このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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後編です、同日投稿なので間違って此方から見てしまった方は前編からお願いします。


魔王軍幹部の首無し騎士。後編

「冗談じゃねえぞ!何で俺も行かなきゃいけないんだよ!!」

 

翌朝、屋敷に皆と呼び出し、情報の共有をして作戦を伝えると、案の定ダストの奴がごねる。

見れば、リーンやキースも及び腰だ。…無理も無いか。

 

「そう、ごねるなよダスト。何もお前にベルディアと戦ってくれと言っているわけじゃないぞ?」

 

「いーや!俺は行かねえぞ!」

 

ダストは頑なに行きたくないと言う。

…仕方ない、この手でいくか。

 

「魔王軍の幹部となれば、相当報奨金が掛かっているんじゃないか?」

 

以前倒した大悪魔で一千万。魔王軍の幹部なら、その十倍は掛かっていても不思議ではない。

 

「ふむ、確か、ベルディアに掛けられている賞金は三億エリスだな。」

 

マジで?

 

「ダクネス、それマジ?俺、一億位だと思ってたんだけど…」

 

「ああ、これでも幹部の中では安い方だったはずだ。」

 

「マジかよ!じゃあ、魔王とかいくら掛かっているんだよ。」

 

「魔王は…いくらだったか、年々金額が増えているからな。少なくても百億エリス以上は掛かっているはずだぞ。」

 

少なくても、百億エリスって……おっと、話が逸れちまっている。

ダストの方を見ると、まだ固まっていたようだ。

 

「ダスト、ベルディアと戦わないお前にも、今回の作戦に協力してくれれば均等に金を渡すつもりだぞ?三億なら12人で割っても一人2500万だ。」

 

「よっしゃ!おい!お前ら気合入れろよな!俺の足は引っ張るなよ!?」

 

ダストは欲の眩んだ目で、周りの仲間達に渇を入れていた。

 

「…なんか、こういう奴って途中でポックリ行くんだよな。やっぱ、お前来なくていいわ。」

 

「な!そんな事言うなよ!カズマ俺ら友達だろ?仲間はずれにすんじゃねーよ!!」

 

友達ねぇ…

 

「…まあ、このバカは俺の方で見ておくさ。」

 

俺はテイラーの言葉に頷く。うん、ダストはテイラーに任せておこう。

 

「えーとアクア、聖水は出来ているか?」

 

この作戦で重要な事はいくつかあるが、先ずは一つ目…再召喚の抑制が必要になる。

それには、アクアの聖水が効果的だ!アクアは得意げな顔でテーブルの上に聖水を置いていく。

 

「ふふん!この私に掛かれば、大量の聖水を作るなんて朝飯前よ!!」

 

流石は水の女神という所か。本当に朝から作り始めておいて用意してしまうとはな。

ゆんゆんやミツルギは、そんなアクアを褒めていた。

 

「じゃあ皆、聖水を受け取ってくれ。浄化魔法に耐性を持っているのは魔道具持ちだけだからな。

それがあれば、多少なりとも再召喚の抑制が出来る筈だ。」

 

各自、一つずつ受け取っていく。

 

「カズマ、残った聖水はどうするのです?」

 

「俺が持って行く分だよ。最悪、城攻めになるからな。

制圧した領域に撒いて行けば、流石に召還出来なくなるだろう?」

 

「成程です。ですが、なるべくそれは避けたいですね。」

 

「そうだな…よし!そろそろ行くか!」

 

出陣の号令を掛ける。

本当にらしくない事をしているな。…いや、此方に来てからはコレが普通になっているのかもな。

 

 

 

――――――――――……

 

 

 

 

 

 

 

 

アクセルを出発し、例の城が見えてきた。

 

「カズマカズマ!言い忘れていた事があるのですがっ!!」

 

「ん?何か、気になる事でもあったのか?」

 

考えられる事は全て考えたはずだ…それでも、めぐみんは何かに気づいたのか?

