そんな正気を取り戻した作者の初投稿です。
「(知識によるとマスターはどこか別の身体へと行ってしまったようだ。代わりに僕の中に居るのが誰なのかは知らないけど、今は眠っててもらおう)」
余剰空間にオリ主の代わりに入った魂を無理矢理押し込み、主導権を有無を言わさず握った。出力を調整すればどうにかなるだろう。御使堕し編が終われば記憶が無く混乱する程度の被害で済むはずだ。
「(この身体に馴染まない魂だから、マスターのときよりも出力を調整しなくてはね)」
オリ主は身体だけとはいえ既に十数年過ごしたため、一般的な魂よりかはエルキドゥの出力に僅かだが耐えられた。しかし、当然魂ぶちこまれた一般人が耐性などあるはずもなく、出力を絞らなければ一瞬で消滅するだろう。
しかし、仮初めの姿とはいえ相手が天使ならば手加減などできないだろうが、今回ばかりは協力者がいる。
「──唯閃──」
斬ッ!と、切断された水翼が海辺に大きく飛沫を上げて落ちた。あの天使相手の攻撃に食らい付いていけるだけで十分すぎる戦力だ。
「(剣術だけならサーヴァントを相手にしても、食らい付いていけるかもしれないね)」
さすがに、英霊が生きていた時代では
「(彼女はあれで魔術師らしい。世界が変わるとここまで違いが出るのかな)」
エルキドゥが知ってる魔術師は近接戦闘などはしなかった。ウルクに居たときもそうだったし、参加した聖杯戦争のときもそうだった。カルデアのときも同じだ。
キャスターは罠などの搦め手を好むはずなのだが、彼女の立ち振舞いはまさに正々堂々のものであった。性能を競い合うのならこれ以上ない相手であるのだが。
「僕も見ているだけではいけないね」
振り下ろされる水翼は『
エルキドゥがした動作は一つだけだった。
「はっ!」
ドガガガガガガッッ!!、と。地面の波紋から夥しい武具が水翼に襲いかかり跡形もなくバラバラに破壊した。
それを見て神の力は前髪の奥で目を細める。
「……nitedh疑問nts?」
『天の力』は理解ができない。それは、地面から噴き出した数多の武器の群れを見たからではない。
先程まで剣を振るう魔術師と刃を幾度も交え、その魔術からある程度のこの世界の魔術基盤は理解した。ならばこそ、その魔術は人間が生み出せるものではないと判断する。
だが、その肉体は間違いなく人間のものだ。自らと同じようにこの魔術で堕ちて来たわけではないだろう。では何故?
「sbrd殲滅fehg」
──いや、疑問は浮かぶが自らの成すべきことは元の位相へと戻ること。謎は謎のままで構わず圧殺すればどうでもいい。
「(あの翼を破壊するのにも、5~10程度の武器を掃射しないといけないようだ。やはり、今の僕でも有効的な攻撃は一つしかないね)」
相手の攻撃が力を蓄えた質量ならばこちらは物量での戦法。本来の彼の実力ならば真正面から切り崩しにかかるだろうが、今のステータスはおそらくサーヴァントの中でも平均並み程度しかない。
トップレベルのサーヴァントであるエルキドゥだが、全てのステータスが軒並み2ランクも下がってしまえば、いつもの戦法は通じないのも道理だ。
迫り来る神の力の翼を高速で切り伏せながら、神裂は思考する。
「(どういうことでしょうか。以前刃を交えたときよりも力が落ちている……?)」
神裂は理解することができない。何故なら天使や悪魔などが人に取り憑けば、肉体の強度もそれに合わせて向上するのが当たり前だ。神の力が憑依しているサーシャ=クロイツェフを見ればそれが分かるだろう。
神の力に憑依されたサーシャ=クロイツェフと神裂と初めて相対したとき、彼女は高速で接近し上条当麻の首元にノコギリを添えた。
では、何故上条当麻が無実であると既に把握していた神裂は、みすみすその強攻を見逃したのか。
そして、神裂火織にさえ反応できない速度などを、普通の人間が出せるわけもないし、出せば間違いなく壊れてしまう。
ならば逆説的に必ず超常の存在が憑依した者は、その出力に耐えられる肉体へと、軒並みステータスが押し上げられるということであるはずだ。では、何故以前よりも力が下がっているのか?
