とある原石の神造人形(エルキドゥ)   作:海鮮茶漬け

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不定期になりますが去年よりは多く投稿していきたいと思います。よろしくお願いします


146.少女達のガールズトーク

 学園都市は大覇星祭が始まると同時に滅亡の危機が幾度も迫った。

 初日の九月一九日にはオリアナ=トムソンとリドヴィア=ロレンツェッティが共謀した、使徒十字(クローチェディピエトロ)を用いた学園都市の掌握計画。

 上条当麻と必要悪の教会(ネセサリウス)の人員で対処したが、もし成功していれば学園都市はその日にでもローマ正教に従属し、全ての指示を全て受け入れる洗脳下に陥ったことだろう。

 

 そして、先日九月二〇日。木原幻生の暴走による第二の絶対能力者(レベル6)進化(シフト)計画が行われた。

 しかし、その計画は複数の結果に枝分かれするように練られた計画であり、実験の主導者である木原幻生でさえも把握出来ない混沌へと繋がった。

 

 科学サイドの宿願である絶対能力者(レベル6)から、魔術サイドの金字塔である魔神へ到達する一歩手前まで至ったこと。

 新たな魔神誕生を防ぐと共に、天野倶佐利から現れた未知の黒い箱。そして、純粋なサーヴァントとして現界したエルキドゥ。

 

 そのような、滅亡がすぐそこまで迫った怒涛の二日間を乗り越えた学園都市だが、忘れてはならない。

 

 

 

 

 

 大覇星祭はまだ始まって三日目でしかないことを!!(七日間開催されるため折り返しにも届いていない)

 

 

 

 

 

「話が終わると同時に御坂さんは登録していた競技への出場に向かったけどよくやるわねぇ。学生生活満喫って感じかしら?私は熱血だとか柄じゃないからしないけどぉ」

 

 観客席に一塊となって見目麗しい少女達が並んで座っている。体操服という大覇星祭においてどの生徒でも着用している色気の無い野暮ったい衣服でありながら、彼女達が身に包むと不思議と魅力的に映るのだから美人というのは罪深い。

 

 とても中学生とは思えない体つきをしている常盤台の主従組。

 彼女達程ではないにしろ凹凸がハッキリしていることに加えて、暗部に居たこともありアングラ系の危険な香りを感じさせる警策看取。

 スレンダーな美しさを保ちながら女性らしい曲線を主張する高めの身長に、表情と所作から漂わせる掴み所の無いミステリアスな雰囲気と、たおやかな親しみ易さを滲み出している天野倶佐利。

 

 観客席の中には行われている競技ではなく、そんな彼女達に視線を向けている者も少なくはない。華やかな彼女達はそんな目にも慣れているのか、はたまた有象無象の視線など気にもしないのか完全に無視を決め込んでいた。

 警策はからかいを込めた声音をにんまりと歪ませた唇から発する。

 

「それって単純に操祈ちゃんが運動音痴ってだけでしょ?大覇星祭の競技は学園都市中に放送されちゃうもんねー?」

 

「違いますぅー!やらないだけですぅー!そもそも、運動で周囲に評価されるなんて小学生の子供時代まで。

 大人になればなるほど汗水垂らして必死(りょく)を主張するよりも、スマートに物事を処理する方が評価されるものでしょう?

 こんなイベントで頑張るのは御坂さんみたいな野蛮でファンシーな趣味のお子様ぐらいよぉ」

 

「あの……女王……。大覇星祭で良い成績を残せたものは内申点の評価に繋がるらしいですよ?」

 

 どこか気まずそうに帆風が食蜂に告げる。大覇星祭は学園都市中の学校が参加する一大イベント。そこで良い成績を出せば教師に評価されることは至極当然のことだ。

 逆に能力ありのこの行事で結果を残してもダメというのならば、もはやどこで実力を発揮すればいいのか分からないと、言われてしまうことだろう。

 

