このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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加筆修正終わりました。


リッチーのウィズ

俺達は5人で連れ立って魔法具店に向かっていた。

 

「あ、あそこのお店です!」

 

ゆんゆんが指差す方向を見ると、ウィズ魔法具店と書かれた看板が置いてあった。

 

「ん?何か臭うわね。」

 

「急になんだよ、アクア。」

 

「あら?カズマは感じない?この不快になる臭いを。」

 

「いや?…お前らはどうだ?」

 

3人に確認を取ってみるが皆首を振った。

 

「?まぁ、入ろうぜ。」

 

首を傾げているアクアをとりあえず放って、扉を開けた。

カランカランというドアベルが鳴り、俺達が中に入ると

 

「はーい、いらっしゃいませー!」

 

年の頃は、二十歳くらいだろうか?胸の大きな美人のお姉さんが迎えてくれた。

 

「あーーーー!!!」

 

アクアが叫びながら店に飛び込んでくる!そしてそのままの勢いで、お姉さんの胸ぐらを掴んだ。

 

「アンタ、リッチーね!ここで遭ったのが運の尽きよ!!私が退治してあげるわ!!」

 

アクアの剣幕に、俺達は呆気に取られ、呆然と様子を見ていた…

 

「ええ!?ちょ、ちょっと待ってください!!」

 

チンピラに絡まれたように、涙目で慌てているお姉さんに

 

「『ターンアンデッドー!!』」

 

問答無用でアクアが浄化魔法を唱える。

 

「きゃあああ!き、消えちゃう!私の体が消えちゃいますー!!」

 

その様子で、我に返った俺は

 

「おい、やめてやれ!」

 

アクアの頭にチョップをいれた。

 

「ちょ!痛いじゃない!カズマ邪魔しないでよ!こいつ!リッチーなのよ!!」

 

お姉さんを見ると浄化魔法の影響か体が薄くなっていた。

 

「待てって。…見た感じお前の言う事も正しいとは思うが、町にお店を構えているような相手だぞ?それを無理やり浄化しちまったら、こっちが犯罪者になるかもしれないぞ?」

 

ただの店員の可能性もあるが、こう言えば取り合えずは止まってくれるだろう。

 

「う……。」

 

ようやく、アクアが止まる。しかしリッチーか…

カタログで見た、アンデッドの王…アクアを止めた事は正しかったと信じよう。

 

「えっと?アンタはリッチーなのか?何でこんな所に?」

 

「あ、はい。私リッチーのウィズと申します。ノーライフキングなんてやってます。」

 

ウィズ…この店の名前だったな。店の関係者所か本当に店主だったとは…

 

「何でアンデッドがこんな所でお店なんてやってんのよ!」

 

「ひい!ごめんなさいごめんなさい!!」

 

ウィズはアクアに凄まれて必死に謝っている。女神相手だから、本能的に逆らえないのか?

 

「ウィズ…あなたは本当にリッチーなのですか?正直そうは見えなくなってきたのですが…」

 

後ろで固まっていためぐみんが、疑問をぶつけてくる。正直俺もウィズがリッチーとは思えない…

 

「あ、あの。すみません、一応本物のリッチーです…」

 

「ああの…リッチーって優秀なアークウィザードが禁呪を持ってなるものだって!

魔道を外れた外法で、リッチーになるような人は極悪人って聞いていたんですが…」

 

ゆんゆんも疑問をぶつける。

 

「なぁ、ウィズ。なんであんたはリッチーになったんだ?見た感じ、そんな極悪人には見えないんだが?」

 

俺の言葉にウィズは俯いて

 

「…昔のパーティーメンバーが強力な呪いを受けまして…」

 

ウィズが過去を話してくれる。どうやら仲間を救うための行動だったようだ。

全てを信じてもいいのかというのは疑問は残ったが、少なくても、

ここアクセルでは彼女は特に問題は起こしてはいないようだ。

 

「どうするのよ?カズマ。」

 

不満そうにアクアが言う。

 

「…嘘はついて無さそうだし…ここは穏便に済ませたらどうだ?」

 

「正直、私は思うところがあるんだけどね。…仲間を救うためだからって

貴方が犠牲になって、人の理から外れてもいい!なんてことはないわよ?」

 

アクアは諭すように話す。

 

「はい、ごめんなさい…」

 

「当分は見逃しておいてあげるわ…ただし!何かあったら直ぐアンタを浄化するからね!!」

 

「はいい…!」

 

どうにか穏便に済んだようだ。正直、戦わずに済んでよかったと思う。

本気で抵抗されていたらアクアは兎も角、俺達は危なかったからな。

 

「まさか、この町にリッチーがいたとはな…穏便に事が運んだようだが肝を冷やしたぞ。」

 

あれ?ドMがドM発言してないぞ?

