こんなマイナーな小説を薦めるとは、なかなかの変態ですねぇ( ´,_ゝ`)
あ、設定変えました。&エルキドゥの中身を消しました。
「───圧縮、圧縮、空気を圧縮ゥ!イイぜェ……愉快なこと思いついた!」
まるで、新しいオモチャを手に入れた子供のように、
何tもあるコンテナが風船のように飛んでいく光景は、その場にいたとしても信じられないものであった。
「ギャハハッ!感謝を込めてオマエを跡形もなく「ぐッ……!」………………あ?」
一方通行が目を向けると、多少傷付きながらも立ち上がろうとしているツンツン頭の少年の姿が目に入った。
「…………。」
どォいうことだ?あの高さから落ちてほとんど無傷で立ち上がるだと?
今までどンだけ殺してきたと思っていやがる。人間の強度から見てもそんなことがあり得るはずがねェ……ッ!
一体どんなカラクリが…………───ッ!!
「…………オマエ……」
「づッ……!痛ッ……!」
一方通行に生み出された突風に吹き飛ばされた上条は、至るところに傷を負っていた。例え完璧な受け身をとっていたとしても高さが高さだ。当然無傷とはいかない。
だが、上条は違和感を抱いた。
「……あれ?何で俺こんなにピンピンしてるんだ?」
そう、いくら上条の体が平均より頑丈であっても、超能力を扱うこともできず、ましてやプロの魔術師ですらない高校生の上条当麻が、あの高さから落下してしまえば重傷は免れない。
天文学的な確率により、落下時に緩衝材となる物を挟み込み、衝撃を全て逃がすことに成功した、などということはもちろんない。
あまりにも荒唐無稽な話であるし、不幸が宿命付けられている上条にそんな幸運は絶対にあり得ない。
では、上条は一体何をクッションにしたのか。
それは、視界の端にあった。
「…………………………えっ?」
戦場の真っ只中であるにも関わらず、上条の思考が空白になる。
上条にとって彼女は飄々としていながらも、不思議なことにどこか芯が強い印象があった。動きは優雅で常に微笑みを浮かべているその姿は、心の余裕を感じられた。
だが、その余裕は自らが高位能力者である、優越感から抱いているものではない。実際に
模範的な優等生であるにも関わらず、馬鹿騒ぎや冗談に乗ってくる柔軟性。気配りができ厄介事に首を突っ込む世話焼きな性分。
その容姿や能力から嫉妬を抱くものはいるだろうが、彼女の人となりを知れば、そのような感情を抱くのは難しいだろう。
一般高校でありながらも、陰でお姉様と呼ばれていることからも、その人望の厚さが分かる。
そんな誰よりも頼れる女の子が、血と泥で汚れて無惨にも倒れていた。
「先輩ッ!先輩ッ!!」
クソ野郎がアイツに声を投げ掛けている。
何なんだこりゃ?パクり野郎と会ってから理解できねェことばかりだ。
オマエの肩には鉛玉がブチ抜いてた。今までの殺しの経験から、ロクに動くことすらできねェことなんて、考えるまでもなく分かる。
その状況でヒロイックなテメェに酔うほどの余裕はないはずだ。にも関わらず、何でアイツは血塗れになってンだ?
まさか、本気で他人のために命を懸けてたとでもいうのか……?
ッ何なんだよそりゃあッ!!
オマエの中にも一端とはいえ、俺と同じ能力があンだろ?
この力の恐ろしさを正確に理解しているクセに、何故平然としている?何故周りに他人を置こうと思えるッ……!
言ってたじゃねェか!!あの日、あの時、あの場所でッ!!
《僕は今まで何千と能力をコピーしてきたけど、その中でもこの力は一番恐ろしいね》
《……あ?》
《だってそうだろう?一端だけとはいえコピーした僕でも、とてつもない破壊を呼び起こせてしまうんだ。もし、これが僕の能力だったなら───ーーー----》
この力が俺じゃなくてオマエのモンだったのなら、こンな風にはならなかったのか……?