神裂は知るよしもないがエルキドゥと神の力とでは勝手が違う。サーシャ=クロイツェフは偶然憑依されたというだけだ。当然、神の力は元々人間ではないのだから、聖人のような身体の類似点などはない。
それに引き換え、エルキドゥは天野倶佐利の身体を媒体に召喚されているという経緯がある。神はエルキドゥの身体に手を加えオリ主の身体を造ったため、その手を加えたところ以外はエルキドゥそのものと言ってもいい。
では、それが何に繋がるのか。私達は既にそれを知っている。
そう、偶像の理論だ。
姿や役割が似ているもの同士は互いに影響し合い、性質・状態・能力なども似てくるという魔術理論。
この偶像の理論は埒外のエネルギーを確保する事ができる。神に多少改造されたとはいえ、その身体はエルキドゥそのもの。聖人よりも遥かにその恩恵を得ることができるのである。
しかし、だからこそ一つ問題が発生する。エルキドゥが余りにも適応してしまうため、自分以外の魂が身体の中に居れば消し飛ばしてもしまうのだ。
例えるなら、中に乗る人間のことを考えずに設計されたジェット機だろうか。速さのみを追い求め世界最速のスピードを誇る物だとしても、20、30Gに人間が耐えられるはずがない。
エルキドゥが表に出てくるとオリ主が気絶するのはこれが理由である。つまりこれは、エルキドゥがそのままポックリオリ主が死なないように、出力を常に下げて気を使っているのだ。
オリ主でそれならば別の魂では尚更だ。オリ主が耐G訓練を受けているパイロットならば、今入ってきた魂はただの一般人。オリ主のときよりもさらに気を使わなくてはならない。
そのために、エルキドゥは出力を抑えている。だが、今回ばかりは全力を出せる方法があった。
中に居るその魂を押し潰してしまえばいい。
その誰かは自らのマスターではないのだから、そのまま消し飛ばしてもエルキドゥには関係はない。それこそ、身体がその影響でエルキドゥに限りなく近付いても、御使堕しが解ける前に元の天野倶佐利の身体へと、スキルの【変容】を使って身体を戻してしまえばいいだけの話だ。
それに対するエルキドゥの答えは簡潔なものだった。
「(僕は敵対してはいない人間を殺す趣味はないし、あの心優しいマスターはそんなことをした僕にいい気はしないだろう)」
ここで一つ勘違い。エルキドゥは身体の記録から、オリ主が今まで何をしてきたかを読み取ったがそれはあくまでも記録。オリ主が何を想い行動してきたかの理由には触れなかった。
そのため、オリ主を他のキャラクター達同様に勘違いしてしまったのだ。
「(分かってはいたけれどかなり出力が出せないね。宝具の使用はできない。つまり、彼女が人類の脅威となっても僕はその恩恵を引き出すことができない)」
エルキドゥは互いの性能差を比べ、このままでは敗北することを察する。全力ならまだしもここまでハンデがあると、流石のエルキドゥでも対処が難しかった。
そして、恥というものが一切無い彼は当然のように隣の彼女に問い掛けた。
「ねえ、君。彼女の倒し方に心当たりはないのかい?」
「ッ……それは!不可能なんですッ!天使とは私達とは位階が違い、ます!から!倒せるなんてできない……ッ!もし、そんな方法が分かっているなら!今こうして刃を振るっている……とッ…………思いますかッ!?」
神裂火織キレる。
地面から武器を生成し掃射しているエルキドゥとは違い、今なお襲いかかる水翼を神裂はその身一つで対処している。しゃべる余裕があるのはエルキドゥだけであるのは自ずとわかるだろう。
必要なことだとはいえ、全速力で必死に走ってる人に対して「もっと何か楽な方法があるんじゃない?」と、並走する車から聞くぐらいの暴挙である。
