とある原石の神造人形(エルキドゥ)   作:海鮮茶漬け

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キリがよくなかったので載しときます。
戦闘描写が思った以上に難かしい……!何か違和感ありましたら感想お願いします。





15.劣化模倣

 とあるでも屈指の面白いストーリーである妹達(シスターズ)編。一方通行(アクセラレータ)の残忍さが全面的に押し出され、学園都市の恐ろしさが垣間見える話だ。

 特にとある科学の超電磁砲では、最強の敵を相手に悪戦苦闘する、御坂美琴の葛藤が丁寧に描かれており、物語の緊張感が増して作品全体に、より深みが出ている。

 とある魔術の禁書目録は上条視点、とある科学の超電磁砲は美琴視点でそれぞれ描かれ、とあるシリーズのベストバウトと考える人もいるだろう。俺もその一人である。

 とあるのファンとしてもちろん小説、漫画、アニメは見てきた。これだけでどれだけとあるの世界が、広がっているのかがわかるだろう。だが一つ問題がある。

 

 この世界がどのコンテンツを基に、創られているのか分からないのだ。

 

 もし、この世界が全てを複合していないとしたら?とある科学の超電磁砲のアニメオリジナルが、この世界に適応していなかったとしたら、果たしてどうなるのか。

 答えは布束砥信が暗部に連れて行かれて、どうなるのか全く分からないのである。

 アニメではフェブリと学園都市の外に出て、共に生きていくことが分かっている。しかし、原作のとある科学の超電磁砲では、絹旗に連れて行かれた後は何一つ描かれていない。

 おそらく、何の救いもなく、どん底の人生に落とされていたのだろう。そこまで考えて俺は思ったのだ。

 

 布束砥信はそんな目に合わなくてはいけないのか。

 

 彼女は暗部に消される可能性がある上で、妹達を助けるために行動した。その覚悟を否定するつもりなどはないが、人知れず絶望に叩き落とされる結末は、さすがにあんまりではないだろうか。

 そもそも、布束はクール系スレンダー美人のキャラクターで、結構好きなキャラなのだ。

 

 とはいえ、いつも通りに戦えば、今度は俺が暗部に目を付けられる。『アイテム』、『スクール』なんかの暗部組織、そして木原一族に狙われれば生存は限りなく難しいだろう。

 さらにはアレイスターの目もある。

 これら全てのリスクを防ぎながら、布束を助けるためにはどうするか。答えは一つだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コツコツと靴を鳴らす音が、煙で隠された向こうから聞こえてくる。

 今まさに目標を確実に確保するため、動けなくなる程度になるまで、痛めつけようとしたところに、靴を鳴らし近づいてくる存在から邪魔が入った。

 協力者なのか雇われたのかは知らないが、敵対した以上はそれ相応の制裁をするのが暗部の常識。

 新たな乱入者を捻り潰すことを決定した絹旗に向かって、その乱入者は変わらずに悠々と歩いてくる。まるで、自分が絹旗よりも強いかのように。

 

「(超気に食わないですね。私のことを敵としてみてねェどころか、眼中に入れてない故の無用心さですね、これは。速攻でブッ潰してその傲慢、地獄で後悔して貰いましょうか)」

 

 隠しもせずに一定の間隔で靴音を鳴らし、近付いてくることから、自分を舐めていることを悟った絹旗は、何もさせず無様に地に這いずらせることにした。

 煙のベールに突っ込み、窒素装甲(オフェンスアーマー)を纏った拳を乱入者の影に叩き込もうとした、その寸前。

 上から声が投げ掛けられた。

 

 

「よォ」

 

「ッ!!!!」

 

 たった一言。それも軽く呼び掛けられただけの言葉で、全身が粟立つ。呼吸が止まり心臓が一瞬で凍った。

 ほぼ反射的に体を強引に捻ることで、全力で進行方向を変え、その存在と絶対に接触しないように、体を無理にでも動かす。その甲斐あって髪一本も触れることなく、乱入者の後ろの壁に穴を開けながら突っ込む結果となった。瓦礫となった向こう側から、絹旗が痛みを堪えるように起き上がる。

 

「ぐ……ッ!!」

 