「それに、君はどちらかと言うと脇目もふらず必死になって頑張る人の方が好みだろう?もしかしたら、スマートなやり方をする人間に対して同族嫌悪の感情を持っているのかもしれないけど」

 

 遠回りだろうが一心に誰かのためや、自分を高めるために努力する人間を食蜂が笑うことはない。強いて言えば、そのような人間を陰で裁き、その歩みを阻害する障害物を人知れず排除するのが彼女のやり方だ。

 高潔な女王は表舞台でスポットライトを浴びるに相応しい振る舞いを心得ているが、舞台裏に周り他の演者を引き立たせる技術と所作も理解している。

 それに加えて、舞台袖で気を許した者に対して行う、子供のような反応や態度まで知ってしまったのなら、彼女を支えたいと思う魅力から逃れるものはそうはいない。

 

 そんな彼女だから帆風潤子は付き従い、何が相手でも勇敢に必死になって立ち向かっていく。そんな彼女に対して食蜂操祈が好感を抱かないわけがない。

 

 

 

 ───まあ、だからと言って食蜂が全力で動き回るという行為をすることは無いのだが。

 

 

 

「いやー、それにしても蒸し暑いねー。昼間よりよくなったとはいえ喉乾いちゃうよ」

 

 そう言って、警策はペットボトルのキャップを外し飲料水を口に含む。夏の猛暑は過ぎたとは言え地球温暖化もあってか蒸し暑く感じるこの頃。

 それに加えて、今日の天気は快晴。遮るものがない太陽の日差しは彼女達に降り注いでいる。

 パタパタと横から帆風が持つ団扇(うちわ)で煽られ涼んでいる食蜂は、細い足を組みながら口を開いた。

 

「まあ、お日様が一番上に昇ってくる時間帯を少し過ぎたくらいだから、あと一時間くらい経てば暑さも引く筈だけど、それまで屋内に居るっていうのもアレよねぇ」

 

「はい。大覇星祭で多くの人が集まる学園都市は飲食店を利用する方も多いですから、居続けてしまうとお店の方々に迷惑となってしまうかもしれませんね。

 セキュリティの関係上見回りも普段よりも多くなっていますから、私達が一ヶ所に留まり続けると教員の方に連絡が向かってしまうかもしれません」

 

「あー、そう言えば操祈ちゃんは選手宣誓したんだっけ?そんな子が何時間も飲食店に居座り続けて、真っ昼間から青春の汗流す選手達を差し置いて、空調の効いた場所に長時間居るのは体面が悪くなるってことね」

 

「その上、操祈は常盤台中学の超能力者(レベル5)だからね。ネームバリューもあって他の人よりも注目され易い。そして、多くの人の目に留まるということは同時に悪評が広まりやすいということだ。

 学校の体面もそうだけど、彼女が送るこれからの学生生活の平穏を守るという面からしても、教師として彼女を諌める義務があると言うわけだよ」

 

「有名税って言うやつねぇ。私の心理掌握(メンタルアウト)で店内に居る人全員の記憶を書き替えるっていう手もあるんだけど、人の出入りが多くて全員に漏れ無く掛けるっていうのは面倒だし、監視カメラに関しては能力の対象外。

 精神を操る能力を衆目に晒すだけっていう結果になるかもだし、策としては下策も下策。面倒事がやってくるリスクをわざわざ抱えるようなことでもないし、適当に街中を見て歩き回りましょう?

