「こんなところに呼ばれた理由を聞いてもいいかい?」
そこは、四方をガラス貼りにされた、余りにも見晴らしのいい場所だった。
「決まっているだろう。お前と話をするためだけど」
「なら、学校でもいい気がするけどね」
「馬鹿か。それじゃあお前の能力を受けることになるだろう。
いや、正確には
彼女は統括理事会のある男のブレインである、雲川芹亜。学校で学年、クラス、年齢を教師や生徒も知らないという謎多き少女だ。
その容姿は、セミロングの黒髪を前髪だけ、カチューシャでオールバックにする髪型であり、年齢不相応に豊満な胸を持ったヘソだし女子高生?である。(断定は不可)
実は、エルキドゥの体に憑依してから会いたくなかった一人だ。
エルキドゥの言動ではなく自分の本心を出すと、顔全体の筋肉が死に、さらには、口も動かせなくなる。その解決策として精神の中で本心を話し、肉体ではエルキドゥの言動をオートでするという技術を身に付けたが、この女は危険だ。
食蜂操祈はとあるの新約で一巻まるごと話があったが、この雲川芹亜という女子高生は、土御門元春との異色の戦いをした描写以外は、特に詳しく書かれていなかった。
この女の精神性が上条当麻や食蜂操祈と違って、全く分からない。
それにも関わらず、人心掌握が武器など鬼門でしかないのだ。エルキドゥの言動を越えて本心を見破られる可能性がある。
「君なら知ってるだろう?僕の能力、
「ああ、もちろん知ってるけど。だけど、どこまで
奴の能力は奴自身でも、多くのリモコンのボタンで区分しなければならない程に、出来ることの幅が広い能力だ。だから、劣化したとしてもどこまで出来るのか、確実な予測が出来ないんだよ」
さすが、学園都市統括理事会のブレイン。リスクマネジメントが適切だ。だーから、こいつとは関わりたくないんだよなぁ。
と言っているが実は出番が少ないとはいえ、目の前の相手は割りと好きなキャラである。
この巨乳オールバック先輩は初春飾利と同じで、能力なしで有能なんだよ。
能力バトルの世界でそういったキャラが、戦場で活躍するのは胸が踊るものである。うむ、実にロマンが分かっている(木原犬風)
だが、敵となれば面倒なことこの上ない。
「そこまで警戒していて、どうして僕の前に現れたんだい?」
「お前には聞きたいことがある。だが、お前相手では私もそれ相応に対抗手段を選らばなければならない。
例えば、四方をガラス貼りの部屋にお前を呼び、360度どこからでも射撃出来るようにしておくとかな」
こっわ……。(ドン引き)
何こいつ?考えることエグすぎじゃね?(恐怖)
能力使ったら頭撃たれるってこと?あっ、もしかしてあそこにある赤い染みって、レーザーポインターか?
なんか目をつけられたから、心証悪くないように来たのに、知らん間に命の危機じゃねぇか……だ、大丈夫。誠意を伝えればきっと分かってくれるさ!
「ここに来た時点で、僕が何かするつもりがないのはわかっているだろう?」
「確かに。だが、お前の能力は万能過ぎる。これくらいの保険は普通だけど」
どこの普通だ。
ここまでする奴が普通を語るな。
「買いかぶり過ぎだと思うけどね。今の僕はリモコンも持ってないだろう?」
「そんなものは、二つ、三つ能力を使うだけならリモコンで区分ける必要もないことだ。
それにそう卑下するものじゃないだろう。
そう、俺の能力は体を変化した相手の能力しか真似をできず、二つの能力を同時に使うことが出来ない。
それは、学園都市の望む多重能力者ではなかった。模倣した能力が数段落ちたことと合わせて、この名前が付けられた。
まぁ、自分としてはこれでよかったと思うんだけどね。
多重能力者とか、確か学園都市の目指してるものの一つでしょ?確実に危険な目に遭うよねー。学園都市だし。
超能力者にならないために、髪の色だけ変えないようにしているのも、危険から遠ざかるためだしな。あと、個性が薄くなるからって側面もあるんだゾ☆
実はメタモルフォーゼだけで言えば、相手を完璧にコピーできるから超能力者並みなんだよなぁ。(余裕の笑み)
超能力者になったら一年前のお目々しいたけみたいに、命を狙われることになるかもしれないしね。
「それで、僕をここに呼んだ理由は?」
「お前はどうして上条当麻と関わっている?」
ん?上条?何で?
「奴の右手をお前は知ってるだろうけど、それを何かに利用するつもりか?」
あぁーなるほど。
あれ、ぶっ壊れ能力だもんなぁ。……いやまあ、後からそんなの目じゃないくらいの、能力持った奴等がたくさん現れるんだけどさ。
「いや、そんな予定はないね」
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。今は信用して置こう」
ダウトだ(確信)
こんなに分かりやすい嘘が今まであっただろうか。
何だそのアホみたいに長い沈黙は。いくら何でも長すぎだろ。信用の意味知ってる?あと、こんな問答をするために、ここに連れてこられたか俺?