 

「ベルディア相手に、新しい名乗りを上げるのはどうでしょうかっ!?」

 

すごく、しょうもない事だった。

 

「…何かと思ったぞ。まぁ、名乗りを上げるのはいいけどさ。」

 

ベルディアは実直な騎士らしいし、名乗りを上げれば待っててくれそうではある。

 

「ふふ、流石カズマです!出来る事なら皆で揃って名乗りを上げたいところですね。」

 

確かに、それが出来るような状況になってくれれば、屋内戦をしないで済むんだけどな。

 

「…そろそろだな。皆警戒しろよ!!」

 

「カズマ…来るわよ!」

 

え?まだ感知に反応は……

!?

 

「敵襲だ!前方からおよそ百!!迎撃準備!!」

 

俺の号令に応える様に、皆が迎撃体制を執る。

前方が揺らぎ、昨日と同等の規模のアンデッド騎士達が現れる。

 

「アクア!!初撃は任せる!!」

 

「ええ!任せておきなさい!!」

 

アクアの声に応えるように何処からとも無く、アクアの杖が飛んでくる。

 

「昨日の借りを返させて貰うわ!!『セイクリッド・ターンアンデッド!!』」

 

アクアは巨大な魔方陣を展開させる、そしてほぼ全てのアンデッド騎士達が其れに飲み込まれていく。

 

「……凄え!!」

 

それは誰かが漏らした声だった。

見れば、半数以上のアンデッド騎士達が消滅し、残ったアンデッド達もかなりのダメージが入っていた。

 

「アクア様に続け!!」

 

ミツルギの号令で、仲間達がアンデッド騎士達に攻撃を仕掛ける。

アクアの初撃が効果的だったのか、たいした苦戦はしてないようだ。

 

「『狙撃!』はは!なんだ、こんなもんかよ!」

 

「昨日はびびって損したぜ!!おりゃー!」

 

「いくよー!めぐみん直伝の!効率化『ファイアボール!!』」」

 

「油断するなよ、三人とも。まだ本命が残っているんだぞ!」

 

テイラー達のパーティーも、調子良く敵を倒していく。

 

「どうした!お前達は、この程度の攻めしか出来ないのか!!もっと、私を満足させてみせろ!!」

 

ダクネスも調子良さそうに、敵の攻撃を一身に受けていく。うん、他の仲間に攻撃が飛ばないのはイイヨネ?

 

「『ライトオブセイバー!』」

 

「『ゴッド・ブロー!!』」

 

ゆんゆんのライトオブセイバーが敵を切り裂き、アクアのゴッドブローが敵をぶっ飛ばす…

 

「おい、アクア!支援役が前に出るなよ!!」

 

俺の言葉で慌ててアクアが戻ってくる。

 

「ふう、昨日の鬱憤もあって、はしゃぎすぎたわね。」

 

いい顔してやがる。

 

「少しは気が晴れましたか?」

 

「…まあね!」

 

めぐみんの問い掛けにアクアはすっきりとした笑顔で答えていた。

皆の様子を見る限り、もうすぐ全滅出来そうだ。

 

「…俺達の出番は無さそうだな、めぐみん。」

 

「そうですね。でもカズマ、まだ本命が残っていますよ。」

 

「ああ、わかって…!」

 

違和感が起きる、何気に見たそこに、威圧感漂う首無しの騎士が立っていた。

 

「…あいつは、まさか!?」

 

威圧感を漂わせている首無し騎士は俺たちの方へ、ゆっくりと歩み始める。

 

「駆け出し冒険者の町だと思っていたのだが、昨日の爆裂魔法といい、中々やるではないか!」

 

「な!?奴は!?」

 

そいつの存在を他の仲間達も気づく。

 

「そう警戒をするな、此方はまだ手を出すつもりは無い。」

 

そう言って、そいつは俺達から少し離れた場所で足を止めた。

 

「お前が、魔王軍の幹部か?」

 

