溢れる光
突入するステルヴィア
ファウンデーションは星の道の礎となる
side 真也
俺は、生きてる
あの時、ストラーダの前に出てきたアルキュオンは無事なのか・・・
ノイズが酷くて何も見えない・・・
インフィニティーは俺より後方に居たから大丈夫なはず
問題はアルキュオンだ
クソ!ノイズが収まらない
俺の視界はノイズで乱れ、アルキュオンの確認が出来ない現状に苛立ちを覚えていた
落ち着け、俺はそう自分に言い聞かせた
俺はDLSを外し体に異常が無いか調べた
特に目立った外傷は無し、脈拍と血圧は若干高めだが問題は無い
ストラーダはどうだろう
俺は端末を操作してストラーダの状態をチェックする
機体ダメージは軽微、観測機はさっきのノイズじゃチェックは出来ない
重力推進器は・・・配線が切れたか心臓部が溶けたかのどちらかだな
やはり出力を上げすぎたか、コレは一回外装を外してチェックするか
ストラーダ自体の機体状況確認プログラムで確認するしか無いな
俺はDLSを着けプログラムを起動する
調べてみると観測機の方は問題なし
一番気になっていた重力推進器は心臓部では無く配線の部分にエラーが出ていた
なるほど、これならストラーダに積んでいる予備でなんとかなりそうだな
そんな事を考えているとノイズが薄くなって行くのを感じた
つかさず俺通信を出した
「此方ストラーダ、機体に損傷あり、ミッション遂行は可能」
後はアルキュオン、片瀬さん無事でいてくれ
side 初佳
真也・・・
『初佳、まだ荷電粒子の所為でノイズが酷いがまだ諦めるのは早い』
ケント・・・そうね、きっと大丈夫・・・真也も、片瀬さんも
徐々にノイズが減っていく
私はノイズで映らない所を見つめ真也と片瀬さんの機体を探す
未だに見えない
そして
『・・・ダ・・・・機・・・・損・・・・』
ッ!聞こえた!真也の声!!
「真也!応答して、真也!!」
私は間を空けずに叫んだ
『此方ストラーダ、機体に損傷あり、ミッション遂行は可能』
機体に損傷!?
「真也!大丈夫なの!?」
私はすぐに真也に尋ねた
『心配かけてごめん初佳、俺は大丈夫・・・ストラーダも重力推進器にダメージがあるだけだから』
重力推進器って、それが壊れていたらストラーダは動かないじゃない
『ダメージって言っても配線が焼ききれただけだと思うからなんとかるよ』
私はその言葉を聞いて安心した
「それですんだから良かったけど、余り無理はしないで・・・」
そして私は今の素直な気持ちを言った
『・・・・ごめん、初佳』
「いいの、無事だったから・・・それじゃ最終防衛ラインに行きましょ」
そう言って私は真也のストラーダを引っ張って行った
side out
side 光太
志麻ちゃん・・・・
「志麻ちゃん!応答して!」
何度目か分からないけど僕は彼女の名前を呼ぶ
『大・・夫・・・大丈夫です』
「志麻ちゃん!」
『大丈夫だよ、ジェネレータが半分ダメになっちゃったけどちゃんと動ける』
違うんだ
「志麻ちゃん」
『システムも異常なし』
そうじゃない
「志麻ちゃん!」
『アルキュオンの情報処理能力には問題ない、まだいけるよ』
違う・・・なんで
『インフィが動け無いんじゃ仕方無いよ、アルキュオンのバリアを囮に使って』
どうして・・・どうして!
「なんでそんな無茶な事をするんだよ!」
どんなに心配したか
僕は志麻ちゃんにその思いをぶつけた
『出力の上がらないインフィとそれを庇いに行ったストラーダを助ける為だよ』
そうだ、インフィの出力が上がらなくて真也君に・・・
ッ!真也君は!
