まあ、あと後日談が一話ありますけどね
そして、計100話到達。随分と遠くに来たものです。
そして、宇宙エレベーターエンデュミオンの御披露目会で、アリサのライブが開催される前日の夜、人知れず彼らは連絡を取り合い合流していた。
学生寮近くの小さな広場で二人の少年達は向かい合っている。蛍光灯だけが照らす夜の空間の中で、彼らは二人はお互いの事情について話し合うためだ。
「いやー、流石上やんぜよ。まさか、居候があの鳴護アリサとは」
「てことは知ってるんだな土御門。アリサが狙われる理由を」
「それについては私から説明しましょう」
「
影から現れたのは世界でも有数の魔術師、聖人
「いや待て、何で神裂が出てくるんだ?ステイルと土御門だけじゃ戦力として不足の事態ってことなのか?」
「それは正解であり不正解ってところですかにゃー。まあ、それについては俺よりも、さっき言った通りねーちんの口からの方が筋は通ってるかもな」
そんな遠回しの口振りをする土御門に上条は疑問を抱くが、神裂がすぐさまその答えを言った。
「あの子は聖人です。もしくはそれに類する力を有しています」
「アリサが聖人だって!?」
「序列は暫定で第九位とされています。覚醒すれば私を上回るとも言われています」
「いや、でもそんな素振りは……。ッ!本当なのか土御門!」
「落ち着けよ上やん。あくまで推測、何の証明もされてないぜよ」
「では、土御門。あなたの見解は?」
「どうだかにゃー。そもそも聖人の定義すら曖昧なものだし何とも言えんぜよ
──まあ、学園都市はあの子の資質や能力なんかを解剖学的に解明したいみたいだ。特にあのロリっ子社長のレディリー=タングルロードはな」
そこまで聞いて上条は眉を顰めた。とても人道的に認められることではないが、学園都市の闇を幾つか垣間見た上条にとって、その可能性は認めなくてはならないものだった。
そんな彼らの間を一陣の風が吹く。
すると、突然神裂が刀の柄に手を添えた。
「──何者ですか」
「は?おい、神裂。いきなり何を言って」
「──おや、やっぱり気付くか。流石だね」
「え!?先輩!?」
神裂がやって来た方向と真逆の方向から、その人物はやって来た。
「貴方でしたか
「久しぶりだね。日本人だから学園都市にやって来ることが多いのかい?」
天野と神裂はミーシャ=クロイツェフのときに会っていることから、これで三度目の邂逅となる。神裂としては聖人の問題であるため余り彼女に介入してもらいたく無いのが本心だ。
それも、ステイルに聖人なのではと疑われている、彼女には特に。
「(今回のことで彼女に憑依しているだろう存在が、露見しないとも限りませんからね)」
「それが本当の君の顔かい?元春」
「いやー、ここまでバレちまったら隠すのはもう流石に無理だにゃー。まあ、いつかこういう日が来ても不思議じゃなかったわけだし、ちょうどいい機会かもしれないか」
どこか諦めたような雰囲気を滲ませながら、土御門元春は不敵な笑みを浮かべて言った。
「そう、俺はここにいる神裂やステイルと同じ
「へえ……まさか、君が魔術師だとはね。
「それがスパイってもんですからにゃー。あっはっはっはー!」
素人の上条はそこら辺の技術を修めていないため何とも言えなかった。
そんな上条に電話に着信が入る。それに出てみれば衝撃の事実が電話口から告げられたのだった。
「え?アリサが拐われたッ!?」
そこからは随分とスピーディーに進んだ。
魔術サイドと科学サイドがアリサを巡って交戦し、そこに介入した上条が爆発に巻き込まれて入院した。そして、上条が馴染み深いあの病院のベッドで目を覚ますと、鳴護アリサが科学サイドだけではなく魔術サイドからも命を狙われることになっていたのだ。
その事に激怒した上条は傷が治っていない状態で、病院を脱け出そうとするが土御門に呼び止められ、打開策を与えられた。
アリサが殺されることを防ぐために、上条とインデックスは土御門の案に乗りスペースシャトルで成層圏まで飛んでいった。
どういうこっちゃ(呆然)
ここら辺は終盤なので覚えているのだが、それにしてもいろいろ急展開すぎでは?こんなにスケジュールみっちりだったっけか?流石に人間辞めてるだろ上やん……。
ちなみに上条の傷は終盤近いので敢えて治さなかった。体力減った状態で勝てるとは思えないし。
付いていってもいいのだが、もし仮にバタフライエフェクトがあるとするなら地上だと思う。俺が今回関わったのはアリサよりもミコっちゃん達の配分が多いだろうから、それこそ彼女達の精神を揺るがしてしまった可能性が高いからだ。
それこそ下手に佐天さんとかが介入してきたら、ただでは済まない結果に繋がることになるかもしれない。そのため隣で行動しているのだが、ぶっちゃけあんまり変わっていなかった。
