とある原石の神造人形(エルキドゥ)   作:海鮮茶漬け

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いつの間にか40話を超えていました。
でも、まだ原作4巻目。杉田塾編は書かずに匂わす程度だったので実質3巻分。そして、旧約は全部で22巻。
……長ぁーい。


41.神に明かされる秘密

「やあ、久しぶりだね」

 

「はあ……っ、はあ……っ、……貴方は、まさか……」

 

 『神の力』と戦い消耗した私に話し掛けて来たのは、彼女ではなく超常の存在だった。この尋常ならざる気配は人間が出せるものではなく、どちらというとそこにいる『神の力』に近いことから、それは間違いないだろう。

 

「(予測はしていましたが、やはり入れ替わってましたか……)貴方は何故ここに?術者が彼女だとお思いなのですか?」

 

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「!!」

 

 知られていた。

 

 どこまで把握されているのか探りを入れた途端に、意趣返しのように真実を答えられた。これは厳しい展開になったかもしれない……。

 神裂は間合いを測りつつ言葉を投げ掛けた。

 

「……彼の父親を殺すつもりですか?」

 

「何故そう思うんだい?」

 

「貴方はかつて彼女のことを(マスター)と呼びました。ならば、彼女のために一刻も早く事態を収拾したいのでは?」

 

 もし、そうであれば今度はこの存在にも刃を向けなくてはならない。この状況ではまさしく最悪でしかないが、それでも魔法名と彼に対して既に誓っている。仮に命を落としたとしても誓いは必ず果たす。

 そんな決意固める神裂に、微笑みながら彼は言った。

 

「僕のマスターは優しくてね。そんな真似をすれば彼女は傷付くだろう。それは僕の望むところではないよ。サーヴァントというのはマスターの矛であり盾だ。

 彼女が心から求めたときに、僕はあらゆる障害を打ち砕こう」

 

 神裂は話しを聞いても何故そこまでするのかは分からなかった。天野倶佐利という少女には一体何があるのだろうか。その理由が神裂には見えない。だが、神裂にはその姿勢にどこか強い忠誠心のようなものが見えた。

 

「(それを全て真に受ける訳にはいけませんが、ここで三つ巴になれば既に疲労が蓄積している私の敗北は必定。そうなれば、世界の命運は彼らに握られる。

 であるならば、私はこの超常の存在を信じて戦うことが最善の選択ですか……)」

 

 神裂は名も知らぬ超常の存在に対し、先ほどからかけていた警戒を僅かに解いた。それだけで、形勢は決まった。

 

「……」

 

 そうなれば、数で負けるのは当然ミーシャだ。しかし、劣勢となるが微塵も焦りはしない。何故ならば自らは『神の力』。負けることなど絶対に有りはしないのだから。

 海水を巻き上げ水翼の数を増やすと共に、その長さは一つにつき70メートル程の長さにまで伸長していた。

 そんな破壊力の塊を見てどこか楽し気に超常の存在は言った。

 

「天使と戦うのは初めてだね。───さぁ、どちらの性能が優っているのか競い合おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エルキドゥが暴れてる……?」

 

 口から出たのはそんな言葉だった。

 エルキドゥは特典改ニとかいうのを体に宿すために、用意されただけだったはずなのに一体どういうことだ?

 

「これは儂としても予想外なんじゃが、どうやらエルキドゥの魂が何かの拍子に呼び起こされたようでの。お主が知らぬ間に天野倶佐利の身体には、お主とエルキドゥの2つの魂があったんじゃ」

 

 ……えぇー?いつの間に俺ってシェアハウスしてた?これって不法入居じゃね?…………あ、どっちかっていうとそれは俺になるのか?

 

「あれ?それはおかしくないか?じゃあ、何で俺はエルキドゥじゃなくてガブリエルと入れ替わってるんだ?」

 

 前世でアニメでは描写されなかったという場面が気になり、立ち読みしたときに、二重人格は「中身」がただ入れ替わるだけって書いてたはずだ。

 

「お主達が普通の二重人格ならばそうなるじゃろうな。だが、エルキドゥの特異性がこの結果を招くこととなった」

 

 エルキドゥの特異性?

 

「エルキドゥとは魂ではなくその身体に重きを置かれる存在での。普通のサーヴァントとは勝手が違うのじゃよ。その影響でなかなかお主の身体は愉快なことになっていたのだが。

 お主に分かりやすく説明するのならば駆動鎧(パワードスーツ)……いや、原作で浜面仕上が使用していた『ドラゴンライダー』かの。

 あのスーツには最高時速1050kmの中でも活動できるよう、操縦支援ソフトなるもの……アネリ?とかいうのがあったじゃろ。それと同じく身体の方にエルキドゥの魂があったのじゃ。

 ……いや、正確にはエルキドゥがそのようになるよう調整したのが正解じゃな」

 

 なんとも信じがたいことだ。しかし、夢遊病や異常なまでの回復力はエルキドゥというサーヴァントのお陰だとすれば、いろいろ納得もいく。

 

「うーん?いやでも、人格が二つあるなら、変わらずに御使堕しの影響は受けるのでは?」

 