僕は背筋が凍った、志麻ちゃんが光に飲み込まれ我を忘れていた事に気付いた
そして急いで辺りを確認する
ストラーダの信号を見つけた時、僕は安心した
『それにインフィがやられちゃったら、誰がレーザーの射撃管制をするの?』
志麻ちゃんの通信でさっきの思いを思い出す
そうだけど、僕は・・・志麻ちゃんに何かあったら
『だけどアルキュオンもやられたらまずいよね・・・でもね、光太くんも真也くんも助けたいの・・・それにはコレしか無かったの』
『第二次防衛ライン放棄、各員最終防衛ラインへ移動してください』
司令部からの通信で会話を遮られる
『早く行かなきゃ・・・急ご、光太くん』
志麻ちゃんの言葉で僕は最終防衛ラインまで向かった
結局僕の言葉の続きは言えず仕舞い
けど、きっと思いは伝わってると信じて
僕が志麻ちゃんの事を大切にしていて、本気心配している事を
side out
side 志麻
司令部からの通信で私達は最終防衛ラインに向かっていた
はぁ・・・かなり無茶しちゃったかな
光太くんに心配かけちゃったし
でも・・・私は助けたかった、光太くんと真也くんを
『しーぽん体の方は大丈夫?アルキュオンの方はちょっと深刻?』
え?この声って大ちゃん!?
画面に表示されるのは見知った顔
通信先を確認する
え?ステルヴィアから!?
もうステルヴィアは移動を開始してるから・・・
「大ちゃん、コレってステルヴィアから通信してるんでしょ?早く逃げなきゃ」
『うん、そうだね』
大ちゃんは何時もと変らない様子でそう答えた
『こっちは何もって行けばいい』
これはジョジョ君の声
『例の解析プロトコルだね』
『こっちは』
今度は晶ちゃんの声
『んー・・・しーぽんのコレまでのプログラム作成履歴とかかな』
「大ちゃん!」
私が本気で心配してるのに・・・
『あーごめん、でも逃げる前に約束を果さないと』
「約束?」
約束って誰と約束したんだろう
『それともう一つ、そろそろアリサ達がソッチに着くと思うから、じゃ』
そういうと大ちゃんは通信を切ってしまった
私が大ちゃんの言葉を理解するのはもう少し後になる
side out
side アリサ
貴方と出会ったのはあのフジヤマ
それから私達は一緒になって頑張ってきた
『凄い・・・』
そう零したお嬢
『これっておそらく肉眼じゃ見る事が出来ないほどの出来事なんだ』
ピエールは良いこと言ってんだけど
「ピエールなんかキザぽーい」
りんなちゃんが茶化すように言う
私はDLSをつけて無いからモニター上でしか見えない
コレは私が選んだ道
だから私は私の出来る事をする
モニター上にルッキョンを見つける
「お待たせ、ピーターパン」
私は呟くように言った
「よーし!とぉーちゃーく!」
『それじゃぁ私達はアリサの邪魔にならない様に壊れたジェネレータを外しましょう』
「オッケ!」
りんなちゃん達がビアンカから出てアルキュオンの方に向かった
私はりんなちゃん達が乗ってきたビアンカを遠隔操作で操りジェネレータの取り付け作業を始めた
「しーぽんお待たせ!今からちゃちゃっと取り付けちゃうから待って」
『なんでアリサ達がここにいるの?大ちゃん達もそうだし』
それは・・・もう言ってもいいよね
「私はね、あんなに頑張ってる貴女を助けたかった・・・だからステルヴィアに残って私の出来る事を考えてたの・・・そして思いついたのはこのジェネレーターを貴女に届ける事」
『アリサ・・・』
「だから私にまっかせなさい!」
そう言って通信を終える
そして私は慎重に
ゆっくり、ゆっくり作業を進める
取り付け先をイメージして
よし!
さて、も一個行きますか!