こういうところは、やはりエルキドゥというべきか。
「少し彼女を止めてくれれば勝機はあるよ」
「!……本当ですか!?」
「うん。僕の力の中には彼女のような存在に、絶対的な力を有する物がある」
「それも、彼女を消滅させずに済むやり方があるよ。さあ、どうする?」
パターンが変わった。
人間達が個人での迎撃から共同での迎撃スタイルへと変えたようだ。
「シッ!!」
真正面からの攻撃には神裂の七天七刀とワイヤーを使って、水翼を粉砕。
「はあッ!」
左右からの攻撃には地面を触手のように使い、その先を武器へと変えた不可解な攻撃で打ち砕く。
前衛後衛の役割分担。やってることは変わらないがチームプレイになっため、先程よりもそれぞれ余裕が生まれている。
「fpn不遜rstmg」
抗い続ける人間に神の力は苛立ちを覚える。神の力としては持久戦へと持ち込み自滅するのを待っていたが、こうなっては余りにも時間がかかりすぎる。
ならば、こちらも戦い方を変えよう。
すると、ブワッ!と背中の水翼が一斉に天へと伸びた。天を衝くようなその光景は幻想的で神秘的のものだ。
だが忘れてはならない。その翼の一つ一つの一撃で地形が変わってしまうのだと。その強力な翼を集めた神の力は、
全てを纏めて一斉に振り下ろした。
「!?」
ゴオッ!!と、風が吹き荒れる音と共に、破壊の権化が地球という星へと向かう。
神の力がとった行動は明解にして最適解だ。それこそ戦法とも言えない力業である。先ほどまでの戦術をまとめて放り出したかのような単純なもの。
しかし、その一撃の重さは片手間で防げるようなものではないし、何よりラグが一切無い。それは、それぞれの水翼による潰し合いも不可能に近いということ。
あの一撃は未だ嘗て無い地震を生み出し、ここら一体は衝撃で吹き飛ばされることになる。そして、次は津波による被害が日本だけではなく、世界中の人々の多くを死に至らしめるだろう。
神裂火織の目の前には黒い壁があった。
空を夜へと変えられたこともあり辺りは薄暗くなっている。水翼が深い藍色だとしても、この空に加えて覆うように展開したこの一撃は、月明かりが影になった漆黒へと変貌していた。
一面を覆う黒。
破壊の権化そのものであった。
「(しかし、諦めるわけにはいかない……ッ!!)」
自分を殺したあと、この力は上条親子に向く。儀式を止めるために動く上条親子は、天の力の『一掃』に反抗するだろう。
そうなれば、天使はあの親子を間違いなく殺して『一掃』を発動させる。そうして、次は世界中に居る罪無き人々も虐殺するだろう。
「そんなものは認めない!させてたまるかッ!!」
ミシッッ!!と、神裂は強く七天七刀を握り締める。
神裂は『選ばれた』人間だった。
12歳の若さで
飛行機の墜落では自分以外が全員死んだ。
敵組織の襲撃を受ければその弾丸や凶刃は決まって、隣に居る誰かへと吸い込まれていくかのように突き刺さった。
そんな幸運ばかりの人生を生きてきた神裂は一人苦悩してきた。
何故、神は救う人間と救わない人間を区別するのか。地獄など行かせずに全員を天国に連れて行けばいいのに。
何故、幸運を自分などに与えたのか。他の誰かに与えてくれればよかったのに。
『選ばれた』人間が生き残るために『選ばれなかった』人間は踏み台にされていく。アジトを爆破されたときにこんな自分を庇った男の子が、こっちを見て笑いながら死んでいくことがまかり通るなど間違っている。
そんな風に目の前で『選ばれなかった』人が『選ばれた』人間のために死んでいくなんて、……そんなものは二度とごめんだッ!
