とある原石の神造人形(エルキドゥ)   作:海鮮茶漬け

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最近黒髪ロングの美少女キャラばっか出てきますよねこの小説
おそらく、あと2話でこの章は終わると思います。


97.運が良い女の子

「ほらほら、佐天さんいつもの元気はどこにいったんですか!もっと楽しみましょうよぉ」

 

「無理無理無理無理っ。このスカート(たけ)短いし私にこんな可愛い衣装とか似合わないし何よりも人多すぎぃっ!!」

 

 舞台袖にいた佐天さんを初春が腕を引っ張りながら、壇上に連れてくる。

 あー佐天さんが可愛いんじゃ~。こういう普通の感性というか恥じらいがあるとこが、佐天さんのいいところなんだよなぁ。

 そんなことを思っているとミコっちゃんがこっちに話し掛けてきた。

 

「えーと、あ、天野さんはやっぱり緊張しないんですね。やっぱり常盤台出身だからですか?」

 

「そうだね。かつては曲がりなりにも派閥を率いていたから、この程度の状況は慣れているんだ。例のイベントの最多参加者でもあるし」

 

「あー、なるほど。淑女会合か……」

 

 そう、あのイベントのせいで(オリ主発案)見世物にさせるのは既に慣れてしまっている。それに、コスプレか本職が手配したガチの衣装かを比べれば、どちらがまともなんて言うまでもないことだ。オリ主はもう何も怖くない。

 

「あと、佐天さんの話だと勘違いしませんでしたか?佐天さんが天野さんだって知って舞い上がっちゃって」

 

「確かに、勘違いはしたけど何もないようで何よりさ。今日は偶然(変装のため)髪を染めていてよかったよ。僕の髪色じゃあ派手すぎるからね」

 

 主役のアイドルより目立つ緑髪の女なんて最悪そのものだろう。話題をかっさらう気なのか疑いたくもなる。

 

「それと、敬語が慣れないならしなくてもいいよ。後輩と同じ口調で構わない。君にはそっちの方が似合ってるしね」

 

「あ、あはは~……(恩人に対して言えないってぇ~)」

 

 いろいろな事情があり「あ、そう?じゃあそうさせてもらうわね」とは口が裂けても言えない彼女は、人知れず胃をキリキリ痛めていた。

 それに対しオリ主はと言うと

 

「(ミコっちゃんって敬語使うシーンがあんまりないから、違和感しかないんだよなー。おもいっきり喧嘩して一緒に戦ったから、戦友扱いしてくれないかな?)」

 

 微塵も気にしてはいなかった。

 原作キャラかつ日常で普通に話すことができる時点で、ポイントが鰻上がりだ。言ってしまえばそこら辺の禍根は、一切合切無くなっているのである。今まで恨み言一つ無いのがその証拠だろう。

 本人に聞いても「あー、そんなこともあったなぁ」ぐらいの反応しか返っては来ないのが現実である。

 

 

 ※ちなみにだが、おかしいのは明らかにオリ主であり、御坂美琴は正常であることをここに明記しておく。

 

 

 そんなことを考えていても周りのことは案外見えているもので、佐天さんは相変わらず及び腰だった。それを見た俺は彼女の手を握る。

 

「……え?」

 

「僕達はあくまでも彼女のサポート役でおまけだ。そんなに肩肘張る必要はないよ」

 

 前を見ながら佐天さんに話し掛ける。別にファッションショーではないのだから、横にいるオマケ同士で手を繋いでも気にするような奴はまずいない。手を繋いだから目立つというわけでもないしな。

 

「で、でも私みんなみたいに可愛くないし、こんなヒラヒラな衣装とか似合わなくないですか?」

 

「僕はそうは思わないかな。君も充分魅力的だと思うよ。容姿も整っているし黒髪だって綺麗だ。同年代の女の子に羨望を向けられる女の子だと思うけどね」

 

「いや、あの、えと……」

 

「君は胸を張って堂々としていればいい。恥ずかしいことなんて一つも無いよ」

 

 うんうん、佐天さんは卑屈なところも良いところだけど、女子力のステータスはぶっちぎりの断トツだ。言ってはなんだがヤバい奴ばかりの『とある』の中で、普通の感性を持つというだけでもかなりの好評価である。

 『とある』で彼女にしたい女キャラ前俺ランキングでは堂々の一位だ。可愛いは正義。

 

 そんなわけで、こうして話すのは幸せの一言であり、佐天さんが上目遣いでこちらを見上げてくるのは最高に可愛い。

 ……だけど、佐天さんや。今、俺達撮影されてるんやで?(青髪ピアス風)

 ちょっとばかしこっち見すぎじゃないですかね?