私はさっきの様に丁寧に取り付け作業をこなす
モニターにステルヴィアを確認した
その時丁度ジェネレーターの取り付け作業を終えた
「よし!ジャストタイミング!」
後は頼んだよ、ピーターパン
side out
side 真也
俺は最終防衛ラインで初佳にストラーダの修理を手伝ってもらい、それをすぐに終え今はインフィニティーのチェックをしている
主力系と制御系を調べたが、壊れている所は見当たらない
各数値も許容範囲内で出力が上がらなくなるような要因は無かった
「機体にはダメージは無いみたいだ」
俺は光太にそう告げる
『でも、確かに出力が上がらなかったんだ』
『操縦記録を見せてもらったわ』
いきなり蓮保険医が割って入ってくる
『基本的にはパイロットの技量で回避できたレベルね』
『操縦ミス・・・ですか』
『平たく言うとそうね・・・・新型DLS、こんなに長く使うの初めてでしょ、大丈夫?』
操縦ミスか、たが今回の件は強く言えないだろう・・・ミッションの重圧に長時間の新型DLSの使用、これでミスが起きない方がおかしい
『ちょっとキツイかも、でも大丈夫です・・・だって、降りる訳にはいかないじゃ無いですか』
頑張れ、光太・・・俺にはそれしか言えない
「光太・・・頼んだぞ」
『うん、頑張るよ』
他に作業していた人達が皆同じ方向を見ている
そこに目をやるとステルヴィアがあった
ステルヴィアがゆっくりフラクチャーの方に向かって行く
俺は急いでストラーダに乗り込む
システムを起動し観測機を動かす
ステルヴィアの最後を見逃さない為に
side out
side 大
んーついにステルヴィアが最終防衛ラインに着ちゃったか
「ジョジョ、晶ちゃん作業の方はどう」
「ばっちし」
よーしそれじゃ後は皆との約束だけだね
えーとビジョンへの通信は
『小田原 大!?』
「あれ?教官達まだステルヴィアにいたんですか」
『うるさい!貴様らこそ何でステルヴィアにいる!』
「えぇ、ちょっと」
『ちょっとじゃない!』
『まぁまぁ、藤沢達がいたんだ小田原達がいても不思議じゃない、それにここまできてどうこうなるもんでも無い』
『しかし・・・』
なんか教官達が言い合いしてるけど白銀教官の言う通りかな
レイラ教官もなんだかんだで折れそうだ
『どうだ小田原、ジェネシスミッションは』
「んー最高です」
『そうか、お前らもさっさと逃げろよ』
そう言って通信を切った
ちょっと遅くなったけど約束を果そう
「ビジョンにいる大人の皆さんにお願いが在ります、ステルヴィアが消滅するまでフラクチャーのデータを発信させてください、見せたいんです・・・この光景は今太陽系に生きている人達に出来るだけ見せたい、ジェネシスなんて言葉を使ってるくらいだから是非とも皆見るべきです。邪魔な周波数は使わないので見逃して下さい」
これでフラクチャーのデータはステルヴィアを介して送信される
「大、脱出するぞ」
「うん、今行く」
後は作業をしていたアリサを拾い、やりとげるだけ
side out
side 真也
いよいよステルヴィアが・・・
『待たせたな諸君!いいか!よ~く見ておけよ、コレがステルヴィアの見納めだ!!』
ステルヴィア、短い時間だったが思い出のある場所
光太や片瀬さん、それに初佳
心からありがとう、そして・・・さよなら
『あーあ、こちらマイクのテスト中、ステルヴィアからの映像もテスト中』
は?この声は大?なんでいるんだ
『この声を皆さんが聞くのは数時間・・・数日後かも知れません、とにかく太陽系全ての人がリアルタイムで見る事は今の技術ではできません・・・でも、共に立ち向かう困難に遭遇しているという点では皆同じです・・・コレが僕達、私達の始まりの記録にならん事を』
大のやつ、いいこと言うじゃないか
『そうだ!美味しいところは全て小田原が言ってしまったがつまりはそういうことだ!・・・この作戦は俺達が宇宙に散らばる前哨戦だ、この先人類が一丸となって何かをやるって事は無くなるだろう、ある者は太陽系に残り、ある者は外宇宙へ向かって行く・・・そういう歴史になると思う、いや・・・歴史って物が無くなるんだろう、あるのはそれぞれの今と未来に向かうそれぞれの思いだ・・・勝ちに行くぞ、俺からは以上だ』
