軽く時間が空いたときに息抜きに書こうって思ったら、思いの外進んじゃって結果的に書き上げてしまってね?書かない書かない詐欺とかじゃないんだよ?本当だよ?
次回はマジで結構間隔が空くと思う(多分)
「……それで?どうして彼女がここに居るんだい?」
辟易とした声を発したのは
「いやー、今回のことが偶然にもバレちまってなー。隠し通す事もできそうにないから、早期の事件収束のために一緒に行動してもらおうかと思ったんだよ」
「(いや、ほとんど無理矢理だったけどね?)」
かなりマイルドな説明になっているが、その実あの返答に拒否権など無かったものである。まあ、それにも理由があるのだが。
「(
そう、オリ主は旅館『わだつみ』で土御門に幾つか未来予知(原作知識)を教えた中に、今回の『
土御門からしたら未来の知識がある分、俺という人材の確保はしたいところだろう。その知識さえあれば一般人に被害が及ばなくなるかもしれないし。
「(しかも、土御門には俺が上条の守りたい物を守りたいなんて言ってるから、戦争が起きるかもしれないなんて言われて拒否しないのは当然だと思ってるんだよなー。上条みたいに土御門の都合で仕方なく巻き込まれる場合とは違って、どうぞ巻き込んで下さいって言ってるのと同じだし。
マジで選択肢ミスったなこりゃ。暗部関係のはノーサンキューなんだけどそこら辺は分かっているんだろうかこのシスコン魔術師)」
そんな自分の不注意で生まれた暗黙の了解に頭を痛めるオリ主である。ステイルは土御門の言葉を聞いても納得いかないようで
「彼女は科学サイドの人間だろう。わざわざ戦争が起こる火種を作ることもないと僕は思うが?」
その土御門を責めるような言葉を直接受けたにもかかわらず、隣の多角スパイはいつもと変わらずに飄々とした様子で答える。
「まあ、その通りなのはその通りなんだが、そこまで徹底してるとこっちも穿った見方をしちまうぜい?」
「それはどういう意味だい?」
「端的に言っちまうとそれを建前にして、天野倶佐利を魔術師の戦闘に巻き込まれないように、遠ざけてるみたいだってことさ」
はあ……?何だそりゃ?
なんかその言い方だとまるで俺を守ってるみたいな……。
とても信じられない言葉に固まっていると、それを聞いたステイルが鼻で笑った。
「随分と都合のいい解釈をするね土御門。僕達の役目の一つが魔術サイドと科学サイドの均衡を保つというのがあるだろう。なら、そこの彼女を遠ざけることになんの疑問があるんだい」
「
「……え?」
あ、あれえ……?そうじゃなかったっけ……?(困惑)
俺が記憶を呼び起こしても一向に分からない状態の中で、土御門がその詳細を語り出す。
「魔術師を科学サイドの組織である
その証拠に彼らは学園都市の上層部辺りが指示を出して動かしているだろう?だから、学園都市の息が掛かった彼らは科学サイドの手足のような扱いを受けるんだよ」
「(なるほど。確かに)」
実際に警備員達は『上』からの指示次第では、動けなくなる場面が原作やアニメで多々あった気がする。確かに、上層部の声一つで動く事を知ると、一般的に言うところの警察か自衛隊に見えなくもない。
「……だが、能力者が魔術師を倒せばそれを問題視する者も出てくる。魔術師からすれば科学サイドは存在しているだけで目の敵だ」
「それも間違ってはいないが、実際にそれを問題視するのはどれくらいだ?大きな括りでは科学サイドと言えるかもしれないが、天野倶佐利は一人の能力者であるとはいえ学園都市の一生徒に過ぎない。
つまり、学園都市に在籍はしているが学園都市の公的な組織の人員としては加算されないんだ。そんな天野が不審人物を発見して追跡し、その過程で魔術師を倒してしまったとしても、それこそ偶然起きてしまった事故だったと結論付けられるさ」
