とある原石の神造人形(エルキドゥ) 作:海鮮茶漬け
今回は少し遅れてしまいました。基本不定期ですが頑張って投稿していきたいと思っている所存です
「(あ、あぶ、危なっ!?マジで死ぬかと思ったわッ!!)」
崩落したエンデュミオンの近くで、建物に寄り掛かっている長髪の女が深く息を吐いて休んでいた。というか、俺だった。
「(歌っていい感じにテンション上げてたら出口は塞がれるわ、初めて上条と対峙した一方通行が、ベクトルを弄って線路を飛ばしたときみたいに鉄材が吹っ飛んできて、串刺しにされるわ散々だったぜ。……もしかして、上条の不幸が乗り移ってるんじゃ?いや、それとも神のせいか?)」
──間違いなくオリ主の自業自得である。
「(空いた風穴を治療しながら、崩落するエンデュミオンを命からがら脱出することになるとかマジでヤバいわ。『奇跡』とかやってみるもんじゃねえなこりゃ)」
そう、このオリ主、アリサの『奇跡』を真似ようとしたのだ。映画のアリサと同様に、降ってくる瓦礫を破壊できたらいいなと安直に真似をしてみれば、落下の衝撃か何かで跳ねた細長い複数の鉄材が、ノーバウンドで水平に向かって4メートルほど勢いそのままに、オリ主の腹部を貫通。
その時オリ主は
「『今夜は星が綺麗ねだから、きっとーー…………届くーーーーーーううううッッ!?!?!?』」
届いたそうな。
まあ、それはそれとして奇蹟は何一つ起きず、オリ主には馬鹿な真似をした代償が降りかかった。さもありなん。
とはいえ、何も伊達や酔狂でオリ主も真似をした訳ではない。半分はちゃんとした理由がある。しかし、結果は見ての通りマイナスのことしか起きなかった。
「(まあ、そうそう上手く行くわけもないか……。大人しく帰りますかね)」
シャットアウラとの交戦のあと、当然の如く上条が大怪我を負っていたので、
明日には無事、大覇星祭を頑張って出場しつつ、オリアナと殴り合うことになるだろう。……つーか、俺が居なかったらどうなってたんだこれ……?
『ねえ、もしかして私もこの世界の一部分として組み込まれているとか?そうなるといろいろ難儀なことになるのよね。具体的には傍観者で居ることができないのよ』
「え、えーと……、全体的によく分からないです。これって聞いちゃってもいい話なのかな……?」
暴露に暴露を重ねる俺に戸惑うおどおど系巨乳メガネ女子。知ったことかい!こちとらストレスが溜まりに溜まってるんじゃい!
『いいのよ、どうせ誰も聞いてないから。エイワスも別の位相に居るらしいから心配無いし、アレイスターも
基本的にアレイスターは学園都市のゲテモノ科学を用いてこの街を監視している。ならば、ショッピング感覚で変身しながら動き、街中の風斬を見付けたあと、適当に何かカモフラージュの動きをしながら、精神感応で話せば誰も俺達の密談を知ることはできない。
エイワスも新約で「どこかで寄り道でもしていたのかねアレイスターっ!?」とか言っていたから、街の全てを把握していないのは確定済み。
それで、現実世界へ浮き彫りになる前はどこに居たかというと、流石にアレイスターの側を魂的な状態で居たとは考えられないから、やっぱりガブリエルなんかと同じように、どこかの位相に居たのが有力だろう。
『全く本当に世知辛い世の中ですよ。比喩とかではなくね。まあ、それでも嫌いにはなれないんだけど』
そんなことを精神感応で呟いていると、突然エルキドゥが語りかけてきた。
『マスター、おかしな気配が僕の気配察知に反応している。確認を取るべきだと思うよ』
「(ん?おかしな気配……?)」
と言われても全く分からない。そこは何もない空間でしかなかった。
『二時の方向に気配があるにも関わらず、マスターの視点からでは彼女が目に写らないみたいだ。もしかすると生きている者には認識できないのかもしれないね』
「『?……まあ、一応使ってみるけど……』」
取り敢えず精神感応をエルキドゥが指定する場所に使ってみる。しかし、予想外にも反応が一切無かった。
「(……ん?どうなったんだ?全く分からんのだけど)」
困惑している俺にエルキドゥが告げる。
『彼女がこちらに反応したよ。やはりマスターには感知できないらしいね』
「(うーん、ダメだ全く分からん。つーか、この学園都市に居る透明人間って誰?一応変身したけど
ヤバい可能性が浮かんでしまったが、未だに相手が何のアクションも起こしてないため、おそらく話す余地はある相手なのだろう。魔術関係だったら俺にはほとんどお手上げで、エルキドゥのごり押しに頼るしか俺にはできることがない。
とはいえ、このタイミングで現れる存在など居るのだろうか?