「があ"あ"あ"あ"あ"あああァァァァアアアアアア!!!!!!!」
「クソッ、血が全然止まらない……ッ!!早く病院に連れて行かないと間に合わなくなる!!」
上条が全力で止血をするが血は少しも止まらない。このままでは失血死してしまうことだろう。
「どうすれば、…………ッそういやさっき声が……!──御坂!居るんだろ!頼む出てきてくれッ!!」
「元々そのつもりよッ!それで何!?どうしたの!?」
声を掛けたとほぼ同時に、コンテナの陰から御坂が飛び出してくる。
「先輩が俺を助けたせいで重傷なんだ!すぐに病院に連れてってくれ!」
「先輩って……ッ!な、何でこの女が……!?」
少年のすぐそばを見ると、数時間前に河川敷で戦っていた少女の姿が目に映った。
「(この傷まさか一方通行にやられたっていうの!?いや、でもこの女は実験の関係者のはず……それなのにどうして?まさかの仲間割れ……?)」
御坂が経緯を把握しようと思考を回そうとするが、上条の声が割って入る。
「御坂!!」
「……ッ、ああもう、わかったわよ!私の行き付けの病院でいいわね!」
例え殺しあった仲だとしても、見殺しにするのは何かと寝覚めが悪いし、彼女が何かしらの情報を有していることは間違いない。
その上、浅い関係であるにも関わらず、命を張っている少年からの願いであれば、それをしないのは余りにも恩知らずだ。
磁力を使って病院まで飛ぶため、近くに落ちていたコンテナの破片を即席の担架にしようとしたその時。
ドバッッンッッッッ!!!!!と、空気震わせる突風がまたしても吹き荒れた。
「「がッッはッッ!?」」
いつもの二人ならば警戒していてしかるべきだが、今回ばかりは事情が違った。
片や一番信頼する先輩が自らのために、瀕死の重傷を負ってしまった罪悪感に苛まれていたこと。
片や先ほどまで殺しあった刺客でありながら、この場にいる少年の先輩だという少女を、助けるのだという動揺。だが、これはあまり関係ない。
御坂が予想外であったのは突風での攻撃だったということだ。何故なら空気を圧縮し、一方通行はプラズマの生成をしようとしていたのだから。
仮にプラズマが完成したのだとしても、妹達に対抗策はすでに伝えたため、少しばかりは時間に余裕ができるものだと考えていた。
そんな二人であったために起きた不意討ち。上条、御坂、天野は空へと打ち上げられる。
「ッッ!舐めんなァッッッ!!!」
御坂は地面にあるコンテナに磁力を使ってUターンをし、見事に着地をしてみせた。
その時にコンテナの破片にくくりつけた天野と、上条を回収しようとしたが、
「なッ!?」
少年の方の磁力の糸が突然断ちきられた。
一瞬訳が分からなかったが、すぐにあの右手によるものだと理解する。
おそらく、風に煽られ反射的に、右手を振り回してしまったのだろう。
「それなら、何回だって……!!───ウソでしょッ!?」
磁力の糸を伸ばそうとすると次の変化が訪れた。
一方通行がいる周辺の地盤が、花を開くようにめくれかえったのだ。
その地盤を微塵切りにするかのように、一方通行が生み出した鎌鼬が、バラバラに切り裂いた。
そして、御坂が悲鳴を上げた理由はここからだ。
ドガガガガガガッッッッッッッ!!!!!!!と、凄まじい音を立てながら高速で何かが横切って行く。
切り裂かれた瓦礫は先ほど御坂達を巻き上げた突風に乗り、辺り一面に無秩序に吹き飛ばされてきたのだ。
砂鉄は風のせいで使えないだろうが、雷撃の槍や
無限の砲撃から身を守るためには、全ての演算を使わなくてはならない。巻き上げられた瓦礫は御坂達に降りかかる物もあれば、上条と一緒に上空に巻き上げられたものもある。
「(この空間は大気の流れを掌握している以上、全ては一方通行の支配下にある!つまり、放出される風さえも演算をしているってこと……!)」
であるならば、何が問題なのか。
演算をしている以上、次に演算をする際には、より効率的にできるようするのが普通だ。風のより効率良い運用とは何か。
つまり、───循環だ。
風の力を超能力で強くするには、風を循環させるための演算を割り出し、循環させた風に新しい風を巻き込ませて、より風に勢いを生ませるシステムを構築する。
台風やつむじ風をイメージすれば、分かりやすいかもしれない。
とはいえ、それが実行できるほどの空力使いがどれだけいるのか。出力はもちろんのこと常に変わる風の向きや、新しく生み出した風の掌握。それを屋外で実現するには並大抵の人間では不可能だ。