まあ、「頑張れ!頑張れ!もっとやる気だせよッ!!」とか言ってないから、そうそう変わるとも思えんけどね。
「もう!お姉様!黒子使いが本当に荒いんですからっ!」
「人命優先!アンタもそれが分かってるから手を貸してるんでしょ!」
そんな会話をしながら二人は
「それにしても、どうしてあなたまで一緒ですの?民間人は避難しててもらいたいのですけど」
「『あら、人手が必要なときではありませんの?出し惜しんでいてはこの学園都市が未曾有の事態へと陥るかもしれませんわよ?思ったよりも随分と余裕ですのね。感心致しますわ』」
「キーッ!何ですのこの女!憎たらしい顔をしてすっっごく腹立ちますのッ!!」
「いや、アンタの顔でしょうが」
そんな漫才をしながら空間移動をしていくと、エンデュミオンの真下へと辿り着く。既にそこではレデリィーが用意した兵器と
お遊びはここまでのようだ。
「くっ……!このままじゃ……」
「このままじゃ被害が大きくなるだけだ。何かしらの突破口が無いと間に合わなくなるじゃんよ……!」
レディリー=タングルロードがエンデュミオンを崩落させようとしているのを掴んだが、相手もあらかじめ大型の兵器を用いて足止めをさせるつもりだったらしい。
しかし、そこに彼女が求める現状を打破する突破口であり、なおかつ彼女がこういった場所から一番遠ざけたい者が現れる。
ギュリリリリリッッ!!と、タイヤをスリップさせながらその銃弾が飛び交う戦場に、彼女達は車椅子を横滑りして躍り出た。
「──全く……」
車椅子の後ろに乗っていた少女は、コインを指で弾きながら苛立ちを込めて言葉を吐き捨てた。
「どっかズれてるのよね!あの馬鹿は!!」
ギュゴッッ!!と、空気を切り裂く音と共に、その少女の手の先から一条の閃光が瞬いた。着弾地点の兵器を容易く貫通し、木っ端微塵に破壊する。
それを最後まで見ずに御坂美琴は傍らに居る少女へ話し掛けた。
「黒子、ここはアンタに任せたわ」
「お姉様まさか……!」
「アンタにしか頼めないの」
「……ッ!」
白井は身体の怪我で満足に動くことができない。それこそ移動だけならばどうとでもなるが、戦闘になれば否が応でも全力で動かなくてはならないだろう。
そうなれば痛みで演算が乱れて、空間移動ができずに危機に陥る可能性が高い。そうなれば敬愛する御坂美琴の邪魔になると、自分が今まで培ってきた経験と知識からそのことを導き出す。
危険な場所に一人で送り出す事を許してしまう、自分の不甲斐なさに打ちのめされる彼女に対して、声をかける者が居た。
「彼女のことは僕に任せるといい」
「……天野さん」
白井達とこの場に急行した少女、天野俱佐利。彼女は御坂美琴には劣るが白井と同じ
「……申し訳ありませんが黒子の代わりに、お姉様のことはお任せ致しますの」
「うん、任された。怪我一つさせないよ。君も後ろの彼女達の事は頼んだよ」
そう言って二人の少女達はエンデュミオンの中へと走っていく。その後ろ姿を見ることしかできない彼女は、車椅子の上で手を握り締めるが、自分がすべきことを思い出して後ろを見る。
そこには彼女に駆け寄る二人の少女の姿が見えた。その一人である花飾りを頭に付けた相棒が、十全に戦えるよう状況を作り出すのが今できる最善。
「自分の無力さに打ちひしがれるのはこれが全て終わったあと。今は今できる最善を尽くしなさい。それが多くの人が助かることとなるのだから」
「(よし……!黒子って見張りが入ればいくら佐天さんでも迂闊なことはできまい。
あとは、バタフライエフェクトの可能性がありそうな、エンデュミオンを支える三つのボルトを破壊する、エンデュミオンをパージする作業の主要人物三人の動きだな)」
白井黒子が覚悟を決める傍らで、またしてもオリ主は打算で行動していた。まあ、今回は最悪エンデュミオンが落ちることとなるので、余裕が無いだけかもしれないが。
「こっちは任せて。一つは私が受け持つわ」
「(うん、ここのミコっちゃんは一緒だから原作というか映画通り。あとは、あの二人なんだけどステイルは今回一度も見てないから怪しいな。居ないとかないよね?)
先ほど約束した彼女には悪いけど、もう一つは僕が担当しよう。とはいえ、場所が少し遠く場所を把握するのも難しい上に、僕の能力は劣化するから一撃での破壊は難しいかもだけどね」
ぶっちゃけこれはガチの懸念事項である。確かどいつもこいつも全力の一撃を出していた気がするから、劣化している能力では粉砕するのに威力が足りない可能性がある。
エルキドゥが居るから万が一は無いけど、極力表には出したくないし今はバタフライエフェクトの可能性もあるから、正規メンバーのあの三人に任したいのが本音だ。
マジで危なくなったらそりゃあ出てきてもらうしかないけど。
『うん、全力を出すよ』
出しちゃダメだからね?