 佐天さんからの熱視線はバッチコイだけど、今は状況が状況じゃない?佐天さんにはそんな気はないだろうけど、俺達に百合の花が咲き乱れることを想像するアホが現れるかもしれない。

 そうなると、俺の昔のツレが…………ぶっちゃけると常盤台時代の派閥の奴達が、押し寄せて来る可能性があるんだわ(震え声)

 基本的に良い子達なんだけど、派閥が産まれた経緯もあれだから、統制もみさきちほどできてなくて何人かは過激派の奴らが居るんだよね。

 卒業とかもあってそのまま放逐しちゃったから、性癖が治ってない奴等がいるんだよな。

 

 ベッドの上で目を覚ますと、目の前に雌の肉食獣が涎を滴らせながら上に跨るとか、そんな中学時代とか何なの?

 

 そのときはどうにかなったけど、もし俺が百合を許容したなんて話が出回ればどうなるかなんて火を見るよりも明らかだ。

 俺はあのとき知った。どんなに可愛くてもぐいぐい来られると逃げたくなるのは、動物の本能なのだと。

 なんなのあの積極性?とても中学生とはとても思えない。あの学校に居たってことはお嬢様ですよねあなた?

 さすが学園都市、個性豊かな子供ばかりだなー(遠い目)

 

 一抹の不安を抱えながら写真撮影をしていると、ふと視界の隅に見知ったツンツン頭が映る。

 

 

「(んんっっ!?!?)」

 

 

 バッ!と振り向きたい衝動を抑えつつ、視線だけ一瞬その人物に向けたあとにすぐさま前にへと戻す。オリ主は信じられない者を見て驚愕していた。

 

「(ちょっ、なんでここにあのツンツン頭がっ!?補習行ってんじゃねえの!?)」

 

 混乱の極致であった。

 今の姿は今まで上条に植え付けていた印象を、全て破壊するかのようなはしゃぎっぷりだ。百人見れば百人がそう思うだろう。

 頼れてミステリアスな女子力MAXの年上の先輩美少女という、これまで頑張って形成してきたイメージが、この一瞬で崩れてしまうことになるのではと懸念を募らせ、オリ主は冷や汗が止まらなくなっていた。

 

「(こ、これはイロモノじゃないよな!?だってヒロイン格のミコっちゃんを含めてみんな着てるし。イロモノのそのものであるオセロが車椅子で着てない以上は、逆に衣装を着ている俺が正常なのでは!?)」

 

 見栄云々よりもイロモノ属性を恐れる花の女子校生。なんかもういろいろと残念すぎていた。当の上条は既に離れてしまっていることにすら気付いていない。

 オリ主はその間、訳のわからない理論を何度も展開していた。

 

「(もちつけもちつけもちつけぇッッ!!)」

 

「?……天野さん?」

 

 佐天さんが俺に疑問の声を上げると同時に、会場の電気がいきなり落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何よこれ!?」

 

「ヤバい!早く逃げろおおおお!!!!」

 

 ドガァァアアアアン!!と、どこからともなく響く爆発音に、会場中が大パニックだ。その上、爆発の影響で建物の鉄材が周囲の人間に降り注ぐ。

 

「黒子!」

 

「はい、ですの!」

 

 黒子に初春さんと佐天さんを空間移動(テレポート)で避難させて、二人の無事を確保させる。

 

「(くっ……!いくらなんでも数が多すぎるっ!)」

 

 そう思いながらも、目の前にいるアリサさんの頭上に倒れてくる大きな鉄の柱を磁力を使い変形させ、安全地帯を形成する。これぐらいなら難なく彼女は実行することができる。

 だが、会場の複雑さや降り注ぐ鉄材の多さから鑑みても、一斉にこれをするのは余りにも手が足りないのは見れば明らかだ。

 

 しかし、そんな彼女に助太刀が入る。

 

「『私が左側を受け持つわ!アンタは右側をッ!』」

 

「っ!……分かったわ!」

 

 自らと全く同じ口調と電磁波を受けて一瞬硬直するが、すぐに再起動し右側に意識を向けて行動する。

 たった一人の増援。心許ない数ではあるが、それが『御坂美琴』ならば話は違う。

 

「『はあああああああああッッ!!!!』」

 

 ガッ!ゴッ!ガンッ!ドンッ!と、無差別に落下する鉄材が一ヵ所に集まるように落下していく。

 あの辺りはどちらかというと人も少なく広い空白の空間がある。そのため、能力が劣化してしまうデメリットを鑑みて、自らの最善を叩き出せる場所を受け持ったのだろう。

 

