とある原石の神造人形(エルキドゥ)   作:海鮮茶漬け

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ちょこっと修正しました


42.使い魔から見た主

 目が覚めたエルキドゥがまずしたことは、自らのマスターを探すことだった。

 

「(まさか、僕の身体の中にマスターが居るとはね。この身体も不可思議なことこの上ない。僕と同型機であるはずなのに人間として確立している。人間の子に僕の能力を移し替えたようだ)」

 

 それもそのはず、神はオリ主の原作愛を見たかったために、エルキドゥの身体に少し細工をした。

 

「(別の世界の神だとはいえ、彼らの都合で世界に生み出されたところまで共通しているとは。……身体だけではなくそういった縁もあって、ここに呼ばれたのかもしれないね)」

 

 エルキドゥはキングゥの知識を有していたこともあり、身体に記録されていた僅かな情報から、神がオリ主に隠している計略についても正確に読み取った。

 

「(神の傲慢には思うところはあるけれど、直接的な干渉は今後二度と無いようだから僕にできることはないね。マスターが望んでいないことを強要するわけにもいけない)」

 

 エルキドゥは事の真意に気付いても行動しない。それは自分で気付かない者には手を貸す義理はない、だとかいうそんな理由ではなく、もっと単純にエルキドゥというサーヴァントは兵器なのだ。

 彼はマスターに危険が迫れば忠告や警告はするが、自ら行動しようとはしない。彼は兵器として扱われることを望むサーヴァント。

 何かを強請ることも求めることもない。望むことは一つ、道具として無慈悲に使われることだけだ。

 そんな彼は自らの力で実現不可能である事柄を、わざわざマスターに伝えるなどの意味の無い行動はしない。

 危険性があるわけでもなく現状にマスターが満足しているのなら、無理をしてそれを教える必要性はないからだ。

 

 判断基準が自らの心や価値観や常識ではなく、マスターがどう思っているかを基準にしていることが、彼が自らの行動を兵器として確立していることを読み取れる。

 その思考の元となっているのは生まれ方か、あるいはウルクで死んだからか。

 

 エルキドゥの死因は神による呪いだ。そのため、呪いと病には弱くなっているがサーヴァント同士の戦いは、主に物理的な攻撃能力がものをいう。

 つまり、身体が神に作られた兵器であるエルキドゥは、ことサーヴァント同士の闘争において、キャスターなどの呪術系統の魔術を駆使する以外のサーヴァントでは、太刀打ちすることすら難しい。

 

「(魔力も聖杯から直接注がれているように豊潤だ。これはマスターというよりも、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()())」

 

 それは偶像の理論によるものだが、エルキドゥが与えられた知識は聖杯以外にオリ主の知識によるものしかない。

 なまじ聖人以外の存在は偶像の理論で説明されていないため、オリ主は仮にここに居たとしても理解できないし、エルキドゥはそもそも力の全てを理解しようとすら思わないだろう。

 あるならば使う。彼の思考は兵器なのだ。

 

 とはいえ、サーヴァントとしてのエルキドゥの力と、偶像の理論によるエネルギーがあれば、星がマスターになったときの魔力を得ることができる。

 だが、ここまで良い条件が整っているにもかかわらず、エルキドゥは力をセーブしている。兵器である彼に自重などの二文字はないはずである。では、何故力をセーブしなければならないのか。

 とどのつまり、結局はオリ主のせいである。

 

「(彼女に宝具を射つことを止めたのは、冷静になったからというだけじゃない。僕の魔力にマスターが押し潰されそうになったからだ)」

 

 魂がただの凡人であるオリ主が、エルキドゥの本気について行けるわけがない。魂が軋みを上げたため即座に解除したのだ。

 パートナーの足を引っ張るどうしようもないマスターである。

 

 しかし、エルキドゥはオリ主のことを驚くべきことにかなり慕っていた。それは、友人(一番は揺るがない)となる者の条件にオリ主が当てはまっているからだ。

 

 

 

「(マスターは博愛精神に満ち、全体主義であり、それでいて自分を第一として考える者だ。心から敬愛と感心を抱くよ)」

 

 

 

 誰だそれは?

 

 その人物には心当たりがない。

 そんなキャラクターは誰か居ただろうか?もしや、オリ主がマスターになったせいでどこか故障したのか?

 そもそも、エルキドゥが好感を抱く基準は意外と高い。

 まず、自己中心的な者が多い魔術師ではほぼ無理な上、普通の感性の持ち主でも全体主義でありながら、自分を第一にするなど少し矛盾しているのではないだろうか。

 もし、その全体主義が打算によるものだとしても、その人物が博愛精神に満ちていることなどあるのか?

 オリ主がこんな高いハードルを越えたなど、不可思議なことこの上ないが、少し冷静になって考えてみよう。無理矢理そのセリフにオリ主を当てはめるとどうなるか。

 

 

「(マスターは博愛精神に満ち(打算と人並み善意)、全体主義であり(原作崩壊させないため)、それでいて自分を第一として考える者だ(これはあってる)。心から敬愛と感心を抱くよ)」

 

 

 う、うーーん。分からなくもなくもない……かなぁ?(困惑)

 

 まあ、彼の感性を否定するのは間違っているし、そもそも何も問題はない。何故なら彼は、今まで無茶ばかりする無鉄砲を全力でカバーしてきたのだ。サーヴァントの鑑であることには変わりないのだ。

 

「(サーヴァントとして僕は君に尽くそう。例え願いを叶える為の聖杯が無いのだとしてもね。僕は君の立ち塞がる敵の悉くを破壊する。だからもし願うならば──)」

 

 例え仕組まれたものでもそうでなくとも、彼がすべきことは変わらないし、オリ主(マスター)に望むことも変わらない。

 

 

 

「どうか僕を自在に、無慈悲に使って欲しいな。マスター」

 

 

 

 




バイオハッカーの存在を最近知りました。
単行本にまとめてくれないかなぁ。
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