IS - 女装男子をお母さんに -   作:ねをんゆう

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現代でも大和撫子なんて大学生になれば食べられちゃうからね、仕方ないね


5.大和撫子は絶滅しました

side奈桜

 

(……あれが千冬さんの弟の織斑一夏くんかぁ。それにしても、千冬さんの人気はやっぱり凄いなぁ……)

 

2度にわたる方天画戟(出席簿)の攻撃によって一夏くんが沈んだ後、女生徒達のハイパーボイス(威力90)によってダメージを受けた僕は、耳を抑えながら彼を観察していた。

背後からは「お姉様!私を罵って!」「もっと叱って!」「見下して!」などという理解してはいけない悍ましいナニカが聞こえてきていたが、あえて無視することにした。

 

あの日、乙女コーポレーションで千冬さんと別れた後、それはもう酷い目にあった。

 

毎日のように見せつけられる変態衣装。

確かにあの日見たものは特に酷いレベルのものだったけれど、通常時でも一般人のSAN値を削るには十分過ぎる破壊力を持っていた。

 

加えて通常の女生徒として、一般の受験を乗り越えた生徒として入学するためにISの勉強を徹底的に行い、合間合間に女性としての振る舞いを教え込まれる毎日。

勉強はまだしも後者に関しては常にあの化け物が側に控えていたため、むしろ現実逃避してISの勉強を行なっていたと言っても過言ではない。

おかげで基礎程度の知識は身に付いたが……おかげとか言いたくないなぁ……

 

そんな2週間に渡る地獄の試練を乗り越えた僕は、そのままIS学園の寮へと逃げ込み、ようやく今日この日を迎えることができたのだった。

……のだが、専用機がギリギリ間に合わなかったため、近いうちに再び"アレ"が直接僕に会いに来る。

ということをついさっき山田先生から聞かされた。

 

『変態からは逃げられない』

 

見た目にこそ出してはいないが、僕の心は絶望によって6割ほど塗り潰されていた。

 

「あの、綾崎さん?自己紹介をして欲しいのだけど……大丈夫ですか?」

 

「ふぇっ?……あ、はい!ごめんなさい、少し気を抜いてしまってました……もう大丈夫です。」

 

「そうですか!それじゃあ、お願いしますね!」

 

絶望へのカウントダウンによって気をやっていた間にどうやら既に自己紹介の時間に入ってしまっていたらしく、突き刺さる千冬さんの視線が怖い。

 

けれど、僕の自己紹介と聞いた途端に突然復活した一夏くんも少し怖い。

なぜかさっきもジッと見られていたし、女装がバレているなんてことは考えたくないけれど、一応ここで念押しをしておくべきかもしれない。

僕はゆっくりと立ち上がり、何度も練習させられた笑顔を使い、主に一夏くんに向けて自己紹介を始めた。

 

「皆さんはじめまして、綾崎奈桜(あやさきなお)と申します。趣味は料理と裁縫、家事に関しては一通り自信があります。もし皆さんが生活面で何かお困りのことがあれば、是非お力にならせて下さい。これから1年間、どうぞよろしくお願いいたします。」

 

パチパチパチパチ(幻聴

 

そんなものは聞こえない……

 

拍手喝采!とまでは言わなくとも、面倒だろうが一応叩いておく程度の拍手でも期待していた。

しかし実際には拍手どころかクラス中がどよめきだし……

 

「ちょ、聞いてない、私あんなの聞いてない」

「あの見た目で家事得意とか女として勝てる気がしない」

「本物だ…本物の大和撫子だ……!」

「そんな、大和撫子は絶滅した筈じゃ…!」

「母性がやばい、新妻感ヤバい」

「綺麗な意味で抱かれたい」

「それよか優しく叱られたい」

 

「「「わかる」」」

 

……どうやらこのクラスは思っていたよりも大分ヤバい所らしい。

29人中4人が僕に叱られたいと思っているという事実。

ちょっとその事実は受け入れるのに紅茶3杯分くらいの時間を頂きたい。

あと大和撫子言うな、その単語が出るたびに千冬さんがニヤニヤしてこっち見てくるから。新妻とかもっとやめて。

 

そんな願いが叶うこともなく山田先生が必死に鎮めようとするも、結局千冬さんが動くまで僕は好き放題言われることとなった。

この間、僕に叱られたいと口走った人間が6人に増えた。

クラスの1/5が変態、自分が変態からは逃れられない運命の元に生きているという事実は紅茶何杯飲んでも受け入れられないから……

 




話数を稼いでいけ……!
5話から先は一日投稿にします。
嘘です時間があるので上げるときにあげます。
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