とある原石の神造人形(エルキドゥ)   作:海鮮茶漬け

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映画のため内容が濃すぎるので、飛ばし飛ばしで重要なとこだけ書いていきたいと思ってます。でも、序盤だけは詳しく書くことにします。重要なところですので

要するに、伏線のための章と言うことですね



エンデュミオンの奇蹟
91.日常の過ごし方


 雀の鳴き声で目を覚ました。朝チュンというやつである。

 ……いや、別にいかがわしい意味ではなく。ベランダから雀の鳴き声が聞こえたのだ。

 でも、だからといって寝てるベッドの隣に誰もいないというわけではない。

 

「スゥー……スゥー……えへへ」

 

 なんということでしょう。目を開ければそこには銀髪美少女が安らかな寝息を立てているではありませんか。昨夜の暴食ぶりがまるで嘘のようです。

 羊肉をかぶり付いていた大きな口は閉じられ、薄く息を吐いているその様子は、まごうことなき可憐な少女。匠(料理人)の手によってあの獰猛な肉食獣の姿は跡形もありません。今ここに夢のシチュエーションが完成致しました。

 それでは、上条さんの反応を見てみましょう。

 

「……そういえば、後輩はバスタブで寝ているんだったね」

 

 寝起きのせいか馬鹿なモノローグを差し込んでしまった。もしかしたら、目の前にいる美少女のことを、上条と共有したかったのかもしれない。

 

「(てっきり、どこかに歯形でもできるのかと思ってたけど、何もなくてなりよりだ。寝る寸前まで耳が噛り取られるかもしれないってビビってたし)」

 

 あの上顎と下顎に噛み付かれれば、冗談ではなく本当に身体のどこかが失っても不思議ではない。それこそ、「くさりは私と一緒に寝るのイヤ?」と、上目遣いで言われていなければ絶対にしなかった。

 そんなことを思い出しながらあることを思い出す。

 

「もう九時か、時間まであと少しだね。今日は休日だから仕方ないけど遅れるわけにもいかない。今回は仕方ないと言えば仕方ないけど」

 

 というか俺が無理だった。

 だって昨日は腹刺されるわぶっ飛ばされるわで、いくらなんでも色々あり過ぎた。それなのに、上条の家で腹ペコシスターのために料理したんだよ?

 みさきち達を送り届けたあと、空間移動(テレポート)で家に速攻で帰宅し、血みどろの服を急いで着替えてそのまま上条の家で料理したから、精神的にも肉体的にも疲労困憊だ。

 一応腹ペコシスターのために、面白い作り方のクッキーを手土産にしてご機嫌取りをしたところ、なんかイギリスっていうよりは宗教的に馴染み深いものだったらしくて好評で、長い間待たせたのはそれでチャラになったらしい。

 ……あと、「記憶は無いから知識だけで知ってたけど、修道女としていつか食べて見たかったんだよ!ありがとうくさり!」なんて言われたから、近いうちにまた作ってあげようかなんて思ったり。

 

 さて、そんなわけで完食したのが朝の三時。

 帰っても良かったのだがインデックスに、「時間も遅いから泊まっていくといいんだよ!」と、無垢な目線で言われてしまい。男の家で一夜を過ごすという一大イベントが起きることとなった(一夜の半分は血みどろの戦闘)。

 まあ、相変わらずというべきか上条は風呂場で寝ているみたいだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 微睡みの中その声は聞こえてきた。

 

「…………こ……はい……こうは……」

 

「う、うぅん……」

 

 昨日の夜は走り回ったせいで疲労が溜まっていることもあり、もっと眠っていたいと本能が目覚めることを拒む。しかし、変わらずにその穏やかな声は上から囁きかけるように耳に届いた。

 

「……ほら、時間だよ──。目を──んだ

 

「……じ、かん……?」

 

 無理な体勢で寝ていたこともあり、体の節々が痛みを発する。しかし、遅刻に関するフレーズは上条当麻には効果抜群なため、無理矢理寝ぼけ(まなこ)でその声の方に視線を向けると、

 

 

 

「やあ、おはよう。後輩」

 

「」

 

 

 

 浴槽の縁に両手を着けてしゃがんだ体勢で、自分のことを優しげな視線で見下ろす先輩の顔がそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(いやー、焦ったぁ。起こしに行って目が覚めたと思ったら硬直して動かなくなるんだもの。石化の魔眼でも宿したのかと思ったぜ)」

 

 瞳孔から何まで微動だにしない人間というのは恐怖である。それを今日は学んだ。あの剥製みたいなビー玉のような目で見られるのはマジで怖い。呼び掛けても反応しないからなおさら怖い。

 ビビった俺は笑顔で退散すると、ベッドで寝ているインデックスへと突撃し、「ふえ!?に、にゃに!?なにが起きたんだよ!?」と混乱するインデックスを問答無用で抱き締めた。

 髪を撫でたりしていると気持ちが落ち着いてきたので、鎮静剤としての作用はバッチリであったことをここに明記しておく。

 困惑しっぱなしだったが途中から、「……どうしたの?大丈夫?」と言ってくれたインデックスには、また今度何かご馳走してあげようと誓った。あれがシスターか。

 ……なんかテンパると毎回インデックスに甘えている気がする。アニマルセラピーかな?