こいつ、全然隙がない。

…めぐみんに奇襲で爆裂魔法を撃たせるつもりだったが、チャンスが全く無かった。

 

「そうだ。俺は魔王様に仕える幹部の一人、ベルディアだ!」

 

ベルディアが名乗りを上げた。そして、やはりというかなんというか…

それに応える様に、マントを翻しポーズを決めていた奴がいた。

 

「我が名はめぐみん!!紅魔族随一の天才にして、爆裂コンビが一人!!爆裂魔法を極めし者!!やがて魔王を討ち滅ぼす者!!」

 

名乗りを決めた、めぐみんの右腕が赤黒く輝く。

これ、俺もやらなきゃいけないんだよな…。しょうがねえな。

 

「我が名はカズマ!最強の最弱職にして、爆裂コンビが一人!!数多のスキルを極めし者!!」

 

めぐみんの対となるようにポーズを決めた。そして俺の右腕が緑色に輝く。

 

「何だ其れは?…お前ら俺をバカにしているのか?」

 

「「ち、ちがわい!!」」

 

「アンデッドの分際で私達の名乗りにケチをつけるなんていい度胸じゃない!?」

 

アクアはそう言って一歩前に出る。

 

「我が名はアクア!!水の女神にして、魔王軍をシバく者!!アンタを滅ぼす者よ!!」

 

アクアは水色に輝きながらポーズを決めていた。

 

「こいつら…揃いも揃って阿呆ばかりなのか!?何が女神だ!アホ面下げおって!!」

 

「アンタ、本当にいい度胸しているじゃない…?」

 

ベルディアの発言にアクアがキレ掛かっている…飛び掛らないだけ抑えている方か。

そうこうしている内に、他の仲間達も戦闘を終えていた。

 

「…私の大切な人を、馬鹿にするなんて許せない!!」

 

ゆんゆんがアクアの傍に駆け寄り、アクアと対になるようにポーズを取った。

 

「我が名はゆんゆん!紅魔族随一のアークウィザードにして、友達を護る者!貴方を倒す者!!」

 

名乗り上げたゆんゆんの右腕は、青白く光り輝く。

そして、そんな俺達を護る様にダクネスがベルディアの前に立つ。

 

「そう言う事だ。私達はお前に引導を渡すために来たのだ!」

 

ダクネスは剣先をベルディアに向けて、高らかに宣言をする。

 

「我が名はダクネス!最硬のクルセイダーにして、あらゆる攻め苦を耐え抜く者!!

…はあはあ、さあ!お前の攻めを見せてみるが良い!!」

 

「いや、お前は望む者だろ!」

 

剣を持っている右腕を黄色く輝かせながら、ダクネスは身悶えていた。

…もうちょっとさ、シリアス続けようぜ?相手は幹部なんだからさ…

…俺もやったから言えないけどさ…。

 

「くぅ、こうして強敵と相対している時にまで容赦の無い言葉攻め!…流石は私が見込んだ男だ!!」

 

やめて!シリアスさんのライフはもう0よ!!

ほら!見ろよ!ベルディアが反応に困っているじゃねえか!?

 

「…ベルディア!僕らは貴様を倒しに来た!」

 

シリアス担当が来た!これで話が進む!!

ミツルギの言葉でベルディアはようやく我に返ったようだ…

…あれ?もしかして、爆裂魔法を撃つ絶好の機会を逃したか!?

 

「ほう?魔剣の勇者か…。これは面白い!調査が進まなくて、丁度退屈していた所だ!」

 

ベルディアは不敵な笑い声を上げる。

 

「僕の事を知っていたようだけど、このパーティーは僕だけじゃない。」

 

「ほう?…成程、ソードマスターだけでなく、聖騎士が二名にアークウィザードが二名…そしてアークプリーストか。

これは中々に楽し「『セイクリッド・ターンアンデッド!!』」」

 

ベルディアがミツルギと喋っている最中にアクアが浄化魔法をぶっ放した。

不意討ちするなとは言わないけどさ…もうちょっとこう…

 

「ぎゃああああああ!!!」

 

ベルディアは叫び声を上げながら、地面を転がった…。

 

「あれ?思ったよりも効いているぞ…」

 

「本当ですね…、でも、これならいけそうです!」

 

流石に、距離が近すぎて爆裂魔法は使えそうに無いが、今が攻め時だ!