 窒素装甲(オフェンスアーマー)はあくまで体の周りに窒素を固めて、防御力を上げているだけであり、身体能力が上がっているわけではない。そのため、動かない方向に体を動かせばダメージが残る。

 当然、能力者である絹旗は分かっていたが、それでも全身全霊の回避を選んだ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 側にいた下部組織の男達は理解できなかったが、結果から乱入者が大能力者(レベル4)をブッ飛ばしたのだろうとあたりをつけた。このままでは確実に殺される。男は懐から拳銃を抜き、銃口を相手に向けた。

 

「ッ!!超やめてください!ソイツはッ!!!!」

 

 恐怖に支配された男は絹旗の制止を聞かずに、()()()()()()の死角から頭を狙い発砲した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 布束砥信は困惑していた。妹達(シスターズ)を助けようとしたがそれも叶わず、無念の念を抱きながら、このまま昏倒されるのを待つしかないと考えていた矢先に、誰かが乱入をしてきた。

 御坂美琴かと一瞬思ったが、彼女はもう一基の施設を潰しに行った。彼女も間違いなく刺客が送られているだろう。それなのに、ここに来るには余りにも早すぎる。

 では、全く違う組織からの介入か。ありそうではあるが、これは学園都市上層部が主導している計画だ。そのようなブッキングはまず起こさないだろう。では、誰なのか。()()()()()()()()()()()()()()()()し、一体誰が……。

 煙が晴れた先で、思いがけない人物が傲岸不遜にも、この空間を支配していた。その顔はこの計画に関わる上で、科学者達に与えられた書類に目を通した中に、載せられていた人物だった。

 

 

「まさか、あなた一方通行(アクセラレータ)ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パンッッッ!!!!と強く破裂する音が響き、一瞬世界が止まった。

 しかし、崩れ落ちる音と共に絶叫が世界を動かす。

 

「ぐあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ!!!!!!」

 

 下っ端の男が拳銃を持っていた手を押さえ、絶叫を上げている。一方通行の反射で銃弾が反射したのだろう。御愁傷様だ。暗部にいるのだからこの程度は許容範囲内だろ。

 俺は別に聖人君子じゃない。とあるの主要人物でないキャラクターがどうなろうと、基本的に無頓着だ。御坂妹が目の前で殺されても、上条当麻や御坂美琴のように激昂はしないだろう。

 彼女達が死ぬのは当たり前だと知っているのだから。そして、他のキャラクターも大して反応は変わらない。

 それは、ある少女を除いてこの世界に生きる人間が、自分と同じ人間だと思えないからだ。NPCのために激昂する人間が、どれだけいるのだろうか。

 それに対し、上条当麻や御坂美琴に抱いているのは、どちらかと言えば愛着だ。好きなキャラクターには幸せになってほしいのは、ファンとして当然だからな。

 

 そんなことを思っていると、絹旗が瓦礫の中から出て来ながら俺に問いかけてきた。

 

「あなたが暗部の案件に出張ってくることは、なかったはずなんですがね。私達の邪魔をすることがどういうことか、超分かっているんですか?」

 

「『あン?何でこの俺がそンなくだらねェことを気にしなくちゃなんねェんだ?オマエみてェな雑魚はおろか学園都市が相手だろォが、俺には傷一つ付けられねェことが分かンねェかァ?』」

 

 そう、今俺は一方通行の姿をしてここにいる。こんな堂々とここに来ていいのかと思うかもしれないが、一方通行の姿ならば大丈夫な可能性が高い。

 

 一つ、確証はないが原作は実験の開始時刻が20:30。そして、美琴の計画施設を襲う時間が、それよりも遅い時刻のことから、もう実験は終わっているとみていいだろう。つまり、ここに一方通行が居ても不自然ではない。

 そして、一方通行なら暗部に目を付けられても構わない。いずれ落ちることは確定しているし、体を張って実験を止めようとした布束は、後の一方通行の守るべき存在に入っているはずだ。

 知らないから関係ないなどとは、変わった一方通行は絶対に言わないのだから。

 

 二つ、一方通行の能力は未現物質(ダークマター)のような、この世界の物理現象に沿っていないもの以外では、無類の強さを誇る能力だ。いくら劣化していても使いようによっては、大能力者(レベル4)を圧倒することも可能である。