 

「そうですね。本当に戦いになってしまったら、私とゆんゆんは命を落としていたでしょうし。」

 

いや、俺も死ぬ自信あるぞ!

皆はそれぞれに安堵のため息を吐いて…ウィズを含め、皆から緊張が解けていく。

 

「じゃあ、本来の目的に戻るか。」

 

「はっ!そうでした!ここにはマズィックアイテムを買いに来たのでした!

ウィズに聞きます!私達5人が、お揃いで使える魔道具はありませんか?」

 

「え?ああ!あります!ありますよー!!」

 

急にテンションを上げたウィズが、カウンターの奥に引っ込むと…奥から箱を持ってきた。

 

「ウィズ、これは?」

 

俺がウィズに質問すると

 

「はい!こちらの商品はですねー!設定したキーワードを言うと、

空気中の魔力を集めて発光する腕輪なんです!!」

 

「何だそりゃ?明かりの代わりにでもする腕輪か?」

 

「いえ、そこまでの明るさではないので、照明代わりには出来ないかと。」

 

何だ、玩具みたいなもんか。そう思ってめぐみんの方を見ると

 

「それです!私たちにぴったりじゃないですか!!」

 

まさか、戦隊モノのヒーローみたいに、それを使って名乗りを上げようとか言うんじゃないよな?

横で聞いていたアクアも、興味深そうに玩具を手に取る。

 

「ふむふむ、悪くはないわね…これで戦隊ヒーローごっこが出来るじゃない!よかったわねカズマ!」

 

いや、それを望んでいるのはめぐみんだけだぞ?

 

「センタイモノのヒーローというのは良くわかりませんが…

これの価値に気付くなんて流石はアクアですね!」

 

「あーあ、めぐみんのスイッチが入っちまったよ…

アクアお前わかってるのか?お前もやるんだからな!」

 

「それもそうね…じゃあ、ちょっとやってみようかしら!」

 

アクアはウィズから箱を受け取り腕輪をはめた。そして何やら呟くと腕輪が水色に淡く光る。

 

「我が名はアクア!女神にして最高のアークプリースト!水を司る者!!神聖魔法を極めし者!!」

 

アクアがノリノリでポーズを決めて名乗りを上げると腕輪が淡く光る。

 

「あー!?アクアずるいですよ!!私にもやらせてください!!」

 

めぐみんも腕輪をはめて、マントを翻してポーズを決める。

 

「我が名はめぐみん!!紅魔族随一の天才アークウィザードにして爆裂魔法を操る者!!やがて魔王を撃ち滅ぼす者!!」

 

めぐみんの腕輪は赤色で淡く光っていた。

 

「ふふ、いいですね!カズマこれ買いましょう!」

 

めぐみんは満点の笑顔で買いたいと言ってくる。なんだろう…

気に入った玩具を見つけた子供みたいだ。可愛いなぁ。

 

「あーウィズ?5個でいくらだ?」

 

ウィズに聞くと目を丸くして…

 

「購入していただけるのですか!!?」

 

「あ、うん。そんなに高くないのなら。」

 

「そ、そうですね!5個セットなら50万エリスでいいですよ!」

 

ちょっと待て。こんな玩具に50万だと?

 

「カズマ…その、無理そうなら…」

 

金額を聞いためぐみんが、申し訳無さそうな顔をする。

そんな顔されたら…買わないわけにはいかないだろうが。

 

「あーわかったよ、ウィズ。5人分俺が払うよ。」

 

「え?カズマさん悪いですよ!私も支払いますよ!」

 

「そうだぞ、カズマ。自分の分ぐらいは払うぞ。」

 

ゆんゆんとダクネスが自分の分は払うと言ってくれているが

 

「いや、ここは俺が払っておくよ。その代わりクエストの時は頼むぞ!」

 

二人に言いながらウィズにお金を払うと

 

「あああ、これで今日は硬い食べ物が食べられます…」

 

ウィズは涙を流しながら受け取った。えー?そんなに貧乏なのかよ…

買い物を終えた俺達は、ウィズに別れを告げて

 

「じゃあ、ウィズ?暫くは様子を見るけど…わかっているわね?」

 

「ひい、だ、大丈夫ですよ!私は人を襲ったことなんてありませんし、これからもそのつもりなんですから!!」

 