 

「ダクネス!ミツルギ!テイラー!前衛を頼む!!」

 

「「任せろ!」」「引き受けた!」

 

「アクア!前衛に支援を!!」

 

「任せなさい!」

 

アクアの超支援魔法がダクネス達に掛かる。

 

「さあ、来い!ベルディア、貴様の攻撃は全て私が受けきってみせる!!」

 

ダクネスがタンク役となり、ミツルギとテイラーが連携して攻撃を仕掛けるが…

 

「中々やるな、これは思ったより楽しめそうだ!」

 

ミツルギ達の攻撃を易々と避けていく。

 

「く、この程度では私は倒れんぞ!もっと打ち込んでくるがいい!!」

 

ベルディアの攻撃は、頬を紅潮させて絶好調になっているダクネスが確実に防いでいく。

 

――――此処までは予想通りだ。

 

「キースは聖水を漬けた銀矢で攻撃を。味方に当てるなよ!?」

 

「ああ、わかって「私は一向に構わんぞ!!」……俺を信じろよ、カズマ!」

 

「頼りにしているぞ!キース!」

 

キースの言葉を遮って、変態が何か言っていたようだが俺達は聞こえなかった!!

 

「く…、二人して無視を決め込むとは…どれだけ私を悦ばせるのだ!」

 

この状況で恍惚とした表情を浮かべているダクネスにベルディアが引いていた。

 

「…この娘は聖騎士じゃないのか!?え?何なの!?この子!?」

 

ベルディアがダクネスに悲痛な叫びを上げている。

 

「アクア、今だ!やれ!!」

 

「『セイクリッドー・ターンアンデッドー!!』」

 

ベルディアが浄化の光に飲まれていく。

 

「ぐううう!!!」

 

ベルディアが浄化魔法に耐える様に踏ん張る。

その絶好の機会にミツルギとテイラーがベルディアに切りかかる。

 

「がっ…!!」「ぐあっ!!」

 

決めの攻撃を仕掛けた二人がベルディアの反撃を受けて、二人とも別方向に吹き飛ばされる。

 

「二人とも大丈夫か!?」

 

「ああ、此方はたいした怪我はない…だが剣が…」

 

咄嗟に剣を盾代わりにしたのか、テイラーの剣は真っ二つに折られてしまった。

 

「ぐぅ…!ゲホッ!!」

 

ミツルギは深手を負ったのか、血反吐を吐き出す。

 

「アクア!!ミツルギを!ゆんゆん、リーン!遠距離魔法で時間を稼げ!!」

 

クソ!思った以上に強い…。俺の魔力を温存している余裕は無さそうだ。

 

「カズマ…まだ、無理ですか?」

 

「試してみる!!」

 

俺はベルディアに向けて、右手を突き出す。

ベルディアとのレベル差はわからない…でも、俺の幸運値なら!!

 

「『スティール!!!』」

 

ベルディアに抵抗されないように、目一杯魔力を込める。

 

「む!?剣が!?」

 

「…重てえ!!」

 

ベルディアの持っていた剣をスティールで奪う事に成功したが、その重さで前に倒れそうになる。

 

「カズマ!」

 

ギリギリで、めぐみんに支えられて体制を立て直した。

 

「『パワード!』…めぐみん、ありがとうな。」

 

身体強化魔法に加え、支援魔法を使って何とか剣を両手で持つ。

この重さじゃ、俺には使えないな。

 

「俺の剣を奪うとはな!だが…」

 

先程よりも、身軽になったベルディアが拳打でダクネスを攻め立てる。

 

「ぐっ!早い!?…しかも、ガッ!一撃も重いとは…やってくれる!!」

 

「剣を奪えて安心したか?戦場では武器を失う事もある!その時に役に立つのは自分の体だけだ!!」

 

武器を奪ったのに何でパワーアップしてんだよ!