 さらに、絹旗最愛は暗闇の五月計画の被験者のため、一方通行の演算パターンを一部植え付けられている。

 そのため、初めて顔を付き合わせた相手だとしても、等身大の理不尽さをその身をもって理解しているのだ。

 一方通行の能力の劣化部分を、絹旗の一方通行に抱く恐怖像で埋めることができれば、有利な戦闘になる。

 

 三つ、アレイスターは滞空回線(アンダーライン)を使って俺にどうこうはしないだろう。俺が原石という貴重なサンプルであることもそうだし、髪は白髪に染めたから滞空回線で見ていても、俺の変身能力が超能力者(レベル5)級だとバレることはない。

 そもそも、アレイスターから見れば布束なんて、取るに足りない存在だろう。今回だって事前に察知して、セキュリティを強化したわけだしな。

 俺を暗部に落とすデメリットと布束を捕まえることを比べれば、俺に天秤が傾くはずだ。

 まあ、それでもしダメなら上条の家に上がり込もうかな。第二の居候として。

 

 絹旗に恐怖を与えるにしても、違うとバレれば逆に窮地に立たされるだろう。つまり、半端な物真似は許されない。

 

「『この一方通行(アクセラレータ)に楯突いて、タダで済むとは思ってねェだろォなァ?』」

 

 まあ、一方通行らしく蹂躙しましょうか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白い悪魔が一歩、一歩殺戮するために近づいてくる。相手が学園都市最強だと知り、スキンヘッドの男は大能力者(レベル4)が傍にいるという余裕は消えて、無様にも命乞いをすることを選んだ。

 

「ひ……っ!ま、待ってくr」

 

「『ほらよ』」

 

 一方通行(オリ主)がしたのは肩に軽く触れるだけだった。しかし、その結果は明らかに触れただけでは、引き起こせるものではなかった。

 ドゴォッ!!!と、トラックにぶつかるような音が聞こえ、男が浮きながらその場で時計回りに四回転したのだ。ドシャと音を出して地面に落ちた男は、体を押さえることすらできずに呻き声を上げることしかできなかった。

 

「あがががががッ!!」

 

「『ギャハハッ!良かったなァクソカス!四回転アクセルなンてそうそう体験できるもんじゃねェぞ!?まあ、着地が不細工過ぎて零点だろォがなァ!?』」

 

 まるで、心から楽しんでいるようだが、このオリ主割りとガチで楽しんでいる。感覚としては無双ゲームで、NPCをなぎ払っているものと近いだろうか。

 一方通行の完璧なコスプレが出来て、テンションが上がっているのも要因だろう。つまり、人として認識していないがゆえの、容赦のなさなのだ。

 とはいえ、いくら一方通行の能力が使えても、劣化したものには変わりはない。いくつかの制限がある。

 

 攻撃のベクトル操作は両手からしかできず、一度に操作できるベクトルは、三つまでしか操ることができない。そのうえ、一つは運動量に確定している。

 さっきの男には運動量と重力、それと垂直抗力を合わせた一撃をお見舞いした。たった三つでもこの破壊力。まさしく、最強の能力だな。

 防御の反射だが、発動するには止まっていなくてはならず、熱量や電気量などのスカラーは操ることができない。超電磁砲(レールガン)原子崩し(メルトダウナー)などをくらえば、当然反射せずに体を貫通してしまう。相性によっては即死もあり得るのだ。

 しかし、絹旗のような打撃系の能力者では、俺の一方通行(偽)は倒すことはほぼ不可能だ。

 

「『次はオマエだぞ、三下(さんした)ァ?』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 絹旗は焦りながらも思考を巡らす。目の前にいるのは()()()()()()()()()()()()一方通行(アクセラレータ)だ。万に一つも勝ち目はない。

 攻撃ですらない牽制の一手が、必死の攻撃となってこちらに返ってくるのだ。腰にクラッカー式の爆弾もあるが、それこそレーザーになって返ってくる可能性も十分あるだろう。

 

「(打撃もダメ、爆薬もダメ。何なんですかねこのチート野郎は。物理法則の全てを掌握してる時点で、敵なんか超いないでしょうね。あの傲慢っぷりも納得です)」

 

