とある原石の神造人形(エルキドゥ) 作:海鮮茶漬け
「みんなここは絶対に凌いで!」
『了解っ!』
パワードスーツと
裏方で働いている人間も当然いるのだ。パワードスーツに対抗するための人員を合わせようとすると、各支部から裏方以外の風紀委員の全てが持ち場にいないこととなってしまう。
そのため、スリーマンセルで当たるのが最適なのだが、ツーマンセルでパワードスーツと相対する組みも出てきてしまう。
「パワードスーツの攻撃を二人で防ぐことができて良かったわ……。そうじゃなきゃ能力者にかかる負担が大きすぎたはずだもの」
風紀委員にも能力者の人員はいるが、治安の問題のために全ての人員は確保できない。御坂さんが常盤台から何人かの生徒を集めてくれたが、それでようやく拮抗する戦力だ。
「(このままいけば戦線を保つことはできる。でも、何か不測の事態になったときに、そっち側に回す余裕はないわね……)」
全員が今出せる全てを出して事に当たってくれているが、集中力がいつまでも続くわけがない。もし集中力が切れて何らかのミスが起こるのは大惨事だ。
「(何かあと一手!一手あれば……っ!)」
無い物ねだりだとしても望んでしまう。何かしらの打開策があればそれだけ個々人が余裕を持って戦える。
だが、今出せる全ての戦力は既に投入済みなのだ。そんなものが都合良く現れるはずが───
「ふっ!!」
ドガァアッッ!!と、まるでトラックが激突するかのような轟音と共に、目の前に迫っていたパワードスーツが近くの壁へ勢い良くぶつかっていった。
「は?」
不可解な出来事に硬直してしまう。高速で横から飛んできた何かがパワードスーツを蹴り飛ばしたのだろう。あくまで何かを蹴り飛ばした後の姿勢を見ての推察でしかないのだが。
「(一体、あれは……?まさか増援……?御坂さんが他にも声を掛けていたの?)」
思考を回すために僅かに注意が逸れてしまった。それが固法の命運を分けた。
目の前の人物が視界から消えたと同時に、脇の下から手が伸びて自身の胸を掴んだのだ。
「うひゃあっ!?」
「『うふふふっ相変わらず立派なものをお持ちですのね。この手にかかる重さも懐かしい──……おや?なんだかあの頃よりもさらに重量感があるような……?
ま、まさか、まだ伸び代があるとでもいいますの!?そんな馬鹿な!?どこまで進化をすれば気が済むんですのこのお胸は!?こんなもの、既に物理法則の外にまで飛躍しているッ!?
…………しかし、この世界に存在しているのですから、物理法則の中にあることは変えられない事実。では、なぜこのような致命的な誤差が生まれたのでしょうか?
いくらあの牛乳にそのような効果があったとしても、ここまで大きくなるなど計算が合わないはずですのに…………いや、もしやスケールが私の予測を超越している……!?
ま、まさか地球の物理学では計算ができないということなのでは!?
この現象を理解するためには地球ではなく、宇宙の理論を当てはめることが正しいということ。
一般相対理論で光の速度は変わらないのに対し、宇宙は常に膨張していますの。そのため宇宙の広さを正確に測ることは、星々の輝きを観測しても不可能。つまり、これこそが誤差の原因……!
