とある原石の神造人形(エルキドゥ)   作:海鮮茶漬け

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久し振りに一万字近くの分量。切るところが無かったのが原因

116話です


116.黒幕達の衝突

 ビルの屋上でことの成り行きを見ていた彼女は、想定とは大幅に違う状況を見て取り乱していた。

 

「ちょっとどういうことなのッ!?私、こんなの聞いてないんだけど!?」

 

 手元にある端末に向かって警策(こうざく)看取(みとり)は動揺する心境のまま大声で叫ぶ。その相手は警策のことなど一切気にせず呟き続ける。

 

『なるほど、僕の予想通り……いや、御坂くんから全てのエネルギーを奪い去ってしまうとは、実に予想以上だ。やはり器としての完成度の高さが影響しているのか。

 あるいは、それ以外の要因からかな?計測が可能な能力者を配置しなけれ────「ッ!聞けこのクソジジイッッ!!!!」……ん?ああ、警策くんか。どうしたんだね?』

 

 はあ……はあ……、と堪忍袋が切れて叫んだことで呼吸が荒くなる警策は、仮に今の言葉で反応しないのならば、自らの能力を使い幻生を殺してやろうと考えていた。

 それほど、事態は混迷を極めており行き着く先がこのまま不明瞭ならば、警策の念願が叶うかどうか分からないのだから。

 

『何かに没頭すると他のことが目に入らなくなるのは僕の悪い癖なんだ。実際にそのせいで何度も死にかけているんだよ。身体のあちこちがその影響で、人工代替模型みたいな愉快なことになっているのは因果応報だね』

 

「ねえ!そんなどうでもいいことよりなんなのこの状況はッ!?美琴ちゃんを絶対能力者(レベル6)にする計画でしょ!?

 それなのに、どうして倶佐利(くさり)ちゃんが絶対能力者になろうとしてるのッ!?私がなんでアンタに協力してるか忘れちゃったわけッ!?」

 

 一切情報を伝えず予定とは全く違うことをした行為は、警策にとって裏切りである。今回のために労力を割いたことはもちろん、契約内容と違うのだから激昂するのは至極当然と言えた。

 返事次第では本当に抹殺も視野に入れて警策は幻生に問い質す。

 

『勘違いさせないために前もって言うけど、君に教えた計画は間違いなく僕も目指して行動し、僕自身も絶対能力者を生み出すために動いていた。

 君を騙して僕個人の実験をするために企んでいた訳ではないとも』

 

「……じゃあ、なんで美琴ちゃんは通常の状態に戻って、安全弁として機能するはずだった倶佐利ちゃんはああなってるの?あの反応からしてアンタはこうなるってわかってた。それを私に教えなかったって時点で私に対する裏切りでしょ?」

 

 極僅かな可能性であったとしても、何かしら計画に支障をきたす可能性があるならば事前に説明するべきであるし、計画を変更して別の方向から結果を生み出すのだとしても、当然あらかじめ言っておくべき事柄である。

 

 

『ふむ、なるほどね。それは確かにそうだね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……はあ?」

 

 

 その言葉に警策は形の良い眉を潜める。

 

「何言ってんの?アンタは予測を立てて実際にそれは起きた。その時点で実現する可能性が少しでもあったってことの証明でしょ?予想外の事態じゃないならそれはもう可能性の一つとして確立していたことになる。

 まさか、アンタの手下として動いている私にはそんな細部のことまで知る必要は無いとか言わないよね?もし、そんなことを言うようならアンタを本気で殺すけど」

 

『ひょっひょっひょっ、堪え性が無いのが若い者のいけないところだねぇ。君の納得を得るにはどうやら一から説明するしかないようだ』

 

 苛立つ警策に対して幻生は一つ一つ説明する。

 

『まず最初にミサカネットワークから生まれた力を誰かに注ぐとしたら御坂くんの他にはいない。これは分かるね?』

 