 思考を巡らした結果、勝つ可能性が零パーセントであることが、分かっただけだ。それどころか、生き残る可能性も限りなく低い。

 

「(ですが、このまま逃げても、ペナルティが付けられる可能性があるんですよね。もし、そうなった時のために何かしらの情報がなければ、麦野に上半身と下半身がおさらばされる可能性があります)」

 

 まるで、上司のパワハラを受ける、中間管理職のような気分になりながらも、絹旗は怪物相手に言葉を投げ掛ける。

 

「何かお目当ての物があったですか?あなたほどの人物が、こんな陰気な場所に自ら進んで来るとは思いませんが」

 

「『オマエに言う義理がどこにあるンですかァ?』」

 

「私達はその人に超用があります。あなたの用事が済みましたらこちらに渡してもらえませんか?そこの人を処理をするだけなので、あなたのことを探ることはしないと、私の命を懸けて約束します。必要なら私から上に超掛け合いましょう。どうでしょうか?」

 

 アイテムはあくまで依頼を受けて、それに応じる組織だ。上との交渉などほぼ不可能だろう。

 しかし、見方によっては一方通行とのパイプができると考えれば、悪くない取り引きとも考えられる。

 どちらにしろ、戦えば死ぬ未来しかないのだから、今はその可能性に掛けるしかない。

 

「『知るかマヌケ』」

 

「ッ!!」

 

 たった一言であっさり切り捨てられた。即席での交渉内容の構築だったとはいえ、お互いに悪くなかったはずだ。それなのに、目の前の怪物は一考の余地すら持たなかった。

 

「『この俺が何でカス共に気を使わなきゃなンねェ?テメェらが俺に合わすのが道理だろォが』」

 

「(それができたら超苦労しないンですよッ!世界が自分を中心に回ってると、思ってンですかこのクソ野郎はッ!!)」

 

 内心でブチ切れながらも表に出さないようにし、次の一手のために再び思考を回す。しかし、その意識が逸れた瞬間、絹旗の運命が決まった。

 

「『そんなに言い訳が欲しいンならくれてやる』」

 

「なっ!?」

 

 意識を戻せば拳を振りかぶる一方通行が目の前にいた。ほぼ反射的に腕を交差させる。

 

「(窒素装甲(オフェンスアーマー)があるから生半可の攻撃じゃ効かないんだよなぁ。銃弾の速度じゃ効かないらしいから、1,300km/hぐらいは出さないと、大したダメージにならないなーこりゃ。

 運動量だけじゃ無理だし、室内だから風力も大して使えない。垂直抗力じゃ下手すれば絹旗死ぬしなぁ。

 アイテムにはこれからのために、いてもらわないといけないから、これもなし。重力程度じゃ全然足りないだろうから…………原作でも使われてた()()を使うか)」

 

 そんなクソ適当な思考な基に、恐るべき一撃が絹旗に向けて放たれることとなった。

 

 

 

「『オマエがどォ思おうがンなことは関係ねェ。こっから先は一方通行だ。雑魚は雑魚らしく媚びへつらって、無様に来た道へ引き返しやがれェ!!』」

 

 

 ドッッッゴバッッッ!!!!という轟音と共に、絹旗のガードなど全くものともせず、彼女の体が後ろにある幾つもの施設の壁をブチ抜きながら、遥か彼方まで吹き飛ばされて行く。

 その猛威を振るった相手は、自分が開けた真新しい幾つもの穴から、外の景色を見てしみじみと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(運動量+空気抵抗+自転であそこまで飛んでいくのかぁ。でも、まあ窒素装甲なら余裕だろ)」

 

 

 

 絹旗は割りとマジで死にかけていた。

 

 

 

 

 




オリ主の異常性が少し見え隠れする話です。いろいろ可笑しな存在なので、これくらいはズレているかなと。

時間帯は描写がなかったので、勝手に想像して書いてしまいました。
高速で突っ込む運動量と、それに伴う空気抵抗のベクトルを絹旗に向けて、そのうえさらに自転なので…………どれくらいの力なのだろう?

ちなみに、東京での自転の速度は約1,400km/hらしいです。

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