「予科の片瀬・・・か」
彼女には不安要素が多い
前回のミッションの事といい
だが、時間が無い事は確かだ
「まずはインフィニティーの重力レンズで狙撃する為のシュミレーションを確立させておきます」
こうしてジェネシスミッションの概要が組み立てられていった
side out
人類の未来を賭けたジェネシスミッションの概要が整った
しかし現実は重くのしかかる
作戦の成功率
そしてフラクチャーの最低点を算出する高度な数学モデル
後の無い人類に国籍不明機が迫る