「──神様。貴方が『選ばれなかった』人々を救わないのならば、私が代わりにその人々を一人残さず救い出す」
魔術師が戦闘の前に最初に言うことが習わしである殺し名。だが、神裂は場合は少し異なる。
神裂は他の魔術師とは変わった人間だった。利己的に自らの願いを求め、立ち塞がる敵をを排除するのが一般的だとするならば、神裂が込める意味はその逆。
静謐な
「誓いを再び今ここに。──
キュガッッ!!!!と、不自然に空気を鳴らしたような音のあと、黒い壁の一切が計八本の煌めく閃光に、まとめて吹き飛ばされた。
爆発でもあったかのように吹き飛ぶ幾つもの水翼がそこにはあった。天使の一撃を人間が防ぐというあり得ないことが起こる。それは、人間という種が示した可能性そのものだった。
──しかし、神の力の顔は微塵も変わらない。
必殺の一手を目の前で粉々にされても神の力に焦りはない。翼などは水さえあれば幾らでも作り出せるのだから。
このまま圧殺すれば、あの血塗れの人間が壊れることはもう分かっている。あとは、『一掃』の準備が終わるまでに妨害をしてきそうな、後ろに居るもう一人を仕留めれば……
そこで神の力は疑問を浮かべた。
───もう一人はどこだ?
「今、気を弛めたね」
「!?」
ジャラララララ!!!!、と。背後から声が聞こえた途端に、身体に巻き付く何か。神の力は知らないだろうが、それは下界では鎖と呼ばれる鉄で作られたものだ。──一般的には。
「nitciru破壊uierg───ッ!?」
力付くで逃げようとしても脱出ができない。天使を下界に留めるには神殿を造るなどのやり方はあるが、こんな小規模の道具で拘束などできるわけがない。
そこでふと気付いた。この鎖は先程までの武具の数々とは違い、自分達天界に住むものにとって絶対的な何かがあると。
「その鎖は少々特殊でね。君たちのような存在には決してほどけることはないよ」
天の鎖。神性が高ければ高いほど頑丈になる力を持つ鎖。例え、全力の力ではなくとも、『天使の力』の塊である天使ならば絶対に逃がすことはない。
神裂が体を引き摺りながらこちらに近付いてくる。
「はぁっはぁっ…………天使であれば撃墜術式などを使うこともないという予測が当たりましたね」
天使には当然の如くそんな術式は通じない。悪魔に堕ちるときは何かしらの命令系統のバグのため、飛行術式を改良すればどうなるというものではない。
しかし、それは逆も同じこと。あのような強力な攻撃手段を持ちながら、人間用の術式などを修めているわけもない。そのため、普段では使えないような飛行術式も使用することができる。
「(とはいえ、貴方の飛行も私達とは違うようですがね)協力感謝します。貴方がいなければ敗北していたかもしれません」
「君の考えた作戦が上手くいったようだね」
「ええ。とはいえ運の要素も無かったとは言えません。先ほどの攻撃然り、神の力の油断がなければ間違いなく敗北していたでしょう」
そこまで言うと、神裂は不可思議な鎖で縛られている神の力に視線を向ける。
「神の力、貴方は私を持久戦で倒そうとしていました。ならば、私達が戦法を変えて一塊になるとしたら、一撃で殺す方法へと変えるはずだと考えましたが、上手く行ったようで助かりました」
「その合理的な攻撃は僕達の姿を一時的に隠すことになる。彼女が攻撃したのと同時に砂浜を潜り、海へと潜って飛行し君の背後を取る。
僕の力を目にすれば君は対策を立てただろうからね。ずっと物量頼りの戦い方をしていたんだ。君なら一瞬で危険なものだと気づくだろうから」
実際にそうなるかどうかは大分賭けではあった。
それこそ、新たな戦法を用いて攻撃してくる可能性も十分にあったのだから。しかし、神裂に対して持久戦による自滅を謀ったことから、この展開に神裂は賭けたのだ。
「fgkbnm退避hcdg……!?」
超常の存在の言う通り神の力は、どうやらその場から動くことすらできないらしい。天使を統括するような存在なのか、もしや悪魔の類いなのか。神裂には未だに検討もつかない。
「nitsyd不快efh……ッ!」
「君の身体の主導権は僕が握っている。君の翼はほぼ無効化できるからこれ以上の戦闘はお勧めはしないよ。それでも戦うと言うのなら僕は君を壊さなくてはならない」
それでも抗い続けた神の力であったが、結局その拘束を解くことはできず、最後は時間切れとなった。
神裂達の上を通過する一条の閃光。
それが上条宅付近へと向かっていき、その輝く着弾の光がこの
──何だこれ!?全身ベッタベッタで気持ち悪っ!?
