とある原石の神造人形(エルキドゥ)   作:海鮮茶漬け

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多分次の投稿は明日かな?しゃーない、だって区切りよかったんだもの

200文字加筆


66.迷宮無しの名探偵

 あれれ?おかしいぞ~?あそこにやたらスタイルがいい、おどおど系メガネ女子がいる気がするなー。

 

 え?お前見えなくなったんじゃないの?こんな原作乖離は流石に予測してないんだけど?(困惑)

 今回はハチャメチャに物語を引っ掻き回したが、結果として事件の解決は上条とインデックスの二人で成し遂げた。俺の今回の影響はゼロのはずなのに、何故風斬はまだ俺達に見えるのだろう?

 

 彼女の名は風斬(かざきり)氷華(ひょうか)。彼女は正体不明(カウンターストップ)と呼ばれ、かつて姫神(ひめがみ)秋沙(あいさ)が在籍していた霧ヶ丘女学院で、首席の成績を取っていた生徒だ。

 だが、姫神は一度も風斬を見たことはなく、学園都市を裏で牛耳る虚数学区・五行機関の鍵などという噂があったりと、実に怪しい女の子である。

 まあ、その実態は学園都市に居る能力者が生み出し続ける、AIM拡散力場の集合体なのだが。で、そんな彼女を俺が見ることができるということは……。

 

「(AIM拡散力場が学園都市に俺が居ることで、何か変調をきたしている……?いや、もしかしてアレイスターが計画(プラン)を短縮するために、俺と風斬を使って何かをする気なのか?)」

 

 一体それがどのようなバタフライエフェクトなのか、答えを導き出すことすら俺にはできない。

 仮定をして元に戻す対策を練ってみるが、アレイスターの計画は複雑過ぎて、どれくらい本筋から外れるのかが予測できないのが現状だ。

 

「(ヤバいヤバいヤバいヤバい!『とある魔術の禁書目録』はアレイスターの計画を基に進んでいく。アレイスターが方針を変えたら原作が全く違うものになるじゃねえか!こんな旧約の序盤で原作崩壊なんてもうどうにもできないぞ!?)」

 

 確かに、アレイスターの計画はどんなに横道へズレようとも、最後には最終目標へと達成するようにできている。

 だが、それは原作でも(新約22巻まで)まだ明らかにされていないのだ。それこそ、新約のオティヌスが現れるまで乖離したままなんていう、ふざけた未来が待っているのかもしれない。

 そんな先まで思考を回していたが、見ていれば簡単に気付くことに、今更ながらようやく気付いた。

 

「(()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()())」

 

 そう、目の前に居るにも関わらず、誰も風斬の方を見ようとしない。それどころか見間違いでなければ、身体を素通りしているようにも見える。

 

「(……ちょっと待てよ。俺の勘違いでなければもしかしてそういうことか?いや、でも何で俺は風斬が見えるんだ?)」

 

 頭の中で疑問がたくさん浮かぶが、このまま素通りするよりは、何かしらアクションを取った方が建設的だ。

 ということで、新しくコピーした彼女の力を使おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風斬は『陽炎の街』を一人歩いていた。

 その街は上条やインデックスがいる世界とは、類似していても決定的に何かが違っていた。ビル清掃員は揺らぎと共に杖を持つ老婆に変わったり、建設中のビルが揺らいだかと思えば小学校になっていたりなど、一秒一秒でその姿は簡単に変わってしまう。

 ここはおそらく数多の能力者のAIM拡散力場が生み出す、虚構の世界なのだろう。だが、全てがそうというわけではない。

 変わる人も居ればそのまま変わらない人も居る。それはおそらく、現実の世界とこの世界が地続きだからだ。

 変わらない人は現実の世界の住人なのだが、風斬に気付くことはない。文字通り住んでいる世界が違うからだ。風斬の姿は見えず、どんなに声を挙げても決して届かない。

 だから、あの白いシスター服を着ている女の子の肩に、触れられた時は驚いたし、自身の声が届いた時は嬉しかったのだ。

 だが、あれが限り無く可能性が低い奇跡だったのは、風斬には分かっていた。

 だから、泣きそうな顔で問うインデックスに、せめて言葉だけでもと、笑いながら再び会う約束をしたのだ。

 それが、どれだけ可能性が薄いのだとしても。

 

 風斬は帰ってきた。

 いや、帰ってしまったというべきか。

 