オリアナが来るのは明日ではあるが、下見に来ることはまずないだろう。オリアナはあくまでも囮のため前日に下見に来て動くことはまずありえない。バレて目を付けられれば囮ですらできない可能性があるからだ。
本命であるリドヴィアは潜入している可能性もあるにはあるが、学園都市の外だとしても察知される可能性がある以上はそれも低いはず。
「(つまり、オリアナ達ではない魔術師?……いやー、それはないだろ。流石にそれは突飛すぎる。俺が起こしたであろうバタフライエフェクトも学園都市の中だけだ。
だとすると、残るは学園都市に居る能力者かもしれないが、姿を完璧に消すことができる能力者など聞いたことがない。もし居るとするなら
「(まさか、第六位か……?)」
それならば、学園都市中に存在が認知されていない理由にはなるが、それならばおかしなことが一つある。
「(そんな完璧な光学迷彩ならミコっちゃんとむぎのんは瞬殺じゃない?)」
そうなのだ。電磁波も察知できないのなら電磁レーダーなど使える訳もないため、暗殺されてしまうのが落ちだろう。そして、その能力の有用性は対人に
理想の兵器の到達点の一つ。完璧なステルキ機が生まれる可能性がある。光学技術の応用ではそれこそ美琴すら上回るだろう。それが第六位だとは到底思えないのだ。
つまり、魔術でも超能力でも、ましてや科学でもない認識することすらできない力とは一体なんなのだろうか?
そうな風に頭を捻っているとそれに引っ掛かりを覚えた。
「(うん?ちょっと待て。……
その言葉に前世の記憶が刺激された。そこからは点と点が結び付き、高速で事実が浮き彫りになっていく。
「(エンデュミオンの奇蹟が終わり……退院した上条がアリサの声が聞こえたと言ってて……誰にも認識できない人物……)」
先ほどの不明瞭な人物像とはうって変わり、どんな人物なのか記憶から導くことができている。それもそのはず、俺はその人物の片割れとは会っていたのだから、その記憶を呼び起こすのは簡単だった。
エンデュミオンに関する記憶を思い出すと同時に、その人物が明確に脳裏に浮かび上がった。
「(まさか、シャットアウラ……?)」
そんなわけで、黒髪巨乳美少女であるシャットアウラ(多分)が目の前に居るという事態にかち合った俺である。これはこの孔明の目を持ってしても予測できんかったよ。
「(会いたいとは思ってたけど今この瞬間かね。何の心構えもできてないんですけど?)」
劇中でなんかやたらと攻撃的だった気がするシャットアウラに、どう接しれば悩んでいる途中で、とある事実に気付いた。
「(あれ?接するも何もそもそもしゃべれなくね……?)」
姿も声も聞こえないのだから会話などできるはずもない。
……なんだかピンポンダッシュした気分である。あとから気付いたが交信できないのに呼び掛けるのは非常識ではなかろうか。