「(この風が循環しているのなら、瓦礫が飛び交うこの空間はミキサーと一緒じゃないッ!!)」
少年は助けなくては間違いなく死ぬ。
そのため、すぐにでも助けに入りたいが瓦礫群が襲い掛かってくる。
「(ぐぎぎ……!……四方八方からの間隙の無い攻撃なんて、……どれだけッ!ふざけてんのよ……ッ!!)」
ランダムに飛んでくる瓦礫を一つ残らず、全て撃ち落としていく。本来ならば危険を承知で、少年を助けるために突貫するのだが、足下には少年から預かった少女がいるため、動けなくなっていた。
だが、このランダムに飛んでくる瓦礫に対し、僅かな違和感を美琴は感じていた。
そんな最中、ふと上空を見ると少年の近くに飛び交う、幾つかの瓦礫が見えた。
「ッ!!」
近づいてくる瓦礫をすぐさま砕き、強引に少年に近づく瓦礫を撃ち落とそうとコインを掲げるが、轟音と共に凄まじい衝撃が御坂を襲う。
「しまッ!!」
御坂がコインを掲げる前に撃ち落としたのは、自分に向かって飛んでくる物だけだった。無意識の内に立っているコンテナへ向かってくる瓦礫を演算から外してしまったのだ。
突然起きた少年の危機。天野との戦闘での疲労と現在進行中の瓦礫の嵐を捌く精神的疲労。そう言った様々な要因から出たミスだった。このままでは、足下の少女は疎か御坂自身もただでは済まない。
……この際、自分の命は捨てても構わない。
ここまでしてもらったのだ。
今さら自分の命に執着などしない。……だが、例え自分の命を捨てたとしても少年を助けることは不可能であった。
少年に磁力を使い手繰り寄せることは、あの右手がある限りほぼ不可能だ。距離があるため万が一成功したとしても、その間に演算を割いた私はほぼ死ぬ。
さらに、その前にあの瓦礫を一つ残らず撃ち落とさなければ、少年の挽き肉になる未来は変わらない。
「あ"、ああ……ッ!!」
つまり、少年を助けるための方法は一つもないのだ。
「あ"あ"ああああああああああッッッ!!!!!」
まさに、詰みであった。
『エルキドゥ、起動する』
ここに神造兵装が居なければ。
ジャララララララララ!!!!と、金属音が連続的に響き、竜巻と空中に飛び交っていた瓦礫を、一つ残らず破壊した。
「…………………………………………………………は?」
静寂が支配する空間に美琴の声だけが聞こえた。
余りにも突飛なことに頭が追い付いてこない。
あれほどの猛威が一瞬で消えてしまったのだ。急遽襲い来る猛攻も心臓に悪いが、突然中断されるのもゆとりができたことで、逆に不安感が倍増してしまい、同じくらい心臓に悪いのだと美琴は知った。
呆然としながらも口から言葉が溢れる。
「い、一体何が……?」
「やはり、万全とはいかないね。少し性能が落ちているようだ」
その声を聞いた途端に背筋が震えた。
全身から緊急アラートが鳴り響き、冷や汗が止まらない。
「(何なの!?このプレッシャー……ッ!!まるで一方通行と同等じゃない……ッ!!)」
つい数週間前に感じた、強烈なプレッシャーと酷似したものが、美琴の体を貫いていた。
だが、美琴は一つ勘違いをしている。
そのプレッシャーは一方通行が殺意を向けた状態と、同等であるということ。つまり、今の美琴を
とはいえ、それも仕方の無いことである。
完全体にならなくても神々が生み出した兵器。歴史的に見てもこれほど異質な存在はそうはいない。齢14の少女に目の前の存在を正確に計れというのも、土台無理な話だ。
「
そういったあと、鎖が出ている左手を上空から手繰り寄せた。ジャラララララ!と鎖が鳴る音と共に、ツンツン頭の少年がターザンロープの要領で輸送されてくる。
「ぅぉぉぉぉぉおおおおおお!?!?!?!?」
あの右手に触れないようにするためか、手首から上を幾つもの鎖が巻き付けられ、動かないように固定されている。
ますます出荷される動物にしか見えない。
「ってちょっと!!あのまま落ちてきたら死ぬわよ!?」
「心配ないよ」
ガンッ!ガンッ!ガンッ!と断続的に何かにぶつかる音が聞こえた。
物凄い勢いであったが、少しずつ停まるように何かしらの仕掛けがしてあったらしい。死ぬことがないと分かり安心する。
その衝撃を食らっている少年は、堪ったものではないだろうが。
最後の部分で数回、遊園地のバイキングのように揺れたあと、無事に着地をした。