 競技を観戦することも売店を巡ることも、私達選手に許された正当な権利なんだゾ☆」

 

「まあ、私はなんでもいいよ。皆と違って出なくちゃいけない競技も無いし。あの子も操祈ちゃんの子達が守ってくれるっていうんなら、問題もないでしょ」

 

 そう答えながら警策は手元のタブレットを操作する。そこに映るのはセーフティーハウスに用意された監視カメラだ。食蜂が送った手駒の実力を疑ってはいないが、ドリーは学園都市の中でもかなり危うい立ち位置に居る。

 助け出したのが実質今日と言うこともあり、彼女が学園都市に対して警戒を抱かないわけもない。本音を言えば今すぐドリーの居るところに戻ってしまいたいが、聡い子のため適当に切り上げると勘づかれてしまう筈だ。

 

「(操祈ちゃんと計算した想定だと解決まで最低でも数日掛かる予定だったから、ドリーに夕方近くまで帰らないって言っちゃったしね)」

 

 ずっとカプセルの中に居たからか、ドリーの筋力は余り発達していない。それを含めて食蜂派閥は面倒を見ているが、ドリーからすれば知らない人間に囲まれて落ち着くことはないだろう。

 

「(でも、これから操祈ちゃんとは長い付き合いになるだろうから、操祈ちゃんの派閥で右腕らしい子と関係を深める時間はちゃんと取るべき。

 こんな自然に話せる機会なんて早々ないだろうから、冷静になれば私達の今後を左右するかもしれない絶好の機会とも考えられる)」

 

 何気ない会話ばかりだとしてもこのような時間が有ったかどうかで、人間関係は変わっていくものだ。ドリーの存在を教えるとかは出来ないが、彼女と知り合いになるというのはプラスにしかならない。

 

「(だからこそ、用事が出来たから途中で抜けますってなると、無礼だと取られることはなくても、人となりが分からないままだからプラマイゼロ。何かしらの形で彼女の記憶に残る必要がある。

 私が操祈ちゃんに媚売ったところで、派閥なんてものに所属しているお嬢様から見れば、見え透いた胡麻すりにしか映らない筈。

 反って悪印象に繋がりかねないし、やっぱり私の素で接して受け入れられるかどうかを試すべきかな。

 まあ、私と致命的に性格が合わなくても、いざとなったら操祈ちゃんの命令には従うみたいだから、万が一失敗しても問題はないって考えて今日だけは気楽に過ごすのが一番かなー)」

 

 暗部から足を洗い幻生という繋がりも断たれたことにより、自由の身になったが学園都市の闇がいつ自分達を消しに来るのか分からないのもまた事実。

 未来で何が起こるかなど誰にも分からない。この学園都市ならばなおのこと。

 

 そのような和気藹々と話す少女達から機械的な音が鳴った。

 

「おっと、すまないね。電話が掛かってきたようだ」

 

 天野倶佐利のポケットから着信を知らせる音色が鳴り響く。初期設定のためどこかチープさを感じられる音色だった。

 

「先ほど購入したばかりだというのにもう着信が?」

 

「それって本当に大丈夫なヤツ?薄暗い奴らが電話を特定してきたのならヤバくない?」

 

 警策が警戒の宿った目で疑念を口にする。学園都市の闇で生きてきた彼女からしてみれば思い至って当たり前の可能性だ。この学園都市ならばそれぐらいのことは普通にやりかねない。

 

「いや、一つ年下の同じ高校の友人だよ。購入してから何人かには携帯電話を替えたことを既に連絡をしているんだ。彼もその一人さ」

 

 そう言って、天野は出入口に向かって行く。選手の気合いの籠った雄叫びと、応援の声が鳴り響いていた競技場から少しだけ離れれば、電話をする場所としては充分だろう。

 

 余りにも自然な日常の一コマだ。だからこそ、食蜂は思いもしなかった。

 

 

 

 ───天野倶佐利が背中を向けて歩いていくその後ろ姿が、最後に見た彼女の姿になろうとは。




次回、辿り着くまでにハチャメチャ長かったオリ主の内面描写です(作者のせい)

『とある』でオススメする本と言えば?

  • 旧約とある魔術の禁書目録
  • 新約とある魔術の禁書目録
  • 創約とある魔術の禁書目録
  • とある科学の超電磁砲
  • とある科学の一方通行
  • とある科学の未元物質
  • とある科学の心理掌握
  • とある暗部の少女共棲
  • 法の書
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