白銀指令が言い終わり
ステルヴィアがフラクチャーに飲み込まれていく
ステルヴィアが原子分解され重力制御装置が暴走し
マイクロブラックホールを形勢して
フラクチャーの動きを鈍らせる
辺りを荷電の光が染め
ステルヴィアは役目を終えた
『各オーバビス編隊はインフィニティーとアルキュオンを必ず守れ!』
「了解!」
白銀指令の言葉に力強く答える
さっき重力場フローはストラーダの重力推進器に引き寄せられた
なら
「初佳!」
俺は初佳に意図を伝える
『真也・・・ええ、皆聞いて!小さなオーバビスマシンでも纏れば立派な囮になるわ!』
『それ乗った!』
『一つ一つは小さいけれど!』
『まさに合体だ!』
ビック4にお嬢、ピエールりんなちゃん・・・皆が一つに纏り重力場フローを引き寄せる
ストラーダの観測機の情報からフローの流れを計算する
「後方より重力場フロー!各機散会!」
『『『『了解』』』』
俺達はコズミックフラクチャーのすぐ側を飛んでいた
『凄い・・・』
不意に初佳がそう零した
「あぁ、本当に凄い・・・」
俺もそう、ただ漠然と感じた事を零した
side out
side 初佳
私は近くで見たフラクチャーに圧倒された
DLSを介して見えてくるフラクチャー
近くには真也
真也も同じ物が見えていてそれを感じている
『初佳』
「やよい?」
『こうやって飛びたかった・・・初佳、貴女と』
私が怪我をさせてしまい一緒にいれなかった
私だってやよいとこうやって飛びたかった
やよいのビアンカは踊るように私の周りを飛び回る
「私も・・・こうやって、貴女飛びたかった!」
私に頬を伝う涙は暖かい
過去に出来なかった事
ステルヴィアにこなければ出会えなかった
真也に
やよいに
今はもう飲み込まれてしまったステルヴィアに
思いを乗せて
今を飛ぶ
side out
side 志麻
私はプログラムを組み立てていく
プログラム最終調整
みんなのくれた・・・ステルヴィアがくれた最後のチャンス
私はステルヴィアがくれた物を思い出す
アリサや真也君くんとの事
ビック4の先輩達
私に教えてくれた教官
そして
光太くん
不意に涙が出てきた
「えへへ・・・・あ、そっか」
私の今の気持ち
ステルヴィアに着たときの気持ち
地上から宇宙を見上げた時の気持ち
全部私なんだ
光太くんの事が好きな気持ちもこれからも皆と一緒にいたい気持ちも
大切な事を思い出したから
私は一度組み立てたプログラムを組みなおしていく
コレが私
私の思いの全て
このプログラムが!
「光太くん!最後の調整をしたプログラムだよ、頑張って」
私の思いをこめて
side out
side 光太
頭が重い
音が・・・声が線になって視覚と聴覚を惑わす
白銀教官の声も
みんなの声も
意識が朦朧としてきた
呼吸も荒い
『パニックにならないで、視覚と聴覚が入り混じったDLSの新たな段階よ』
この線は蓮先生・・・
僕の今見ている物が新たな段階?
この暗く重いようなビジョンが?
『君の見たかった物が見えるかもしれない』
僕の見たかったもの?
『音山!ジェネレータの準備は出来ている、何時でも撃てるぞ!』
僕の見たかった・・・もの
『光太くん』
志麻ちゃん!
『光太くん!』
僕のビジョンが重く暗い物が淡く優しい物に
志麻ちゃんの声が大きくなって
志麻ちゃんが見える
線だったものが志麻ちゃんを映しだしていく
『光太くん、光太くん!最後の修正を加えたプログラムだよ!』
僕が見たかったのは志麻ちゃんの優しい顔、優しい声
志麻ちゃんがくれたプログラムを走らせる
最低点を捕らえた瞬間
「発射!」
ジェネレータが放つレーザーが重力レンズを介し、フラクチャーまで伸びていく
side out
インフィニティが放ったレーザーはフラクチャーの最低点を捕らえた
閉じていくフラクチャー
それはジェネシスミッション成功を意味していた