とある原石の神造人形(エルキドゥ) 作:海鮮茶漬け
海鮮茶漬けサンタからのプレゼント(投稿)だ!m9(゚Д゚)ドーン!
先輩の言葉に従い俺達は温泉へと向かった。
途中何故か中居さんに混浴を勧められたりなどしたが、無事に男女別れた温泉へと入浴する。上条は一安心して浸かっていると、すぐ隣から二人の声が聞こえてきた。
「あっ!くさり、この温泉なんか色が違うよ!」
「これは濁り湯だね。確か硫黄とカルシウムが成分だったかな?白く濁っている仕組みは雲と同じらしいね」
「へぇー!それじゃあこの温泉を使えば中国神話の西遊記。雲の上を歩ける蓮の糸で編みこんだ、履き物の魔術を使えるかも知れないね!
雲の上まで行くのが大変だし、雲はすぐに散っていっちゃうけど、この温泉ならずっと上を歩ける。それこそ履き物を履いて意識を向けれるだけで、光速の早さで移動できるかも!
蓮は植物だから水との相性もいいだろうし、可能性は高いんだよ!」
インデックスによる魔術のマシンガントークが炸裂していた。インデックスの一件で先輩が魔術に関わりを持ったことは、ステイルの手紙から既に知っていたが、科学サイドである先輩に言っても伝わるはずもないだろうに。
「ほら、まずは体を洗わなくてはね。僕が君の背中を流すよ」
「え、本当に!私もあとからくさりの背中を流してあげるんだよ!」
壁が薄いからか、あるいは彼女達の声が大きいからなのか、女子風呂の声がよく聞こえてくる。
「ふぁ~~、とっても気持ちいいんだよ……。くさりって髪洗うの上手なんだねぇー」
「僕も髪が長いからね。洗い方は熟知しているよ。如何に髪に負担にならずに、シャンプーを行き渡らせるにはどうするのか、よく調べたものさ。そんな調査の副産物に頭皮のマッサージやツボを知ってね。それを踏まえて洗うとリラックスできてとてもいいんだ」
「へにゃ~~♪これ、凄く最高なんだよぉ。これだけで、ここに来て良かったと思うんだよ」
「ふふっ、これは帰ってからでもできるけどね」
「うん!また一緒にお風呂入ろうね!」
女の子らしい(?)会話を聞いてしまい、居心地が悪くなった上条。そのため、上条宅で天野が風呂に入りに来る予約が、たった今なされたことに気付いていない。
「よし!次は私が洗ってあげるんだよ!」
「じゃあ、任せたよ」
その声を聞き、インデックスが何かやらかさないか不安になった。インデックスは魔術が絡まなければ、基本的にうっかりの不器用さんなのだ。
しかし、上条の心配を余所にインデックスは恙無く洗っているようだった。
「くさり、痒いところはなぁい?」
「うん、大丈夫だよ。もしかして美容室の真似かい?」
「うん!この前テレビでやってたんだよ。こうするんでしょ?」
女の子同士にしても、ここまで和やかな会話もそうそうないだろう。
「くさりの髪って不思議だね。キレイな薄緑色をしているんだよ」
「これが原石としての一つの証明だね。人間ではあり得ない緑色の髪。遺伝子操作もしていないから、自然に発生するには原石でもなければ不可能だ。変な髪色だという自覚はあるけどね」
「ううん、くさりに似合っててとっても素敵かも!」
心が温まるいい話だ。インデックスの善性があっての会話だろう。だが、そんな上条の気持ちとは裏腹に、おかしな方向性へと話は進んでいく。
「それにしても、くさりはやっぱりとってもキレイなんだよ。手足は長いし胸もあるし……」
「わっ!…………ゴホン、急に触ったら驚いてしまうだろう?そもそもお触り厳禁だよ?」
先輩の慌てた声に上条少年はどぎまぎしていたが、貸し切りのために知る人はいない。
インデックスのイタズラに対して、余裕ある大人の対応をする天野に、インデックスはプクーと頬を膨らました。
「私もくさりみたいになりたいんだよ!シスターとして男の人を惑わす女性的な胸があるのは、ちょっと不適切かもしれないよ?だけどね?私にも女の子としての矜持というか尊厳があってだね!?
