第2話
「陸軍、比企谷 夜刀少尉、本日付で『第303遊撃隊』に着任致しました!」
「今日から此処が、貴官の所属する隊の責任官の田坂秀文少佐(たさか ひでふみ)だ
....ようこそ、歓迎する!」
千葉某所某基地、夜刀は着任を報告する為に部隊責任者の元へ来ていた。
敬礼をし、上官からの返礼、上官が手を降ろしてから手を降ろす。
この動作に何の意味が有るのだろうか?
入隊初期の俺にはこの動作の意味がよく解らなかった
面倒臭いがコレも軍人としてのモラルで有り義務だ...と自分を納得させ、この動作を行っていた。
しかし、今なら、戦場を生き抜いて来た今なら、この動作の意味が分かる。
この動作は文字通り、相手への尊敬の念を込めた動作なのだと
「おい、どうかしたか?」
秀文少佐に声を掛けられ夜刀は思考を今現在に戻す。
そもそも、敬礼は軍人としての挨拶、挨拶をするのに一体俺は何を考えている。
いかんな...どうやら現実逃避的な思考をしてしまった様だな...
「話を戻そう。もう知って居るだろうが、貴官に付いて貰う任は、国内における治安維持活動だ」
「...」
「1部の地域を除いた国民は何を勘違いしているのか、停戦にも終戦にもなって無いこの状況で完全に浮かれて居る。何とも嘆かわしい事か...」
「ハッキリ言おう。
国民は自衛の手段が解らない所か、自衛と言う言葉すら解らない可能性すら有る」
秀文少佐の言葉には夜刀自身も共感する。
事実、夜刀は前線から戻って来て間もない....と言うか、ほんの5時間前に日本の土地を踏んだのだが...。
そんな夜刀でもわかる程、国民は緊張感を持ってはいない。
「だが しかしだ、国民が「被害皆無」と言い、緊張感を持つ必要が無いのは、我々の働き様が良いからだろうな」
全く、優秀過ぎるのも問題だな!
豪快に笑いながら秀文少佐は言うが、全くもってその通りである。
彼らは、己を守ってくれる存在が優秀、故に、戦争とはこういう物だ『被害皆無』等と勘違いを起こして居るのだろう。
『被害皆無』...ある意味正しくて、本当の意味では間違って居る。
----------
-----
---
--
-
今から一年半程前、開戦直後のテロを除き『1度だけ』本土攻撃を受けた事があった。
当時、海外戦闘の派遣任務が終わり本土へと戻って来ていた。
8月25日の朝、何時も通りのラッパでの起床...の筈なのだが、この日は何故か異常事態を報せる警報音で起床した。
寝起きの働き難い頭でパニックになっている隊員も居たが、
「緊急事態だ!食堂に向かうぞ!」
室長の指示の元、最低限の装備を持ち集合場所である食堂へ向かった。
「諸君!心して聞いてくれ!」
神妙な顔をした司令官の話の元、隊員達に今現在の状況が伝えられていく。
「本日05:56に正体不明の艦15隻が、我が国の防衛ラインである第101艦隊と接触、交戦の後第101艦隊は壊滅。
正体不明の艦隊....敵艦隊は進路軌道を変えることなく本地域を目指している。」
そこまで言うと司令官は手元にあるコップに水を注ぎ、それを飲む。飲むとまた、直ぐに口を開く
「敵艦隊に対し、海軍が今現在も攻撃を行って居るがそれでも尚、敵艦隊の進軍を止める事が出来ない。敵艦隊の現在の速度で有ると、本地域への上陸まで残り二時間と言った所だろう。」
「そこでだ、諸君達は残り二時間の間に二つの隊に分かれて行動して貰いたい。先ず、第一隊は国民の避難誘導、...第二隊は敵の上陸に備え防衛ラインの構築を行って貰う。何か質問は?」
作戦会議室へと化した食堂には物音が何一つ起たない。
「...何も無いようだな。では第一隊と第ニ隊が、国民の避難誘導を。残りの隊は防衛ラインの構築を!
『状況開始!!』」