「(それをあの一瞬で……いくらなんでも空間把握能力が異次元すぎるわ。──でも、それでどうにかなるッ!)」

 

 範囲が絞れるならば学園都市第三位にとって、この程度は苦でもなんでも無い。電磁レーダーを使い人の場所を把握し、人のいない場所に糸を通すかのように落下させてく。

 

「(よし、これなら──)」

 

 ここまでは好調だった。だからこそそれが隙となったのだろう。

 天野さんの頭上にさっきアリサさんの上へと落ちた、大きな鉄の柱と類似したものが倒れていった。

 

「『このッ……!』」

 

 それを磁力の放射を全開にし寸前で受け止めた。あの重量とあのタイミングではそれも仕方無い。

 だが、それのせいで天野さんは他から意識が離れることになる。そうなれば結果は分かりきっていた。

 

「『しま……ッ!!』」

 

 磁力でかき集めることができずに、鉄材が重力の通りに落下していく。その落下先にはぬいぐるみを持ちながら泣き叫ぶ女の子がいた。おそらく、母親と離れてしまったのだろう。

 そんな彼女に質量の塊が無慈悲に押し潰さんとしている。

 

「(ここからなら届く?いや、そうしたら私もこっちが疎かになる。そうしたら鉄材の側にいる人達が落下した鉄材の雪崩に押し潰される。なら、超電磁砲(レールガン)で?

 無理。その威力のせいで今度こそ完璧にこの建物は崩落する。被害に遭う人を増やすだけ)」

 

 頭を回し最善策を見付けようとするが、出てくるのは不可能の三文字。もう助けようがないという事実だけだ。

 その結果を一秒先は子供の死。その瞬間を私は見ることしかできなかった。

 

 

 

 だが、絶望が生み出されるまさにその寸前、──奇蹟は起きた。

 

 

 

 倒れる鉄の柱の側面に当たるように別の柱が倒れ込んできたのだ。その衝撃で柱は軌道を変え、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

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 うって変わって静寂に包まれた周囲を見て、私は驚愕した。

 

「……まさか、全員無事なの……?そんなことって……」

 

 目の前に起きているにもかかわらず、未だに光景を信じられない。半分は天野さんが引き受けてくれたが、それも柱の転倒により中断されてしまった。

 そんな状態で乱雑に降り注ぐ鉄材が運良く誰にも当たらないなど、果たしてどの程度の確率なのだろうか?その都合の良さに安堵よりも不気味さが勝る。

 そして、その光景を見て人々はその言葉を実際に口にする。

 

「これは奇蹟だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、当然の如く上条が傷付いていたため、寝ている内に能力を使って治しておいた。意識はあったから多少体力が無くなってもすぐに良くなるだろう。多分きっと。

 今回の事件だが事故だか分からないけど、俺が失敗したせいで大変なことになったが、そもそも映画でも大惨事だった気がするから、そこまで気にすることでもないのかもしれない。

 とはいえ、アリサの様子を見といた方が良いだろうと思い、学園都市を歩き回れば運良く探し出すことに成功したのだが、何故か声をかける寸前でツンツン頭に先を越された。

 本来ならさらっと適当に話に加わるのだが、映画の話をあまり知らない上にある問題が俺にはあった。

 

「(だ、大丈夫だよな……?まだ、頼れる先輩ポジションだよね……?)」

 

 要するにビビっていたのだ。とはいえ、自分の生死に関わるためこれも仕方無いだろう。

 そのせいで思い通り動けず歯噛みしそうになるが、よくよく考えてもみれば、『とある』には珍しいイチャイチャパートだ。見ておいて損は無い。

 ということで、息を殺して出刃亀をすることにした。

 

「私ね。三年前よりも前の記憶が無いの。記憶喪失みたいなんだ。でも、歌ってると何かが体から何かが溢れてくる感じがするの。だから、きっと歌っていれば昔の事が思い出せる気がするんだ」

 

「……そうか、なんとなくだけど分かるよ」

 

 はっはーん、なるほどそういうことか(後方腕組み父兄面)

 この二人似た者同士なのか。アリサは三年前以前の記憶が、上条は一月半より以前の記憶が無くなっている。

 つまり、二人は同じ境遇の苦しみを分かち合うことができる。何だヒロインじゃないか(確信)

 いやー、これはそのままゴールインですわー…………あれ?

