とある原石の神造人形(エルキドゥ) 作:海鮮茶漬け
姫神のセリフの区切りがが読点(、)ではなく句点(。)でしたので、変えときました。
カエル顔の医者が勤めている病院を出た俺達は、上条とインデックスが住む学生寮へと行くこととなった。別に疲れたから上条の部屋でのんびりと過ごすというわけではない。
端的に俺達はミニマムな先生からお叱りを受けていた。
「上条ちゃん、先生は上条ちゃんをクラスきっての問題児だと思っていますが、それでも根は真っ直ぐな良い子だと思っています。ですから、あの話の真意を先生は聞きたいのですよ」
「えーと、小萌先生?急に畏まってどうしたんですか?話があるからって俺の部屋まで入ってもらいましたけど、ここまできても上条さんにはさっぱりなんですが。
つーか、クラス一番の問題児は俺じゃなくて、土御門や青髪でしょ。あの全性癖コンプリート野郎とシスコン軍曹よりも上だとか、流石の上条さんも素通りできないわけで」
「ううん。上条くんは間違いなくクラス一。自信を持っていい」
「……あの姫神さん?あなた今日やって来た転校生ですよね?」
そう上条に答えたのは俺の知らない所で見せ場が終わり、二度目の登場でもある転校してきた日は、インデックスと
学年が違うためそもそも出会わず、小萌先生に紹介されなければ、今日この日が初めて会うこととなったに違いない。
ちなみに、姫神は
何故彼女がこの部屋に居るのかというと、この集まりは彼女が発端だからだ。
彼女は長い黒髪のロングで無表情という、ありきたりな風貌のためヤンチャな変人ばかり居る上条のクラスでは、どうしても地味な女の子に分類されてしまう姫神はその事実を話し出した。
「インデックスがしゃべっているのを私は聞いた」
「私?」
目を真ん丸にしてインデックスがコテンと首を傾げる。全くもって心当たりが無いのだろう。
「それで、一体なんの話なんだよ。
いやいや、
それより、戦闘が終わった直後で、もう既に夕日が出てしまっているのに何を話すというのか。
俺もこのあと休むつもりだったのに、全く勘弁して欲しいものである。まあ、姫神との会話は「初めまして、姫神秋沙です」という言葉以外は聞いたこと無いから、話してみたかったのは本当だけど。
というか、ろくに話したことすら無いにもかかわらず、俺に何を言いたいのだろうか。純粋に気になるな。
姫神は上条のその言葉を聞き、どこか言いにくそうにしながらもその衝撃の事実を言った。
「三人は◆◆◆◆◆◆◆◆の関係で。昨日は上条くんがインデックスを縄で■■■■に縛って。その状態のインデックスに見せ付けるように朝まで天野倶佐利と●●●●し続け。▲▲▲▲▲をさせていた。と」
「────はあ!?」
あー、なるほど。それかー(白い目)
あの日、風斬にセクハラをかますために、誤解を適当に流していたところに、この地味子は偶然通りがかったようだ。
…………え?居た?気配を全く感じなかったけど、もしかしてエルキドゥの直感(気配察知)すり抜けたの?本当に人間?
「先生は君達のような年頃の子が、そういう事に関心や興味を持つことは理解できているつもりですし、大人が目くじらを立てて介入し過ぎるのは先生もどうかと思います。
しかしですね、何事にも程度というものがあって、三人の取り巻く状況は余りにも逸脱し過ぎです。
特に今回のような今後の人生を左右する事では、刹那的な行動は控えるべきですし、先生としては三人とも健全なお付き合いを、それぞれしてもらいたいのです。
刺激的な事を求めてしまうのは、思春期を迎えている君達にはよくあることですが、ぶっちゃけ盛るにも程度があるだろ問題児共、というのが先生の本音でしてね?
難しいかもしれませんがもう少し理性を働かせて欲しい訳ですよ。分かりましたか三人とも?まだ分からないようでしたら先生としても、上に掛け合わなくちゃならないのです。
…………いえ、今の状況でもアウトです。ギリギリなんてちゃちな事は言いません。デッドラインにヘッドスライディングをかましている事に、マジで三人には気付いて欲しいですよ」
いつものように語尾を長音で伸ばさない、先生然とした小萌先生は本当にマジのガチだった。
あの善人の代表のような彼女がキレていることから、相当今回の話は退っ引きならない事態なのだと、俺はようやく身に染みた。
……そうだ。俺達は子供(オリ主は中身は三十路)でまだ責任一つ取れないような存在でしかないんだ……!