 誰もが自分を素通りしていく世界。誰かの触れ合いや笑顔をショーウインドーから眺める、そんな孤独な街へと。

 だから、それは風斬にとっては全くの予想外であった。

 

 

 

 

『あー、テステス。そこの眼鏡をかけた女子生徒。こちら風紀委員(ジャッジメント)第177支部。聞こえてるなら今すぐそこから立ち去りなさいっ!』

 

「ひっ!ご、ごめんなさ……………………………あれ?」

 

 

 

 

 反射的に謝ってしまってから気付く。

 

「え?え?何で……?何で声が聞こえるの?それに、この感じはこの前の?」

 

 誰も自分に話し掛けない世界で、突然声をかけられた風斬はそれはもう驚いた。

 言ってしまえばこの世界は携帯の電波が届かない、圏外のような世界だ。自分から送信することはできないし、相手から受信することもできない。

 自分ができるのは外の世界を盗み見ることだけ。

 

 だが、その声は間違いなく自分に向けて声を投げ掛けていた。それは言った言葉と自分が類似しているわけではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 風斬が振り返るとそこに彼女は居た。あの時会った、生真面目そうで少々強気な表情をしている風紀委員の少女だ。

 しかし、風斬は知っている。限り無くあの時の少女に似ているが一ヶ所だけ全く違うところを。

 とあることが切っ掛けで少し苦手意識を抱いている、特徴的な髪色の少女と同じ色をしていたのだ。

 彼女の能力を風斬は実際に目の前で見て知っていたし、何よりも自分では絶対にできない、前衛的な明るいヘラカラーだったため、記憶に焼き付いていた。

 

『おっと、その様子じゃ聞こえているみたいね。試してみるもんだわ!それじゃあ、昨日振りね』

 

 元の人間とは全く違うハキハキとした態度に困惑しつつも、風斬はその言葉をしっかりと記憶した。

 

 

『世界第二位の原石にして、大能力者(レベル4)の変身能力者であり、上条当麻の先輩の天野倶佐利よ。よろしく』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 精神感応(テレパス)を使って風斬にナンパをしてみると、いい感じに釣れた。ゲヘヘヘッこの小娘を美味しく頂いてやるぜっ、などというのは需要が全く無いので、さっさと話を聞こう。

 

『それで、どうして私にはあなたが見えるのかしら?』

 

「さ、さあ?……どっちかって言うと、私の方が知りたいです……」

 

 そんな感じで実にあやふやな答えだった。まあ、風斬としても予想外だったらしく、一切の情報がなかった。

 えぇ……。俺も何一つ分からないんだから、このままじゃ迷宮入りだぞ。

 

「それよりも……どうして精神感応で話してるんですか?普通に話せばいいのに……」

 

『それじゃあ、アレイスターの奴に気付かれて私が消されるでしょ。あなたと違って私は計画(プラン)とは関係無いんだし』

 

「え?……消される……?一体何の話を……?」

 

 俺の死亡フラグの話だよ。

 

 それよりも何かないか?こう、ビビっ!とやティンっ!と来る感じの直感的な何か感じない?風斬だけがこう何て言うか、受信できる何かがきっとあるんじゃね?(曖昧さ必中)

 

「…………」

 

 ……おっと?この反応もしかして何か心当たりがある感じ?

 

「えっと、でも……」

 

 情報が何にも無いこの状況は、直感的な意見も有難いんだから、まずは好きに言っちゃえ!言っちゃえ!

 へへっ!俺は知ってるんだ。こう言うときの直感は案外的を射たものが多いってな!

 そのクソデカメガネもあの身体は子供、頭脳は大人の探偵を真似てだろう?

 うんうん、風斬も身体は…………文句なしに大人だな。

 あっ、でも頭脳は子どm…………AIM拡散力場の頭脳は子供なのだろうか?

 う、うーん。あの東の高校生探偵(ネタバレ)よりも存在が面倒臭いぞこいつ……。

 まあ、こういうときキーパーソンって相場が決まってるんだ。さあ!事件解決のためのその一言を言っちゃいNA☆

 

 

 

 

 

 

「あの……もしかして、あなたは私のお姉ちゃんですか……?」

 

 ……お前小五郎かよ!?

 

 




自称ばっかだこのオリ主ェ……。合間に本当の事を混ぜる高等テクニック(?)

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