「…………ミサカネットワークは美琴ちゃんから生まれた妹達(シスターズ)が作り出したものだから、他の電気系能力者(エアクトロマスター)の能力者はそもそもチャンネルが合わない上に、超能力者(レベル5)じゃない人間じゃあ下地ができていないから、絶対能力者(レベル6)に到達するのは絶対に不可能ってことでしょ」

 

『その通り。学園都市第三位の御坂くんですら一瞬でしか辿り着くことしかできないのに、強度(レベル)で劣る能力者では初期段階にも至れないのは自明の理だねぇ』

 

「ッだけど『──それなのに、天野くんは絶対能力者(レベル6)になろうとしている。これではその前提条件が崩れてしまっていて、仮に絶対能力者になったとしても天野くんでは、窓の無いビルを破壊するだけのエネルギーが足りないかもしれない。詰まるところ君が気にしていることはそれだろう?』……チッ!」

 

 警策は舌打ちをする。彼女としては幻生に計画を隠されていたことはもちろん業腹だが、何よりも窓の無いビルの破壊が、御坂美琴よりも強度が劣る天野倶佐利では、絶対能力者に至っても不可能と考えてのことだ。

 学園都市で七人しかいない天才達は、それだけ他の能力者と隔絶した潜在能力(ポテンシャル)を有しているからである。そんな警策の考えがまるで間違っているかのように幻生は話し出す。

 

『僕の推測ではそれは杞憂で終わると思うよ。おそらく、天野くんは御坂くんが絶対能力者になるよりも、遥か高みに行くだろう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……」

 

 幻生の言う通り絶対能力者に至るために変貌を遂げた御坂美琴が、まるで風船が萎んでいくかのように力を失っていき、それに反比例するように力を増し変貌を遂げたのは天野倶佐利だった。

 目視だけの情報ならば、超能力者の御坂美琴よりも大能力者の天野倶佐利の方が、絶対能力者に相応しいということを示している証拠かもしれない。

 

 しかし、御坂美琴は超能力者ではあるが天野倶佐利は大能力者である。

 

 能力者は学園都市が進める能力開発(カリキュラム)に則って能力を成長させているため、能力者の成長具合も計算で算出することができるのだ。

 しかし、今回は何故か下位の能力者が上位の能力者より上回るという不思議な結果を生み出した。そんな本来ならばあり得ない状況を予測する要因とは一体?

 

神ならぬ身にして天上の意思に辿り着くもの(S Y S T E M)とはこの世の真理を解き明かすことだ。しかし、人の身ではそれを成すことは不可能。人間ではスペックが足りなすぎるという訳だねぇ。

 絶対能力者を生み出すには人間以上のステータスを有していることが絶対条件。つまり、超能力者とは人の限界を超越するための資格を手に入れることができた存在と言っても過言ではないのだよ。

 学園都市の掲げる目標が絶対能力者であることを考えれば、当然の帰結ではあるけどねぇ』

 

「だったら、余計に超能力者の美琴ちゃんじゃなくて大能力者の倶佐利ちゃんがああなる理由が……」

 

『その答えは今言っただろう?』

 

「?」

 

 今の会話を思い出しても、天野倶佐利が絶対能力者になれる要因を説明している箇所があるとは思えなかった。幻生は絶対能力者になるためには超能力者になることは、必須条件ということしか言っていないからだ。

 

『ふむ、能力者である君には……いや、学園都市に居る人間にとって能力者の強度(レベル)の大小は必要以上に意識を向けてしまうものらしい。分かりやすく観測できる指標だからそうなってしまうのだろうね』

 

 どうやら幻生は能力の強度(レベル)とは、全く違う観点から天野倶佐利に価値を見出しているらしい。

 もしや、世界でも希少な原石という特殊な人間だから、普通とは違う結果をもたらすためなのだろうかとも考えるが、幻生にはそんな警策の思考すら読み取られたのだろう。出来の悪い子供に問題の答えを告げるような軽い態度で彼はその言葉を発した。

 

 

 