「それで、話は終わりかな?じゃあ、僕は「いや、待て。これはついでに聞くんだが」」
ついで?こいつに何か聞かれるようなことは、もうないと思うんだがなぁ。すでに調べてるだろうし。一体何を──
「奴のことをどう思っている?」
それが本命だろ
今日は奴を呼び出し、何を考えているか聞き出すことにした。
「お前には聞きたいことがある。だが、お前相手では私もそれ相応に対抗手段を選らなければならない。
例えば、四方をガラス貼りの部屋にお前を呼び、360度どこからでも射撃出来るようにしておくとかな」
まず、場を精神的に支配するために脅してみたが、浮かべていた微笑が消えたな。
だが、感情が読めん。表情全てから色が消えた。恐怖を隠すためか?いや、それならあの箇所の表情筋が必ず動く。
……やはり、こいつは相手にしにくい。
こいつはこの私がプロファイリングしても、人間像がうまく掴めなかった特異な存在。
掴めそうになると
そのうえ、普段の行動でも飄々としていて誘導しづらい相手でもある。
「買いかぶり過ぎだと思うけどね。今の僕はリモコンも持ってないだろう?」
「そんなものは、二つ、三つ能力を使うだけならリモコンで区分ける必要もないことだ。
それにそう卑下するものじゃないだろう。
これは、本心だ。確かに能力も、変身もコピーする際にどこかしら欠落するとはいえ、使いこなせれば強力な武器となる。
本当はこちら側に引き込みたいが、如何せんこいつは信用できん。まあ、それだけが全てではないがな。
そして、奴のことを聞いてみたがいつもの微笑で返された。やはり何一つ読めん女だ。まるで、決められた通りに動くアンドロイドのようだな。
だが、まあ、これは聞いておこう。何となく、そう何となくでしかないのだけど。
「奴のことをどう思っている?」
「後輩のことかい?何をするか読めなくて面白いと思うよ」
「それじゃあ、後輩以上には見ていないということか?」
「さあ?それはどうだろうね」
ええい、ちょこざいな!言葉を濁しやがって!はっきりと明言しろ!あそこまで関わっておきながら、彼に何も想わないわけがないだろうが!
「だけど、君は彼に選ばれる可能性は低いと思うな」
「あ"あん!?」
その言葉に私の感情が振りきれた。
こいつ、周囲から銃口を向けられていることを忘れてるんじゃないだろうな。
まあ、私がこんなことじゃ手を下さないと踏んでのことだろうが。統括理事会のブレインとして、底が知られる行為はできんからな。
「お前は知らないだろうが、彼の好みは寮の管理人のお姉さんだ。つまり、年上であり
そして、私は奴に向かって胸を張って見せた。前から思っていたが、彼に頼れる先輩と思われるのは、私だけでいいと思っていたんだ。それを、この場で証明してくれる。
「それを本気で言っているのだとしたら、彼を分かっていないと言わざるをえないね」
「……ほほう?この私が彼の考えを読み間違えると?まさか、思春期特有の背伸びか何かだと思っているのか?
だとしたら残念だったな。彼は友人との会話で嘘を吐くことはないぞ」
「いや、そうではないよ。彼の好みはおそらく本物だろう。君が言ったように彼が嘘をつくとは思えない。
だけど、僕が言っているのは彼の好みではなく、彼の本質の話だ」
……本質だと?それが今の話にどういう関係がある?
「彼はどんな相手でも救おうとする人間だ。その対象が誰であっても、変わることはないだろうね。では、彼の恋仲となる女性はどんな人間なのか?
そんな彼の隣に収まるのは、頼れる女性ではないんだよ。その逆に、可憐で守る印象が強い線の細い女の子だ」
「……」
「それに対し君は、
「…………」
「さらに、彼はその精神の強さからか、心の繋がりを大事にしている人間だ。それなのに、僕を警戒して君は最近彼と会っていないだろう?」
「………………」
「君も彼の本質がどういう影響を与えるのか、薄々気付いてるんじゃないかな?」
「……………………」
「はっきり言ってしまうと無理だと思うよ」
「…………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………
…………………………………………」
長い沈黙の後、雲川芹亜が親指と中指を合わせて音を鳴らした。
危ねぇ……。蜂の巣になるところだった(冷や汗)
いやー、ついつい、からかうのが楽しくてスナイパーのこと忘れてたな!!
ミコっちゃんになって建物を垂直に降りて逃げたけど、磁力の操作を途中でミスって死ぬかと思ったぜ!
その後はただひたすらに、自分が絶対に行かないところへ磁力使って逃げたけど、それがうまいこと追っ手を撒くことに繋がったんだなぁ。
「ここに来るということは貴女も関係者ですか」
何故か無人の道路で、刀を持つ変な服を着た痴女が立っていた。