「し、死ぬかと思った……ッ!空中でいきなり拘束されたと思ったら落下させられて、今回ばかりは本当に死ぬかと思った!もうスカイダイビングとか絶対イヤッ!どれだけお金を積まれても上条さんは行きませんことよ!」
……心の傷までは無事とはいかなかったみたいね。
撹乱してオカマになっている、ツンツン頭の馬鹿が顔を上げたと同時に、この不可思議な存在を目にして驚愕する。
「えっ!?先輩!?傷は!?大丈夫なんですか!?」
「【完全なる形】は問題なく発動しているようだね」
「あれ?先輩に無視されてる……?ヤバい、どうしよう!?俺何かしたっけ!?心当たりが多すぎる……ッ!先輩に見放されたらもう立ち直れない……!!」
……一方通行に立ち向かった時の、頼もしいこいつはどこ行った?こいつの中でこの女の占める割合が、なんだか異常に高い気がするんだけど。
「瓦礫も風も吹き飛ばしたけど、時間の問題だろうね。それと、君は彼女のことを気にするといい」
「……彼女って一体誰のことy「おそらくミサカのことではないのでしょうかと、ミサカはお姉様に進言してみます」……ってうわっ!アンタ何でこんなところに居るのよ!あの距離なら早く逃げてればどうにかなったでしょう!?」
あの距離なら即座に逃げれば、危険領域から脱出できたはずだ。
何故未だここにいるのか問いただすと、彼女は申し訳なさそうに、けれどハッキリと言葉にする。
「ミサカは足手まといかもしれません。ですが、ここで逃げるわけにはいかないのだと、ミサカは胸のうちをお姉様に語ります」
「アンタ……!」
しかし、それは心がないこととイコールではない。美しいと感じる心がある。缶バッチを大切だと思う心がある。
そして、きっと───自分のために命を懸ける人を見て、その勇姿を無駄にしたくないと想える心があるのだ。
なら、私のすることは常識だとか、分かりやすい戦力差などで彼女を除け者にすることじゃない。
この戦いはそこの少年や私だけの戦いじゃない。彼女達の人生の岐路となる戦いなのだ。ならば、彼女達が立ち上がることに何の不思議がある?
目を伏せ、叱られるのを待つかのようにしている、彼女の手をそっと握る。
「……お姉様?」
「──大丈夫よ。何も気にしなくていいわ。アンタ達に降りかかるどんな火の粉も私が全部振り払うから」
その言葉はこの戦いだけではなく、更にその先のことまでを含めて言っているのだろう。
「だから、……私のこと信じてくれる?」
「はい」
一瞬の迷いなく答えた彼女に驚き、しかし嬉しそうにして掴んだ手を再び握り締めた。
握り締める手は優しく。そして力強くて、とても温かかった。
「なら、アンタのことは私が守るわ。もう傷一つ付けさせない。だから好きなように動いて構わないわよ。どんな障害だって私が吹き飛ばしてみせるから」
「……何故……そこまで……」
そこまで話して彼女は笑みを溢した。彼女は久しぶりに彼女らしい勝ち気な笑みを浮かべて言い切ったのだった。
「アンタ達は私の妹だから。
だから、それくらいのワガママは聞いてあげるわ。
───お姉ちゃんに任せときなさい」
「創造したものに魂を入れたがるのは、神々も人間も変わらないね」
「先輩?」
何故かは分からないが、先輩が先輩らしくないような気がする。浮世離れが更に突き抜けてしまったような感覚だ。
「さっきの光景は他言無用で頼むよ。では、僕はこれで去ろうか。これはマスターの戦いだからね。あとはマスターに任せることにするよ」
そう言って目を閉じると一瞬動かなくなってしまったが、すぐさま覚醒した。
…………もしや自己暗示系の催眠方法だったのだろうか。食蜂と仲が良いしそういうのも知っているのだろう。
目を覚ました先輩は俺が知っている先輩そのもので、最悪の状況は変わらないのに、思わず安堵してしまった。
こちらをしばし眺めた先輩はすぐに前を向く。その背中は覚悟を決めたいつもの頼もしい背中であった。
当然、その背中から逃げる選択肢は上条当麻に存在せず、強く拳を握り、頼りになる先輩の隣に立ったのだった。
「(いやいや、説明せいや。)」
上条が頼りになると信じた人物は、割りと切羽詰まってた。それもそのはず、オリ主は今この瞬間に覚醒したのだから。
「(何?そのイケメンフェイス?覚悟決めた男の顔してんじゃん。カッケェなあ、おい。
……じゃなくてさ?とりあえず教えてっ!本当に訳分かんないのっ!!