「(そもそも、確かシャットアウラって誰にも認識できないようになってるんじゃなかったっけか。そんなデバフがかかった状態で俺が認識できるようになるなんて無理に決まって『できるよ』…………あれえ?)」
さらっと言われてしまい困惑するが、ウチの有能サーヴァントはトントン拍子で進めてしまう。
『どうやら生きている者に彼女は察知できないようだ。いや、もしかしたら何かしらの歪みのせいでそうなった可能性の方が高いようだけどね。だけど、それなら僕の目と耳を同調させれば彼女と会話できるようになるということだ』
「(い、いやいや、そんなことできるん?確かエルキドゥが手加減してくれないと俺の魂が押し潰されるとか聞いたんだけど)」
『間違いなくね。本来ならば魂の不一致もあって、僕とマスターが魂を同調させることは不可能だ。
すると、聴覚に揺らぎのようなものが起きた。風斬とはまた違った感覚に戸惑っている俺に前世で聞き覚えがある声が届く。
「誰だ貴様」
「(うわっと!?マジでシャットアウラじゃん…………いや、でもなんか……?)」
その姿は何故かノイズのように姿がブレており、正確に人間として認識できなかった。
『おそらくマスターの本来の姿ではないからだね。僕の完全な同一機ではなければ同調はできないようだ。これはその不具合のようだね』
「(なるほど、同調なら姿の有無は確かに関係あるかも)」
コピーではなく本来の姿ではないためなのか、それとも生死の基準のためかは分からないが、これは仕方無い事らしい。さして問題もないからいいけどさ。
「(映画の終わり方から見るとシャットアウラは、アリサと一体になったんだっけ。それでアリサの人格がシャットアウラに吸収されたんだっけか)」
前世の記憶を遡って映画を思い出していく。つまり、ここにいるのはアリサではなく、シャットアウラということになるわけだ。
「(変わったことと言えば、確かシャットアウラの胸が大きくなったとかおかしな現象が起きたんだっけ。
いやまあ……、歌とか記憶とかの大切な思い出は分かるよ?アリサがシャットアウラの無くしてしまった大事なものなんだなって納得できるとも。
でも、それらに加えて胸ってなにさ。ピンポイントにもほどがあるわ(困惑)
当時のシャットアウラの大切なものの中にそれがあったの?え、何?多感な時期なの?)」
シャットアウラが高校生ぐらいだとするなら、中学生くらいなので思春期に入っていてもおかしくはないかもしれない。そこら辺を気にするお年頃と言われても間違っているとは言えない。ちょっと、無理矢理感が否めないが。
そして、シャットアウラの言動から気付いた。
「(あー……そっか、シャットアウラとは会ったことが無かったっけ)」
見知った顔で話しかけてしまったが、映画以外では会っていないためそりゃあ不審な奴だと思われるのは仕方ない。
これは説明するのに骨がかかると思っていると、突然声の調子が変わる。その声に俺は聞き覚えがあった。
「──
「……は?」
今、俺の前では一体何が起こっているのだろうか?