そんな風に考えていると、突然警備員の暗号通信に割り込んできた男の声が聞こえる。
『もっしもーし!こちらペンネーム、匿名希望の"妹と書いて人生と読む"さんからだにゃー。話は聞かせてもらったぜい!ボルトの一つはこっちで対処できるから任せてくれていいぜよ』
「警備員の暗号通信に割り込めるってなら野次馬じゃないわね……。ええい!今は人手が要る!そっちは任せたわよ!」
『了解だぜい!』
そう言って通信が切れる。……まんま土御門だったな。
ということは話の流れからしてステイルが居るのは確定的。これで残るはあの『最強』なのだが、関わった度合いで言えばミコっちゃんとどっこいどっこいである。何か変化が無いとも言い切れない。俺はそっちに行くべきだろう。
「なら、僕はもう一本を警備員と共に破壊しに行こう。それで三つ全てのボルトは破壊できるはずだ」
「分かりましたそっちは任せます。私は私の役目を!」
そう言って二手に別れてそれぞれ目標に向けて走り出す。敬語はなかなか取れないらしい。
「(原作通りなのかどうか確かめてやる!)」
と、意気込んでいたのだが、そうそう変わる要素もなかったためなのか、当然のように奴は来て「エ"エ"イッッ!!」とぶっ壊した。
そういや、「他と違って通常攻撃で破壊していたなこの第一位」と遠い目をしていると、
「(重力と風のベクトルを弄ってるのか?ダメだ、よくわからん)」
スパコン並みの頭脳を持つ第一位がしていることなんて分かるわけもなく、結局は物陰から呆然と見詰めることしかできなかった。もしものときのためにスタンバっていたのだが、最終的に取り残されてしまった。
ちょっとへこみながらもと来た道を帰っていると、ある人物に出くわす。
「おや、君か。あの男同様……いや、あの男と共に行動して今回の騒動に関わった口か」
そこに居たのは赤毛の大男14歳、ステイル=マグヌス。偶然出くわしてしまった。まあ、共に避難中なのだから倒壊してない方を進めば出会う可能性も高くなるだろう。
それにしても、こいつ美少女三人侍らすとか何様な訳?その上師匠呼び?はあ?(威圧)
まさかこいつ、カミジョー属性持ちかこの野郎。チッ、インデックスとの過去が無かったらぶん殴っているところだ。実際インデックスしか眼中に無いだろうけど。
そんな感じで退避をする俺だが一つ思った。というより、思ってしまった。
「(
ステイルと別れる寸前に変身をして姿を変える。気分は魔法少女である。
変ぇー身☆…………いや、無いわ。
すると、目敏く視界の隅で変身した俺に気付いたステイルが、こちらに訝しげな視線を向けた。
「ちょっと君…………何をしようとしてるんだい?」
「『ここで私がすることなんて一つだけです』」
アリサの姿へと変身した俺がすることなど、言うまでもなく決まっているのである。
歌を歌うのはこの世界だと片手で数えられるほどにしかないが、アリサなのだし上手く歌えるだろう。きっと。多分。
あとは、ノリと勢いで誤魔化せば乗り切る。今までもこうして乗り切ってきたのだからどうにかなるはずだ。
それじゃあ、一丁やってやりますか。……エルキドゥ以外だと割りとすんなり言えるから困惑するな。まあ、テンション上げることができるなら何でもいいけど。
緑髪をしていて歌うんだから当然あのセリフじゃないと締まらないってものよ。んんっ!あー、あー、テステス。ごほんっ。
それじゃあ行っくよー?スゥゥ…………私の歌を聞けいっ!!
「『みんな抱きしめて!銀河の果てまでっ!』」
分かる人には分かる伏線回収。もう無いから幻の伏線ですね
ドゥルドゥルイーヤー♪(ゝω・´★)キラッ
混ざったけどまあいいか。
ちなみに、時系列を合わせるためにライブシーンを一部カットしています。その事にオリ主は気付いてもいません。
◆作者の戯れ言◆
今まで皆さんに言ってなかったことを言います。ぶっちゃけ随分と前に気付いていたのですが、タイミングを逃してしまい通算100話到達までかかってしまいました。それでは不躾ながらここで述べさせてもらいます。
誤字脱字報告ありがとうございます!助かってます!
by 海鮮茶漬け
100話目でした↓
祝100話記念に何かした方がいいのかなと思ったので、100目を何にするかのアンケートを取ることにします
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旧約の9巻もまだだろさっさと続き書け
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オリ主に対する誰かの独白
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そういったのは外伝の方で書いてろ
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新作書け