というか、とある科学の超電磁砲Tが始まる前に、軍覇を出そうと思ってたのに物語が全然進んでない!(驚愕)
アニメの前に軍覇がどんなキャラか説明して、アニメを視聴してもらうつもりだったのに……!
※ここからはネタバレを含み、なおかつ原作組(新訳読破済み)にしか間違いなく分からないと思います。
感想欄を見て幻想殺しと理想送りを作者なりに考察してみました。そうしてみると、つくづく対極な能力だと思います。その理由を述べていきます。しかし、ただの考察なので興味があれば見てください。
まず、一つ目は力の本質。
魔神達の言っていることが本当ならば、幻想殺しは魔神達が存在しているだけで及ぼす影響を、打ち消して元の世界がどういうものかの『基準点』となる力。
そして、理想送りは幻想殺しがその受け止めきれる限界があることなど、その性能に不備を見つけたために新たに願われた、いくら影響を与えても復元する仮初めの世界『新天地』へ行くための力。
つまり、幻想殺しは本物の世界で生きていくために必要な力で、理想送りは偽物の世界で生きていくために必要な力なのではないだろうか?
二つ目は力の指向性。
幻想殺しと理想送りの違いの最たるものは、遠距離での攻撃ができるかどうか。これは、幻想殺しにはない理想送りのみに付与された力だとは思っていないか?
別に作者も幻想殺しが遠距離攻撃をできると言いたいわけではない。あの竜は幻想殺しとは別だと原作でも説明されている。
理想送りが右手の影を通して『外』へ能力を向ける力だとするなら、幻想殺しはその逆、つまり『内』に向かって効力を発揮しているのだ。上条の中にあるものを打ち消すために。
つまり、幻想殺しは理想送り同様に、能力が右手以外にも存在していることになる。
それについては原作でもブラックボックスのために考察は止めておく。
三つ目は力の相違点
1、幻想殺しは触れた異能の物を一撃で消し飛ばすが、理想送りには対象を吹き飛ばすラグあり、表層から深層に段々と伝わっていくこと。
2、千切れたとしても幻想殺しは所有者の腕に返ってくる(vsフィアンマ)のに対し、理想送りは別の所有者の手に渡る(vs木原唯一)点。これは、幻想殺しが特定の所有者の右手に能力が宿るのに対し、理想送りは右手が特定の所有者に宿るか決める力だと考えられる。
3、一つ目の力の本質と重なるが、幻想殺しは基準点として幻想を消滅させるのに対し、理想送りは幻想を作り出す能力であること。
ここで、多くの読者(新訳まで読破済み)はあり得ないと思っただろう。
何故なら、所有者となった木原唯一が「理想送りは抹消ソフトに近い」と述べているからだ。抹消ソフトならば幻想殺しと近い能力かと考えるかもしれないが、そうではない。いや、その考え方事態ではない。上里や唯一などの理想送りの所有者からすればそう認識できるというだけなのだ。ならば、魔神視点ではどうなるのか?
魔神視点だと、理想送りはいくら破壊しても大丈夫な『世界を創造』した力なのだ。
そして、これが最後の4。幻想殺しが世界を元通りにするための直接的な力なら、理想送りは間接的な力。つまり、創造した世界である『新天地』へと繋げるための扉のこそが理想送り。その『新天地』こそが真髄なのではと思う。
ちなみにですが、能力の同じところは右手自体にも能力の影響があるところです。影ができない暗闇で幻想殺しと理想送りがぶつかったのにも関わらず、能力が発動した描写や、上里が右手をはめて追放された描写からもそれは明らかでしょう。
禁書には幻想殺しを始め、右手に関する能力が幾つか出てきます。おそらく、聖書の「神の右の御手」になぞらえていらっしゃるのでしょう。そのため、左手ではなく共通した右手なのだと思います。
以上が作者の考察です。見てくれた人に感謝を。