今度は本命を狙ってやる。

 

「ちっ!動きが早くてスティールの狙いが定まらない!!」

 

ゆんゆん達も狙いが定まらなくなったのか、攻撃が出来なくなっていた。

 

「カズマ、借りるぞ!」

 

テイラーは俺が奪ったベルディアの剣を受け取り構える。

 

「済まない、焦り過ぎたよ。…君はベルディアの魔道具を無効化させる事だけを考えてくれ!」

 

アクアの回復魔法を受けた二人が戦線に復帰する。

 

「ほう?まだ、立ち向かうか。俺の剣まで使って。」

 

「俺は、自分の役目を果たすまで!!」

 

「僕達で、アクセルを護るんだ!!」

 

「…?…何のことだ?」

 

「知らない振りをしていても無駄だぞ、ベルディア!私達は貴様の狙いがアクセルである事は解かっているのだ!!」

 

「は?何だそれは?俺はこれでも騎士の端くれ…弱者を一方的に刈り取るような真似はせんぞ!!」

 

……あれ?もしかして、俺達は藪を突いたのか?

いや、こいつの所為で俺達冒険者が困っているのは事実だ!

それに命を張るかは別問題だが…

 

「な!?嘘をつくな!!それ以外にお前がここにいる意味なんかはないだろう?」

 

ミツルギがベルディアに食って掛かる。

 

「…アクア、撃っちまえ。」

 

ボソリとアクアに指示を出した。

 

「だから!嘘では無いと言っ「『セイクリッド・ターンアンデッド!!』」」

 

「があああああああああ!!!!!い、一度ならず二度までもー!!」

 

この状態なら…

 

「『スティール!!』」

 

…俺の手元には何もなかった。クソ!抵抗されたか!!

 

「カズマのスティールを抵抗するなんて…」

 

めぐみんは驚いているようだが、俺には十分予想出来ていた事だ。

切り札を切るしかないようだ…。

 

「俺も戦線に加わる。アクア支援を頼む。」

 

「…解かったわ。」

 

アクアの支援魔法が俺を強化していく…。

冒険者カードを取り出して、位置取りを図る。

 

「よし、いくぞ!ミツルギ!!」

 

「!…解かった!!」

 

俺はちゅんちゅん丸を構えて、ベルディアに対峙する。

めぐみん達は、アクアを残して戦線から離れていく。

 

「ふん!頭は回るようだが最弱職が加わったところで戦況は変えられないぞ!」

 

俺はカードを弄りながらベルディアに近づく。

 

「どうかな?…俺はそこに居る、ミツルギと同郷だぞ?」

 

切り札さえ、決められればいい。

即死しなければ、アクアがきっと助けてくれる。

 

「いくぞ!!」

 

俺の号令で俺、ミツルギ、テイラーは攻撃を開始する。

 

「『クリエイトウォーター!!』『フリーズガスト!!』」

 

俺に呼び出された大量の水が、白い霧の中で氷のつぶてに変わりベルディアに襲い掛かる。

 

「!?」

 

ベルディアはそれを大きく回避した。

何だ?あの程度の魔法なら足止め程度にしかならないと思ったんだが?

それよりも、離れすぎた!またやり直しか!

 

「ダクネス頼む!」

 

「任せろ!」

 

再度、ダクネスがベルディアに張り付く、俺達も其れを追いかけて、切り札の準備をする。

 

「ミツルギ! ”俺達”の連携いくぞ!」

 

「解かった!必ず決めるよ!」

 

俺がベルディアに斬りかかるも、予想通りあっさりと避けられる。

 

「『セイクリッド・ターンアンデッド!』」

 

俺の攻撃の本命はこちらで、ベルディアは浄化魔法に包まれるが…

 

「せい!」

 

浄化魔法に焼かれながらも、ベルディアはあっさりとミツルギの攻撃も躱す―――

 

「ふん、期待はずれだな。その体勢では避けきれまい!」

 

体勢を崩していたミツルギを、ベルディアは拳打で攻撃しようとする。

 

「『テレポート』」

 

突如、ミツルギの体が消えてベルディアの攻撃は空を切る。

 

「しまっ!」

 

絶好の位置に転送されたミツルギはグラムを直撃させた!!