アクアに脅されて涙目になるアンデッドの王。本当にウィズがリッチーなんて信じられないな…

 

「さて、一旦ギルドに戻るか。ちょっと懐が寂しくなったし、依頼があったら受けようぜ?」

 

「おお!カズマ。なら一撃が重い相手にしよう!何、私がすべて受けきってみせる…はあはあはあ…」

 

いきなりスイッチが入ったダクネスをスルーして、ギルドに向かって歩き出した。

 

「はぅ…放置プレイというのも中々…!」

 

――――――――――…

 

 

「んー、一撃熊、賞金200万エリス…なあ、この一撃熊ってどれ位の強さなんだ?」

 

「ほう!一撃熊か!こいつはその名の通り、攻撃力は高いのだが素早くはない。

私が攻撃を防いでいれば、難なく倒すことが出来るだろう!…はあはあ、強烈な一撃を味わえると思うと…もう!」

 

俺の質問に変態しながら説明してくれるダクネス。最後の興奮がなければ満点だったな。

 

「一撃熊の耐久は初心者殺しよりかは高いですね。ただ、ダクネスの言うように素早くはないので

カズマの遠距離からの弓か、ダクネスが抑えてのゆんゆんの上級魔法が安定すると思います。」

 

「成程。俺達には相性良さそうだな…あーそれだと爆裂魔法の出番がねえな。」

 

なるべくなら組み込んでやりたいんだが…今回は無用の火力か。

 

「爆裂魔法は…夜に二人で湖畔にでも出かければ、済みますよ…?」

 

めぐみんは手を後ろで組んで、上目遣いで覗き込んでくる。

うぐ!その可愛い仕草は反則だろ!!こっちはなるべく平静を心がけているっていうのに!

 

「ねー?カズマさん。デートの約束は後にして、早くクエストを決めてくれないかしら?」

 

「で、デートじゃねえし!ただの爆裂散歩の予定だし!」

 

アクアに急にデートとか言われて、慌てて弁解してしまった。

――めぐみんの方を見るとクスクスと笑っている。くそ、またやりやがったな!魔性のめぐみんめ!

 

「ふふ、ではカズマをからかうのはこの辺にして、さあ行きましょうか。」

 

「おい!」

 

俺は思わず叫んでしまった。

 

 

―――――――…

 

 

一撃熊討伐任務。農場に出没して収穫前のサンマなんかを採っていくらしい。

サンマ農家の人には死活問題であり、出来るだけ早い討伐が望まれていた。

ところでサンマ農家って酷いパワーワードだよな。

 

「来たぞ!」

 

千里眼で敵を見つけた俺は仲間に声をかける。

俺達は農場の側で待ち伏せをしていたが、熊は警戒をする様子もなくゆっくりと農場に近づいてくる。

 

「どうします?カズマ。」

 

「ここからなら射線も通るし、狙撃でいくよ。…ダクネス、仕留め切れなかったら前に出て抑えてくれ。」

 

「うむ、任せろ!カズマ、別に仕留めなくてもいいからな!」

 

ダクネスはウキウキした表情で顔を赤らめる。

 

「ダクネスが抑えたらアクアはダクネスにプロテクション。ゆんゆんは一撃熊をそのまま仕留めてくれ。」

 

「任せなさい!」「わかりました!」

 

何やら馬鹿なことを口走っているダクネスは放っておき、身体強化魔法を使い弓を構える。

 

「…『狙撃!』」

 

油断していた熊の下腹部に矢が刺さり、熊は雄たけびを上げる。

 

「『狙撃!』」

 

第二射を放つ。今度は胸部に刺さり、こちらに気付いた熊が向かってくる。

 

「私の出番だな!一撃熊とはどれ程に強烈な一撃を放ってくるの「『狙撃!』」だろうか!!」

 

三射目は頭部に当たり、一撃熊はそのまま倒れた。

 

「なあ!?カ、カズマ!!今のは私の出番じゃないのか!?」

 

そう言ってダクネスは俺をがくがく揺らしてくる。

 

「いてえよ!いいだろ!楽に倒せたんだから!!」

 

「くぅ…、一撃熊の強烈な攻撃を受けられると思っていたのに…

この仕打ち…はぁはぁ、こういうのも…悪くは…な、はぅ!」

 

何でもいいのか、こいつは…

 

「呆気なかったわねー。私としては楽でいいですけど。ねぇカズマ、今朝はキャベツ代貰っちゃったし…今回は何もしてないのに、報酬貰っちゃってもいいのかしら?」

 