 

 落ち着いた俺のもとに上条が戻ってきたのだが、なにやら様子が変わっていた。詳しく話を聞くと、どうやら俺が目を覚ましに行った記憶がすっぽりとなくなっているようだ。

 なに?そんなにショッキングだった?自分で言うのもあれだけどかなりの美形だと思うんだけど……。まあ、浴槽で長い長髪の女がニヤニヤしながら見てたら怖いか。怖いな(納得)。

 くしゃくしゃにしてしまったインデックスの髪を解かしていると、そういえば、と上条が前置きして言った。

 

「先輩ってカラコン入れてます?()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ああ、これか……」 

 

 これは昨日みさきち達にも言われた。灰色から青緑色になったのにはもちろん心当たりはある。多分だけどエルキドゥとコミュニケーションを取った後で身体を渡したから、親和性みたいのが上がったせいだと思う。

 とはいえ、それをそのまま伝えるのはできないため適当に言葉を濁す。

 

「原石だからね。目の色くらいその気になれば変えられるさ」

 

「……マジで?」

 

「マジだよ」

 

 説明にもなってない説明で、無理矢理納得させようとするオリ主。エルキドゥ関連の話だからこれ以上話を広げたくないのである。強引にも程があるが。

 それに対して「やっぱり先輩ってスゲー」などと、隣の後輩から思われていることを、焦っているオリ主は知るよしもない。

 そんなこんなで着々と身支度を整え、オリ主が二人に声をかける。

 

「それじゃあ、そろそろ行こうか」

 

「そうですね。おい、インデックスもう行くぞ!」

 

「うん、分かったんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数十分後。

 病院の通路に設置されている待合椅子で、頬に紅葉が浮き出たツンツン頭の少年が不貞腐れたように座っていた。

 

「不幸だ……」

 

「ふんっ、とうまはもっと反省するといいんだよ」

 

「今回はさすがに擁護できないかな」

 

 ずーんと、落ち込む上条。でも今回はそう言われても仕方ないと思う。ノックもなしに年頃の少女の病室に入るのは、さすが主人公だよ。

 まあ、原作でも不幸の幾つかは、上条自身の不注意やうっかりとからしいし、上条なら普通にありえるのかもしれない。気落ちしてくたびれた上条にインデックスが追撃を仕掛ける。

 

「それで、とうまはあのツインテールに格好良さげなセリフを言っておきながら、なんの成果も持って帰らなかったんだね」

 

「うっ!?い、いや、白井の予測ルート辿ったら既にアタッシュケースがぶっ壊れてて、その運んでたらしき女の子も倒れてたんだって!誰かさんが人知れず壊してくれてたんだよな。いやー、親切な人も居たもんだなぁ」

 

「とうま!とうま!こんなこと滅多に言わないけど言うね!今までの中で一番格好悪い!」

 

「ゴバァッ!?」

 

 上条を一撃でノックアウトにしたインデックスは、上条を無視して近くの自動販売機のルーレットに興味津々である。慈悲はないようだ。

 

 そんなこんなで、手土産もオセロと御坂妹の二人に渡してお見舞いもを済まし、病院から出ることとなった。

 時刻はだいたい十一時前ぐらいだろうか。そして、病院を出ると同時に二人に伝える。

 

「それじゃあ、僕はここで君達とは別行動することにしようかな」

 

「そうですか。……あっ、そうだ先輩。昨日はありがとうございました!」

 

「君も体を張った当事者の一人だろう?ふふっ、君は本当に見ていて飽きないね。では、またね」

 

「うんっ、またねくさり!」

 

 そうして二人と別れて学園都市の街並みを一人歩く。すれ違う人々からその奇抜な髪色に視線を向けられるが、それらを一切無視してオリ主は頷きながら思う。

 

「(上条とは適度な距離感じゃないとヒロインにされちゃうからな。目指すは吹寄ポジション!頑張れ俺!)」

 

 自らのあるべき姿を目指し人知れず誓うオリ主。しかし、オリ主は忘れていた。

 オリ主が目指している吹寄は、上条の自宅までわざわざご飯を作りに行くこともなければ、インデックスと仲良く超機動少女(マジカルパワード)カナミンを観ることなど、万が一にもあるわけがないことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな感じで街中をブラブラしながら歩くと、既に昼の12時を回っていた。学園都市には興味深い物ばかりで時間が経つのが早く感じる。

 そんなのほほんと街を散策していると、俺の前で突如異変が起った。

 

 ズバチィッ!!という凄まじい音と共に電光が瞬いたのだ。

 

 一瞬呆けたがすぐさま思考を切り替え、騒動の中心であるファーストフード店に突っ込んでいく。

 こんな人通りの多いファーストフード店で高圧電流とか馬鹿じゃないの?目立つにも程があるだろ警備員のお縄になりたいのか?

 一体どういった理由d──ん?高圧電流?

 

 店内に入ると同時にふと思い立った予想が、正しいものだったことを店内の様子を見て理解した。

 

「ったく、それ以上近付くな変態!あのリアルゲコ太先生に一日で動けるようにしてもらったのに、暴れてんじゃないわよ!」

 

「もう御坂さん。それだと白井さんは喜んじゃいますから。こういうときは放置が一番ですよ」

 

「おーい、初春ー?かわいい初春のダークな部分が出ちゃってるよー?」

 

「お、お姉様……そんなつれないところもス・テ・キ♡」

 

「ね?」

 

「はぁ……」

 

 どうやら、いつもの仲良し四人組らしかった。アニメでは微笑ましいで終わったのだが、彼女達のせいで近くのカップルが破局する危機に陥っていた。

 まあ、怒鳴り散らす少女達がいるところで、デートをしたいのは少数だろう。

 

「(どうやら店員も困っているようだし、ここは()()としてお灸を据えるべきだな)」

 

 そう判断するとオリ主は彼女達の方へ足を進めたのだった。




初春と佐天の登場をお待ちの人。お待たせいたしました。ようやく出せました。上条とは如何せん絡みがないから出せないんですよね。

オリ主の行動を滞空回線で覗き見すると、また違った受け取りかたになります。それも結局は勘違いになるんですけど
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