最初にさ「まずはその幻想をぶち殺す!」って顔、一回止めよ?話し合お。な?)」
内心でめちゃパニくっている先輩が、主人公の隣に立っているらしい。
「ッ呑気に話すのはここまでみたいよ!またあの竜巻と瓦礫の嵐が来るわ!」
一方通行の周りに風が巻き起こり始めた。またあの地獄がやって来る。
先ほどの天変地異を思い出し、三人は身構える。
残りの一人は、
「(な、なに?何が来んの!?はい!説明を求めますっ!)」
とはいえ、腐っても常盤台中学出身。無駄に鍛えたその優秀な頭を高速で回す。
「(竜巻?プラズマを生み出す前のあれのことか?じゃあ、瓦礫ってなに?そんなシーンなくね?
う、うーん。強いて言えば垣根帝督のときに使った二段蹴りか?あれの数を数百倍に増やせばそう言えなくもないかな?)」
何だかんだで割りとニアピンな答えだった。
「(でも何でそんなことしてんの?上条を殺すならそれは正解だけど、プラズマに夢中だったじゃん。プライドが超高い一方通行が、恐怖で辺り一帯をまとめて吹き飛ばしました。なんてオチじゃないだろうし……。あ、もしかして)」
「能力の暴走かな?」
皆の視線が天野に集中する。
「暴走?」
「うん、あそこまでの単純な破壊は、一方通行の好みとは違うはずだよ。彼なら血流操作で殺すだろう。
もしあっても、普通の能力者では実現不可能な、高次元の攻撃をするときのみだろうさ」
一方通行のことを詳しく知っているかのようなセリフに、首を傾げるが、先輩ならあり得ると納得して上条は話を聞く。
そして、学園都市第三位がそれを裏付けるように付け加えた。
「───ええ、きっとそうよ。飛んでくる瓦礫はランダムだったから」
その言葉を聞いて上条は疑問を言う。
「それっておかしいのか?風で吹き飛ばされたんだから、ランダムにくるのは自然だろ?」
「それが自然の風ならね。人工の風で循環している以上、絶対に規則性が出るはずなのよ。なら、その計算を乱している何かがある。それが、能力の暴走ってわけね。…………だけど、暴走しながらしっかり循環はしているなんて、つくづく化け物染みてるわ」
畏怖を抱くように呟かれたその言葉には、美琴の心情がこれでもかと詰め込まれていた。
そして、ふと先ほどの会話を思い出す。
「ねえ、さっき一方通行のことを理解しているようだったけど、何か打開策があるんじゃないの?」
「(は?この子は何を言うてはりますのん?)」
まさかの流れ弾に、キャラがブレるほどの衝撃が天野を襲う。
「(知らん知らん!あんなチート野郎に勝つなんて無理だよ!演算パターンなんてほんの少ししか知らんから、木原神拳は俺できんし。右手どころか全身パーンよ?
あんなのおかしな右手持ってる、同じチートをぶつけるしかないって!)」
「本当ですか!?先輩!」
「(アイエエエ!?どどどどどうしたら───ッ!?)」
その時、オリ主の頭に電流が走る。
「(そうだっ!確か親友が言ってたな。エルキドゥのコスプレしてるときに分からない質問されたら、あの言葉を言うと万事解決だって!)」
前世の友人が俺にグーサインしてるのが分かる!よし、分かった!ありがとう!
「先輩もしかしてあの攻撃の弱点が分かるんですか!?」
その言葉に不敵な笑みを浮かべて、少女は言い切った。
「ああ、わかるとも」
※分かっていません
◆裏話◆
◆作者の戯れ言◆
いやー、戦闘描写辛いわぁ。書いてて楽しいけどメッチャ大変。細かく書いてるせいなんですけどね。
それにしても膨らむ膨らむ。この25話で一方通行戦は終わらすつもりだったのになぁ。
次回で決着…………のはず。
アドバイスに従い、評価に文字数をいれることにしました。
変化が余りにもなくて、つまらないのでやっぱりやめます。