「──こちらは天野倶佐利さん。えーと私の友達かな?」
「──なぜ疑問系なんだ」
「──私が知っている天野さんとは見た目違うし、そもそも出会ってから一日しか経ってなかったから、そう言ってもいいのかなって不安になっちゃって……」
一人で黒髪巨乳美少女がぶつくさ言ってる。なんか不思議な光景だな。つーか、最近マジで黒髪美少女ばっかと会う頻度が多くない?嬉しいけどさ。
「それで、貴様は一体何者だ?どうして
『……私達ねえ』
なんかシャットアウラからその言葉を聞くのは新鮮だな。まあ、シャットアウラとアリサは最後の瞬間まで距離を置いていたり、殺し殺されかけたりなど、いろいろあったためそう思うのかもしれないけど。
「奇蹟を使いエンデュミオンのスペースステーションの落下を阻止した私達は、その代償に誰からも認識できないようになったはずだ。それにも関わらず何故お前には私達を認識できる?」
『あー、それについてはいろいろと事情があってね。まあ、周囲が認識できない二人には話してもいいから話そうか』
このあとのことを考えながら、本音をぶちまけられる相手が増えたことに内心ガッツポーズを取った。胃痛仲間は増やすに限る。
「(世界の真実を教えてやるよシャットアウラとアリサ──もとい、シャットアリサちゃん♪)」
話をするため近くのテラスまで移動する最中、俺は一人思考を回す。考えていることはこの状況から導き出せる一つの事実だった。
「(よし、運が良いぞ。予想とは大幅に違ったけど
今回のシャットアリサの珍事は全くの予想外の事ではあったが、偶然にもこれでとある確証を得た。
「(俺の
今回の試みとは『願いの集積体』を模倣できるかどうか。とあるの世界には魔術と超能力の他にも不思議な力が存在している。それが『願いの集積体』だ。
複数の願いに同一の指向を与えれば因果律にも作用し得る力となると、アレイスターは映画でそう明言していた。それが魔術とも超能力とも異なる『願いの力』であると。
だからこそ、あの場で試してみたのだ。アリサとなって奇跡を使うことで奇跡を使えるようになるのかを。
「(それこそシャットアウラとアリサみたいに、エルキドゥと分離するなんてことも可能性の一つではあったし。安全とは程遠いリスクを孕んでいたけどね。まあ、それがマスターとサーヴァントの正しい在り方なのかもしれないけど)」
これは物的証拠が無いためあくまで推察でしかないが、おそらく俺の奇跡は目の前で起きていた建物の崩落ではなく、アリサの方へと向かっていったのだろう。
そして、その代償として俺はリアル黒ひげ危機一髪と、エンデュミオンの崩落による瓦礫に呑み込まれそうになったのだ。それこそ、この身体でなければ確実に死んでいたため、奇跡の代償の可能性が高い。
このことから、俺の奇跡は
「(アリサの奇蹟はデメリットがデカ過ぎて使い道が無いな。その上起こる現象もランダムとかリターンになる確率が余りにも低すぎる)」
ハイリスクローリターンと呼ぶしかないものだ。それこそどうしようもなくなったときの神頼みくらいにしか、この力は使うシチュエーションは無いだろう。
「(だけど、本命は『願いの集積体』のコピーできるかの有無。アリサの奇蹟ができたのなら、魔神の『願い』から生まれた
おそらく今回の奇蹟同様に、何かしらの劣化があるものだと考えられるが、知っているのと知らないのだとは天と地ほどの差がある。
「(とはいえ、幻想殺しはコピーすると身体が弾け飛ぶのはほぼ確定で、理想送りもサンプル=ショゴスが無い場合もどうなるか分からない。そもそも『願いの重複』の基準が曖昧だから俺に効力があるのかどうかさえも未知数)」
自分自身の願いが一本化しているのか、それとも重複しているのかの判断を客観的に下すのは難しい。
「(あのイレギュラーな右手達は魔神が生み出したから、所有者以外に牙を剥く特別な付加価値があるのかどうなのか、原作で明言されてない以上、俺に答えを導き出すのは不可能だ。
まあ、恋査のことから安易にコピーしたらダメってことはあらかじめ分かってから、一番大丈夫そうな『奇蹟』をコピーしたんだけど、それであのしっぺ返しだからな。『願いの集積体』はどうしようもなくなったときの最後の切り札として、使うしか無いかも)」
この命懸けの挑戦は戦略の一つとして手に入れるためなのか、はたまた原作愛から来るものなのかは本人しか分からない。
アンケート取りましたが独白だけで5000文字は無理なことに気付きました。普通に無理ですわ(諦め)
そもそも独白って結構要所要所でやってるんで100話に相応しいキャラもいないっていうね。
だから、作者は考えました。「そうだ、キャラクター同士でオリ主を主軸に置いたインタビュー形式を書けばいいんじゃね?」と。今の候補はオリ主といい感じの話をした、佐天さんがよくいる美琴達と上条達ですね。客観的な視点だけというのも今まで無かった気もしますし
それに加えて他のキャラにも聞く感じで練っています。……どうですかね?(汗)