その土御門の話を聞いて俺は率直に思った。
「……そんな都合よく進むのかい?」
「ああ。というか、お前達の生活圏に入って自由気ままに争い事を起こしてるのは魔術師達の方だ。それぞれの組織が決めた『上』の意向を知るよしもない
自分達が管理している組織ならともかく、在住している市民一人一人を完璧に操作することなんて、それこそ独裁国家でもなければできないだろう?まあ、魔術を秘匿しろっていう魔術サイドの注文を破ればそうとも限らないだろうが、魔術サイドはそれを許すことはしないし学園都市もそれは望んじゃいない。
まあ、実際に錬金術師アウレオルス=イザードやアステカの魔術師、ローマ正教のアニェーゼ部隊なんかを、科学サイドの住人である上やんは倒してるけど、今現在致命的な
あー!そう言えば倒した敵を警備員や風紀委員に渡すのはダメみたいな話は聞いたことがあるな。逆に能力者が魔術師を倒すのがダメみたいな話は確かに覚えはないかも。
結局、上条を巡って戦争が起きたけど、あれは『上』が調整をミスったみたいなことをアニメで土御門は言っていた気がする。つまり、結果的には戦争を招いたとはいえ、この時期はそれで細かい線引きされていないと言うことだ。
「上やんは禁書目録の首輪外すのに必要不可欠な人材だった。施された魔術は必要悪の教会のトップが掛けた特別仕様。
そんであの場には聖人の戦力に神裂が居て、ルーン魔術の若き天才のステイルまで居るんだ。そういう意味じゃあの場で要らなかったのは天野倶佐利ってことになる。魔術のド素人が戦闘に加わっても邪魔にしかならないからな」
ねえ?こいつちょっと言い過ぎじゃない?俺の心をへし折りたいの?
いやまあ、魔術の兆候が一切分からない奴が突撃しても、死にに行くようなものだとは思うよ?上条みたいに魔術を含めた異能に対して
でもさ、もうちょっと言い方あるじゃん?(涙目)
「ってことは、ステイルが本来言うべき言葉は『科学サイドの人間が魔術サイドに関わると戦争の火種になる』じゃなくて、『魔術の戦闘に素人が入ると邪魔になるから立ち入るな』、とかになりそうじゃないか?」
「ふむ、確かに」
おー、なるほど……。言われてみればその通りかもしれない。あのときは前条を見殺しにする自己嫌悪とかで、そこら辺まで気が回らなかったけど、邪魔だと直接的に言う方がステイルっぽくはある。
すると、ニヤニヤと土御門がさらに笑みを深くした。
「つまり、ステイルが本当に言いたかったのは戦争の火種云々じゃなくて、単純に戦場が危険だから近付くなっていうお前に対して心ぱ「灰は灰に 塵は塵に 吸血殺しの──」って馬鹿野郎ッ!?こんな往来で魔術を使うなオリアナにバレるだろう!!」
額に血管を浮き上がらせたステイルは、ルーンが刻まれたカードに魔術を込めようとするが、マジの顔の土御門に止められた。状況からして今回の事件への作戦全てが、お釈迦になるところだったのだろう。
「……チッ、いいか勘違いするなよ。僕はあの子に降りかかる障害を全て破壊することに決めている。君がこちらの世界に踏み込めば、あの子は放っておくなんてできないだろうし、上条当麻もそれに賛同するだろう。つまり、君のせいであの子に全く関係の無い火の粉が降りかかる事が僕は許せないんだよ」
その言葉を聞いて俺は思った。
「(おおっと、…………これはヤンデレかツンデレのどっちだ……?)」
ヤンデレがインデックスに対してで、『好きな女の子に迷惑かける奴は見えないところで灰になるまで焼き殺す系男子』という、好きな相手にではなく周囲にその牙を向けるタイプのヤンデレのことである。
そして、ツンデレは言うに及ばず俺の今の率直な主観だ。かなーりシビアな二択ではあるが、俺としてはツンデレだったら面白いと思う。