というか、今日のとうまはずっとくさりの水着姿ばかり見てるし!!」
そこでゴフッと男湯の方から音が聞こえたが、ヒートアップしたインデックスには聞こえなかったようだ。
「僕の胸は平均的なサイズだよ。羨むのなら例のポニーテールに結んだ女剣士にするといい」
「それって、かおりのこと?確かにスゴく大きかったかも……」
そう言ってインデックスは聖人の姿を思い出す。魔術的な意味合いを出すために、変則的な服装に身を包んだ彼女には、確かにTシャツを押し上げる豊かな胸部があった。
話によると18歳なのだという。そんなばかな。
自らの薄い胸に手をやりため息を吐いた。顔を上げたインデックスは断言をする。
「かおりと一緒にお風呂に入ることはないんだよ」
遠い海岸の方から「え!?」と驚きの声が挙がったような気がするが、多分気のせいだろう。いくら埒外染みた身体能力を有した聖人でも、特別聴力が良くなることなどないのだから。
インデックスはこんなことを今は言っているが、実際そのときになれば喜んで一緒に風呂に入るはずだ。優劣や上下などの認識を、彼女は対人関係に抱くことはないのだから。
そんなこんなでお互いの体を洗い終えた二人は、温泉に浸かった。
「はあ~~~♪体に染み渡るんだよぉ……」
温泉に浸かりインデックスは蕩けに蕩けている。昼間に海で遊び、疲れていたのだろう。
「うん、確かに体の芯まで温まるいい湯加減だね」
そういいながら、天野はタオルで頬を拭ったあと、リラックスしたように息を吐いた。その動作にそこはかとない色っぽさを感じ、インデックスは感心したように言葉を溢した。
「かおりは18歳に見えないけど、くさりもとうまと一つ違いにはとても思えないんだよ」
「どういうことだい?」
天野と同様に長い髪を結っているインデックスは、小動物のように天野を上目遣いで見詰める。
「一つ一つの所作が大人っぽいんだよ。学園都市はそういったことも学ぶの?」
「僕は常盤台中学に通っていたからね。あそこはお嬢様学校だからそう言った所作に厳しいのさ」
「へぇー!常盤台ってすごいんだね!」
「(そういや、ビリビリも常盤台だよな?……同じ学校に通っているとはとても思えん)」
意識しなくても聞こえてくる女子の会話を聞いて、上条は美琴本人が聞けば間違いなく、電撃を浴びせられるだろうことを考えていた。
それからも、二人は波長が合うのか、途切れることなく会話が弾み続ける。
「(なんか気まずいし、そろそろ上がるか……)」
「とーまー!そっちはどおー?」
「ぬお!?……あ、あー、インデックスか?」
出ようとした瞬間に声をかけられて一瞬動揺したが、何事もなかったかのように話を続ける。
「こっちはとっても気持ちよくていい感じかも!」
「おー、こっちもゆっくりできて満喫してるぞ。偶然とはいえ旅行客が少なくて、貸し切りってのも悪くないな」
そんな風に和んでいると、インデックスが小さな口から「ふあ~~」と欠伸が出た。
それを見たオリ主はエルキドゥらしい微笑みを浮かべて、インデックスをからかう。
「気持ちいいからといって、寝てしまってはいけないよ?」
「先輩に迷惑かけるなよインデックス。眠たくなったらすぐに出るんだぞ」
「もーーう!とうまもくさりも私を子供扱いしすぎかも!」
温泉という開放的な空間で、インデックスの声が遠くまで響いた。
「……ついにやって来た、この時が……っ!」
温泉から上がれば当然部屋へと戻ることになる。何度も言うが思春期真っ盛りの上条当麻には、年上の憧れの先輩と同じ部屋に泊まるという行為は、なかなかハードルが高いのだ。
鋼の理性を上条当麻は持っているとはいえ、万が一がある可能性もなきにしもあらず。だが、自分のことを信頼している二人を思えば、そんなことを考えること自体失礼なのでは?とぐるぐると考えていると女子達が会話をしていた。
「布団の位置にこだわりはあるかい?」
「ううん、特にそういうのはないかも。くさりが決めていいんだよ」
そんな上条を差し置いて、何故か女子二人は全く意識せずに平然としていた。あれ?もしかして自分がおかしいの?と、自らの常識に自信が持てなくなりつつも、そんな平然とした二人の態度に、安堵と情けなさを抱いた上条であった。
布団の位置決めも終わり、各自がそれぞれ寛ぐ。インデックスは背を先輩に預けており、先輩もそんなインデックスを抱き締めるように座っていた。
「それでね!すているもかおりもあの後、私のことをまるで手のかかる子供みたいに話してたんだよ!」
「ふふっ、簡単に想像がついてしまうね」
そうやって微笑む彼女をインデックスは、真上を見るように見上げてふと思った。
「(お姉ちゃんがいればこういう感じなのかも)」
記憶を一年周期で消されていたインデックスには、血縁者の記憶は無い。自らに姉妹がいたかどうかもわからないが、もし居るとするならば、姉とはこんな雰囲気の人なのだろうと思った。
そんな二人っきりの空間が生み出されてしまえば、当然もう一人に介入する余地はない。
上条は一人、手持ち無沙汰となってしまったのだった。
「(うーん、適当にテレビでも点けるかぁ)」
思えばこれが間違いであったのだろう。
上条は近くに置いてあったリモコンを手に取り、何の気なしにボタンを押した。いや、押してしまった。上条はこの選択を後悔することとなる。
映ったのはプロレスだった。
男女という変則的な組み合わせではあったが、全く無いことはない。
実際に男女混合プロレスは実際に何度も開催されている。
だが、男が女を組伏せているのにも関わらず、ゴングが鳴るどころかレフェリーすらいないようだ。
画面ではパツキンのパイオツカイデーのチャンネーが、裸で声を上げているところばかりが映る。
つまり、これは男女混合プロレスではないかもしれない。
もっと言えば、これは一種のドキュメンタリーなのではないだろうか?