「ああ、別に構わないぞ。報酬は基本的に均等に分ける。これが俺とめぐみんだけの頃からのルールだからな。」

 

「ありがとね。じゃあ、今度は頑張らないと!」

 

フンスっという感じに、アクアは気合を入れている。

今のこいつを見ていると最初の印象が何かの間違いだったんじゃないかと思ってしまうな。

 

「私もお役に立てるようにがんばりますね!」

 

アクアに触発されたのか、ゆんゆんもアクアの隣で同じようなポーズをとっていた。

 

「カズマ、そろそろ帰りましょうよ。爆裂散歩に行くのが遅くなってしまいます。」

 

「そうだな、帰るか。」

 

 

 

―――――――…

 

 

 

「お待たせしました、サトウさん。報酬の200万エリスです。」

 

「ありがとうございます。」

 

ルナさんから報酬を受け取って、みんなの所に戻ろうとすると

 

「あ、サトウさん、少し相談したいことがありまして…」

 

「?えっと、出来ることでしたら?」

 

「実は町外れに共同墓地がありまして、夜な夜な頻繁にゾンビの目撃情報があるんです。

最初はゾンビメイカーの仕業だと思われていたのですが…目撃されたゾンビの数が

かなり多いらしくて…確かサトウさんのパーティーのアクアさんはアークプリーストでしたよね?なんとか、お受けできないでしょうか?」

 

「えっと?それは調査ですか?それともゾンビを倒すことですか?」

 

俺が尋ねると

 

「えっと、原因の究明ですね、出来れば解決してもらえれば助かります。

まだ、不確かな情報が多いので報酬はあまり用意は出来ないのですが。」

 

そう言ってルナさんは依頼書を見せてくる。

報酬金額は20万、ゾンビメイカーよりは高いがはっきり言って安い。

俺が悩んでいるとめぐみんとアクアがやってくる。

 

「どうかしたんですか?カズマ。」

 

「私お腹空いたんですけど、早くご飯にしましょう?」

 

「ん、ああ。コレを頼まれたんだがどうしようかと思ってな。」

 

そう言って、二人に依頼書を見せる。

 

「ゾンビですか…共同墓地だと爆裂魔法は使えそうもありませんね…」

 

「安心してめぐみん!このくらい私が纏めて浄化してあげるわ!」

 

何故か受ける方向になっているんだが…

 

「あ、アクアさん、引き受けていただけるのですか!?」

 

アクアの言葉を聞いたルナさんが感謝するような眼差しでアクアを見ている。

 

「ふふん!任せなさい!アンデッドならリッチーだろうがヴァンパイアだろうがまとめて浄化してあげるわ!」

 

ご機嫌なアクアを尻目にめぐみんに目配せをすると、しょうがないですよという感じに肩を竦ませていた。

 

「しょうがねえな!じゃあやるか!」

 

「あ、じゃあ、今日の夕飯はバーベキューっていうのはどう?

実はゆんゆんと一緒にやろうと思ってセットを買っていたんだけど…使う機会がなくてね…

あ、私二人に説明してくるわね!」

 

そう言ってアクアはゆんゆん達のところへ向かう。

 

「アクア、張り切ってますね。」

 

「まあ、今朝は今朝であんなことあったし、さっきも役に立ててないとか言ってたからな。

アンデッド相手なら、あいつの専売だし頼られたいんじゃないか?アクアのヤツ。」

 

「ふふ、そうですね。」

 

俺達がそんな風に笑い合っていると

 

「カズマー!めぐみーん!作戦会議始めるわよー!早く来なさい!リーダー!」

 

「はいはい、今行くよ。」

 

 

 

 

―――――――…

 

 

 

 

 

「ちょ、カズマさん!お肉ばっか取らないでよ!野菜も食べなさいよ!!」

 

「仕方ないだろ?キャベツ狩り以来、野菜が苦手になったんだから…」

 

この世界の野菜はやたらと活きがいい。

この前なんかサラダにドレッシングを掛けたら、元気に飛び跳ねやがった。

その光景に軽いトラウマを覚えたのは言うまでもない。

 

「『クリエイトウォーター』」

 

マグカップに珈琲の粉を入れて、魔法で水を入れ

 

「『ティンダー』」

 

暖める…うん、便利だ。

 

「カズマ、私にもお水ください。」

 

「あ、カズマさん、私もお願いします。」

 

「『クリエイトウォーター』」

 

二人に水を入れてあげる。

 

「あ、カズマ。火が弱くなってきちゃった。お願いね。」

 