『答えはとてもシンプルだ。超能力者にならずとも天野くんは既に人間以上のステータスを有しているという事実に他ならない、ということさ』

 

「……………………………………………………………………は?」

 

 

 

 警策はその言葉が理解できずに呆けた声を上げた。

 能力者の飛び級自体は確かにある。御坂美琴は弱能力者(レベル1)から一つ一つ強度(レベル)を上げているが、高位能力者の多くは初めから能力の強度(レベル)がある程度高いのである。

 しかし、学園都市で七人しかいない超能力者(レベル5)を飛び級するなど、果たして誰が考えられるだろうか。

 そんな荒唐無稽な話を聞かされた警策は、今まで抱いていた猜疑心と怒りが一瞬だけ全て忘れるほどの衝撃を受ける。

 

『考えてみればなんてことは無いんだけどねぇ。絶対能力者になるためには人間以上のステータスを持ち合わせていなければならない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それは、あくまでも仮定の話であった。聞くものが聞けば鼻で嗤ってしまう程度の机上の空論であり無理矢理こじつけた暴論だ。しかし、それを直接見た人間には、その話を笑い飛ばすことなどとてもできはしない。

 幻生はそんな警策の困惑を当然のものとして、自分の考えを説明していく。

 

『天野くんの変身能力のすごいところは見た目だけの変化では無いところだ。脳、血液、細胞、と全てがコピーした相手のものと全く遜色(そんしょく)無いものになるという点だよ。

 だからこそ、わざわざ僕や木山くんのように脳波の調律をしなくても他人の能力を使えるのだろうね。

 ちなみに、この情報は天野くんの手によって厳重に秘匿されていて、部外者が知る機会はまずない。僕がその検査を行った張本人でなければ、その事実を知る術は無かったほどに念入りに情報が抹消している。

 天野くんにとって他人のDNAマップが盗まれる可能性はそれだけ容認できなかったのだろう。

 いやはや、天野くんの能力開発の担当をしていて本当に良かったよ。まあ、僕も知るべき人間じゃないと判断されて、食蜂くんの能力で僕の記憶を消したようだけど。もしもの時のために記録を残しておかなければ、食蜂くんの能力で記憶を消されて情報を手にいれることは不可能だっただろう』

 

 手を貸したのに酷いことをするものだよ、と端末の向こう側からどこか落胆したような声音が聞こえてくる。警策としてはこの妖怪の外道さを知っているため、その判断は妥当としか思えないが。

 

『まあ、そもそも天野くんは本当に大能力者なのかは疑問だね。臓器から細胞まで同質のものとなるのならば、何故髪色だけが変化しないのか。僕としてはその方が違和感でならないよ』

 

「……つまり、天野倶佐利は既に変身能力(メタモルフォーゼ)で超能力者に至っている……?」

 

 強度(レベル)の詐称。

 超能力者としてのステージに天野倶佐利は登っている……?それこそが、天野倶佐利が絶対能力者に登り詰めた理由なのだろうか。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()注目すべきところは身体をコピーした相手のものと全く同質のものにできるという点だよ。

 天野くんは人間にしかコピー能力を使っていないから、その他の動物に変身できるかどうかは未知数ではあるけど、コピーする対象の大きさが関係無いところや、無能力者(レベル0)に変身しても能力の切り替えができるのだから、僕は可能であると見ている。

 ──ならば、何者にも姿を変化できるのならば、人間を超越した「何か」にも成れるのではないかな?』

 

 そんな空想どころか暴論とも判断されるようなことを、科学の重鎮が言うのを警策は頭が痛くなるような思いで聞いていた。

 言いたいことはそれはたくさんある。しかし、相手の考えを聞かずに文句を言っていては話が進まないのも事実であった。

 

「(だけど、納得できるところも確かにある。倶佐利ちゃんは能力開発の担当である木原幻生にも、隠匿するほどに能力を低く見せていたのは事実っぽい。なら、本当に超能力者に……?