要するに、何が言いたいのかというとR18指定のビデオ。
「ぴやあッ!?」
それを見たインデックスの顔が一瞬で沸騰する。そういったものに耐性が全く無いらしい。実に女の子らしい反応だ。
「ッ!!」
上条も思春期の高校生。チャンネルを変えるために素早く動いた。
ポチッとボタンを押す。
だが、
《もっとぉ、『閲覧規制』で『自主規制』を『検閲』してぇ~♡》
「とととととうま!?」
「なっ!?ち、違う!体が動かないんだよ!!」
「いくらなんでも、そんなことあるわけがないんだよ!!」
真っ赤な顔で驚愕するインデックスに、上条も顔を赤くしながら必死に弁明をする。
しかし、体が動かなくなることなど本当にあるのだろうか?もし、そうだとするならば一体誰がどんな目的で、そんな無意味なことを───
「『はぁ~い☆このリモコンは回収させてもらうんだゾ☆』」
敵はすぐ近くにいた。
上条の手の中にあるリモコンをサッと奪ったのは、上条が一番信用する先輩だった。
さっきのボタンも、オリ主が持つリモコンから鳴ったものだ。見たところ食蜂操祈の能力で、上条の体の主導権を完全に奪っている。
まだ、クラスメイトAとしか登場していない彼のお株を奪う、綺麗な裏切りであった。
「「〈先輩/くさり〉ッ!?」」
二人の驚きの声を聞きながら、緑髪の食蜂操祈は拘束するかのように、インデックスの体に廻した腕を強くする。
「『こういうのも、大きなくくりでは社会勉強の一環とも言えるんじゃないかしらぁ?
だからぁ、…………教材を使ってお姉さんと一緒にお勉強するんだゾ☆
そ、れ、に♪』」
口をパクパクしながら首筋まで赤くしている、インデックスの耳に口を寄せて、何かを囁く食蜂操祈(偽)。
「インデックスさんは上条さんに、女の子として見てもらいたいんじゃない?」
「そ、それは、そうだけど……」
「『いい?鈍感力高めな上条さんを意識させるには、普通に接していてもダメなんだゾ☆意識させるには、……ごにょごにょ、ごにょごにょ』」
「…………確かにそうかも」
「女の子は攻めるのが基本なんだゾ☆というわけで、レッツ、チャレンジ☆」
小声での会話が終わったあと、ごほん、と一つ咳払いしたインデックスは、居住まいを正して言った。
「社会勉強ならしょうがないんだよ」
「インデックスさん!?」
上条はまさかの寝返りに驚愕する。
だが、これで二対一。数の暴力とは時に残酷なものである。
オリ主はルンルン気分で、テレビの音声を大きくしたのだった。
そして、始まった羞恥による地獄の時間だが、開始3分でインデックスが目を回して、気絶したためお開きとなった。
上条少年は心の底からほっとしたそうな。
強要、ダメ、ゼッタイ。
オリ主それ普通にセクハラなんだよなぁ。
※この作品はフィクションです。
◆温泉でのオリ主◆
「(めちゃくちゃ可愛いけど、インデックスって本当に幼児体型だなぁ……)」
「うん?どうしたのくさり?」
「いや、なんでもないよ(女子の体を見て男のときの名残か、そういったことを思うときがたまにあるけど、そういうのが微塵もないな。
というか、インデックスで興奮したら、人間として終わってると思う)」
「そお?のぼせちゃったらすぐに言うんだよ?」
「うん、ありがとう(まあ、まだ14歳だしなぁ。明らかに他がおかしいよ。食蜂操祈中学二年生とかな。
でも、お色気枠と一緒に風呂入りたいなぁ。とりあえず、女としても男としてもデカイ乳は見ておきたい。いや、女としてみたらムカつきが上回るけども)」
なんか全体的にひどい。
◆裏話◆
上条には右手しか幻想殺しはありません。
食蜂操祈の心理掌握は頭に向かってかけるため、右手に反応しなかったのです。(広がる電波よりは、直線的に向かうビームのほうが近いかも?)
新訳でも食蜂に記憶の消去をされますが、後に右手で頭に触れることで無効化していました。
今回は記憶の消去ではなく体の支配ですので、右手が動かせずに無効化することができないのです。
◆作者の戯れ言◆
感想、評価ありがとうございます!評価の一言もちゃんと見てます!とっても力になっています!
ストーリーは少し凝ったものを展開していくつもりなので、それはお楽しみにしてもらいたいのですが、キャラクターとか大丈夫ですか?違和感ないといいんですけど。
作者目線だとわからんのです……。
どんどんお願いします!
◆次回予告◆
先輩のイタズラでなかなか寝付けなかった昨日だが、今日は両親と初めて会う俺にとって特別な日──ってなんだそりゃ!?
インデックスが母さんで、ビリビリが従妹の女の子!?さらに、この不可思議な状況に魔術師まで来やがった。一体全体どうなってるんだよ!?
そんな混乱渦巻く状況の中、俺の尊敬する先輩はというと……。
科学と魔術と神話が交差するとき物語は始まる