「そうは言ってもなステイル。幾らなんでも俺らと上やんだけじゃ厳しいのが現実だろ?現地協力者はケチらないで確保するべきだと俺は思うがな。
それこそ、戦争が起きちまえば元も子もないんだ。この学園都市にも火の粉が降り注がないなんて事はまず無いし、インデックスの所属は必要悪の教会。当然無関係ではいられないだろ。
安全の可能性は高め過ぎくらいが丁度いい。それが自分じゃなく守りたい者に対してなら尚更な」
その言葉を聞いたステイルは渋面を作った。土御門はステイルに決断を早く済ませるように言葉を促す。
「それじゃあ、ステイル。今から天野に概要を話すがいいな?」
「はあ……、勝手にするといい」
そう言うとステイルは近くの壁に背中を預けて、新しいタバコに火を付ける。それを見た土御門は俺に視線を向けて話し出した。
「学園都市に潜入している魔術師はローマ正教のリドヴィア=ロレンツェッティと、運び屋のオリアナ=トムソンの二人だ。その取り引き相手は不明。今のところロシア成教の人間が怪しいと報告があるが、断定できるほどの情報がないのが現状だ」
「運び屋か……」
「どうした何か気になることでも?」
「ううん、こちらの話さ」
黒夜のことで『運び屋』に良いイメージが無い訳だよなあ……と、思ったが一般的にそもそも運び屋という言葉自体に、良いイメージは無かったなと思い返す。
「続けるぞ。奴等はこの学園都市である物を取り引きしようとしている。それを阻止するのが俺達の役目だ」
「でも、何故それで戦争が起きるんだい?言っては何だけど学園都市で取り引きができたからって、そんな騒動にならないと思うんだけどな」
「ああ、その通りだ。学園都市で取り引きされることが問題なんじゃない。問題なのは取り引きされるその物品の方。
その名も『
天野、十字架に架けられた神の子の最後が刺殺だという事を知っているか?『刺突杭剣』はその宗教的な意味合いを限界まで抽出し集約させた、『竜をも貫き大地に縫い止める』とまで言われる強力な
ここら辺の説明は昔過ぎてあやふやだったけど、確かにそれを野放しにするのはダメだな。まあ、それを軽々しく持ち出すところがあるとしたらもうこの世界は終わってると思うけど。
「なるほど。もし、聖人が殺されたりしたら勢力図が変わる。
「ああ、そうなればその魔術組織は内外に敵が生まれ、魔術戦が日常茶飯事になるだろう。
もし、仮にだがどこかの組織が本当に潰れたりしたらもう止められない。野心を燃料にして世界が燃え尽きるまで、終わりの無い戦いが始まることになる」
埒外の戦闘能力を有しているために、彼らは存在しているというだけで戦争の抑止力になり、世の平和の均衡に貢献していると言えるのかもしれない。
……まあ、互いに始まれば破滅するほどのミサイルを保持したことで、生まれた冷戦を安全である状態と声を大にするのはどうかと思うが。
でも、これで嘘情報を思い出すことができた。
「今までの話から推測すると、その取り引きをする上で学園都市ほど
必要悪の教会の魔術師は過度な干渉は許されず、学園都市もいつもの
「ああ、オリアナ達にとって今ほどの絶好のチャンスは他には無いってことだ」
「そして、それを止められるのは、『上条当麻の関係者であり大覇星祭というイベントで顔を再び会わせに来た』という、肩書きを持つ僕達しかいない。
関係の無い魔術師では周りに邪推され、隙を作る危険性があるからね。だから、この街に潜り込んだ魔術師をどうにかしなくてはならない訳だ。僕達の手で」
「なあ、それってどういうことだ?」
その言葉に三人とも声が発せられた方向に振り向く。そこには、このミッション最後の参加者(強制)が居た。いつもとは違い体操服を着た彼は真剣な表情でこちらに視線を向けている。
そして、同時にツンツン頭の彼が俺を認識したことで、この騒動から逃げることは100%不可能だと悟ったのだった。