 でも、超能力者ってメリットばかりだと思うんだけど。名声はもちろん能力開発の最先端設備の利用みたいなものまで。それを目立ちたく無いって理由だけで隠すものかな?

 高位能力者ほど人格破綻者であるものだし、周りの視線とか無視して効率とか合理性に流れそうなものだけど。

 細胞までコピーするとなるとそれこそ実験動物(モルモット)として狙う輩が増えるから?それとも単純に生来の気質からかな?)」

 

 疑問は尽きないが、それを聞いた警策は思ったことをそのまま言葉にすることにした。

 

「…………だとしても、身体の許容限界の差異だけで美琴ちゃんよりも上に行くとは思えない」

 

『僕も同感だね。身体の特筆だけでは覆せない道理というものがある。もし、僕の想定が正しかったとしても力の奪い合いで、オリジナルである御坂くんにああも圧倒するなどまず絶対にあり得ない』

 

 即答の肯定に警策はたじろぐ。思っていた反応と全く違ったからだ。

 

「(てっきり、何かしら言い返してくるもんだと思ったけど)」

 

 疑問が頭に浮かぶが幻生の言葉を思い出してハッとする。

 

「え……?今、圧倒って言った?」

 

『そうだとも、見た限り全く話にならなかったね。実に天野くんは興味深くて知的好奇心が刺激されているよ』

 

「い、いやいやいや、美琴ちゃんは最初、絶対能力者に成りかけてたでしょ?実際に窓の無いビルにデカイ雷を落としてたんだし。結果的に天野ちゃんが力を手にしたんだけとしても、割りと競っていたんじゃない?」

 

『君の反応からそれなりの威力だと想定していたけど、あの程度の落雷なら絶対能力者の初期段階としても落第だ。僕の想定ではあの三倍くらいの大きさくらいになるはずだよ。

 眩しいからと稲光を千里眼で直視をしていなかったのが仇となったねぇ。窓の無いビル周辺の被害から逆算しなければならなくなったよ』

 

「さん……ッ!?」

 

 その数字に警策は言葉を失う。先ほどの落雷は本来の落雷の数十倍から数百倍の閃光だった。

 もし、あの三倍だとするならば果たしてどれ程の雷なのだろうか。その想定される凄まじさに内心で動揺するも、それが幻生に伝わらないように取り繕って警策は問い掛ける。

 

「……絶対能力者の二%の出力だって言ってなかった?」

 

『おやおや、「事前に弾き出した計算上では」とも言ったはずだがね』

 

 そんな彼女から出たちょっとした嫌味も妖怪はにべもなく答える。確かに、幻生はそんなセリフを言っていた記憶がある。

 

『おそらく、最初に御坂くんが絶対能力者になるための力を僅かながらも有していたのは、上空から落ちてきたエネルギーに対して天野くんよりも高い位置で受け取ったからだろう。

 御坂くんは建物の屋上でエネルギーを受けたのに対して、天野くんは地上だから時間のラグがあったということださ。

 当初は力の配分的に御坂くんが上回っていたために、おそらく吸収するのが遅くなったのだろうねぇ。

 ふむ、磁石で例えると分かりやすいかな。強い磁石と弱い磁石を用意しその二つの磁石とは異なる磁石を中央に置いたとき、当然強い磁石に引き寄せられるだろう?

 今回のケースは弱い磁石の近くに異なる極の磁石を、あらかじめ配置していたから、強い磁石の引力と偶然にも釣り合っていたというだけのことさ。

 もし、同じ様な条件下で再び実験をすれば、御坂くんが絶対能力者の姿になることができたかどうかも怪しいねぇ』

 

 なんてことだ。全てにおいて圧倒的に有利な条件であるはずの御坂美琴が、姿形を真似た劣化した模造品に敗北したという事実だけが浮き彫りとなったのである。

 

「…………それで、美琴ちゃんを圧倒した理由は?」

 