「ほい『ティンダー』」

 

「カズマは本当に器用に魔法を使いこなすんだな。」

 

ダクネスは感心した様に言うが

 

「いや、上級以上の魔法に関してはまだまだだぞ?制御するのがやっとだからなぁ。」

 

本来の目的も忘れて、バーベキューを楽しんでいると…

 

「ん?どうやら来たみたいよ。大物の予感がするわね。」

 

いや、マジでリッチーとかヴァンパイアだったら、この3人を町に飛ばしてから逃げたいんだけど…

 

「そういうの相手にしたくないんだが…、アクアが感じ取ったんなら…ヤバイか?」

 

「安心しなさい、出てきたら奇襲をかけて一気に浄化してあげるわよ!」

 

まぁ、アクアがそういうのなら…俺は敵感知で確認をしているが

 

「あ、アクアさん…あれ、ゾンビじゃないですか?」

 

ゆんゆんが指差したほうを見ると、10匹ほどゾンビが蠢いていた。

しかし、感知スキルは何も反応なく、俺が不思議に思っていると。

 

「やっぱり来たわね。ほらあそこ。」

 

アクアに促されてそこを見ると、頭まですっぽりとローブを被った怪しげな人物が魔法陣の上に立っていた。その人物が何かを喋り手を上げると光が包み込む。

 

「先手必勝!!『ゴッドブロー!!』」

 

アクアの攻撃をローブの人物はなんとか避ける。そして

 

「あー!あんたウィズじゃない!!」

 

「え。ええ!!アクアさん!!?」

 

どうやら、ウィズだったようだ。敵感知スキルは何も反応は示さないが

俺は警戒は解かずにウィズの元へ駆け寄る。

 

「何で、ウィズがここにいるんだ?」

 

「アンタがここのゾンビを操っていたの!?」

 

「ち違います!ここには霊を送り出すために来たんです!」

 

見ると、魔方陣に寄って来た魂が天に還って行く。その光景を見たアクアは

 

「な!?なんでアンデッドのアンタが霊を送っているのよ!!」

 

アクアの質問にウィズは答え難そうに…

 

「その、ここに埋葬されている人たちはお金がないためにロクに供養もしてもらえず…

天に還ることも出来ずに彷徨っていまして…リッチーの私としては哀れと思い…

定期的にここに来て、彷徨っている魂達を送り出しているんです…」

 

「ん?そんなの町のプリーストの仕事なんじゃないのか?」

 

「その、この町のプリーストさん達はお金が第一といいますか…

お金がない人は後回しでして…殆ど、ここに足を運ぶ人もいないんです…」

 

ウィズの言葉にいつの間にか側に来ていた、めぐみん達が

 

「この町のプリーストたちは金のない者達には態々供養をしに来ないってことか。」

 

「拝金主義者の背徳者ばかりなのですね。」

 

「酷いです…」

 

と続ける三人に

 

「ちょ、私は違うからね!」

 

ウィズがここに来た理由はわかった。それにウィズはリッチーとは思えないほど善良なようだ。

ウィズのことを理解できたのは、収穫だったかもな

 

「ん?それならなんでゾンビになっているヤツがいるんだ?俺達はそれで調査に来てたんだが…」

 

俺の疑問にウィズは申し訳無さそうに

 

「あ、そうでしたか…その、この子達は私が近づくだけで魔力に反応して勝手に目覚めてしまって

私としてはここで彷徨う魂が天に還ってくれれば、来る理由もないのですが…どうしましょう?」

 

ウィズがここに来ることでゾンビが発生するというのなら

 

「俺とアクアで定期的にここに来るしかないか。アクアそれでいいか?」

 

「わかったわ。私としても魂が彷徨っている状況は由とはできないしね。」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

ウィズは何度もお礼を言ってから立ち去った。

 

「じゃあ、帰るか。」

 

「ですね、カズマ爆裂散歩にいきますよ!」

 

何時もの調子で帰ろうとすると

 

「あの、これって依頼の方はどうなるんですか?流石にウィズさんのことは報告できませんよね?」

 

「「「「あ…!」」」」

 




ゾンビメイカーの話を入れてからだと思っていたのですが、流れ的に先に会うことに。

腕輪の色ですが
アクア=水色 めぐみん=赤 ダクネス=黄まで決まっているのですが
カズマとゆんゆんは何色がいいですかね?
意見があればそれを参考にしようと思ってます。

あとダクネスの名乗り向上どうしようかな…

大幅追加申し訳ありません。

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