 

 そこで俺はあることに気が付いた。

 もしかしたら、歴史的な大発見なのかもしれない。その事実に思い至った瞬間驚愕に目を見開いた。

 誰も気が付いて無いだろうその事実を、内心で確認するように反芻させた。

 

 

「(そういえば、インデックスも記憶が無いんだった……ッ!)」

 

 

 ──言うまでもないがオリ主はアホである。




◆考察◆
 久しぶりに考察の方をしていきたいと思います。今回はアンナ=シュプレンゲルについてです。
 ※創約の話になりますのでネタバレはもちろん、極少数だけしかおそらくピンと来ないでしょうことを、あらかじめ述べておきます。






 アンナ=シュプレンゲル。彼女は薔薇十字の魔術師ですが実際に存在したということが確認されていない、リアルの歴史の記述に書かれた存在をモチーフにして『とある』では描かれています。
 そして、物語の流れからするとアレイスターの領域よりも先におり、魔神とも別種の存在のようです。そのため、現時点では歴史的な記述や『とある』の設定から推測するのは、かなり難しいとしか言えません。
 そのため、アンナ=シュプレンゲルに深く関係するとあるキャラクターから彼女の実態を炙り出そうと思います。

・エイワス
 これは創約を読んでいる人ならば、当然思い至るキャラクターでしょう。アンナ=シュプレンゲルが出てからというもの常に隣に居ますので。おそらく、彼がアンナを考察することができるキャラクターなのではないかと思います。
 彼はアレイスターから離れて、創約で再び舞台に上がると何故か鳥頭になっていました。変形していたエイワスに「もはやコイツ誰だ?」と困惑した読者も居たことでしょう。
 その形体のエイワスですが、近しい姿で歴史に記述されている存在がいます。
 それが天空神ホルスです。
 天空神ホルスは頭部が隼の男神であり、ラーなどの様々な神が習合していると見られる見解が多々あります。そのことからエジプトの神々の中で最古で、偉大で、多様化した神だとも言われています。
 そのことから、もしかするとアンナが出した最古の武器シリーズも実際にはアンナの力ではなく、天空神もどきとなったエイワスを介して召喚したものなのかもしれません。
 例えるならば、A.A.Aを使う木原脳幹でしょうか。あれも、脳幹が使っているにも関わらず、産み出したのはアレイスターであり、木原脳幹には同じものを一から作ることはできませんから。

 そして、アレイスター=クロウリーはエイワスを初め、自らの聖守護天使と認識していました。そして、実際にエイワスはどこかアレイスターと近しい姿をしています。
 それは何故か?おそらく、エイワスは主の願う姿へと自らの姿を変貌させるのではないでしょうか。
 そして、アンナ=シュプレンゲルは自分が、無償で誰かの施しを享受するべき存在だと言っています。しかし、自分よりも上の存在がいないためにそれが出来ないとも。
 そのことから、天空神の偉大さはアンナにとって無償で施しを与えられる存在として、認識しているのかもしれません。

 ここまでエイワスは主の願望の姿になると考察を述べてきましたが、別にもう一つ気がかりなことがあります。
 それは天空神は幼児か、成人の姿で書かれることが多いらしいです。アンナは変化するときに大人の姿か、幼女の姿かのニパターンしか未だに描かれていません。
 もしかすると、エイワスは主の望む姿となりその姿から、必要な知識や力を抽出し、主へと還元することができる存在なのかも。


 そして、ここから先ほどの考察の延長線上となりますが、ホルスの姿となったエイワスは、もしかするとアンナの映し鏡となのではと考察もしました。
 というのも先ほど言った通り、天空神は様々は神を習合した神です。それをアンナに当てはめると、アンナはシークレットチーフ以外の何か適正を有しているかもしれません。それこそ、アンナの言った巫女とか。
 例えば、天空神に仕えていた神官などですかね。エジプト神話の巫女の立ち位置は神官ですから、アンナにはピッタリかと思います。
 そのため、アンナの「世界が小さすぎる」も、言葉通り世界のフォーマットが合っていないのかも。神に近しい人間の神官であるにも関わらず、時代が違うために繰り上げられてしまい、暫定的に一番上になってしまった、ということかもしれません。
 つまり、十字教のオシリスではなくホルスの世界ではないと、アンナは本来の位置に座れないという意味なのかもしれませんね。

 まあ、アレイスター曰く十字教の時代は終わっていたらしいので、ホルスの世界を仮に望んでいるとするなら、アンナが望んでいる世界はフィアンマのやった世界の浄化のホルス版であり、その世界を維持させることなのかもしれませんが、それを神浄の討魔で達成できたのかは未知数です。
 だってドラゴンになった姿しか書かれてませんので。


p.s.
 ……実は小萌先生を主軸に置いた考察もありましたが、めちゃくちゃ多くなりそうだったので止めときました

             これで以上です。海鮮茶漬け
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