「エルキドゥの特異性は他にも在っての。【対魔力】というのが極めて高いんじゃ」

 

「たいまりょく?」

 

 対魔忍的な?…………全然安心できねえ。(震え声)

 

「【対魔力】とは魔力に対する抵抗する力じゃ。それがエルキドゥは極めて高いために今回の魔術を無効化したのじゃよ」

 

「…………魔術障壁が万全なところで、何とか土御門と神裂は助かることができたってのに?」

 

「大魔術だろうがなんだろうが、物理的な攻撃力を持たねばエルキドゥに魔術はおおよそ効かん」

 

 なにそれチート?それってほとんど無敵……ってわけでもないな。魔力だけ飛ばす魔術師なんて、とあるの世界には全くいないじゃん。だいたい炎とか何かを召喚したりして、どいつもこいつも物理的な攻撃万歳じゃん。

 あ、でも呪術系なら防げるか?

 

「お、そうじゃ。呪いや病などは普通に致命傷じゃぞ」

 

 なんでさ!?

 遠坂の物理ダメージのガンドならともかく、何だその微妙な縛りは!このサーヴァント当たりなのか外れなのか何か微妙だなぁ……。

 

「そんな便利な力があるなら、俺の魔術も無効化してくれればいいのに……」

 

 つい、そんなことをブツブツ呟いてしまう。拗ねたガブリエルの姿は、それはそれは違和感バリバリだろう。

 それを聞いた神が俺の言葉を切り捨てる。

 

「アホめ。先ほど言ったであろう。エルキドゥはサポートに徹しておったのだ。それも極限までお主に関わらぬようにしてな。お主に能力が掛からぬように能力を切っておったのだから、お主に影響がでるのは当然じゃ」

 

「何でそんなことを?」

 

「共有している身体を治す程度だけならば影響はさしてないが、魂にまで魔力を通せばエルキドゥの魂にお主の魂が侵食されるぞ?」

 

 ……ファ!?

 

「そもそも、一つの身体にサーヴァントと普通の人間の魂が共存するなどありえんことじゃ。混じりあって新しい人格が生まれることもあるが、お主の場合は致命的にエルキドゥと噛み合わなかったからのぉ。魂が耐えきれず消滅するのがオチじゃった。

 表に出るときも少ない時間であることや、【完全なる形】で即席の余剰空間にお主の魂を押し込まねば、魂は間違いなく消滅していたな。

 今のお主があるのはエルキドゥがサポートに徹したためじゃぞ?エルキドゥには心から感謝せよ」

 

 

 イメージするのは[Heaven′s Feel]の片腕アーチャー士郎だろうか。もし、エルキドゥがとことん配慮し、手加減しなければああなっていた。

 とはいえ、[Heaven′s Feel]を見ていないオリ主には、イメージする事もできないのだが。

 

 

 確かに、本当にそうならエルキドゥには感謝してもし足りない。だが、少し納得できないことがある。

 

「そもそも、エルキドゥの魂が何であるんですか?エルキドゥの身体は特典改ニを付ける以外に何か理由があったんですか?」

 

 もしかして、この神は俺を使って何かしようとしてるのか?そんな疑念が沸く俺に神は言った。

 

「儂は転生させるのが与えられた役目じゃ。既にお主は儂の手から離れておる。世界を跨いで儂がお主にできることなど有りはせんよ。

 こうして話ができるのも神と人との伝令役である、ガブリエルの身体にお主が入ってるお陰じゃ。どっちかというと、儂の居るところまでアクセスしてきたのはお主のほうじゃからな?神とはいえ儂は万能ではないぞ」

 

 確かに、全知全能はゼウスぐらいしか聞いたことがないかも知れない。トールはあくまでも『とある』の世界だけだと思うし。

 神は真剣な声音で言った。

 

 

「お主の損になるようなことはせん。神に誓おう」

 

 

 お前が神やろがい!

 

 ……しかし、俺に対して嘘を言う必要もない。だって神だし。それに、反逆なんて俺にできるはずもないのだから。

 まあ、『とある』は前世で一番好きな作品だったし、特に不満という不満もないのだが。

 

「どちらにせよ、お主にできることは何もない。お主の世界の魔術師に後は任せることにせよ」

 

 そう言った後、神の声は聞こえなくなった。そうなれば、またこの世界で一人きりだ。

 

「(……することもないし、この何か無駄によく分からん知識が入ってくる場所で、ガブガブの身体でも使いながらしばらく遊ぶかー)」

 

 相変わらずオリ主は能天気だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 闇夜が支配するとある田舎の海水浴場には静けさが戻っていた。数十分前までこの場で繰り広げていた天使の猛威は既に鳴りを潜めている。それは御使堕しが解除されていたからなどという理由ではなく、もっと単純にして明確な理由だ。

 

「nisthp拘束ndッ!?」

 

 鎖の中でもがく天使を眺めながら、彼女に宿る存在は言った。

 

「僕に君を壊させないでおくれ。作り出された存在にも関わらず元の世界に帰りたいと願う君は、僕にはとても好ましい存在なんだ」

 

 




戦闘描写はまたの機会に。

あんまり意味無かったんで止めます。
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