そんな身で思春期の衝動に流されちゃあいけn…………………
あれ?ガチの説教食らって雰囲気に流されそうになったけど、これってそもそも全部勘違いじゃね?
「待て待て待て待て!なんだよそりゃあ!?俺がそんなことするはずがないでしょうが!?冤罪だ!事実無根だ!!」
「!?!?!?!?」
上条が珍しく顔を赤くして声を上げた。
そりゃそうだよな。いきなりとんでもないアブノーマルな性癖の持ち主で、その上女の子二人(一人は精神的に男)を手込めにしているなんて、素面じゃ聞いてられねぇわ。
インデックスはその反対に、顔を真っ赤にして口をパクパクしていた。おそらくインデックスはそっちの知識が乏しいため、所々分からない部分があったはずだが、姫神がほとんど直接的に言ったために、重要な所が理解できてしまったようだ。
神話なんかでも性行為くらいは書かれているし、その言葉を知らないことは……まあ無いわな。
「……先生としても実は事の真意を聞くためにここに来ました。三人がそんな事をするとはそもそも思えませんでしたしね。じゃあ、姫神ちゃんの聞いたことは全部聞き間違いと言うことでいいのですね?」
「ええ、そりゃあもちろん。というか、違うと思ってたんなら何であんな説教したんですか?先生って別に説教したいとか、そういう人じゃ無いですよね?」
そうだ。小萌先生は学生のときに嫌だと感じたことはしない、ということを決めていて、抜き打ちテストの類いはしたことが無いなど、生徒目線に常に立ってくれる良い先生なのだ。
そんな小萌先生が説教をどこかのツンツン頭とは違って、好き好んでやるわけがないのだ。
『とある』特有の、相手の言い分を聞かないノリなのかもしれないけど。
「……そうですか。上条ちゃんがそう言うなら先生としても信じてあげたいのです。
──なら、これが一体どういうことなのか、ちゃんと説明してもらえるのですよね?」
そう言って背後から取り出したのはホームセンターに売られている、ノコギリやバーベルなどよりも遥かに庶民にとって、馴染み深く使い勝手の良い物だ。
登山などのアウトドアや工事現場などでも使われる、頑丈でありながら柔軟性を兼ね備え、実用性が高くコストが低い便利グッズ。
要するに麻縄。つまり、ロープである。
それは、間違いなく
「先生としても三人を信じたかったのですよ。でも部屋の隅にこんな決定的な証拠が在ったら、確信するしかないじゃないですか!!」
感情が振り切れて涙を浮かべている小萌先生。
……いや、先生違うよ?違くないけど違うんだわ……。
「あっ……、いや、それは闇咲の奴がしたのであって、俺は別にインデックスを縛ったという訳じゃ……」
「何ですか!?また他の女の子を手込めにしてるんですかアンタ!?流石に先生も体罰と言われようとも拳を振るいますよ!?」
更なる
あと、何気に闇咲が女の子にされている件について。あのガタイで女の子は流石に無理あるだろぉ……。
闇咲も可哀想にな。確かに、ツンデレツンデレ言ってたけどまさか想像で女体化させられるなんて(憐憫)
流石クールジャパン。やることがクレイジーだぜっ!
そして、というか。やっぱり俺にもとうとう火の粉が降りかかってきた。
「天野ちゃんとインデックスちゃんにも、あなたって最年長だとか修道女だとか、まーだまだいろいろ言いたいことはありますが、まずは一つ絶対に確認しておかなくてはならないことがあります」
そう言って話しかけて来た小萌先生は、135㎝という身長にもかかわらず大人の表情をしており、その佇まいは彼女が責任感のある大人であることを雄弁に語っている。
嘘は許さないと言葉にしなくても分かるほどの、真剣な目で俺達の目を見詰めながら、小萌先生はその言葉を言った。
「
ゴボォブハァッ!?!?!?!?(吐血)
俺は血を吐いた。
いや、物理的には吐いてはいないが俺の魂が吐血した。自分で何を言っているのか分からないが、俺はどこかに致命傷になる傷を負ったのだ。エルキドゥの動作しかできないというのが、功をそうしたらしい。
おそらく、本物のエルキドゥも吐血ぐらいはするかもしれないが、ギャグで吐血はおそらくしないキャラなのだろう。
………………いや、俺はマジで致命傷なのだが。
「いやいやいやいや、先生!?何言ってるんですか!?赤ん坊なんて居るわけないでしょうが!!」
「ええいっ!ちょっとアンタは黙ってなさいのですよ!