 

「だあああああ!!!!」

 

ミツルギの渾身の一撃は、ベルディアの鎧を破壊し、数メートルも吹き飛ばした!

 

「アクア!今だ!!」

 

ベルディアは見た限り、魔道具らしきものを装着していない。

剣は奪った…。後はありえるとしたら、奴の鎧だ!

 

「今度こそ、逝きなさい!!『セイクリッドー!!ターンアンデッドー!!』」

 

「ぎゃあああああああああああああ!!!」

 

先程の不意討ちの時とは比べ物にならない程のダメージが入ったようだが…まだ、足りない。

 

「めぐみん!!!ゆんゆん!!! アクアもう一発だ!」

 

俺はめぐみん達を近くに呼び寄せ、前衛組と共にアクアの元まで下がる。

 

「カズマ…はあはあ…倒しきれませんでしたか。」

 

「ああ、だから切り札その2だ!」

 

「カズマさん、これで決まりますよね?」

 

「決まってくれないと流石に困る…アクア、魔力を貰うぞ。」

 

「カズマ、ちょっと私をコキ使いすぎじゃない?」

 

「悪い。今度、お前の好きな酒をダースで買ってやるから許してくれよ。」

 

「じゃあ、5ダースね。」

 

調子に乗りやがって…

俺はアクアの首元を掴む。

 

「ちょ、カズマ!めぐみんの前で私にセクハラとか、度胸が良すぎない!?」

 

「ちげーよ!というか、お前は攻撃を続けろ!…ここが一番効率がいいんだよ。」

 

本来は心臓部に近い場所だけど、流石にアクアの背中に手を突っ込むわけにはいかない。

アクアの魔力を吸いながら、めぐみんと目配せをする。

 

「準備いいですか?…カズマ、合わせますよ。」

 

「ああ、やってやるよ!」

 

俺はちゅんちゅん丸を納刀して、めぐみんと共に杖を構える。

 

「「紅き黒炎、万界の王。」」

 

「「天地の法を敷衍すれど、我らは万象昇温の理。」」

 

「「崩壊破壊の別名なり。」」

 

「「永劫の鉄槌は我らのもとに下れ!」」

 

「「『エクスプロージョン!!』」」「『セイクリッド・ターンアンデッドー!!!』」「『インフェルノ!!!』」

 

俺達最大の攻撃魔法が纏めてベルディアに襲い掛かる。

 

「う…ぁ」

 

体中の魔力と体力を持っていかれて、俺とめぐみんは倒れこんだ。

これで決まってくれないともう倒す手段がない。

 

「決まってくれよ…。」

 

ミツルギが願うように言う。

 

やがて、視界が晴れて行き…

 

「「おお!」」

 

ベルディアが居た場所は、大きなクレーターだけを残し、跡形もなくなっていた。

 

「ふふん!ベルディア討伐よ!」

 

アクアが冒険者カードをヒラヒラと振りながら、笑顔で宣言する。

何とか倒せたか…しかし、今の俺は声を出す事も出来ないほど疲労している。

途中で魔力を使いすぎたな…。

 

「やったな!カズマ!!……どうやら魔力切れのようだな。」

 

ダクネスは俺を背負ってくれる。めぐみんはゆんゆんが背負っていた。

 

「さあ、帰りましょう!今日は宴会よー!!」

 

アクアの声が響き渡る。

皆の歓声が響く中、俺の意識は落ちていった。

 

 




…本当にベルディアは強敵でしたね。
次回はエピローグになります。

のんびりお待ちください。
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