 理解の範疇を超えた説明を受けて既に許容量は限界に近いが、これだけはどうしても聞いておかなければならない。

 もし、天野倶佐利が絶対能力者になると考えるその根拠が、警策に納得できるものであれば、絶対能力者に至る者が御坂美琴ではなく天野倶佐利であったとしても、幻生の言う通り確かに警策は問題視しない。彼女にとって重要なのは目的を達成することができるかどうかなのだから。

 

 しかし、同時にこうも感じている。その理由が説明されたとき今まで自分を支えていた価値観が、音を立てて壊れてしまうようなそんな寒気がする予感。

 いつの間にか崖っぷちに立ってしまったかのような、そんな人生の分水嶺に立っていることに警策は直感で察していた。そんな言葉にできない恐怖を抱きながらも彼女は端末からの返事を待つ。

 

 そして、返ってきた言葉は思いの外、簡素なものだった。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………はあ?」

 

 

 

 通話口からまるで自分が理解できないことが情けない、とも言わんばかりの声音が返ってきたのだ。

 

『僕としても天野くんと御坂くんが力の主導権を得るために殺し合う可能性や、流れ込んだエネルギーが共鳴することで、より早く絶対能力者に至る可能性は予測していたけど、まさかこうも一方的だとは。

 天野くんには身体の類いまれなる特徴だけではなく、他にも特殊なものがあるのかもしれないねぇ』

 

 それこそ、ミサカネットワークから流れたエネルギーに対して、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と幻生は話した。

 突飛なことの連発で警策が困惑していると、幻生がどうしてこのような話をしたのかを説明する。

 

『今までの話を聞いて分かっただろう?警策くんに言わなかったのは今の話の多くは、僕の願望に近い仮定の推測が基に想定されたものだからだよ。確証なんて何一つ無い上に可能性は限りなく低い。

 小数点以下を切り捨てたときに、0%の確率でしか起きない作戦を警策くんに話しても、無意味でしかないだろう?』

 

「……でも、アンタはその低い可能性に賭けていたんじゃないの?暗部の人間を利用までして」

 

『老人のちょっとした趣味の一貫に過ぎないよ。開花すれば面白い。その程度のものだと思ってくれていいとも。あくまでも計算上では天野くんを安全弁として、御坂くんを安定した絶対能力者にするほうが現実的さ。

 僕自身も天野くんが僕の期待に応えられるか半信半疑ではあったしねぇ。まあ、結果として想像以上の結果を叩き出すところが天野くんの素晴らしいところだけど』

 

 どうやら、幻生からしてもここまでの成果になるとは思ってもいなかったようだ。天野倶佐利があの姿になって喜んでいたことからも虚偽では無いだろう。

 警策看取は通話口から意識を離して一人考える。

 

「…………」

 

 ……信用はできない。だが、警策はもう戻ることもできはしない。たとえ破滅するのだとしても彼女には成し遂げたいことがあるのだから。

 通話口の向こうに居る妖怪はそんな警策の思考を読んだように滔々とした口調で語りかけた。

 

 

 

『安心するといい。警策くん、君の願いは叶う。天野くんが最終的にどんな境地に至ったとしてもね』

 

 

 




◆裏話◆
幻生がオリ主の抹消に気付いた理由は、過去の記憶を遡ると変に途切れた箇所を見付けたため。食蜂ならば替えの記憶を差し込んで誤魔化すこともできますが、オリ主の心理掌握は劣化しているのでそこまではできません。
これはオリ主のポカが理由ではありますが、普通記憶は磨耗していくもの。思い出せなくても忘れてしまったかな?となるのが普通です。相手が『木原』でなければ誤魔化すのは容易だったでしょう

◆作者の戯れ言◆
天上の意思に辿り着くもの《SYSTEM》は旧約3巻で小萌先生が語っています。後々どこかで出そうと思っていたのですが、それを聞いたのがインデックスと姫神という、レベル6と一切関係無いキャラクター達なので伏線が張れませんでした(汗)
後々、レベル6シフト計画の章のどれかに追加すると思います。見通しが甘く申し訳ありません。m(_ _;m)三(m;_ _)m
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