だからここでサヨナラだ   作:IS提督

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第1話

第1話

 

「やはり君は面白いな」

 

「は?」

 

「そう凄まないで貰いたいものだな」

 

そう言うと目の前の教師...平塚静(ひらつか しず) はポケットに入っていたタバコを抜き取り火を着ける。

 

「フゥ...

それで、だ...

君は何故、この学校にしたのだ?」

 

そう言うと平塚は顔を覗き込む様にして、若干生気の無い少年の顔を見る

 

「私が貴校に進学する事に何か不都合が?」

 

生気の無い少年は、覇気の無い声で答える

 

「いや、何も問題は無いのだが...

この資料を見る限りでは、君の場合はこのまま軍隊に居た方が待遇が良いのでは無いのか?」

 

そう言いながら、平塚はタバコの灰を落とす。

 

「比企谷夜刀(ひきがや やとの)、16歳

戦線の押し上げ作戦に参加

数々の戦績を納め1年前に陸軍少尉に任命」

 

平塚はそこまで言うとタバコに口を付け、煙を吐き出すと また、口を開いた。

 

「...私にはこの作戦の悲惨差は まったく解らないが、多分私が思っている以上に酷い経験をした事だろう」

 

そう言いながら平塚は再びタバコに溜まった灰を落とす。

 

落ちていく灰を眺めながら夜刀は目を細め言葉を紡ぐ。

 

「...確かに、そこに有る資料を見れば、わざわざ 学校に入る事は昇進の遠回りにならざるを得ませんが...

心配はご無用です。

どんな状況下で在ろうとも任務は完遂させます」

 

そう覇気のない声で夜刀は語るが、その言葉には何とも例え難い頼もしさが有った。

 

しかし、平塚は悲しそうな目をして夜刀を見ていた。

 

「君の中には、任務しか無いのだな

...私の昔し馴染みもそうだった...」

 

そう言うと平塚は目を細め、何処か遠くを見る様に夜刀を見た。

 

「....」

 

「.....」

 

互いに気まずい沈黙が走る。

 

夜刀自身、何故この様な空気になったのかは粗方検討が付く。

 

身体を動かす事さえ億劫に感じさせる程の気まずい空気...

 

その空気の中で平塚はポツリ、ポツリと重たい口を開き言葉を紡ぐ。

 

「...彼も君と同じで、戦地から帰還しても常に覇気が無い...詰まりは、心此処に在らずと

いった様子だった」

 

「.....」

 

「戦地での彼は、君と同じなのかは分からんが、沢山の人間を殺めたそうだ

故に彼は、常に苦しんでいた」

 

「....」

 

「君はどうだ?

やはり、苦しいか?」

 

そう言い、平塚はジッ!と夜刀の目を見る。

 

「...何を持って苦しいのかは解りかねませんが

戦場に置いての殺生は食物連鎖と同じです。」

 

「....」

 

平塚は目を閉じ、夜刀の話を聞く。

 

「自分が生きていく為には敵を....自分より弱い敵を倒さなければなりません。」

 

「...」

 

「コレが自然の摂理であり、コレに躊躇した者は死以外有り得ません」

 

「...君は、恐ろしい人間だよ...

人の命を奪う事に一切の躊躇を感じさせない...

『可哀想』に...今の君は、腐って壊れてしまって居る」

 

ジュッ!!

 

そう言い終わると同時にタバコを灰皿に押し付けた。

 

「...安心したまえ、私が君を...君の心を癒してあげよう」

 

その時の平塚の姿は何処か寂しげで、息を吹けば何処かへ飛んで行ってしまいそうであった。

 

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