ということは、逆説的にこのお胸を解析していけば宇宙の神秘を解き明かすことも遠くない未来にはできるのでは……?』」
レザージャケット越しとはいえ、自身の胸をいきなり掴まれた。というかそのまま揉まれ続けている。
白昼堂々現れたそんなことをする変態野郎には、全くもって遠慮というものがなかった。がしっではなく、ぐわしっという感じでずっと揉みしだいてやがるのだ。
そしてこのイヤに身に覚えがあるシチュエーションに、目を逆三角にした固法はその手をぐわしっと掴む。「へ?」と間抜けな声を出した襲撃者の視点が一瞬で裏返った。
「人の後輩に化けて何を語ってんのよッ!!」
それは綺麗な背負い投げだった。
速く、鋭く、素早く、なにより重い一撃だった。
だが、その一撃が決まるかどうかはまた別の話。
「『──よっと、全く今の背負い投げが決まっていたらどうするつもりでしたの?アスファルトに背負い投げなど普通の人間でしたら重傷ですのよ?』」
「素でパワードスーツを蹴り飛ばすような女に、この程度の一撃が通じるわけがないでしょうがッ!」
忌々しいド変態である。
「『そのご様子では私の正体までしっかりと、認識されてしまっているようですわね』」
そういうとウェーブがかった長い髪が、さらに長い長髪へと伸び等身も見下ろしていた小柄な体躯から、見上げる程の身長へと伸びていた。
いつもは余裕あるお姉さんとして白井や初春の前では振る舞っているが、額に井桁を浮かび上がらせてぶちギレていた。
「それで何で呼んでもないのにここに居るのかしら?天野倶佐利さん?」
「そんなに怒るほどのことでもないだろう?僕と君との長年のコミュニケーションじゃないか」
「へぇ……、私がいつそのコミュニケーションの方法を了承したのか、是非教えて欲しいわねぇ……?」
そんな風に固法と仲良く(?)話しているのは天野倶佐利だ。彼女は白井と以前バディを組む前に、177支部を出入りをしていた。
とはいえ、固法や白井とは違い正式な風紀委員ではなく、御坂美琴のように民間人の協力者として事件で関わることが多く、いつの間にか居るのが当たり前になったというだけなのだが。
しかし、ここ最近はめっきり関わることもなかったため、今では連絡を取り合うこともなかった。
そんな彼女は帽子を目深に被り、
「すまないね。僕にもやることがあるんだ。こうして正体不明の飛び入りとして振る舞っているのが限界なんだよ」
それは本当に振る舞っているのか?
「そのお詫びにこの機械をある程度まで減らすから、それで許しておくれ」
「はぁ……、あなたって本当に暗躍が好きよね。大概は上手くいかないくせに」
「あらかじめ手を打てば最悪の状況にはならないからね。僕は慎重なんだよ。……それと、さりげなく言った上手くいかないという言葉には反論するよ」
「でも、事実じゃない」
そんな会話をしながらパワードスーツ相手に、徒手空拳でどうにかする長い黒髪に帽子を被った女。周りからは珍妙な行動ばかりするヤベー奴認定を食らっていることに、どうやら気づいていないようだ。
「ある程度まで減らしたら別のところにも行くよ。そしたら戦闘行為も帳消しにしておくれ」
「ええ、それに関しては協力志願の要請をあらかじめ受けたことにしてあげる。……でも、さっきのセクハラはしょっぴいてあげるから覚悟なさい」
先程の暴行を許した訳ではなかったのだ。婦女の暴行の現行犯で捕まえてやると割りとマジで考えていた。
そんな彼女の様子を見た天野倶佐利は、何でもないかのようにその事実を言った。
「ふむ、そうなるとさっき僕がコピーした君の後輩である彼女は、明らかに僕よりも罪状が上のようだけど、彼女も連行するのかい?」
「…………」
固法美偉は悔しげに唇を噛み締めた。
人通りの少ない関係者専用通路を、コツコツと靴を鳴らし四人の少女達が歩いていく。四人には当然音を出さずに歩くことなど造作もないが、これは蹂躙のためバレたらバレたで全員潰せばいいだけだ。
「…………」
「あーあ、麦野完璧にキレてるよねーこれ。私達も今回何かミスったらただじゃ済まないんじゃない?……はぁー、本当に散々って訳よ」
「それはそうかもしれませんが、……あの、麦野の怒りがこっちに向きそうなこと超言わないでもらえますか?死ぬのはフレンダだけにしてくださいよ。超迷惑なんで」
「……うん、私も今回はそう思う」
「うええっ!?あの滝壺が応援までしてくれないの!?私そんな地雷踏んだ!?」
「おい、うるせぇぞテメェら!……それ以上騒ぐようなら強制的に口を閉ざしてやるわよ」
『…………』
何を書いてんでしょうね。書いてる最中も書き終わった後もてんで意味がわからないや。
あと、風紀を乱すと言えば巨乳Tシャツの奴も大概では?
ちなみに、固法先輩は作者の一番好きな女キャラだったりします。黒髪セミロングでメガネをかけた面倒見がいい美人なお姉さん。その上cv植田さんですからね。
他にあんまり固法先輩推しがいなくて悲しいです。
どうかレールガンでもっと出番が増えてくれっ