せめて学生寮にビニール紐じゃなくて、麻縄なんていう物があることを、理路整然と言える言い訳ができるまでそこでステイっ!」
まるで上条の扱いが犬だが、
だが、小萌先生から一方的に言葉をぶつけられ続ける上条ではない。当然、上条は言い返そうとした。だが、一つ疑問に思う。
「(…………………………………………なんて言おう?)」
上条は考える。仮に昨日のバイオレンスな一夜を正直に伝えたとして、果たして信じてもらえるだろうか?と。
勘違いがフルスロットルなここでは、この場を取り仕切る小萌先生は絶対的な支配者だ。ならば、当然どのように麻縄を使ったのか説明しなければならない。
しかし麻縄は闇咲が用意したもので、上条が買ったわけではないのだから、日常で使う用途などまず有りはしない。
さて、一体なんと言えば……?
「赤ちゃんは居るのですか。居ないのですか?そこで君達の処遇が決まってしまいます。
ですけど、安心してください。仮にどうなったとしても先生は、最後の最後まであなた達に付き合うことをここに誓うのです。日陰になんて居させやしません!必ず皆笑顔で正しい道を歩ませてみますよ!!」
なんて良い先生なのだろうか。道を間違った生徒を正しい道へと戻すのは並大抵の苦労ではない。先生としての理想像ではあるが、それを実際に実行へと移れるのは一握りのはずだ。
生活指導へとぶん投げて、必要最低限の言葉と処置だけする先生だって居ないことはない。
それに対しこの小さな先生は無責任などではなく、しっかりと責任を持って最後まで付き合うのだという。感動で涙しか出ない。
──これで本当に俺達が酒池肉林をしていたら。
「あうあうあうあう……」
隣のインデックスは可哀想なくらい顔を真っ赤にして、瞳に涙を浮かべ言語化できない言葉を言っていた。
あっ、可愛い(脳死)
あーいや、それよりもさっさと否定した方が良いと思うよ?言わないと誤解は解けないからね。
え?俺は否定しないのかって?ああ、俺なら……
「」(まっしろ)
言葉を受け止めきれずに灰になってるけど?
いや……ちょっと待てって……。恋仲なんていうのにも受け止められるか分からないのに、赤ん坊……?
ははっ、この人が何を言っているか俺分からないなー。
…………もう、帰っていいですか?(死んだ目)
「さあ、天野ちゃん。それで妊娠しているのですか!どうなのですか!ここはなあなあにはしておけません!正直に言ってもらいますからね!」
ヤメロォ!もう、そっち関係の単語を俺にぶつけるのはヤメロォ!!こっちはもう致命傷なんだよ!(切実)
通常攻撃が二回攻撃なんてレベルじゃなくて、全部必殺技なんですけど!?どういうことなのこれ?MPは無限なの?
それからも話は続き、真っ白になった俺と真っ赤になったインデックスから、妊娠してないという言質を小萌先生は取って、再び俺達三人に説教を始めた。
その説教の合間に俺達は事実無根であることを、悪戦苦闘してなんとか理解してもらうのだが、それができたのは日が明けたてしまった翌日。
こうして、当然のことだが俺と上条は、まさかの二徹を味わうこととなったのだった。
ちなみに、今回の発端である姫神は、「眠たいから私は寝る」と本当に寝だし、余計なスパイスを投入しやがったスフィンクスは、仰向けで無防備に腹を出しながら爆睡していた。
なんか分からんけど無性に腹立つなコイツら。
ただの二徹ならともかく、連日で戦闘をしたのだから疲労はピーク。当然の如く初っぱなの授業で爆睡した。
そんな俺に周りの生徒や先生は驚いていたけど、流石に取り繕えるかい!一切周りを気にせず眠りましたとも。
いつも守ってきたルーティンをぶち壊した今日は、なかなかに痛快ではあったが、明日クラスメイトの対応を考えると実に面倒だ。
はぁ、とため息が出てしまうが、こればかりは仕方がないだろう。
だが今日の予定はもう終わりのため、今日こそはゆっくりと家でまったりする事を誓ったのだった。
誓ったのだが……。
「(え、なんか目の前に居るー)」
後日、出歩いてみると、風斬氷華が街中に普通に居た。
Weak Critical!!
言葉の刃が突き刺さりましたねー。致命傷を負ったオリ主。因果応報ですね。ニッコリ